« ヤバみちゃん完熟報告 | トップページ | ゲームレビュー 「Mini Metro」 »

2020年10月 1日 (木)

2020年 夏アニメ総括

今年の夏はなんだか短かった気がしますね。7月中は長雨が続き、9月になったと思ったらすぐに肌寒くなって。
夜はもう窓を開けていると寒く感じるほど。油断すると体調を崩しそうで怖い…と感じるのは歳のせいか。
前置きはこのへんにして、最終回を迎えた夏アニメの感想をあれこれ連ねていこうと思います。


今期のアニメを振り返ってみて「どれがよかったかな?」と考えると、だいたい枕詞のように浮かんでくるのが
「厳密に言うと今期の作品ではない」なんですよね。地上波初放送か、放送時期が変更になったものばかり。

純然たる夏アニメから選ぶとしたら「魔王学院の不適合者」が話題性や内容では首位になると思います。

「魔王学院の不適合者」は分類としては間違いなく俺TUEEEな無双系なんですけど、そこが嫌味になることなく
意外なほど整合性も保たれている、そしてシリアスな場面で笑わせてくることもある痛快な作品でした。
「魔法科高校の劣等生」にどこか通じる部分があると思うんですよね。ハーレム系ではないところも含めて。
本作の場合、芯にあるのはブロマンスだったんです。なのでそういう嗜好のある方々にもウケはよかったのでは。

他に強いて挙げるなら「恋とプロデューサー」かなぁ…後半は恋もプロデューサーもありませんでしたが。
女性向け恋愛SLGが原作と聞いていたのに、フタを開けてみれば異能力バトル中心のSFアクションでしたからね。
たしかにイケメンぞろいではあるけど、わたしちゃんとお話のおかげで男性視聴者にも結構ウケてました。


「厳密に言うと今期ではない」な作品だと、真っ先に浮かんでくるのはやはり「放課後ていぼう日誌」

「放課後ていぼう日誌」はストーリー的には大きな起伏もない、ひたすら釣りを丁寧に描いていく作品でしたが
変化の多いこのご時世においてはむしろそれがよい、それでよいと感じました。
大会とか廃部とか、海外留学とか(?)取ってつけたような試練とはまるで縁のない平穏が続く日常。
豪雨の被害に遭われた原作者、ならびに舞台となった熊本のみなさんに平穏な日常が訪れることを祈りつつ…。

露骨にエロに振った作品よりも妙にエロいセリフや描写が多かった点も評価に加算されているかも(笑)

以前も触れましたが夏に放送されたことが結果として季節にもマッチし、今期の代表というイメージが強いです。
夏といえば「八月のシンデレラナイン」の再放送も忘れてはいけません。2周目でもやはり名作は名作でした。


1クールのパッケージングとしての完成度で評価するなら「A.I.C.O. -Incarnation-」がダントツの出来。
当初から本作への評価は高かったのですが、核心を隠しつつの視点の巧みさ、音楽の良さが際立っていました。
そして最終回までの積み上げ方。最終回へたどり着いたことの高揚感は言い表しづらいものがあります。

SFがニガテな人だと何が起きているのか描写から汲み取りにくかったかもしれません。
またクライマックスは若干ホラーでもあったので、視聴者を選ぶところがないとは言えない…かな?

ほぼ勧善懲悪のハッピーエンドではあるし、興味があるなら確実に見たほうがいい作品です。今期の特筆枠。


地上波初放送組では「無限の住人 -IMMORTAL-」も壮絶におもしろかったですね。大満足。
すべて見終えたあとに2クールという長さを感じない、怒涛の勢いと描写力で駆け抜けていった感じがします。
戦闘シーンのアクションもさることながら、笑いあり涙あり、見ていて錯乱しそうなほど猟奇的な展開もありで
濃密で贅沢な時間をすごせたなぁという実感が残っています。尻尾までぎっしりの傑作。

「HERO MASK」は地上波放送のアニメの常識からは考えられないような、贅沢な尺の使い方をしていたことが
とても印象的で、監督が意図した『見せたい尺』でじっくり楽しむことができて個人的には好感。
ただ、地上波のアニメに慣れ切った人たちには「展開が遅すぎる」というふうに見えてしまったみたいで…。
しかし本作があまり悪く言われないのは、視聴後の満足感が不思議と高いという点にあったんじゃないかと。
贅沢な演出、贅沢な音響。他人にオススメする気はありませんが、今期のなかでは満足度がかなり高めでした。

