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2021年7月29日 (木)

2021年 夏アニメ途中のこぼれ話

春アニメ総括に続き、夏アニメ寸感からも少々トゲのあるメモをこぼれ話として記事にしてみました。
ひょっとするとこの形式が定着するかもしれません。どこかで言いたいけど言いにくい感想、山ほどありますし。



夏真っ盛りです。エアコンのお世話になっている方がほとんどではないでしょうか。

エアコンの室外機には『右目』と『左目』というのがあって、正面から見たときにファンがどちら寄りかで左右
区別して呼ぶ(室外機マニアの世界では)のですが、割合からいえば『左目』が圧倒的多数。
『右目』の室外機はレアな存在で、発見できたらその日は一日幸せになれると言われているほどなんです。

その『右目』の室外機がアニメの背景美術では頻繁に描かれていまして…今期の「カノジョも彼女」は特に多く
主人公の自宅は一階・二階ともに『右目』、向かいにあるお宅の室外機も『右目』というフィーバー状態。
特に二階ベランダの室外機は3~4話の会話の場面で頻繁に映り込んでいたため、その筋のマニアが見ていたなら
気が散って会話が頭に入ってこなかったでしょうね…そんな視聴者まずいないとは思いますが。

おそらく背景美術を担当されている方は『右目』がレアってことを知らないのではないかと。
写真資料を反転したとか無意識に描いてしまったとか、そんな事情で量産されている可能性がありそう。

                    ◇     ◇     ◇

「Sonny Boy」は現代風の「漂流教室」では?と、放送直前特番~初回までは思い込んでいました。

第2話まで見て、それとは別に「Minecraft」のマルチサーバの様子を見ているみたいなサンドボックスっぽさ
本作にはあるなぁと新たに思えてきまして。試行錯誤で世界のルールを発見するあたりは特に。
ある者は法律を作り、またある者は通貨と決済サービスを生み出し…現代知識で新たな共同体を生み出している。
スタイルこそ全然違うものの、異世界転生して街づくりを始める感覚にも近いところがあるような。
本作の場合、全員が転生者で現地人がいないので、舵取りで大きく揉めるというのも特色ではあります。

ただ、現状の本作の感想を率直に言えば「まだなんとも言えない」「わからない」という感じ。
そこもサンドボックスっぽさというか、お話のおもしろさが見えてくる段階までいっていないのかもしれません。

                    ◇     ◇     ◇

異世界転生して現代知識とチート能力で無双、ハーレム作ってウハウハみたいな話はファンタジーであればまだ
受け入れられるのですが、同じことを現代で生々しくやられると結構キツいもんですね。
今期の「ぼくたちのリメイク」はまさにそんな感じの内容で、さすがにちょっと限界を感じてしまいました。

現代知識を持ったまま10年前の進路選択に戻り、芸大で創作活動する…というのが本作のあらすじ。
10年後に神絵師や人気歌い手になる美少女たちと仲良くなってイチャイチャするくだりがホントに気持ち悪くて
動画サイト世代の願望をよくもそのまま物語にできたな…と、悪い意味で非常に感心しています。
そこ以外にも気になるところはたくさんあるのですが、気になるところが見つかる原因は間違いなくそこです。

一度気持ち悪いと思ってしまうともう良いとこ探しができなくなってしまうもので。
状況に対してセリフが破綻していたり、劇中の出来事がそっくりそのまま本作に跳ね返っていたり…。

                    ◇     ◇     ◇

「D_CIDE TRAUMEREI」の第2話で描かれた伊吹咲さんの服装の変化、やっぱり違和感ありましたよね。
前提として、古風で門限に厳しく妻に暴力をふるう父親と、その父親への抵抗と脱却という展開があったものの
娘があんなファッションで帰ってきたら古風なDV父親じゃなくても怒るわ(笑)

本作はソシャゲ原作で、原作イラストの服装に着替える前提で第2話のエピソードは書かれたのだと思いますが
そもそも原作からしてあのキャラ付けにあの服装はないし、そう感じてたのは自分だけではなかったようで。
後日「わしゃがなTV」で原作が取り上げられた際、マフィア梶田氏も服装を指摘していました。
たとえソシャゲというメディアであってもキャラ設定に説得力をもたらすデザインにすべきではないかと。

それと個人的な好みも混ざりますが、メガネをはずす=変化の象徴みたいなのはもう古いと思いますよ。

                    ◇     ◇     ◇

「月が導く異世界道中」のさまざまな要素がほかの大人気異世界転生モノに酷似している印象を受けるのですが
原作のWeb版が発表されたのはむしろ本作のほうが先で、むしろ元ネタと言うべき存在なのかも?

