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2018年10月 3日 (水)

ゲームレビュー 「Shadow of the Tomb Raider」

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[クリアまでにかかった時間]
達成度100%にしてからストーリークリアで約40時間。前作と同程度と言える。
メインストーリーだけなら7~8時間程度か。難易度ベリーハードクリア時は約9時間(死に戻りの時間含む)。


[ゲーム難易度]
前々作より若干難しくなっていた前作から、さらに少し難しくなっている。特に戦闘面がなかなか過酷。
今回から戦闘・探索・パズルという3分野の難易度をそれぞれ個別に設定できるようになった。
得意不得意に合わせて視覚や聴覚の情報までカスタマイズして楽しむことができる(画像つきで後述あり)

難易度をイージーに設定するとインスティンクト中にララが語るヒントの量が格段に増える。
前作と同じくらいヒントがほしい人、ララのセリフをたくさん聞きたい人はパズルだけイージーを選ぶとよいだろう。


[実績・トロフィー難易度]
4段階の難易度別実績あり。上位をクリアすることで下位の難易度実績もまとめて解除される。
それ以外の大半の実績は達成度100%を目指す過程で解除されるが、収集系など時間がかかるものはある。

敵との戦闘があまり多くなく、前作では本編クリア後に敵の再配置があったが今回は再配置がない。
メインストーリー中のわずかなチャンスを逃してしまうと戦闘関係の実績を取り返すのに若干の手間がかかる。
また、特定の戦闘系スキルの習得が必須の実績あり(『チェーンギャング』『一瞬の出来事』『忍耐』)。
ある程度は意識的なスキル構築が必要なので、スキルの一覧を確認しておこう。


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[良いところ]
・日本語を含む14ヶ国語字幕と12ヶ国語音声は今回も健在。登場する人種ごとに言語を変えることも可能に。
 (海外版には日本語字幕と吹き替えが収録されていないという情報あり)
・完成された前作をほぼ継承しており、その時点で一定のおもしろさが保証されていると言える。
・新たに追加されたアクション。ラペリング、ロープスイング、オーバーハングを駆使した移動。
・美麗なグラフィック。密度の高いジャングルと植物の表現には目を見張るものがある。
・文明と生活感を感じられるハブエリアの街並み。ちょっとした海外旅行気分を味わえる。
・音による恐怖の演出。見えざるなにかの気配によって、ホラー要素をうまく強調している。
・フォトグラファーモードの追加。被写界深度やフィルターを設定して撮影ができる。ムービー中でも起動可能。
・文献取得時の音声ログの再生が任意になり、ゲームの進行を止めることがなくなった。
・クリア後に『強くてニューゲーム』モード追加。ここでしか入手できない専用の武器や装備まである。

 ※掲載されている画像はすべてゲーム内のフォトグラファーモードを利用したもの。


Sottr03

[悪いところ]
・微妙に噛み合わない日本語版の会話。
・ストーリーがやや薄味。ワンパターンな展開、こじんまりとした敵組織、雑な場面移動。
・登場人物の解説などが少なく、新規プレイヤーに優しくない作り。
・敵が基本的に近接攻撃主体で、飛び道具を恐れることなく駆け足で近付いてくる。ラスボスも同様。
・新たに入手した文献を一覧から探し出すのが困難。音声ログを再生したかどうか確認する手段がない。
・重要な解説やヒントを文献に丸投げしているため、取ったその場で音声ログを再生しないと理解度が低下する。
・収集物に隠された謎が本当にどうでもいい感想ばかりで、前作のような奥深さがない。
・前作にあったチャプターリプレイやスコアアタックモードが廃止されており、リプレイ性は低め。
 (トゥームのリプレイは追加の予定があるが発売時点では実装されていない)

 ※発売当時はいくつかの重大な不具合が確認されていたが、現在では解消されている模様。

[11/13追記]
・本編のトゥームのリプレイ機能は実装されたが、プレイ可能なトゥームはひとつだけ。徐々に増えるらしい。
・スコアアタックモードは理論上の最高スコアが決まっており、それ以上の伸びがない。


