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2020年10月19日 (月)

2020年 秋アニメ新作寸感

早いもので、いろいろあった2020年も終わりが近付いています。でもまだまだ片付かないこともいっぱいあって
テレビアニメの本数は夏より増えてはいても、制作状況の厳しさまでは回復していないようです。
アフレコを完全リモート化してる作品もあるみたいですしね。環境による音の違いの修正が大変そうだなぁ…。

先に今期の傾向…といっても自分のチョイスの話なんですけど、偏りをあきらかにしておこうかと思いまして。
今期はかわいいよりもカッコいい、女性よりも男性中心の作品が筆頭に挙がっています。ご了承ください。


まず、初回の衝撃が(ある意味で)もっとも大きかった「ヒプノシスマイク」に触れておかねばなりません。

音楽コンテンツ主動という意味で言えばバンドものやアイドルもののカテゴリーにまとめられる作品なのですが
アニメ化されるまでの盛り上がりの規模、それに応えようとするアニメ側の熱量がハンパじゃないんです。
ちょっとおかしいというか、既存のファンすら置いていかれるほどのロケットスタート。
音と色の洪水。デカデカと表示されるリリック。キャラ紹介に終始する回なのに強烈に惹き付けられました。

あとはこの勢いをどこまで引っ張れるか。おそらく話の巧みさよりも勢いが大事なタイプの作品なので。
竜頭蛇尾にならないことを祈りつつ期待して見続けていこうと思います。毎週楽しみな一本。


放送開始前からTwitterのタイムラインで期待の声が多かった「呪術廻戦」。初回を見てその評判にも納得。
いかにも少年マンガっぽいベースをはずさず、それでいて青年より上の層にも受け入れられそうなオトナっぽさ。
病室で看取る日常の死と、呪いを原因とする非日常の死を対比として描いていたのもうまかったなぁと。

「アクダマドライブ」は初回のサイバーパンク風の緻密な背景美術とアクションに驚かされました。
「ダンガンロンパ」のスタッフが携わっているそうで、そう言われてみればなるほど…という描写が随所にあり。
登場人物がすべて役職?役割?で呼ばれていて、名前がないという設定に目新しさを感じました。
欲を言えば表現規制さえなければなぁ…アレがあるとどうしても、積み上げた熱がすっと冷める感じがして。


ここ最近、各シーズンに1~2本はある中韓原作のアニメ。今期は吸血鬼ものの「NOBLESSE」
制作はプロダクションI.G、キャラデザに石井明治、OP曲をHYDEが提供…と「BLOOD+」を連想させる鉄壁の
布陣で送る吸血鬼ものという、なんかもう安心感しかない作品。コメディ要素もあって見やすそうな印象。

I.Gのもう一方、「憂国のモリアーティ」もどことなく吸血鬼ものを匂わせるような空気感がありました。
モリアーティというだけでもはや説明不要。ホームズではなく、若き日のモリアーティをモチーフにした作品で
殺人や推理といった要素もあるにはあるものの、もっと別の部分に重きを置いてる感じですかね?
復讐を願う者にその機会を与え、悲願を成したあとは何事もなかったかのように元の生活に戻っていく。
直接手を下すことはなく、高いところから様子を眺めて楽しんでいる。そんな猟奇的な視点が興味深かった初回。
当時のイギリスにはびこる貧富と身分の描写が、作品全体の深みをより一層増しています。


…ここまで新作をざっと挙げてみて、だいぶ偏ってるな?と思ったので冒頭にあんなことを書いたのでした。
決して意識的に集めたわけではなく、いいなぁと感じた作品がたまたま偏っていたのです。


さてさて…今期の一発目は「ひぐらしのなく頃に」でした。いまさら再アニメ化でもないだろうと思っていたら
正式なタイトルは「ひぐらしのなく頃に 業」で、以前のアニメとは異なるものであることが判明。
その世代の人はサプライズを楽しめたのでよいとして、完全に初見の人が困惑していないかと若干心配です。

見た目は変わっていてもキャストはオリジナルのままっていうのがすごいですよね…旧作から地続きで見れます。


今期の継続枠の筆頭、「魔法科高校の劣等生」待望の新シリーズ「来訪者編」は初回から安心の出来でした。
作画の雰囲気が若干オトナっぽくなるなどの変化はあったものの、「魔法科」らしさは損なわれていません。
個人的には、今期はこれさえ見ておけば他はもういいかな?と思えるくらいの存在で質・内容ともに期待の作品。

正式な続編としては12年ぶり?となる「ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN」は、シリーズのファンが
求める完璧な『続編の初回』を用意してくれました。それほど深いファンでもない自分ですら感激しましたし。
続く第2話までで前後編としてセットで見てほしいですね。涙腺が緩むほど熱い展開でした。
501部隊の面々は当然のこと、アルテアちゃんのお父さんや名もなき整備士にいたるまで大活躍してくれます。