ただ、本作のアニメ化がここまで遅れたことにはそれなりの理由もあると感じています。
ほかの作品にはない独自要素や先見性は見て取れるのですが、おもしろいか?と言われると答えに窮する出来で
このタイミングでアニメ化されたことがかえって不運というか…厳しい戦いになると思います。

話は変わりますが、異世界転生モノのアニメを見ていて日本的な表現が気になることがしばしばあります。
たとえば教室のドアが引き戸だったり、黒板に書かれた筆算が日本独特のやり方だったり、こまかいところでは
背嚢をリュックと呼んでいたり…日本人であるがゆえに違和感を感じない日本式の描写があるわけです。
日本人が違和感なく見れてしまう異世界って異世界感がないんですよ。異世界ならではの違和感があるべきで。

…ここまで言うと、どのアニメの話をしてるかわかってしまうな(笑)
違和感しかない異世界でふと見つけた日本に「この人も転生者なのでは?」となるほうが衝撃は大きいですよね。

                    ◇     ◇     ◇

テレビ朝日のヌマニメーション枠ではじまった「RE-MAIN」は水球を題材にした五輪特需アニメのひとつ。
MAPPA制作で、西田征史が総監督として随所に関わっていることにちょっと期待していました。
しかし当のオリンピックははじまっているし、なんなら水球の試合もやってる。なのに本作は水球をはじめない。
第3話まで進んでいるのにいまだに水球がはじまらない。全英ゴルフの影響で1週お休みだったのも痛手でした。

今後の展開に期待…としか言えない。とりあえず水球がはじまるところまでは見続けるつもりでいます。



政治的主張は一切ないという前提で、東京2020オリンピックに対する自分の考えを書いておこうと思います。
なぜ急にこんなことを書くのかといえば、どこかであきらかにしておくべきと感じたからですね。

既に始まってる大会について、いまさら開催すべきか中止すべきかを話すのもバカバカしい感じがするのですが
開催前にオフラインで話していた自分の考えは「どちらの意見もわかるからどちらとも言えない」です。
コロナで経済的に困窮する人がたくさんいて、中止になったら『経済死』する人がさらに増えるおそれがある。
運営側の負担は置いといて、民間のお金の問題がどうにも気になってしまい、どちらにも寄れず。

あとは今大会で初めて競技として採用されたスケートボードに対する思いがありまして。

ゲームを起点にして早12年、採用が決定してからは5年?になるでしょうか。とにかく待っていたわけです。
国内では反社会的と見られることの多いスポーツに、その印象を更新できるかもしれないチャンスが訪れるのを。
加えて『ゲームの題材としてのスケートボード』の再燃にも期待がかかっていました。


開会式の入場行進にゲームミュージックが採用されたことについては、正直に言えばただ恥ずかしかったです。
この恥ずかしさってどう説明していいかわからないんですが、あまり表立って言えないような自分の趣味嗜好が
突如大舞台で衆目に晒されたことに対する勝手な精神的負荷というか。
クラスのイジり好きな同級生に自由帳を取り上げられて教室に壁に貼り出されたみたいな、そんな恥ずかしさ。

一般視聴者には出自のわからない曲ならまだよかったんですけど、チャンネルを変えて最初に聞こえてきたのが
「モンスターハンター」の例の曲で、なんのアレンジもされずそのままだったのが余計にダメで。
不愉快とか腹が立ったとかいう感覚はなく、うれしくもなく、ホントにただ恥ずかしいと感じただけでした。

ちなみに開会式の入場行進以外の部分は見ていません。裏でアニメを見て「Fortnite」をプレイしていたので。

「本来であればもっと違うやり方の開会式になっていた」みたいな裏話は個人的にはどうでもいいことです。
むしろ、そういう裏話を知るために写真週刊誌の記事を読むような人たちを自分は軽蔑します。
(オリンピックやスポーツに敵意をもってる人がいるように、写真週刊誌に敵意をもってる人もいるんです)

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2021年7月23日 (金)

