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2013年12月20日 (金)

2013年12月20日

Pacificrim_bd1

今年最大級の話題の映画「パシフィック・リム」を見ました。自宅で。

公開当時はなんとなく流行ってるなぁぐらいに遠巻きに見守っていて、その凄まじい評価を聞き
そんなに良いものなのかと興味をもっていたものの実際に劇場に足を運ぶことは結局なく。
ソフトが発売されたあともしばらくは同じテンションだったのですが、ネット上の関連記事を読んで
急激に見たくなってしまい、翌日にはBD+DVDの初回版パッケージを購入していました。

で…見た感想をぽつぽつ書いていこうかと。初回は英語音声/日本語字幕で見ました。

端的に言えば怪獣映画。じつにシンプルに怪獣映画してて、見ていて非常にわかりやすい。
ただ、ストーリーの構造上の問題でスカッとしない感じがしてしまいました。
具体的に言えば「KAIJUを倒すことが最終目的ではない」という点。

最終目的がKAIJUを倒すことであれば、苦戦の末に倒したとき視聴者的もスカッとするのですが
この映画の最終目的は「KAIJU側の世界と地球側をむすぶ通路を消滅させること」にあるため
KAIJUを倒してハイおしまいとはならないんですよね。
倒したあとのもうワンステップがあるせいで、どうにも気持ちよく終わってくれないのです。

しかも、その様子が「インデペンデンス・デイ」っぽいというか…ここは見てる誰もが連想したかな。
必要以上にアメリカナイズされてしまったことが個人的には気に入りませんでした。

ジプシー・デンジャーがカテゴリー5のKAIJUをがっちりホールドして、通路の途中で自爆すれば
最後のKAIJUを倒すのと同時に目的も達成できてよかったのではないかと。
生還を諦め自爆スイッチを押すも、勝手に起動した脱出装置に救われるローリー。
奇しくも同じ位置に搭乗していた亡き兄・ヤンシーに助けられたのだと悟る…という流れのほうが
より日本的な王道展開を踏襲でき、かつ感傷的になれてよかったと思うのです。

KAIJUを倒して通路も消滅させ、なおかつ生きて還ってやるという考えはものすごくアメリカ的で
日本人が考えるヒーロー像とはズレている気がするので。

あと、欲を言えばクリムゾン・タイフーンとチェルノ・アルファの活躍をもっと見たかったですね。
歴戦の勇士であることを事前にあれだけ解説しておきながら、戦闘ではほとんど活躍してくれず
ジプシーの活躍を魅せるための捨て石として処理されてしまったことが残念。
主役ふたりに注目してもらうためには仕方ないことですが、期待を裏切られた感じもあり。

監督がコメンタリーで話しているように、怪獣映画として尺を長すぎないようにしようという意図が
あるため、豪華な印象のわりに本編はあまり長くありません(本編131分)。
相当苦心して尺を詰めたと思われます。もっと入れたかったシーンもあったでしょう。

さて…購入の動機となった、事前に読んだ記事の話もしておきますか。

脚本を担当したトラヴィス・ビーチャムが本作を書き上げるうえで、日本の作品から多大な影響を
受けていると語っており、そこで挙げられたのがなんと「THE ビッグオー」。
個人的に大好きな作品で、自分も「ビッグオー」から非常に強い影響を受けました。

「パシフィック・リム」を見ていると「ビッグオー」的なポイントをあちこちに見て取れます。
マコやペントコストのキャラクターデザイン。シャッタードームの都市群。
基本的に拳のみで戦うイェーガーの戦闘スタイル。エウレカの胸部から発射されるエアミサイルや
クリムゾン・タイフーンが逆上がりの途中で腰を半回転させるアクションなんかはそのまんま。
ほかにもオオタチとの市街地戦やビルを突き破って出てくる様子などなど…随所にあります。
スケール感を意識した特撮的な撮り方も「ビッグオー」と共通するところです。

世間的には「鉄人28号」や「マジンガーZ」のオマージュというわかりやすい表現にしていますが
もっと直接的なつながりのある作品が存在すると言いたかった。言いたかっただけです(笑)

マコの初登場シーンは「攻殻機動隊」的でもありますよね。あのヘリポートの雰囲気。
香港の街中の様子も「攻殻」っぽく、いかにもサイバーパンクという感じでニヤニヤさせてくれます。
有線で記憶を共有するという点も指摘されていますが、記憶(メモリー)がカギになるという点では
「ビッグオー」的なのかなぁと思えたり。いづれにせよ影響はありそうです。

あとは映像の雰囲気が平成ガメラ三部作に似てるような気がしました。
特にオオタチが飛翔するあたり。こんなシーン以前にも見たことある!(笑)って感じで。

これほど日本でヒットしたのは、日本のオタクが見たとき「これってアレじゃない?」と思えたり
「こういうのを待ってたんだよ!」と感じるポイントが多かったからじゃないかと。
ただ、冒頭にも書いたとおり基本はシンプルな怪獣映画なのでわからなくても楽しめるのです。

劇場に子連れで見にいく方も多かったようですが、子供でも楽しめちゃう外画ですからね。
それもピクサーやディズニーのようなかわいいキャラが出てきたり、「ハリー・ポッター」のような
魔法とファンタジーがあるわけでもなく、出てくるのは鉄の塊と怪獣だけ。
だからおもしろいし、人間の心の芯の部分に響く。民族音楽や打楽器のような映画。

それだけに、映画に複雑さや奥深さを求めるタイプの人からは評価されない。
どういうものを求めて見るかで評価が大きく割れる映画だと思いました。

コメンタリーのなかで監督は「スポーツ映画」や「プロレス」、「11歳のころに戻って見てほしい」
という言葉を繰り返し使っており、そういう価値観を共有できる人であれば一般的な評価以上に
のめり込んで楽しむことができそうです。自分はどっちつかずでしたが。

個人的に「パシフィック・リム」で一番好きなシーンは、ジプシーがタンカーを引きずってるところ。
殴り合いのケンカに向かうあの雰囲気がこの映画をもっとも象徴していると思います。

余談ですが…吹き替え版は個人的にはあまり好きにはなれそうにないです。

豪華声優陣を売りにすることを意識しすぎたのか、登場人物のイメージに合わない声もあって
映像への没入感を削がれてしまいました。なので今回は字幕派です。
劇中の説明ゼリフを理解しやすいという点でも、初回は字幕をオススメしたいです。

…というか、豪華声優陣をありがたがるような声オタ向けの映画ではないですね。



ついでに第4Qのアニメの感想も書いちゃおうかな。といっても特筆すべきこともないんですけど。

今期は放送開始当時の評価が大幅に変化する作品が少なかったと思います。
強いて言えば「アルペジオ」かな…あんなに雰囲気が変わるとは(笑)予想外でした。

「ビルドファイターズ」と「ログ・ホライズン」が安定。「ぎんぎつね」は心の清涼剤。
意外な健闘だったのが「ゴールデンタイム」。「黒子」と「弱虫ペダル」は続きが気になります。
続くといえば「サムライフラメンコ」と「凪のあすから」は続くんですね…てっきり1クールかと。

「キルラキル」は勢いはあるんですけど、冷静に考えるとストーリーのおもしろさは皆無なので
その場のノリで実況しながら見るべきなのかも。「ヴァルヴレイヴ」も同様。
ストーリーも含めた映像エンターテイメントとして評価できるものがほしいですね。

今期はアニメよりもモンハンが楽しくて…ながら見していることが頻繁にありました。

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