2018年第4Q 新作アニメ寸感
季節の移り変わりは早いもので、密閉型の大きなヘッドホンをつけてもよさげな室温になってまいりました。
今夏はイヤホンではなく軽量型のヘッドホンを使ってたんですけど、あれも意外といいものですね。
今期一番好感触だったのは「からくりサーカス」。「うしおととら」でおなじみ藤田和日郎の超人気作品。
約20年前に連載を開始した作品をつかまえて今期一番とか言うのもちょっとアレな感じはするんですが(笑)
初回の熱量、作画、劇伴…どれをとっても今期このアニメを超えている作品はないと思いました。
しかも原作未読の自分がそう感じるんですから。ちなみに「うしおととら」のときも原作未読のまま見始めました。
3クールという長尺なので見続けるのはちょっと大変かもしれませんが、付き合う価値はあるのではないかと。
ちょっと脱線しますけど、今期は2クール以上の作品が多いような。「SAO」なんて異例の4クールですしね。
1クールで切り替わる軽快さに慣れると2クールでも重く感じるようになってしまうからイヤなものです。
次点、僅差で「軒轅剣・蒼き曜」。こちらは1990年から続く台湾製の人気RPGシリーズを原作としたアニメ。
向こうでは実写化されたこともあるほどの人気作品だそうですが、これまで名前を聞いたことがありませんでした。
中国の歴史と神話、それにメカ要素(!)などが入り混じった独特の世界観が魅力。
前期に続き、文化の違いから来る新鮮さも個人的にはかなり良いほうへ働いているのだと思います。
難しいタイトルですが『けんえんけん』と読みます。中国のエクスカリバー的なポジションの神剣なんだとか。
以降「うちのメイドがウザすぎる!」と「ゾンビランドサガ」が続きます。今期もギャグが強いか?
周囲からだいぶ遅れて始まった「叛逆性ミリオンアーサー」もコメディ要素多めで楽しんでいけそう。
内容はベタですが「抱かれたい男1位に脅されています。」と「寄宿学校のジュリエット」も楽しめています。
あとは「DOUBLE DECKER ダグ&キリル」かなぁ…「タイバニ」的なものかと思ってたらかなり違いましたね。
「色づく世界の明日から」と「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」は好感触ながら様子見の状態。
明確な手応えがあるわけではないのですが、なにか好きになれるものがある気配がする。そんな感じです。
加えてハートフルな作品として「メルクストーリア」も挙げておきたいところ。かわいいしかない。
継続作品では「ゴールデンカムイ」と「ジョジョの奇妙な冒険」第5部が期待どおり。
それとアニメではありませんが、「Thunderbolt Fantasy」の2期も楽しみのひとつになっています。
約7年ぶりに始まった「とある魔術の禁書目録」3期は微妙に古臭いというか、退屈な印象を受けました。
20年前の作品が好感触なのに、比較的新しい「とある」がなぜそう感じさせるのか。ちょっと不思議なのですが
初回から本筋そっちのけで繰り返されるラッキースケベに食傷気味というのも確実にあります。
「東京喰種:re」2期はもう限界かなぁと…ちゃんと見てても話がわからない。原作読者でもわからないらしいし。
戦闘シーンばかりで、彼らがなんのために戦ってるのか目的が見えづらくなったのも一因かもしれません。
巷では「SSSS.GRIDMAN」が話題になっていますが、自分はいまのところ静観している状態。
なんとなく「ダーリン・イン・ザ・フランキス」同様のオマージュにあふれた作品になりそうな予感がしまして…。
劇伴を極力排して静かに展開していく日常の独特な雰囲気がちょっと気にはなっています。
これも大元は1993年という古い特撮作品なので、世代によって評価が分かれる作品かもしれません。
今期の試練枠は「俺が好きなのは妹だけど妹じゃない」ですね。視聴者側だけでなく制作側にとっても。
初回冒頭の「シスター・プリンセス」とのコラボレーションで一部のお兄ちゃんたちをざわつかせていましたが
近年稀に見る作画の危なさのほうがむしろ話題になっているような。
内容は「エロマンガ先生」のクローンみたいな話。東京MXだと1時間前に再放送してるんですけど…?
すでにお気付きかもしれませんが、良いと感じたアニメにも悪いと感じたアニメにも共通しているのが懐古であり
特定の世代を狙い撃ちする、近年のアニメにおけるひとつのジャンルになりつつあるような気がしています。
「ヤマト」ほどのクラシックではなく、90年代や00年代前半を意識した作りだったりリバイバルだったり。
ターゲットに自分自身も含まれているのを実感するから気になってしまうのかもしれません。
手堅いというのは間違いありませんが、新しいもののなかから良いものが生まれていないような印象もあるので
あまり楽観視していい状況ではないと思います。
アニメ自体の良し悪しとはまったく関係なく、そのアニメに対する印象の話という前提で聞いてほしいのですが
本放送開始前からしつこいぐらいCMが放送される作品はマイナスの状態から評価がはじまります。
悪い意味で記憶に残るというか、「不愉快な思いをした」という実害があるのが原因なんですけどね。
このマイナスを第1話でくつがえすのはなかなか難しいと感じています。
なぜかというと作品自体の問題ではなく視聴者の感情の問題だから。キライなものを好きになるのは難しいです。
しつこいCM問題は本放送開始前だけでなく、放送終了後も継続して発生する場合があります。
ソフトの発売告知、コミカライズなどのメディアミックス情報、いつまでも事前登録を受け付けているスマホゲーム。
キライになってしまった顔、声、楽曲がしつこく流れ続けるせいで新たなマイナスがどんどん蓄積されていきます。
結果としてアニメの評価が必要以上に低くなってしまうという。あくまで自分のなかでの話ですけど。
しかし、そういう作品ほど世間の評価は高いんですよね。この価値観の相違がさらに悪さをしてしまう…。
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