2021年 夏アニメ寸感

関東甲信は例年より梅雨入りが遅く、梅雨明けが早い、つまり梅雨の短い年となりました。
東京オリンピックの開催数日前~当日というタイミングで本稿を執筆しているのですが、本当に開催されるのか
実感が湧かないままで奇妙な感じがしています。毎日のように新たな問題が明るみに出ていますし…。
やるべきかやめるべきか、敵味方で見られる気がして避けたい話題ではありますが。まあ時事ネタとしてね。


夏アニメがはじまって早くも3週間が経とうとしています。新作はほぼ出揃ったと言ってよいでしょう。

今期はコロナ禍と五輪対応の番組編成が重なるせいもあってか、再放送が多めな印象があります。
TOKYO MXの月・火は新作が2日合計で2枠しかないし、TBSの木曜深夜枠は「まちカドまぞく」の再放送のみ。
テレ東金曜深夜は「八月のシンデレラナイン2021」と銘打って2度目の再放送をやっているほど。

一番驚いたのは、MXで放送されていた「IDOLY PRIDE」の再放送がテレ東の夕方枠ではじまったこと。
これまで大手民放で放送したものをMXに輸入というパターンはいくつか見られましたが、輸出は初めてかも。
テレ東の夕方枠を取れるマネーパワーがあるということでしょうか…ソシャゲがそこそこ人気みたいですし。
売るものがあるアニメは浅い時間の枠を取れる。そのうち夕方がソシャゲアニメだらけになったりして?


さて…今期の新作ですが、正直どの作品をピックアップするかでだいぶ悩みました。
ハッキリとした手応えに欠けるというか、新作として紹介するには条件が微妙だったりとか…まあ始めますか。


今期の作品で、初回でもっとも衝撃を受けたのは中国製のアニメ「天官賜福」です。
原作は前期まで放送されていた「魔道祖師」と同じ墨香銅臭(モーシャントンシウ)で、「魔道祖師」と同じく
日本国内の地上波初放送という扱いになるので、正確に言えば今期の新作ではありません。

本作も舞台は中国の古代で、霊力や呪術といったファンタジー的な要素が共通しています。
しかし「魔道祖師」よりはわかりやすく、物語の導入も(日本人目線では)馴染みやすいものになっています。
初回は「FGO」のCMくらいのクオリティの映像が30分間続き、まさに目を奪われるような体験でした。
「魔道祖師」で感じた「中国のアニメってここまで来てるんだなぁ…」という感心のさらに上をいった感じ。

ただ、文化的・デザイン的な側面で日本人への訴求力に欠けるのがひとつのウィークポイントだと思います。
決定的に異なるのはやはり主人公の服装で、清廉潔白な白装束は主役の服装としてはやはり地味です。
その服を最初のエピソードで早々に捨てさせ、女装した(笑)のは画面が華やいでよかったかもしれません。

それにしても、中国の作品は伝統的に主役に女装させる文化でもあるんですかね…ほら、「少林寺」とか。

話が初回の範囲を超えてしまいますが、最初のエピソードで感じられた設定の厚みにも触れておきたいところ。
寺社に祀られている神格やその謂れなど、それだけで独立した作品を書けそうな説得力があります。


続いて紹介しておかねばならないのが「小林さんちのメイドラゴンS」。京アニのテレビアニメ復帰作です。
続きモノなのでこちらも新作とは言いがたいのですが、その境遇ゆえに触れずにはいられません。
初回が始まった瞬間に「あぁ…これは京アニのアニメだ」と感じられる、間違いのない京アニの作品。

初回でメイド喫茶を焼き払うだの物騒な話が出てきますが(笑)むしろ、これを京アニ自身がやってくれないと
他のスタジオが火災のシーンを安心して扱えないと思うし、ある種の配慮だったのかも?
ルコアさんの時点で規格外のバストサイズだったのにさらに大きな子が出てくるわ、小林さんがTSさせられるわ
初回から性癖てんこ盛りのかなりぶっ飛んだ内容。それでもなんだか安心感しかないアニメです。

原作のクール教信者は今期ほかに2作品もアニメ化されており、何気にヒットメーカーなのかもしれません。


個人的に「魔法科高校の劣等生」が大好きなので「魔法科高校の優等生」にも期待を寄せています。
「優等生」は「劣等生」のスピンオフとして、公式に生み出された二次創作とでも思えばいいのでしょうか。
本家「劣等生」とは絵柄など異なる部分はあるものの、本家の奇妙な特徴は継承されている感じで。
妙に記憶に残るBGMや深雪や七草会長の尖った部分など、さらに強調されておもしろおかしく描かれています。

