« 「FF14」5.2実装分を進行中 | トップページ | 「Girls Mode 4」プレイ開始 »

2020年3月31日 (火)

2020年 冬アニメ総括

今期は本当に散々でしたよ…いや、アニメの評価ではなくアニメ業界全体というか世界全域における話ですが。

制作を中韓に頼っている都合、いきなり中韓に頼れなくなるというのは厳しいものがありました。
1~2週お休みする程度でなんとかなった作品はまだいいほうで、4月から仕切り直しという作品まであります。
かろうじて放送を継続できた作品の中にもお休みしたほうがよさそうなものもあり…。
テレビをつけたらアニメを放送している、という当たり前に思えていたことをありがたく感じる春となりました。

コロナと無関係なはずの前期もカツカツの状態でしたし、このまま来期に突入して大丈夫なのでしょうか。
制作体制の見直しを図るべき時期に来ているのではないかと考えてしまいます。


そんなこんなで、現時点で最終回を迎えることができていない冬アニメもいくつかあるんですね。
事情を鑑みると総評を固めるわけにもいかないので、今回は完走できた作品の話をする程度に留めようかと。
コロナを抜きにしても、「FF14」に集中した影響などもあって本数はだいぶ少なめです。
…嘘です。いや、比較すればいつもよりは短めかな?


今期の作品でどれかひとつをオススメとして挙げるなら、やはり「ID: INVADED」が来ると思います。

「ID: INVADED」は1クールというパッケージングのまとまりの良さがバツグンでした。
後半の入れ子状になっていく『イド』の構造は把握するのにやや難解なところもありましたが、基本的にすべて
どこかにヒントがあり、伏線があって、熱心に読み解こうとする人をきちんと楽しませてくれました。
『イド』や『名探偵』など、使い古されたワードに新たな意味や価値をもたせたことも偉業と言えます。

最終回の締め方もよかったですよね。海外ドラマ的で、あるあるをはずさない感じでニヤリとさせます。
もし続編が作られるとしたら「俺の名前は酒井戸、名探偵だ」から始まってほしいなぁ。

コロナの影響を受ける作品が多いなか、予定どおりにさっさと最終回を迎えてしまった点も印象的でした。


新作寸感でトップに挙げた「ソマリと森の神様」は期待どおりではあったものの、原作未完という事情もあって
やや歯切れの悪い最終回となってしまいましたが、これはもう仕方のないところ。
どういう展開になるにせよ、ふたりの結末を見て判断したかったし、そこまで描いての物語だと思うわけです。

「ソマリ」を筆頭とした木曜深夜4作品、「宝石商リチャード氏の謎鑑定」「推しが武道館いってくれたら死ぬ」
「地縛少年花子くん」
はどれも期待に応えてくれる出来でした。オススメできるものばかり。
なかでも一番の収穫は「リチャード氏」かな。終盤かなり女性向け(そういう意味で)な感じではありましたが
その一辺だけで終わらない、いろんなタイプの視聴者を楽しませることができる作品だったと思います。


シリーズ構成に期待していた「恋する小惑星」には満足。こういう方向性でも動画工房は信頼できるなぁ。

どこか現実的で、とんとん拍子にうまくいく話ではなくて、ベタな奇跡なんて起きない世界で。
その壁を突破する力を登場人物たちの中からきちんと供出していく、一定のルールのもとに書かれている作品。
だから切ないし、話数を重ねるごとにオープニングテーマの歌詞が胸に突き刺さってくる。傑作の部類。

非現実的な奇跡が起きて幕を閉じるアニメというのは、たしかに見ていて気持ちいいだろうとは思うんです。
でも残るものがないというか。視聴者が自分の人生に照らして、残り続けるものにならない気がします。


個人的に気掛かりでいた「22/7」は期待していたよりもずっと完成度の高い作品となりました。
ただ、一番の盛り上がりが最終回よりも前に来てしまっていて、肝心の最終回は視聴者の誰もが予想する範囲の
ものでしかなかったことが惜しかった。もうひとつ何か驚きがほしかったですね。

最後のオチはまあ驚きではあるのですが、内輪的なファンサービスにしかなってないので…。
そのファンサービスというのも、放送開始前に告知されていた未放送の13話の内容でわかっていたことですし。
同じファンサービスをするのであれば、22/7の楽曲をもっとエピソードに盛り込んでほしかったかな。
振り返るとシングル表題曲の一部しか使われてなくて、アイドルものとしてはもったいない気が。

