2018年第4Q アニメ総括
平成最後の大晦日も終わりが近付いております。来期の新作が近付いてくる恐怖に怯えつつ、まとめます。
今期もっとも楽しんで見ていたのは間違いなく「ゴールデンカムイ」と「ジョジョ」第5部ですね。
どちらも週2回、2回目はYouTubeの外国人実況と合わせて見るほどじっくり楽しんでいましたから。
ただ、どちらも今期の完全新作とは言いがたいので、このふたつを除いて改めてベストを考えることにします。
今期、満足度が高かったのは「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」と「色づく世界の明日から」。
どちらも寸感で『なにか好きになれるものがある気配がする』と評していた作品です。
「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」は結果としては期待以上の好感触。
登場人物たちと同世代の"現代を生きる若者たち"が抱えているであろう悩みや苦しみを、思春期症候群という
大袈裟な表現を通して描くことで共感を生み出す、寓話のような構造をもつオムニバスでした。
そこに咲太というフランクな聞き手を用意することで、空気が重くなりすぎなかったのもよかったんじゃないかと。
人並みに性的な好奇心もある、聖人君子すぎない等身大の男子の視点。
しかし咲太自身も思春期症候群の被害者であり、最後のエピソードでは妹から彼へと話の中心が移りました。
1クールの最後をどう締めくくるか?という観点から言っても、本作の評価は高くつけられると思います。
ラノベっぽい長すぎるタイトルで損していた部分もありそうな気がしますが…たとえば0話切りとか。
「色づく世界の明日から」もある意味では近いところにある作品だったかもしれません。
創作で悩んでいる人、幸せを見失っている人に向けた物語であり、そこに魔法やタイムスリップという非現実的
要素を組み込むことでやわらかい歯応えにしてあるというか。
見ていてふと「いまの自分の状況に似ているな」と感じられた方も結構いたのではないでしょうか。
作品のなかに自分を見つけることができると、その作品に対する思い入れや愛着は増していくと思います。
先に挙げた作品に続くのは「DOUBLE DECKER ダグ&キリル」。悪ふざけも含めて完成度の高い作品でした。
洋画のパロディやあるあるネタ、あえてその予定調和の逆を突いたりなど、シリアスのなかにも笑いがたくさん。
1クールという短い期間なのにどの登場人物も好きになってしまう、文芸の巧みさも素晴らしい。
「軒轅剣・蒼き曜」はじつに惜しい…話はとてもおもしろかったのに、絵がまったくついてこれませんでした。
できることなら他所のアニメから力を分けてあげたい(笑)そんなふうに思えるくらい好印象な作品だったのです。
意外とよかったのは「抱かれたい男1位に脅されています。」と「ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士」。
アニメ化されるBLにハズレなしとはよく言ったもので、変な意味で見応えがありました。
「ユリシーズ」は最後の2話くらいがなんというか…ああいう展開になる必然性が自分にはわかりませんでしたが
積極的に動かそうという努力、アニメならではの試みに満ちたおもしろい作品として最後まで楽しめました。
今期の好きな作品は「叛逆性ミリオンアーサー」と「うちのメイドがウザすぎる!」です。
『良い』ではなく『好き』な枠。いや、『良い』んだけど『好き』のほうが評価として勝っていた枠という感じ。
「あかねさす少女」はいろんなものを投げっぱなしにして終わった感じはしますが、不思議とキライになれなくて
なんかおもしろかったんじゃないかな?という変な好感触が残る作品でした。
ひとつハッキリ言えるのは、若い感性から生まれたものではないなということ。それが懐かしくもありましたね。
『好き』と『キライ』という表現が出たので、今期のアニメを見ていて気付いたことをひとつ書いておきます。
個人の評価としては『良い』『悪い』ではなく、『好きなアニメ』と『イヤなアニメ』なんだなということ。