本家のエピソードを別の視点から見るおもしろさ、二次創作的な解釈の一致のおもしろさなど魅力はさまざま。
「優等生」というタイトルが指すのが深雪だけではないのも本作の視点の興味深いところではないかと。
たぶん「劣等生」が好きな人は「優等生」も好きになれる。自分はそう思っています。

唯一気になるのはお兄様こと達也が絵柄の変化によってだいぶ印象が異なって見えることですね。
本家のキャラクターデザインって絶妙なバランスで成り立っていたのだなぁと、本作を見て初めて実感しました。


そろそろきちんとした今期の新作も挙げたいのですが、強いて言えば…という程度に留まってしまいます。
初回で目に留まったのは「白い砂のアクアトープ」と+Ultra枠の新作「NIGHT HEAD 2041」。

P.A.WORKSの新作「白い砂のアクアトープ」は沖縄を舞台にした、ふたりのヒロインの再生物語。
かたや寂れた水族館の若き館長、かたや東京から逃げるようにやってきた元アイドル。ふたりが偶然に出会って
水族館の立て直しと新しい生き方を探していく、広い意味で言えばガールミーツガールな作品です。
画面の精細さはいかにもP.A.WORKSといったところで、あとはどれくらいお話がついてくるか。

「NIGHT HEAD 2041」は30年前に人気を博したドラマから派生した新作で、白組制作の3DCGアニメ。
超能力者が弾圧される世の中で抗いながら生き続ける兄弟、というベースの部分は本作でも変わらず。
初回の近未来の背景描写に惹きつけられ、そのまま飽きることなく30分間見続けられました。
フジテレビ的には「PSYCHO-PASS」の次につながるような位置付けで本作を捉えていそうな気がします。
劇中で提示される情報をもとにきちんと考えて見る、オトナ向けに作られたアニメとして信頼できそうな予感。

放送直前の特番でやたらとドラマ版をフィーチャーしていたので、ドラマを見ていないと楽しめないのでは?と
始まるまではちょっと不安だったのですが、散りばめられた小ネタに気付かない程度で支障なさそうです。

今期のピックアップ5本はとりあえずこんな感じで。次いで比較的好感触だったものを挙げていきます。


「ヴァニタスの手記(カルテ)」は毎シーズン一本は必ずある感じの吸血鬼モノ。
原作は「PandraHearts」の望月淳。女性向けっぽい印象はありますが決してBLではないようです。
吸血鬼がそれぞれもつ真名。それを歪められて『禍つ名』に転じ、理性を失ってしまった吸血鬼を魔導書の力で
治療していくという設定に新しいものを感じ、興味深く見させてもらっています。

今期はこの「ヴァニタス」をはじめとして花江夏樹が主演を務める作品が多いですね…あと、鬼頭明里助演も。
鬼滅効果なのかそれとも以前からなのか、キャスティングにある種のブームが来ているのは間違いなさそう。

吸血鬼ものといえばもう一本、あの押井守の最新作「ぶらどらぶ」がいよいよ放送開始となりました。
本作はなんといいますか…『古くて若い』みたいな、少なくとも令和のものではない独特のセンスに満ちていて
自主制作アニメの延長線上にあるような、実験的な匂いのするドタバタしたアニメという印象。

急に実写映像が挿入されたり脈絡もなく爆発したり、ちょっと普通じゃないので(笑)見て判断してほしいです。

TBSの金曜深夜枠の最後尾ではじまった「カノジョも彼女」は「アホガール」のヒロユキ原作のラブコメ。
いや、広義で言えばラブコメなんですけどコメのパワーが強すぎてラブはあんまり感じません。ほぼコメディ。
初回冒頭から怒涛の勢いでたたみかける常軌を逸した判断と、対する激しいツッコみ。
主要3人のどれもが変人で、そのなかでも本作の核は咲が…というより演じる佐倉綾音が握っています。

同枠でラブコメというと性的に生々しい作品が集まる傾向があって、本作も見始めるまでは不安だったのですが
そのアホさ加減と軽快なツッコみによりカラッとした味わいになっていて安心して見れます。