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[どちらとも言えない]
・贅沢な話ではあるが、完成された前作から変わり映えがしないという意見もある。
・探索重視になった反面、戦闘が少なめになった。戦闘を重視している人にとっては物足りないかも。
・戦闘エリアとそれ以外のエリアの線引きがハッキリしており、よく言えば頭を切り替えやすい。
・大型敵性動物がリスポンするようになったが1種類のみ。
・音声ログすべてをララ自身が読み上げており、それぞれの著者や記録者は読み手として登場しなくなった。
・お金の使い道が増えたが、コスチュームはレシピを買ったあと素材を消費して自作しなければならない。
・クラフト用の素材が増えたが足りなくて困ることはあまりなく、狩りの必要性は薄い。
・前作と同じく、最終的にだいたいみんな一緒になってしまうスキル構築システム。使わないスキルも多い。

[補足]
・前作、前々作のセーブデータがあると?対応したコスチュームが追加される。
・デフォルトの明るさ、ガンマ値だとありえないくらい真っ暗な場面があるので若干あかるめ推奨。
・カメラの揺れを軽減する設定項目が今回から追加されたので、画面酔いしやすい人はチェックしておこう。
・不具合の一種だと思われるが、クリア後に進入すると出られなくなるエリアがある(後述)
・登場人物やストーリーの解説を聞きたい場合は、収集物一覧にある『ララのノート』をチェックしよう。
・スキルは1周100%分の経験値で9割くらい習得できる。全スキル習得には足りない。
・無敵のララ・クロフトでもピラニアには勝てない。


Sottr05

[総括]
「Shadow of the Tomb Raider」は新生三部作の最後を飾る作品である。
本作を語るうえで、良くも悪くも説明を果たす一文となる。頭の片隅につねに置いておかねばならない。

Game of the Yearに匹敵するとも言われた前作を超えるのは容易ではない。発売前は不安に思っていたが
根幹は大きく変えず、各要素に少しずつ新たなものを足すことで完成されたバランスを保っている。
特に前作に慣れ親しんだ人はその経験をそっくりそのまま本作でも活かすことができるだろう。


本作においてララ・クロフトの目的、行動原理はトリニティの野望を阻止することにある。
前作で見られたプライベートな事情や考古学的興味、秘宝探索といった動機は本作では二の次である。
これが微妙な違和感となっていたことにストーリーをクリアしてから気付いた。
トゥームレイダーという題名でありながら、悪の魔王を倒す正義のヒロインの物語になってしまっているのだ。

三部作の最後である以上、残された問題には決着をつけねばならない、そういう事情があるのはわかる。
ただ、数百年という長きにわたって暗躍し続けた秘密結社との戦いの終焉がこれででいいのだろうか。
すべての原因をひとりの悪役に押し付けるのはあまりにも都合が良すぎやしないか。

一挙両得の末、晴れやかな笑顔をたたえるララの姿に安堵しつつも、若干の疑問が残るところだった。


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アクションアドベンチャーゲームにおいて、必要以上の説明はプレイヤーの操作の邪魔になってしまうものだが
本作は必要な説明が省かれていると感じた。もう少し饒舌に語ってくれてもよかった。
30時間以上たのしめるゲームなのに、メインストーリーだけを見ると45分のドラマくらいの情報量しかない。
アクションの部分はほぼ完成されているので、誰にでも理解できるくらいの説明を用意してほしかった。

現段階で判断するなら、やはり前作のほうが完成度の高い作品であったと言える。
とはいえ前作もDLCによる補強で完成されたところもあるので、本作が今後どのようなDLCを提供してくるのか
2周目をプレイしながら待ちたい。2周目を始めさせるだけの力はじゅうぶんにある。

高難易度に挑戦させるために『強くてニューゲーム』を導入したのは素晴らしい判断だ。
ただしベリーハードは生易しくない。次のベースキャンプが恋しくなり、操作する手が震えてしまった。


[オススメ度]
前作に引き続いて高いが、興味をもってプレイするなら最低でも前作からプレイしておいたほうがよい。

前作や前々作の登場人物の名前がしばしば会話に出てくるが、本作のどこを見ても紹介は載っていないので
疎外感を味わいたくないのであれば予習しておいたほうがよいだろう。





[難易度設定補足]

Sottr14

難易度の変更でどれくらいヒントが変わるのか、比較画像を用意したのでご覧いただきたい。
上の画像はノーマルでインスティンクトを発動している状態。操作可能なオブジェクトが黄色で表示されている。