今期の問題作「俺が好きなのは妹だけど妹じゃない」は、出来はアレだけど『イヤなアニメ』ではなく。
見ててそこそこ楽しい気持ちになれるという意味で、『好き』な部類のアニメであることに気付いたのです。
そういう意味では『イヤなアニメ』に類するのは「ソラとウミのアイダ」かな…。
好きになれる登場人物が少なく、特に男性陣の言動が必要以上に"悪"になり過ぎていた感じがしました。
宇宙漁師というワードによる出オチが目的で、そこに辻褄を合わせようとして作った物語だったのかなぁと。
世界観やSF設定について考え出すとムズムズするし、終盤のまとめ方も丁寧とは言えませんでした。
今期の話題作「SSSS.GRIDMAN」はだいたい予想どおりというか…予想よりも大きな騒ぎに発展していたかな。
放送が始まったころは、オマージュに溢れていてもそれなりに評価されて終わるだろうくらいに思ってたんです。
大量のオマージュを取り入れたアニメというのは過去の有名作品を振り返ってみてもさほど珍しいものではないし
元ネタ探しや考察なども含めて好意的に受け容れられるだろうと客観的には考えていました。
実際、中盤を過ぎるまではネット上の評価もそんな雰囲気であったと記憶しています。
しかし大張正己氏のツイートに端を発し、大量のオマージュは批判の対象として取り上げられることに。
過去の作品との比較画像もたくさん投稿され、この事態を多くの視聴者が知るに到りました。
個人的にはオマージュの件よりも、制作側がやたらと自画自賛のツイートをしていたことのほうが気になりました。
ちょっと異質というか、ぶっちゃけ鼻につくところがあり…これもSNSの弊害なのかなぁ?
良し悪しを判断するのは視聴者の仕事なので、目につくところで内輪で盛り上がらないでほしかったです。
要約すると、六花とアカネというふたりの少女がメインの物語であると感じました。
そこに外枠としての"グリッドマンのアニメ化"が本当に必要だったのか?と疑問に思わなくもなく。
今期もうひとつの話題作であった「ゴブリンスレイヤー」は初回の悪趣味な"つかみ"以降はパッとせず。
大筋となるストーリーがなく、用意されたシチュエーションをどう攻略するかに話が終始してしまっていた感じで
次はどんな窮地に立たされてどうやって解決するんだろう?くらいにしか興味を抱けませんでした。
最後の2話はベタな展開ではあったものの、熱い逆襲劇として楽しく見れました。
ちょうど「ユリシーズ」と対照的な構造ですね。「ユリシーズ」もわりと凄惨なシーンが多い作品でした。
「ゾンビランドサガ」はまあまあかな…アイドルアニメにありがちな終盤の展開にやや物足りなさを感じました。
今期もっとも衝撃的だったのは「BAKUMATSU 幕末恋愛カレシ」の第2期制作決定の発表でした。
原作を全然なぞっていないと思われるアニメ化で、続きが描かれるなんて誰も予想していなかったと思います。
実写ドラマ版「昭和元禄落語心中」はまあ…まあまあ。まあこんなもんだろうという域であったかと。
最終回の死神の表現はちょっとアレでしたが、それ以外の部分はまあまあという感じ。
魅せ場となるはずの落語のシーンがちょっと弱かったかもしれません。技術の問題ではなく、尺が短いので。
NHKはあいかわらず子役を見つけてくるのが上手いなぁ、セットがすごいなぁと感心できるところもありました。
今期についてはひとまずこんなところで。いろいろ書きたいことがあったので、まだまだ続きます。
前期は「気になるアニメ主題歌」という単独記事を書きましたが、今回は余裕がなくてアニメ総括へまとめました。
今期も10曲以上あったんですけど、自分なりのチョイスということで10曲に絞ることに。
・「ゴールデンカムイ」エンディングテーマ 『時計台の鐘』
劇中の壮絶な過去編のあとに流れるこの曲には胸に染み入るものがありました。
豪雨のような激しいサウンドの奥に無常の静寂を感じ取ることができる。本編にマッチした曲だと思います。
・「中間管理録トネガワ」エンディングテーマ 『狂言回し』