アニメシリーズとしては17年振りの新作となる「ゲッターロボ アーク」は、ストーリー上のつながりこそもう
わからなくなってしまっているものの、その『らしさ』に見ていてニヤニヤさせられます。
あの当時の空気感や勢いを現代の技術で忠実に再現している、シリーズファンに向けた作品と言えるでしょう。
個人的に妙に好きなのがOP冒頭、3人のパイロットがドタドタ走ってズバッと座るシーンです。


ほかに続きモノとしては「マギアレコード」2期、「アイドリッシュセブン」3期、「転スラ」2期2部など。
「ひぐらしのなく頃に 卒」はいいかげん我々を卒業させてくれるでしょうか…きちんと幕を閉じるといいなぁ。

先述のTBS金曜深夜枠の先鋒は「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X」
毎回オーディオコメンタリー付きという豪華な内容で、本編と並行してWebラジオ感覚で楽しんでいます。
次鋒、前期から引き続き第2クールに突入の「BLUE REFLECTION RAY/澪」も欠かせない存在。

NHK Eテレの日曜19時という異例の枠ではじまった「ラブライブ!スーパースター!!」は、その異例さのせいで
初回は放送時刻を忘れ、第2話で録画予約を忘れるという失態により視聴を断念いたしました…。
初回を見た印象は旧体制への逆戻りという感じで、これなら見なくてもいいかな?と思ったのが正直なところ。
少なくとも、新しいことをやってやろうという意欲に満ちていた「虹ヶ咲」のあとに見るものではないかと。


あとは今期の傾向としては異世界転生モノが多い…だいぶ食傷気味ですが、まだまだこの流れは続くんだなぁ。

今期の異世界転生モノのなかからひとつ挙げるとすれば「現実主義勇者の王国再建記」でしょうか。
企業の経営再建のために国外から指導者を迎えるなんてのはよくある話ですが、それを異世界でやってみたのが
本作でして、ようするに転生者が国王に成り代わって弱貧国を立て直していくというお話。

文明水準や経済に関わる技術設定が地味にしっかりしており、それだけでも異世界モノとしては好感度が高め。
たとえるなら戦闘のない「ログ・ホライズン」を見てるみたいな、そんな視聴感のあるアニメです。
劇中で引用された『Give a reasen』に話題が集中していますが(笑)それ以外でも切り口の異なる作品として
そこそこ期待しつつ視聴し続けております。チート感も薄く、落ち着いて見ていけそう。

チートといえば気になるのが「チート薬師のスローライフ ~異世界に作ろうドラッグストア~」
原作からだいぶ改変されてるのか、主人公が転生してからドラッグストアを開店するまでのくだりが省かれてて
アニメでは街の住人に受け入れられている状態からスタートしています。
また、タイトルに「チート」や「異世界」というワードが踊っているわりにそういう気配が一切ありません。
タイトルを隠した状態で見始めたらおそらく本作が異世界転生モノであることに気付けないのでは。

あくまで推測ですが、異世界チート要素をわざと切り捨てる狙いでこういう作りにしたのではないかと。
監督やシリーズ構成には土日の午前中に放送される作品に多く関わる方々を据え、異世界モノをベースにしつつ
より低年齢層に向けた作品としてアレンジする試みなのでは。

原作を知らない自分の目線から言えば、アニメ版「チート薬師」の方向性はなかなか悪くないと思ってます。
ただ、毒にも薬にもならないという意見も理解できます。ハイティーン向きではなさそう。


どれを挙げるか困ると言いつつ今回もまた長くなりました。なんだかんだで見るものたくさんありますね。

今期は木曜と土曜の本数が集中していますが、再放送枠が多い月曜と火曜で確実に消化し切れるようになってて
録画が積み上がる心配はいまのところありません。こういう編成も意外と悪くない?



主観的な感覚で言えば、ここからどれくらい『好きなアニメ』が増えるかが大事なんです。
『好きなアニメ』になると多少の落ち度があっても楽しく見られるので。視聴体験の向上につながるというか。
なので、嫌われないための最低限の用意はしておいてほしいと思っています(笑)なんて身勝手な!

