
我が家のXbox360の現状です…メンテナンス性を高めるためにだいぶ前から外側のプラ部分は
はずした状態で使っていたのですが、今回とうとう改造に着手してしまいました。

旧型Xbox360の騒音のおもな原因は冷却ファンです。
GPU周辺の温度に合わせて回転数が変化し、最大4000rpmという高い数値で風を起こします。
直径6cmという小さなファンを2基、しかも高回転させたらうるさいのは当然。
この冷却ファンはヒートシンクに対して吹き付け方向ではなく、吸い出し方向で取り付けてあって
換気扇のような状態でCPUとGPU両方のヒートシンクの冷却をまかなっています。
写真の冷却ファンの下に見えるのがCPUとGPUのヒートシンクです(背が高いほうがCPU側)。
CPU側はまだいいのですが、GPU側のヒートシンクはDVDドライブの真下に押し込まれているため
GPUの発熱量に対して必要な表面積、冷却性能を確保できていません。
しかもこれを吸い出しで冷やそうというのですから、設計の段階から間違っているわけです…。
(Celeron程度の発熱量ならこの方式でもじゅうぶん冷やすことが可能です)
基板の設計が見直されたXbox360 S以降、CPUとGPUはDVDドライブに隠れない位置へ移動。
ハイブリッド(銅&アルミ)ヒートシンクを吹き付け方向で冷やすよう変更されています。

Xbox360 S以降の設計をヒントにして、旧型本体に手を加えてあげることにしました。
まずDVDドライブを本体外に出し、ヒートシンクに吹き付け方向でファンを増設してあげるだけで
じゅうぶんな冷却性能を得られることが確認できました。
大幅に手を加えたくない人はとりあえずそれだけでもやってみるといいと思います。
ファンの増設に必要な電源は基板上のあちこちのポイントから確保できます。
自分の場合、チップが廃止された箇所からあっさり12Vを確保。基板のロット次第ですけどね。

続いてGPU側のヒートシンクを撤去し、Pentium 4時代に使っていたScytheのCPU用クーラー
「鎌鉾Z」のハイブリッドヒートシンクを設置しました。
「設置しました」って軽々しく言ってますが、「鎌鉾Z」のヒートシンクにはネジ穴が存在しないので
基板の穴に合うように新たにネジ穴を作ってあげる必要がありました。
さいわい相手は無垢のアルミです。金属用ドリル刃で穿孔できなくはありません。
Xbox360の基板上には60mm四方、対角約85mmで4つの穴が用意されています。
この穴に適合するヒートシンクをジャンク屋で探すほうがはるかに早いことはわかっていましたが
自分の場合、手持ちの処分寸前のものを使いたいという理由から苦難の道を歩んだわけです。
もともとGPUチップ自体、「基板に平行に取り付けてあるわけではない」というのがトラップでして
ヒートシンクと基板が平行になるようにネジ締めを調整するとオーバーヒートが頻発。
個体差があるので参考にはならないと思いますが、うちの場合は基板とヒートシンクの間隔を
片側2つの角が8mm、反対側の2つの角を7.5mmに調整することで安定を得ました。

発熱量の多いPentium 4用のヒートシンクですから、その冷却性能たるやハンパではありません。
騒音で異常を検知できるようにと、標準の冷却ファンはつけたままで現状では動かしていますが
その冷却ファンがうんともすんとも言わないぐらい超余裕で熱を処理してくれています。
ヒートシンク上に仮置きしてある12cmファンを低速で回しておくだけでオッケー。
GPUに高い負荷がかかる「GTAV」などをプレイしてても非常に静かで逆に怖くなります。
具体的にどれくらい静かかというと、標準の冷却ファンが最低速で回ってる音が聞こえるだけ。
窓を開けるような季節なら、窓の外から聞こえる騒音のほうがずっと大きいです。
改造前は密閉型ヘッドホンをつけてても騒音が聞こえていたので違いはかなり大きいです。

この後、改造後の状態に適合するようにダクト(プラスチック製の白いトンネルのようなパーツ)も
加工して取り付けました。テキトーに切断したわりにはうまくはまってます。
増設したケースファンで吹き付け、ヒートシンク内を通り抜けて暖かくなった風を排気するという
非常に合理的な冷却システムを実現できたわけです。
写真右端にケースファン用のコネクタが2個ついてるのが見えますが、これはケースファン以外に
「鎌鉾Z」専用の9cmファンも増設したためこのようになっています。
残された問題は本体外に出したDVDドライブですね。本当に出しただけなので。
基板とDVDドライブをつなぐケーブルのうち、S-ATAケーブルはいくらでも交換が利くのですが
もう一方の電源ケーブルのコネクタが特殊で市販されていないものなのです。
途中で切断して無理矢理延長するという方法もありますが(実際そうやっている例も見ました)
もう少しスマートな方法で実現したいので現在模索中です。
ヒートシンクのネジ締めを調整しているあいだにオーバーヒートによる本体停止を何度か経験して
わかったのですが、未改造状態の爆音ってオーバーヒート寸前の音なんですよね…。
標準の冷却ファンを交換することで騒音そのものは解決される可能性があります。
しかし、冷却性能が足りてないヒートシンクを吸い出し式で冷却し続ける状態は変わらないわけで
騒音だけ解決して安心してたら危なかったな…と思いました。