「ばらかもん」のときは正直あまり印象に残りませんでした。個人的にはこういう路線のほうが好きです。
・「叛逆性ミリオンアーサー」オープニングテーマ 『ハイライト』
ふざけた本作にはもったいないくらい良い曲(笑)AメロからBメロ、サビの展開など泣けるポイント多し。
・「寄宿学校のジュリエット」エンディングテーマ 『いつか世界が変わるまで』
90年代のビーイング全盛期を生きてきた人なら確実に刺さってしまうであろうアレンジ。特にAメロが好き。
・「色づく世界の明日から」オープニングテーマ 『17才』
こちらもAメロ、特にその歌詞がいいなと思いました。しかし、なかなか思い切ったタイトルですよね。
・「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」オープニングテーマ 『君のせい』
一度聞いたら忘れられない、ついつい口ずさんでしまうキャッチーさ。そしてアレンジが軽快で気持ちいい。
・「おこしやす、ちとせちゃん」エンディングテーマ 『泣く子も笑う』
5分アニメのED曲なので尺は短いのですが、ボーカルの声質が楽しくて記憶にこびりついてしまいました。
・「うちのメイドがウザすぎる!」エンディングテーマ 『ときめき☆くらいまっくす』
とにかくもうメチャクチャ元気になれる曲。良いアニソン。沼倉愛美の歌声好きだなぁとあらためて実感。
・「ガイコツ書店員 本田さん」エンディングテーマ 『Book-end, Happy-end』
初めてクレジット表記を見たとき、高野寛じゃん!ってなって全部もっていかれた感あります。
MVで使用しているギター、VOX VSS-1(にピックガードをつけたもの)もカッコいいので必見です。
・「キラッとプリ☆チャン」エンディングテーマ 『KIRA KIRA ホログラム』
最初はAメロのシリアスさに困惑したものですが、聴けば聴くほど好きななっていく良い曲でした。
アガれるイントロ、泣けるアウトロ、全肯定の歌詞。ライブの最後に流れたら泣いてしまうかもしれません。
ついでなので総括で触れなかった作品にいくつか語ってみますか。
「本田さん」は接客業の経験がある人から多大な共感を集めた、日々のあるあるに満ちたショートアニメでした。
接客経験がない人はとりあえず見てみて、厄介なお客さんにならないよう心掛けてほしいと思います…。
何気にキャストが豪華でしたよね。個性的な店員の数だけ個性的な声優さんをそろえたみたいな。
「プリ☆チャン」はアーケードのコラボ企画から見始めたのに、すっかりなくてはならない作品となりました。
まだまだ続くぞ今回の総括。分割も考えましたが、年の瀬も迫っているので結局ひとまとめにしました。
今年放送されたテレビアニメで10本選ぶとしたら?というテーマをみずからに課し、振り返ってはみたのですが
とてもじゃないけど10本には絞れないなぁと…特に上半期は良い作品が多かったです。
ただ、「魔法使いの嫁」や「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を超える作品が春以降あったか?と考えると
他の作品がやや不利な立場になってしまう気もします。年始早々強すぎたんですよ…。
・「魔法使いの嫁」
・「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」
・「ゆるキャン△」
・「ハクメイとミコチ」
・「恋は雨上がりのように」
・「メガロボクス」
・「ウマ娘」
・「ルパン三世」
・「STEINS;GATE 0」
・「邪神ちゃんドロップキック」
・「悪偶 -天才人形-」
・「プラネットウィズ」
・「ハイスコアガール」
・「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」
・「色づく世界の明日から」
・「DOUBLE DECKER ダグ&キリル」
どの牌を切ればいいんだよ…ってなりませんか。年明けまで時間をください。たぶん答えは出ませんけど。
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