他に継続枠は「ゴールデンカムイ」3期や「ご注文はうさぎですか??? BLOOM」「A3!」の秋&冬編など。
コロナの影響で放送休止した「アイドリッシュセブン」2期と「ギャルと恐竜」が放送を再開しています。


動画工房の新作「魔王城でおやすみ」は、ざっくり言えばドラ○エ風なファンタジーRPGをベースとしたお話で
ところどころにゲーム的なお約束やメタ的表現が盛り込まれている、ゆる~いコメディ作品。
タイトルのとおり、おやすみ前に見るのがちょうどいい感じ…と言いたいところですが放送枠が深いんですよね。
オンタイムで見ようとすると月曜だというのに深夜2時を越えてしまいます。もう少し浅ければなぁ。

しかし、「Re:ゼロ」でレムが絶賛爆睡中だというのに同じ声でノンレム睡眠レム睡眠って…。

動画工房は今期もう一本、「池袋ウエストゲートパーク」も制作しています。意外な感じしますよね?
ドラマ版のイメージがどうしても強い本作。今回のアニメ版のほうが原作の描写に近く、ドラマ版は撮影の際に
オリジナルの解釈が盛り込まれてああなったのだとか。放送から20年経って知った裏側でした。

アニメ版は全体的に清潔感があり、「IWGP」というタイトルから想像するものとはだいぶかけ離れています。
池袋を舞台にした他の作品との比較もあってか、どうにも薄味で地味に感じてしまいます。


「ラブライブ!」シリーズの最新作「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」は意外に好印象でした。
過去のシリーズの評価されていたであろう部分(キャラデザや楽曲など)をばっさり切り離すことで差別化して
「ラブライブ!」を冠しながらも、違うことをやろうという意気込みが伝わってきます。
初回から執拗なほど百合百合してたのも、狙いをより明確にしている感じで正しい判断だと思いました。

舞台をお台場に移し、あきらかにビッグサイトとわかる建物を校舎とすることで"非現実感"を打ち出してみたり
スクールアイドルを始めるきっかけとして、憧れを明示していたことも評価したいポイントです。
あいかわらず脈絡のないライブシーンだけが気になりますが…捨てられなかった伝統だと思っておけば、まあ。


今期のタイトル長い枠「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦」は、たぶん…ロミジュリです。
機械の国と魔法の国の対立という設定からもっとシリアスなものを想像していたのですが、ヒロインが雨宮天で
初回後半で早々に化けの皮が剥がれ、「あぁ…これはゆるやかに見ていけるヤツだ」と安堵しました。
どこかで見た感じのキャラクター造型がちょっと気になりますが。黒ずくめの双剣使いって…。


テレビ朝日系ではじまった「体操ザムライ」「いわかける!」は五輪種目を題材にした作品。
言わば五輪特需のマジメなアニメだろうと思っていたのですが、どちらも別の方向にはっちゃけていました。

「体操ザムライ」はどことなく「つり球」を思わせる雰囲気があります。絵柄だったり、キャラの配置だったり。
引退目前のベテラン選手と謎の外国人ニンジャを見てると「ユーリ!!! on ICE」を連想したりもします。
ということは、どちらにころんでもおもしろくなるのでは?と、そのエキセントリックさに期待。
オープニング曲がまた懐かしいチョイスで…アニメ業界にラップやミクスチャーのブームが来ているのかも。

「いわかける!」はオリンピックの新競技に採用されたスポーツクライミングを題材にした異色の作品。
見てて笑っちゃうほどの女体表現の深夜感と、競技の物珍しさが絶妙なバランスで描かれていて楽しかったです。


今期のソシャゲ原作枠は「キングスレイド」「禍つヴァールハイト -ZUERST-」のふたつ。
「キングスレイド」はファンタジーものとしては王道中の王道で、そこが逆に新鮮な感じがします。
「禍つ」は原作の20年前という設定で、「禍つ」のアニメ化として見ると面食らってしまうかもしれません。
原作とは無縁のオリジナルアニメとして見たほうが入りやすそう。初回は制作状況の大変さが伝わってきました。


TBS系の「安達としまむら」「アサルトリリィ」はセットでスーパー百合タイムみたいな感じに。
表面上は接点がなさそうで、それでいて秘密の時間を共有するふたり…という導入は結構よいと思ったのですが
ふたりだけの時間は早々に終了するわ妙にセクシーな描写が多いわで、どこへ向かうのか不安な気も。
また、初回から作画に若干の不安あり。TBSのこの枠は危なっかしい作品が多いのでがんばってほしいですね。

