「Neo ATLASⅡ」の魅力
本当に突然ではありますが、ゲームアーカイブスで配信中の「Neo ATLASⅡ」をしばらくプレイしていました。
「Neo ATLASⅡ」は1999年に、当時PS1向けに発売されたシミュレーションゲーム。
コロンブスがアメリカ大陸を発見する少し前の大航海時代を舞台に、ポルトガルのリスボンから帆船を走らせて
交易によって資金を集めつつ、まだ見ぬ世界を探索して世界地図を作っていくという一風変わった作品。
元祖「Neo ATLAS」は1998年発売で、当時からその存在は知っていたのですが体験版しか触ったことがなく
今回ゲームアーカイブスで「Ⅱ」を購入するまで製品版を一度もプレイしたことのないシリーズでした。
なぜ急に始めたのかといえば…PS Storeのウォレット残額をゼロにするのにちょうどよかったからですね。
「DOAX3」のキャラクター使用権との合算でちょうどゼロにできるくらい残ってたんですよ。
それと、3DSが完全休眠状態になったことで携帯機で気軽にプレイできるゲームがなくなってしまっていたので
そのぶんの空きを埋めるため、PS Vitaを活用するために始めたというのもあります。
不純な動機ばかり並んでいる感じですが、以前から本作のことがずーっと引っ掛かってたんですよね。
機会があればいつかきちんとプレイしたいと。しかしPS Storeの仕様の問題もあってなかなか購入には至らず
長年手を付けずにいて、今回ようやく気持ちが前進したわけです。
ちょっと脱線しますけど、PS Storeの仕様は任天堂やマイクロソフトと比べて時代遅れすぎるんですよ…。
1000円以下のコンテンツを購入するのに1000円チャージしなきゃいけないままなのは不便すぎます。
本作のおもしろさは『思いどおりにいかないところ』にあると思います。
世界がどのような姿であるか、地球がどのようなカタチをしているか、ほとんどのプレイヤーは知っているので
いまさら世界を旅して世界地図を作ったり地動説を証明する必要は本来ありません。
しかし本作においてはその世界地図があきらかになっておらず、しかも実際に調べるのは雇ったNPCなので
"正解を知っているのに"NPCの間違った調査結果を聞き入れてあげなければならないわけです。
絶対に現実どおりにならない、ヘンテコな世界地図の完成を見守る。そんな不自由なゲームなんです。
NPCの調査結果は「信じる」ことで確定するため、信じずに再調査を命じることもできます。
つまり、現実の世界地図に近付けるためひたすら粘るというプレイスタイルも可能ではあるのです。
たたまあ…どんなにがんばっても現実どおりにはならないと思いますが。そこがおもしろいんですけどね。
大陸が湖だらけになったり、列島がつながったり。存在しないはずの幻の大地が見つかったり。
製品版1周目のプレイでは、東南アジアやオーストラリアがユーラシア大陸とつながってしまいました。
現実ならリスボンから喜望峰、インドを経て東南アジアを過ぎれば日本が見えるはずなのに、いつまで経っても
日本列島が見えてこない(笑)つながった東南アジアに邪魔され続けるという…。
オーストラリアもかなり奇抜な形状になりましたし、太平洋に到達するのにだいぶ苦労しました。
現実とは異なるカタチになることでメリットもデメリットも生じてきます。
一番影響するのは交易ですね。港と港をつなぐ航路が「信じる」ひとつで長くなったり短くなったりするわけで
往復に必要な日数や利益、交易品の貯蔵率などこまかな数値に影響がおよびます。
より効率の良い交易を考えて『世界のカタチを変えてしまう』という遊び方もできてしまうということ。
交易のシステムは1周目ではなかなかわかりづらいところもありますが、計算はほぼ自動でやってくれますし
一度その仕組みを理解してしまえば年に数百万稼ぐのも難しくありません。
本作はシミュレーションゲームでありながら、その敷居がかなり低いというのも魅力のひとつだと思います。
また、音声がそれほど重要ではなく操作も忙しくないので『ながら』でプレイできるのも良いところ。
それでいて止めどころがない。というか、プレイヤーがやるべきことがそうそう簡単には尽きないんですね。
