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2016年10月 1日 (土)

2016年第3Q アニメ総括

今回も総括が翌月に食い込んでしまいました…本当にギリギリまでやってるんだもの。
こうして感想をまとめるうえでも、次期に突入するまでにもう少しブランクがあるとよいのですが。


今期はやはり2クール作品や続編ものが強いシーズンで、新作は不利なシーズンだったと思います。

「RE:ゼロ」は非常に満足感の高い2クール作品でした。
ただ…以前も書いたとおり、王選突入からスバル汚名返上までがあまりにも長くて退屈させられたことと
特に王選以降、描写が少なくてエミリアに感情移入できなかったことがちょっと気になりました。
ロクに描かれないクセに最終回で正ヒロインぶられてもあんまり感動できないというか…(笑)
スバルくんがエミリアに固執する理由を汲み取れなかった自分の視聴能力の問題かもしれませんが。

自分はべつにレム派ではないんですけど、最終回にチラリとも出てこないのが少々かわいそうで。
あと、完全に脱線してて王選は全然進んでないので『現時点ではハッピーエンド』としか言えない状態。

「クロムクロ」や「ジョジョ」第4部が安定した魅力を発揮するなか、健闘していたのが「プリズマ☆イリヤ」。
このスピンオフのファンだけでなく、Fateシリーズのファンも喜ばせる展開が盛りだくさんでしたね。
全4回という変則的な放送だった「七つの大罪」もシリーズファンをきちんと楽しませる好印象な内容。

「ダンガンロンパ3 未来編&絶望編」は交互に見続けるからこそ理解できるおもしろさを実現できていて
テレビ放送のアニメに新たなスタイルをもたらしてくれていたような気がしました。


新作のなかでは、ストーリーのおもしろさで言えば「orange」が抜きん出ていた印象。

ほかも新作所感で挙げたものがだいたい上位に。「91Days」と「東離劍遊紀」は期待どおりの出来でした。
挙げなかったものだと「チア男子!!」が堅実。シリーズ構成の見本みたいな作品と言えます。
「ReLIFE」と「アルデラミン」は中盤以降ジワジワとおもしろくなってくれました。

個人的に変に気に入ってしまったのが「Rewrite」。これはキャラクターデザインの魅力に尽きると思います。
懐かしさに安心するというのもありますが、掛け合いや動かし方がとにかくかわいくて。
なぜいまさらアニメ化なのか?という疑問はあったものの、見ていて古臭いと感じる部分は特になく。
しかしああいう終わり方をするとは…おかげでもうしばらく付き合える作品にはなりましたが。

あとは「B-PROJECT」ですね…最終回が本当にすごかった(笑)感動ではなく唖然という意味ですごい。
普通に男性アイドルアニメとして見ていて、あんな結末になると誰が予想できたでしょうか。


今期は期待していたのとちょっと違っていたり、肩透かしな印象の作品も目立った感じがします。

「あまんちゅ」は思っていたよりも水の中で活動しないのが意外でした。
部活をやらない部活アニメが多い昨今ですから、地味にランニングを繰り返していただけ部活ものとしては
正しい描写だったのかもしれませんが、水中の描写を期待していたのでなんか違うなぁと。

「ベルセルク」はお話のおもしろさは間違いないのですが、描写の中途半端さがどうにも気になりまして。
手描きとCG描写の混在をもう少し煮詰めることはできなかったのかと…そこが残念でした。

「NEW GAME!」は6話くらいで脱落しました…なんか見ててつらくなってしまったので。
なぜつらいと感じるのか一応は考えてみたのですが、おそらく彼女たちの容姿や声色のアニメっぽさに対し
お仕事のエピソードが不釣り合いなくらいシリアスというギャップに堪えられなかったのかと。
Twitter上で話題になった『本当は全員おっさんだけど美少女化して描かれてる』という見方が興味深くて
お仕事系アニメの新たな楽しみ方を手に入れた感じがしましたが、許容するにはいたらず。