それにしても、放送開始直前に『中の人』が交代となったニコルの進歩は本当にすごかったなぁ。
声優としてみるみる上手くなっていって、担当回には仕上がってるという。まさに成長の記録という感じでした。

完成度に関してはソニー系列の強みもあったのかも。「FGO」は目を見張るものがありました。
「マギアレコード」も同様。キャラクターに限って言えば「まどマギ」よりも好きになれたかもしれません。
しかしマミさんが出張りすぎて(笑)おいしいとこ全部持っていかれた感が。見滝原に帰ってください!


「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」は、終盤まであまりにもストレスフリーだったせいで
最終回Aパートの展開にものすごくストレスを感じてしまったのですが、続くBパートがひ…ひどい!
いやホント、何もそこまでしなくても…ってなるくらいの逆襲劇で、気分スッキリをオーバーしてマジでひどい。
そんなメイプルちゃんを生暖かくヲチするスレ(スレじゃない)としては大成功だったんじゃないかと。

ある意味『なろう』的な無双状態なんですけど、コメディだからそれを許せる空気が生み出せるというか。
次はどんなメチャクチャな進化を見せてくれるのか?というのが楽しみになります。2期に期待。

「虚構推理」は基本的には会話で動いていく話なので、アニメやマンガのように絵で見せることができる媒体で
伝えることにバランスの良さを感じました。当然、キャラクターデザインの魅力もありますが。
想像力と仮定、可能性で認識を変えていく過程にこれほどの尺を割くのか!と驚いた人も多かったのでは。


「pet」は序盤こそ『壊し屋』という稼業を描いていたものの、そこは表層であって本題ではないというか。
そのことに気付くのが遅れてしまい、本作への興味を失いかけてしまったのがちょっと失敗でしたね。
『壊し屋』という側面だけ注視してしまうと後半はただの内輪揉めにしか見えませんから…。
『ヤマ』や『タニ』、『ヤマ親』などの精神的依存の部分に注目し続ければ印象は違ってたかも?と思ってます。
話の流れを全部知ったうえでもう1周したら感じ方も違うと思し、評価も大きく変わりそうな気がしてます。

1クールというパッケージングで最後まで見て、ようやく手応えにつながる作品なのは間違いないかと。
桂木という男がエンドカードに繰り返し登場するほどの人気を獲得している理由も最後まで見ればわかりました。

月曜夜は「pet」以外の作品も安定して好印象。「PSO2」は2クールを無事走り抜きました。
「PSO2」のストーリーってこんなおもしろかったんだなぁという発見が。改めて原作をプレイしてもいいかも。
「ARP」はファン向けのドキュメンタリーの域を出るものではなかったものの、楽しく見れる内容でした。
「群れなせ!シートン学園」は普通にエロアニメです(笑)そう切り捨てて問題のない肌色率。

「空挺ドラゴンズ」は結局まあまあという評価に。オマージュを含めて、好きになれる部分も多かったので。


なんだかんだ言いつつも「僕のとなりに暗黒破壊神がいます。」は録画までして最後まで見てしまいました。
小雪が終始虐げられるという構造自体に変化はないものの、後半はわりと澄楚さんによる救済などもあったので
見ていてひどくストレスが溜まるということもなかったかな?とは思います。
当初はひどい災いに見えた花鳥もああ見えてわりとマトモというか、成績だけで言えば小雪よりも上ですしね…。

真の暗黒破壊神は月宮なんですよ。彼が災厄の源で、しかもつねに安全地帯にいる。
月宮が痛い目に遭うエピソードがまったくないという不平等さがその事実を示していると思います。
彼にも唯一の弱点があるとか、何かしら揺るがすものがあればバランスの良いものになっていたんじゃないかと。

しかし、この作品をカワイイカワイイと言いつつ見られる人とは同じ目線でアニメを見られる気がしません。
本来これはそういった層のための作品であり、自分がターゲットからズレているという自覚はあり。


「SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!」の劇中で、自身のバンドや楽曲の特徴を『エモさ』と評している
シーンがあって妙に気になってしまいました。彼女たちはそれを意識的にやってたんだなぁ…と。
対抗するバンドとの持ち味との違いが、「BanG Dream!」のそれと丸かぶりなのはまずかったのでは。