最後の最後まで仕事がある。マップ埋めを延々楽しむことができる。そんなゲームです。
当シリーズはPS2で「Ⅲ」が、近年PS Vitaで「1469」が発売されていますが、どちらも難点を抱えていることと
基本的に初代からのバージョンアップが続いている感じなので、いまでも「Ⅱ」をオススメする人が多いという
特殊な状況が続いていたりします。実際、「Ⅱ」は非常に遊びやすかったです。
数少ない難点として挙げられるのはロードの長さと、特定の場面で動作が一時停止しがちなところ。
あとはセーブのスロット数が少なく、いくつかの段階に分けて保存しておくのが難しいところくらいでしょうか。
PS1のメモリーカードのシステムも含めてエミュレーションしている都合、セーブのスロット数がふたつしかなく
メモリーカード2との切り替えをしても最大で4箇所しかセーブできません。
このへんもうちょっと融通が利けばいいのに…この懐かしい感じも楽しみとして受け取るべきなのか。
しかし、ゲームアーカイブスというのもなかなかいいものですね。当時気になってたタイトルを気軽に遊べて。
SIEはアーカイブスをあまり重視していないようですが、もっと拡充していくべきだと思います。

今回1周目でちょっとおもしろかったのがアマゾネスのイベントで、本来は南米あたりで発生するはずなのに
世界地図完成後になぜか黒海の東側(画像の赤いピンの場所)で発生してビックリさせられました。
おかげで調査に向かわせるのがラクでよかったんですけど、さすがにそこにはいねーだろうと…。
オマケとして交易についてもちょっと書いておきます。どのようにすれば交易で大きな利益を出せるのか。
交易で重要となるのは年間生産量と積載量、そして交易でつなぐ港と港の距離です。
価値と年間生産量は単純に高ければいいというのは誰でもわかりますが、距離は少々わかりづらいですよね。
多くの場合、距離はできるだけ離れているほうがいいみたいです。
同じ交易品AとBをつなぐのでも、より距離の離れた港同士をつないだほうが利益は大きくなります。
しかし距離が離れていると往復に時間がかかってしまうのでは?と誰もが疑問に思いますよね。
ここで影響してくるのが年間生産量で、積載量が少ない船でも年に何度も往復していると輸出が生産を上回り
早い段階で交易品の在庫が枯渇してしまうので、往復に時間がかかるのはむしろ好都合なのです。
[年間の便数×積載量]が年間生産量を上回らないように、できるだけ往復日数のかかる港同士をつなぐ。
これが交易のセオリーとなります。セオリーがわかれば船や航路の選び方もおのずとわかるはず。
例1)
産物A「金」:価値55 年間生産量75
産物B「指輪」:価値10 年間生産量225
積載量60の船でつなぐ場合、年間1便以上だと在庫が枯渇するので往復航海日数は365日以上が理想
例2)
産物A「トウモロコシ」:価値10 年間生産量450
産物B「オーク樽」:価値5 年間生産量600
積載量60の船でつなぐ場合、年間7便までは許容できるので往復航海日数の調整にかなり余裕がある
こんな感じにおおまかな計算をしつつ、赤字航路にならないよう適切な輸送船を選びます。
ぶっちゃけ枯渇前提で交易してもいいんですけどね。さながら焼畑農業のように産物を食い潰していく(笑)
このセオリーからひとつの可能性が見えてきます。それは「陸地が多いほうが交易に有利」かもしれないこと。
現実世界のように太平洋にほとんど島がない状態では、環太平洋の航路は短くなります。
もし太平洋に巨大な大陸があったら、大陸を迂回するために環太平洋の航路は非常に長くなります。
航路が長くなれば往復日数もそれだけ増えるし、交易するうえで有利な条件が整うわけです。
『未確定領域』をわざと残すという方法でも航路の延長が可能です。
本作でお金がかかる場面といえば、海賊船や海の怪物に対抗する武装船団を作るときぐらいだと思いますが
船を揃えるだけなら400万G程度で済むものの、維持費や修理費が結構バカにならないんですよね。
なので、終盤は交易によって年間100万G程度の利益を出すのを目標にするとよいのではないでしょうか。
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