今期3枠あったサテライト作品すべてもここで語らせていただくことになってしまいました。

まず「マクロスデルタ」はとにかく絵が弱い。そしてお話が妙に盛り上がらない。
「AKB0048」のほうが確実におもしろかったし(傑作だから当然といえば当然)、「マクロスF」あたりからの
新規ファン層を満足させられるほどの描写もなく、スカスカな印象が否めません。
「ターンA」的なシリーズ集大成作品として見られるおもしろさもあるにはあったんですけどね…。

最終回だけ切り出して見ても物足りなかったなと思える場面が多いんですよね。
たとえばケガからの復帰なのになんの盛り上げ材料にもならずにぬるっと戦線に復帰してたマキナとか。
その前に、いざ決戦!という場面でワルキューレのメンバーが3人しかいなくて「なんか寂しくね…?」って
なってしまったのも大きかったのかも。絵的なハッタリに欠けるというか。
最大の見せ場となった告白シーンも含め、最終回だというのに妙に省エネ感のある絵が続きました。

キースたちが反旗をひるがえすのは誰しも予想していたと思うし、どうせならハインツ様がワルキューレの
楽曲を歌ってしまうくらいやらかしてくれたほうが見てる側としては盛り上がれたと思います。
逆に意外だったのがイプシロン財団とベルガーが結末に一切関与しなかったこと。
あんな立ち回りをしていて中立のまま終わるなんて…キャスト変更が影響してたりしないですよね?

一番致命的だったのが、最終話の歌唱シーンがどれもただ歌ってただけな感じだったこと。
既出の楽曲でも「0048」のように効果的に演出することは可能なので、そこが本当に残念でした。

最終回まで見終えたいま、改めて第1話を見ると全然違うんですよこれが。
単に画面がリッチというだけでなく、絵の艶や色気が全然違うし場面の見せ方も比較にならないレベルで。
ものすごくおもしろいアニメがはじまった!という実感を改めて見ても得られるほどなのです。
なんでこの調子が続かなかったかなぁ…特に2クール目。やはり3枠抱えた弊害なのでしょうか。

「ももくり」は甘々すぎてつらくて…あまりにも障壁のない恋だと、見続けるのがこんなにつらいんだなぁと
気付かせてくれたという意味では新しい発見があったとも言えるのですが(笑)
「スカーレットライダーゼクス」は放送開始当初から最後まで評価の変わらない作品でした。


来期のことはいまはちょっと考えられません。アニメにあまり魅力を感じなくなりつつあるのかも。
たまたまそういう波が来ているのかもしれないし、義務ではないのでちょっと休みますか。



さて…「ラブライブ!サンシャイン!!」の話もしておきましょう。ここからすごく長いですよ。
Twitterでは当たり障りを気にして言えなかったことを思い出しつつまとめたので、記憶違いもあるかも。


旧作の『現実をまったく見ていない』という意味でのリアリティのなさが今回も炸裂していたといいますか
むしろ「これはオタク向けのアニメの世界なんだ」という開き直りすら感じさせる内容でした。
Aqoursの9人のキャラ付けやじゃれ合いなどはまさに。そこを楽しめる人にとっては傑作だったのかも。

途中、いわゆるご当地アニメを求める地方自治体に対し「あなたの街にはどんな魅力がありますか?」と
問いかけるような場面もあり、おもしろいところに切り込んでくるなぁという感心もあったのです。
しかし、これといって地元愛を追及するわけでも母校に対する思い入れを強調するわけでもなく…。
結局は予定調和というか、どこかで見た風というか…「サンシャイン!!」ならではの切り口を描くこともないまま
旧作に寄りかかることをやめようとしない、そういう開き直りに終始した感じ。

中盤のSaint Snow登場、スクールアイドル人口の増加にともない競技化したラブライブの扱いのあたりで
「これはアイドルアニメではなく部活アニメなんだ」という開き直りも強調されました。
あの採点方法もどうなのかと…競技化とは相反した、芸術点ではなく観客の投票で決するというルール。
当日の出来栄えに関係なく、どれだけ席を取れたかで勝負が決まってしまいますからね。