ポピパさんの楽曲に感じていたものはまさにこの『エモさ』なんだなぁと、おかげで気付かされました。
アニメにおける各バンドの色付けとして『エモさ』というものがある、という学び。

「バンドリ」3期は現時点では最終回を迎えていないので中盤までの感想としておきます。
3期はロック(六花)を主人公とした話として、ベタではあるもののおもしろく描けていたと思います。
ベタだからこその良さというのもあり、個人的には1期や2期よりも高く評価して見ているところがありました。
でもやっぱり武道館のくだりは許せんかな(笑)現実と創作を混同しすぎ。創作としてのリアリティの欠如。

「ましゅまいれっしゅ!!」の評価は「SB69」の続編としては順当なものだと思います。良くも悪くも。
百合好きの人には好評だったみたいですが、どの側面を見ても飛び抜けたものはなかったかなと。


ラスト2話が今期にずれ込んだ「アズールレーン」は、まあこんなもんだろうという範囲に収まりました。
そもそも話が大きく動くわけでもなかったし、最終的にはこうなるんじゃ?という予測はついてましたからね。
良くもならないし悪くもならない。メガネ艦が優遇されてたぶん、同種の某アニメよりは全然よかった程度。

「異世界かるてっと2」にまさか「慎重勇者」まで参戦するとは…でも、基本は「かるてっと」なんですね。


今期の実写ドラマ2作品、「ゆるキャン△」「女子高生の無駄づかい」はどちらも好評のまま幕を閉じました。
近年の実写化作品は原作再現への執念がハンパなく、これらも同様に驚異的な再現が図られていました。
アニメでその作品を知り、頭の中でイメージが固着してしまっている人でもすんなり見られたのではないかと。
それくらいアニメの近似値にいるというか、『三次元のアニメ』という感じさえするほどでした。

ただ、これってつまり『うるせえオタク』への対策ってことでもあるんですよね。
原作に沿ったお芝居というより、言わば2.5次元ドラマを目指しているというか…自由ではなくなってるような。
実写はあくまで実写として『分けて見られるオタク』になってほしいなぁ。

そういう意味では、アニメ版の直後に始まる「映像研には手を出すな!」がどう評価されるか気になるところ。

声優を使わないだけで一定のアンチは作れるし、アイドルを使えばその倍は期待できるという法則から考えると
まあ大変なことになるだろうな…といまから戦々恐々。原作者様は実写版を歓迎しているのに。
勝手に抱いたイメージと違うだけでこんなに(感想や評価の)言葉選びに違いが出るか…と毎度不思議です。


明日にはもう春アニメが始まるんだもんなぁ…世の中コロナで大混乱しているというのに。
不要不急の外出は控えろとのお達しなので、自宅でアニメを見ているぶんには文句は言われんでしょう。



一般的なテレビアニメの場合、オープニングの前のアバンタイトルや各話ラストに次回への興味をそそるような
いわゆる『引き』をもたせるものですが、「7SEEDS」という作品にはそれがまるでありませんでした。
「終わりの時間が来たからエンディングを流す」みたいな、こなれていない印象を与える作りになっていまして。
それが作風と言ってしまえば作風だし、別にお約束を守る必要もないのかもしれませんが。

ただ、これによってひとつの可能性に気付いたのでその話を少し。

以上の話はテレビアニメという媒体における既成概念であり、ネットで全話一挙配信開始という形式の作品だと
アバンタイトルやラストの演出にも変化が生まれるのではないか?と思えてきたのです。

ネット配信の場合はそもそもその作品が見たくて再生しに来ているし、全話一挙なら次回まで待たされることも
ないわけで、テレビアニメと同じように考えてはいけないのかもしれません。
問題はそういうつもりで作られたアニメが、テレビという異なる媒体で放送されるときですよね。

まあ…「7SEEDS」というアニメが抱える問題の根本はそこではないのかもしれませんが。
原作ファンが口を揃えて「原作を読んでくれ!」と言ってるあたり、なんとなく察せられるものがあります。

半年前に独占配信されていた作品なので、コロナの影響をまったく受けていないという点も補足しておかねば。

|

« 「FF14」5.2実装分を進行中 | トップページ | 「Girls Mode 4」プレイ開始 »

アニメ レビュー&コラム」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「FF14」5.2実装分を進行中 | トップページ | 「Girls Mode 4」プレイ開始 »