「HERO MASK」は残り2話が週明けに。「Re:ゼロ」2期は大きな盛り上がりを迎えたまま、しばしおあずけ。


レムが長い眠りについた一方で、身体が腐るほど眠り続けていたキリトさんはようやく目を覚ましました。
そして当初のスケジュールから倍近いロングランになった「とある科学の超電磁砲T」もとうとう終結。

「SAO」は最終回に若干の不満がありました。といってもエピローグの些細な問題なんですけど。
リアルワールドにおけるアリスの肉体が自分には違和感のあるオーバーテクノロジーに見えてしまいました。
アリスほどとまでいかなくても、人間に近いアンドロイドが普及している世界であれば納得して見れたのですが
それまで劇中に登場した人型ロボットがニエモンくらいしかいなかったので、ギャップがひどいんですよね。

あと、アリスはどうやってダンボールに入って配送手続きをしたか問題笑)しかも全裸で。
まさか単独犯とは思えないし、全裸のアリスと緩衝材を詰めて梱包した『共犯者』がいたのではないかと…。
家庭用の電力で充電できるのもわりと謎テクノロジーなんだよなぁ…アリスの謎深まるばかり。

「超電磁砲T」は百合の圧縮構造体なので(?)百合を主食として生きる人たちは確実に見たほうがいいです。
そこを抜きにしても、これまで見てきたとあるシリーズのなかで一番おもしろかったかも。魅力的なキャラ多し。


「デカダンス」は不満こそないものの、予想の範囲を脱することのない展開だったので佳作程度の評価に。
強いて予想外だったところを言えば、ガドルの消滅とともに消えたパイプが本当に消えていたこと。
片手になったデカダンスとナツメの義手とで一対の攻撃になるような演出があると予想(期待?)してましたが
特に利用されなかったのも意外といえば意外でしたね。そういう意図をもたせたデザインだと思ってました。

「フルーツバスケット」は3期の予定があるのでしょうか。なかなか衝撃的なタイミングで終わりましたが。
慊人さんの設定をすっかり忘れていて、これは旧アニメ版からのキャスト変更にも納得だな…と思ったり(笑)


終わり良ければ…などと言いますが、その逆で「天晴爛漫!」は最終回で台無しになった感があります。
ギルが話の中心になったあたりからイヤな予感はしてたんですけど、ギルにいろいろと背負わせすぎたと思うし
説明しがたいパワーで蹂躙してからあっさり捕縛されるまでの落差は納得しがたいものがありました。
キャラ改変とも言えるその変化は天晴や小雨にも伝染し、ラストは見るに堪えずほとんど覚えていません…。

客車にダイナマイトを満載した列車も、機関車との連結をはずせばあっさり解決したんじゃないかと。
あの場にいる機械に詳しい誰もがその提案をしなかったことにものすごい違和感が。知性の一斉低下ですかね?

最終回を除けばそこそこ好感触だったんです。良い意味でベタをはずさない感じが見てておもしろかったので。

天晴号が船のカタチを維持し続けていたことの意味って、終盤で橋を渡すためだけだったのでしょうか。
それだとあんまりおもしろくないというか…どう考えても曲がれないであろう、あのトップヘヴィなバランスを
あえて残し続ける意味や合理性に欠けるんじゃないかと見てて思いました。資金が潤沢なら違ってたかな?


春に2話まで放送して休止となり、夏からふたたび仕切り直しとなった「富豪刑事 Balance: UNLIMITED」
2話まで見た時点でも微妙だったのが、そこからさらに評価を下げる結果となってしまいました。

金銭感覚のズレた富豪と常識的な刑事のあいだに生じるギャップを描く作品だと個人的には思っていたのですが
本作ではむしろ刑事のほうが…というより警察組織全体が非常識で、バランスが壊れちゃってたんですよね。
その崩壊がはじまったのが放送再開直後の第3話で。2話まではまだマシだったと言えます。
富豪も富豪で、各話ラストの損害賠償額くらいしか富豪らしい金銭感覚を見せられる部分が残りませんでした。

この手法、つまり被害額を提示するだけでどんなアクション映画でも「富豪刑事」として成立するんですよね。
輸送船沈没とか橋梁爆破とか、お金を払うだけでは済まされない事案も多々ありましたが…。

後半はひたすら身内のゴタゴタが続き、「富豪刑事」というタイトルでやるような話でもなかったかなぁと。
数少ない感心できた部分は、スマホアプリの懸賞を利用して逃亡犯を探すところくらい。
あとはもうトンデモSFに彩られたバディものアクションでしかなく、期待はずれだったと言わざるをえません。