このあたりで、アイドルを目指した本当の理由に彼女たちは改めて気付くんだろうな…と先が読めました。


学校の統廃合の件は「0を1にする」という感動演出の陰に消え去ってしまいました。
現実的に考えたら「0を1にする」程度ではなにも変えられませんが、統廃合とかもうどうでもいいんです。
ぶっちゃけラブライブとかいう大会もどうでもいい(笑)結論へ導くためのダシでしかないので。
いや、発表の場としては必要か。勘のいい子ならなにもしなくても気付いたであろう答えを発表する場が。

そして最終回では、生徒や家族はステージに近付けないと説明しておきながら駆けつけるシーンが描かれ
数分前に登場人物に言わせたことすらひるがえすという破綻を見ることになりました。
これは「アニメの話だから」と開き直るにはあまりにも重篤すぎるミスだと思うんですよね。

「艦これ」のときもそうでしたが、その場その場のインスタントな感動を求めるあまり大事な設定を無視する
というのは花田脚本の伝統芸なのでしょうか。本当になにも考えずに書いてません?

そのやり方に素直に感動させられてしまう人はなにも感じないのでしょうが、多少の冷静さが残っていれば
見ていて冷めるような言動や演出がいくつもあり、ヘタするとAqoursどころか「サンシャイン!!」という作品自体
キライになりかねないほどの結末だったと思います。
キャラクター商売ならキャラクターの魅力を損ねるようなことはやっちゃいかんだろうと。

極め付けは最終回直後のあの特報ですよね…あれも開き直りといえば開き直りでしょう。


ここまでずらっと書いてきたことは熱烈なファンにとっては長所に見えているのかもしれません。
「ラブライブ!」って結局こういうものを求めてる層に向けて作られたものなのかな…と思ってしまえばいいと
今度は自分自身の開き直りが出てきてしまうのでした。

Aqoursはμ'sと比べて持ち歌が少なく、そのことがシリーズ構成に大きな影響を与えた可能性もありそうで
これには熱烈なファンでなくても物足りなさを覚えたのではないでしょうか。
まあおかげで脈絡もなくライブシーンが挿入されることもなくなり、構造的には好印象でしたが。
…そんなこともないか。ストーリーのつながりに欠けるライブシーンは今回もあるにはありましたね。


μ'sのファイナルライブ以降あきらかに盛り下がっていた「ラブライブ!」というコンテンツを再燃できるほどの
火付け役になれたかといえば…やっぱり難しいかなぁ。
Twitterのタイムラインを見ていても、μ's時代のファンがついてきてないのはあきらかでしたし。



気が付けば「サンシャイン!!」の感想に半分近く割いてしまいました。
それだけ無意識的に期待してたんだと思います。これは「マクロスデルタ」にも同様に言えること。

千歌は穂乃果よりも全然魅力的なキャラだと思ってたんですが。いや、いまもそう思ってます。
「サンシャイン!!」は9人全員をうまく活かせてなかった感じもしますね…特に曜。とにかく存在が希薄で。
にこと似たようなポジションだった善子は、劇中で成した仕事もにこに匹敵するものでした。
自分はμ'sにおけるにこの業績をものすごく評価してるんですよ。…とかいまさら言っても無駄かぁ。

「ラブライブ!」は結局、体育会系・部活系のフォーマットを途中まで借りて、それを捨てることで安い感動を
演出しつつ『本当の自分探し』の成果を大勢の前で無理矢理発表するアニメなのかと。


ひとつ書き忘れてましたが、音ノ木坂の校門前で出会った概念的存在のモブもちょっとアレでしたね。
亡霊のようにふわっと現れて気が付いたらいなくなっているという、非常に都合のいい登場人物。
あれも必要に応じて貼り付けているインスタントな要素のひとつと見てよいでしょう。

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