初回で大きな活躍を見せたメガネの子、原作だと端役も端役だとか…出番がないほうがふたりにはよいか。

「アサルトリリィ BOUQUET」は先行するフィギュアが題材の、長年続いたプロジェクトのアニメ化作品。
制作はシャフトですが、ブシロードの影響がかなり強いと思ってよいかと。放送前からCMも多かったですしね。
中身はよくある感じかな。特別新しいところは見つからないものの、戦闘シーンにはがんばりを感じます。
(正直、あのオープニング曲は『アニメのテーマソング』としてはひどいものだと思っています)

以降は、初回の印象が芳しくなかった作品を抜粋して紹介します。あくまで私見ですので、あしからず。

「戦翼のシグルドリーヴァ」の初回1時間放送は見ていて飽きてしまいました…なんか惹かれるものがなくて。
画面のどこを見ても『どこかで見たもの』しかなく、再放送でも見ているかのような新鮮味の薄さが問題。
「ストライクウィッチーズ」と放送時期が重なってしまったのも運が悪かったかな。どうしたって比較されます。

本作に限らず「日本人どんだけ北欧神話が好きなの?」とツッコみたくなりますね。固有名詞の陳腐化がひどい。
少々脱線しますが、イタリア風の街並み(特にヴェネツィア)もアニメで多用されすぎだと思います。

放送開始の3か月以上も前からCMを繰り返し流していた「くまクマ熊ベアー」は、初回を見た限りでは主人公の
服装以外に新しいところが何ひとつない感じで、2話で凡百の『なろう系』に落ち着いてしまったような。
その服装というのも、現実のMMORPGをプレイしているとよく見かける、さほど珍しくない風景なんですよね。
新規性に期待するのは難しいかなぁ…かわいさだけを求めて見るならその需要には応えてくれそう。

自分が知る限りでも最低レベルの放送直前特番を晒した「まえせつ!」は、お笑い芸人を目指す女の子たちの話。
見てて居たたまれなくなるほど寒いネタの数々は『狙いどおりに寒い』のですが、感情が本当に無になります。
キャラクターのかわいさだけで我慢して見れるかどうか。個人的にはかなり厳しいと感じています。


TOKYO MXで放送された「100万の命の上に俺は立っている」の初回は大きな波紋を呼び起こしました。
公式に『ワケあり版』と呼ばれているそれは、原作同様に全編いらすとやの素材で描いたコラボ企画なのですが
これは地上波放送のテレビアニメであり、そういうネタだと知らずに見た人のほうが大多数だったはず。
一話切りを恐れずよくやったな…と。決して褒めてはいないですよ。むしろ貶しているんです。

他の放送局では同日、MXでは後日正式なバージョンが放送されたのですが、ここで問題がもうひとつ。
「本来の作画で見たとしてもこの話はおもしろくならないだろう」と、評価が既に定まってしまっていたこと。
それでもバカ正直に正式版まで見たわけですが(笑)むしろ『ワケあり版』のほうがよかったくらいでしたね…。

たしかに話題にはなったでしょうけど、結果として失ったもののほうが大きいのではないかと。

この『ワケあり版』のせいで、直後の「魔女の旅々」を見てるあいだも言い知れぬ不快感が残っていたのですが
もらい事故みたいなその不快感を差し引いても、ところどころになんか違和感のある作品だなぁと思いまして。
違和感というより価値観のズレというか、話の流れに「んんっ?」と思うところが2話以降もありました。
そういえば主題歌もOP・EDともに違和感を含んでいるし、それがコンセプトとなっている可能性はあるかも。


今期は残りもう1本、ブシロ原作の「D4DJ First Mix」が控えています。30日放送開始なので後日追記する予定。
「くまクマ」ほどではないにせよ、こちらも放送開始前からCMが多すぎて既に評価が傾きつつあります…。

Oculus Quest 2の発売と重なって掲載がやや遅れてしまいましたが、今期はこんなところでひとつ。



新作アニメのレビューを書いていて常々思うのですが、悪意と受け取られないように言葉を選ぶのって難しくて
褒めるにしても貶すにしても、理由を明確化して読み手に納得してもらえるよう努めているつもりです。
ただ、これ以上の長文にはできない(笑)し、そこまで気を使ったところで読んでくれる人は皆無なので…。


[10/30 追記]

予告のとおり「D4DJ First Mix」の感想を。YouTubeでは先行配信されていましたが地上波まで待ちました。

扱う題材のわりにかわいらしい絵柄だなぁとは原作の時点から思っていたのですが、アニメでは主要なキャラと
それ以外のモブや背景美術にあまりにも差がありすぎて、画面の統一感のなさがまず気になりました。
DJという人たちが卓でどんな作業をしているかを初回の流れで自然に説明していたのは好感。
ただ、体感でBPMを合わせられるというだけでフェスに行けるかも?となるのは話が飛躍しすぎではないかと。

現状は可もなく不可もなくといった感じ。バンドでもアイドルでもないあたりの新鮮さはあります。
画面下部に実況ツイートを流すのは試みとしては理解できるものの、ちゃんと見ようと思うとやっぱジャマかな。

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