「THE GOD OF HIGH SCHOOL」のあの支離滅裂っぷりはなんだったんでしょう…毎週ぽかーんと見てました。
一説によると、韓国のマンガは打ち切り防止のために衝撃的な展開が頻繁に用いられるのだとか。
たしかに衝撃的ではあったんですけど、脈絡のかけらもない超絶展開ではおもしろさも何もありません。
随所に日本の有名作品からの"影響"が見え「ああいうのがやりたかったんだろうな」というのは理解できました。

戦闘シーンの動画は特筆すべきもので、それがかえって浮いて見えてしまうという悲しさもあり。
総合芸術である以上、動くだけのアニメではやはりダメなんだな…と、反面教師的な作品として語れそうです。


今期のワーストは「GIBIATE the Animation」で揺るぎませんが、あれはあれで笑えるところなどもあったので
こういう場合は次点、つまりブービー賞にあたる作品が実質のワーストと言えるかもしれません。
「GOH」もイイ線いってましたが、今期のブービー賞は「Lapis Re: LiGHTs」に譲りたいと思います。

作画や3Dモデルの完成度は高かったものの、話はないに等しい。それでいいタイプのアニメとも言えますけど。
よくも悪くも「ラブライブ!」の亜種というか。成功例の模倣という意味では正しい判断ではあります。

個人的に「Lapis Re:LiGHTs」で一番気に入らなかったのは『魔物』の存在です。
エルフとかオークとか、誰もが知ってて当たり前みたいに出すファンタジーは大幅な減点対象なんです。
そういうものがいて当然の世界として、なんの説明もすることなく脅威として描いたことの"雑さ"が許せなくて
特に最終回での印象が非常に悪かったんですよね。天災とかにしたほうがまだマシだったんじゃないかと。

終盤で強敵に天使の羽根を生やした「GOH」も心証はかなり悪かったのですが、『魔物』ほどではなく。

「GIBIATE」は記憶に残るアニメになりましたね…ある意味で。忘れてはならない教訓として。
放送直前特番やインタビューの時点で怪しさは爆発していたのですが、過去10年で見ても突出した作品でした。
実写化界隈でよく話題に出る「デビルマン」のような、アニメ史に残る重大な過ちとして刻まれました。


さて…夏アニメはこんなところで。秋からまた本数が増えるみたいで。今期は数的にちょうどよかったなぁ。
これから2週間くらいまた忙しくなります。お気に入りの一本が見つかることを祈りつつ。



同じような部活ものなのに「ハナヤマタ」はなんで最後まで気持ちよく見れたのだろう?と考えていたのですが
フィクションで許容できる『嘘』の限度をきちんとわきまえて作られていたからかもしれません。
中学生の女の子たちが部活でできる範囲のこと、時間的な辻褄や整合性を描写によって整えていたんですよね。
それができているのとできていないのとでは印象がまったく違うというのを示す好例だったと思うのです。


正確には今期の作品ではないのですが(またか)今期最終回を迎えたので「文豪とアルケミスト」の話を少し。

ソシャゲ原作のアニメ化作品はこれまで結構な数を見ており、その中ではかなり上のほうに来る作品でした。
特に、おそらくアニオリであろうと思われる部分。このアニメならではの解釈が特筆すべきもので。
文学を含めた『創作』というものが人に与える影響、その良し悪しを1クール通じて描き続けていました。
文学が心の支えとなっている人。文学に触れなければ死ぬこともなかった人を、文学を消して生かそうとする人。
作り物であることを知りながら、それでも美しいと感じる心の大事さを尊ぶ人。
小説やアニメ、ゲームを通じて「文アル」を見ている人たちに向けたメッセージがとにかく濃かったんですね。

本作を「イケメンだらけの女性向けアニメ」と一蹴してしまうのはあまりにも惜しい。
できるだけ多くの人に本作に触れてもらい、込められたメッセージに触れてほしいと思いました。
「キャラがよくわからない」とか「題材となってる文豪や著作がわからない」とかは気にしなくていいです。
全部わかってる人のほうがおそらく少ないので。アニメが好きなら資格としてはじゅうぶんでしょう。

音楽もよかったなぁ。OP・EDは当然のこと、共通のテーマが繰り返される劇伴もすこぶる良い。
「ここであのメロディが聴きたい!」と思うタイミングできちんと流れてくれる演出の気持ちよさもありました。

|

« ヤバみちゃん完熟報告 | トップページ | ゲームレビュー 「Mini Metro」 »

アニメ レビュー&コラム」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ヤバみちゃん完熟報告 | トップページ | ゲームレビュー 「Mini Metro」 »