壁や足場の白いペイントは前作よりも控えめになり、正しい進路を見つけるのが難しくなっている。


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探索とパズルの難易度をイージーにすると、このような変化が出る(画像の円の部分に注目)。
壁や足場の白いペイントはよりハッキリと表示され、トゥームの攻略に必要なオブジェクトは青色で表示される。
青色で表示されるオブジェクトはトゥームの攻略が進むたびに変化していくので非常にわかりやすい。
ララが述べるヒントもかなり具体的になり、プレイヤーがほぼ頭を使わなくていいくらいの指示を出すようになる。

なお、前作ではインスティンクト中に黄色で表示されていたクライミング可能な壁は今回は黄色で表示されない。
難易度を下げても、それらしい性能をもつスキルを習得しても強調表示されないのでやや見つけづらい。



[確認した不具合]

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サンフアン教会のサイドミッション「悲運」でイサベラを救助した遺跡は、クリア後にふたたび内部に進入すると
脱出できなくなってしまうので注意すること(入口のハシゴがなぜか登れなくなってしまう)。

遺跡の内部でチェックポイントが記録されると、そのセーブデータでは脱出不可能になってしまう。
この場合、一旦ゲームを終了してメインメニューから「ゲームのロード」を選び、LT+RTでバックアップセーブを
ロードして遺跡進入前まで戻れば解決できる。特に用がないなら遺跡には近付かないこと!

 ※DLC第1弾「The Forge」が配信された11月13日時点でもこの不具合は解決されていない。



[難易度ベリーハード補足]
セノーテは最大の難所。オーバーハング用の登山用具を入手して地上へ出るまで次のベースキャンプがない。
地下室での戦闘、パズルと戦闘の複合エリアでは各種ハーブを惜しみなく使って自身を強化していこう。
各エリア内に配置されている緑色に光るツボは爆発物なので、敵の出現に合わせて使うこと。
ハンドガンのフレア弾が何気に強力でオススメ。踏み込む前に5発分作っておきたい。

装備はフォーカスタイム延長がつくウルクのカウル、下半身はお好みで合わせるといいかも。
ちなみにシックス・スカイの自然回復はベリーハードの戦闘中は一切効果がないので装備してもムダ。

エリア間を結ぶ通路で飛び移るのに失敗したり、事故死したりでも当然だがベースキャンプまで戻される。
複合エリアを抜けた先の強制移動シーンもワンミス即ベースキャンプ送りである。
強制移動エリアの一番最初にあるジャンプ→グラップルの部分は本当に怖いので見落とさないように。

やや反則気味の技だが、画面の明るさとガンマ値を最大にしておくと見やすくてミスを減らせるかもしれない。

セノーテを突破できる腕があれば、以降はつまづくことはないと思われる。
とにかく落下死にくじけない強さをもとう。ベリーハードでもっとも恐ろしいのは落下死である。



Sottr07

ものすごく当たり前なことを書きますけど、達成度100%にしちゃうと本編でやることがなくなるんですよね…。
なので、特に理由がない限りは急いで100%を目指すのはやめておいたほうがいいと思います。
攻略情報はできるだけ見ず、隠されているものはすべて自力で探す。
それぐらいゆっくりプレイしたほうが満足度は高くなり、本作の印象も大きく変わるのではないかと。

達成度100%には武器の収集や強化、音声ログの再生は含まれていません。
高難易度のクリア実績に向けて武器の全強化、音声ログの順番どおりの再生などをしておくのがオススメです。
単に実績目的というだけでなく、ストーリーの復習という意味でも2周目はありだと思います。


いまのところDLCの内容が不明で、今後どれくらい遊ばせてくれるのかちょっとわかりません。
前作より値段が上がっているシーズンパスが気掛かりです。なんとなくイヤな予感がしなくもありません。

前作のDLCに導入されていたCo-opモードが今回も実装されるという噂は聞いてるんですよね。
(先日公開された動画を見た感じでは、専用のチャレンジトゥームを2人プレイするっぽい?)
でも、トゥームレイダーというゲームにCo-opや対戦といったマルチプレイ要素を期待する人がどれだけいるのか
甚だ疑問であります。実装してもいいけど専用の実績は作らないでほしいです(笑)

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