制作者目線なら「悔しいけどおもしろい」はありそうですが、視聴者目線で「キライだけどおもしろい」という
感想が出ることはまずないと思うし、『好かれる作品作り』もバカにできないのでは。

好きになると「これ絶対おもしろくなる!」という期待も芽生えます(確信ではなく、あくまで期待)。
自分が毎シーズン書いてる寸感はあくまで期待でしかないんですよ。「これがすごい」という紹介文ではなくて
競馬にたとえるなら(?)「自分はこの組み合わせで馬券を買った」と公表するようなもの。
予想が的中しなかったとしてもその馬に期待していた、好きだったという気持ちが変わることはありません。


今回紹介しなかった作品については後日、新たな記事で触れるかもしれません。またメモが溜まってるので。

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2021年7月10日 (土)

2021年 春アニメこぼれ話

春アニメの視聴中に書き残したメモから、総括には掲載しなかったものをいくつか書き直して掲載します。
『書き直して』とあるのは、そのまま載せるには不完全な走り書き、不適切と思われる表現(笑)があったので
ブログ向けの記事としてお出しできる程度に体裁を整えて…という程度のことです。
Twitterに投稿するほど短くもなく、かつフォロアーに読ませるには多少トゲのある話題。そんな感じです。



アニメや映画などで古びた屋敷や廃屋を描く際に、必ずと言っていいほど登場するクモの巣
最近あれを見るたびに疑問に思っていたことがあります。人家に棲むクモはああいう放射状の巣を張るのか?
自分が知る限り、人家に棲むクモはああいう巣を張りません、捕虫のために巣を張るのは屋外だと思うのですが。

映像におけるある種のお約束として定着しているものの、正しい描写なのかちょっと怪しいなぁ…と。

                    ◇     ◇     ◇

セリフに『可能性が高い』という表現を用いる作品が多いなか、きちんと『確率が高い』と言わせていたことで
春期放送の「Thunderbolf Fantasy 東離劍遊紀3」の評価がさらにちょっと高くなりました。
『可能性』は『ある』か『ない』かの二択で、数値の変動があるものについて『高い』と言ってほしいわけです。
『確率』以外では『蓋然性が高い』と表現するのが適切なようですが、おそらく意味が伝わりませんね…。

セリフ周りだとアニメでは最近『見惚れる』を【みほれる】と発音させている傾向があるような。
辞書を引くとどちらでも間違ってはいないようですが、個人的には【みとれる】のほうがすんなり受け取れます。

                    ◇     ◇     ◇

「Vivy」の劇中、150年後の未来でもカウントダウンタイマーがデジタル表示だったのが妙に気になりました。
一周まわってレトロな表現が用いられる場合はあるものの、未来の表現としては回りくどいと思いますし…。
ただの粗探しと思われそうですが、そういう部分も含めて「Vivy」を前時代的と感じたわけです。

                    ◇     ◇     ◇

「究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら」の冒頭で見られた時代錯誤な展開。
よくよく考えるとフルダイブVRが普及している時代にダウンロード版の販売がないなんてありえないと思うので
事前にダウンロード予約していればカツアゲで奪われることもなく、本作は始まらずに済んだのでは?
現在世の中にあるものに追いついていない創作。何歳くらいの人が書いてるかは知りませんが、恥ずかしいです。

以前「プラスティック・メモリーズ」の感想でも書いたのですが、都合よくローテクにする必要はないんですよ。
はるか未来を描くSFにおいて、現在世の中に普及しているものより劣ったものってそうそうないはずなので。

                    ◇     ◇     ◇

総括掲載の延期の原因となり、総括でタイトルまで挙げていた「蜘蛛ですが、なにか?」
それなのに感想を書かなかったのは、あの最終回を見てどんな感想を書こうか悩んでしまいまして…悩むよね?

蜘蛛子さんパートと勇者たち転生者組パートのあいだには大きな時間のズレがあるのは既にご承知のとおり。
蜘蛛子さんが魔王や吸血鬼と同盟を結び、現代の戦場で勇者たちと遭遇したところ両パートがついにつながった!
というところで幕を閉じましたが、2期で描かれ続けてきた肝心の戦争は終結していないわけで。

本当の戦いはこれからだ!ENDとでもいいますか(笑)アニメ単体でしか評価できない自分からすると贔屓目に
見てもそんな評価にしかならず、続きをアニメ化する予定あるのかな?と訝しげに思った程度。

いま思えば、最終回の時点にたどり着くための準備にしては寄り道が多すぎた気はします。
どこまで原作に沿っているのかは知りませんが、アニメはアニメなりの完成度を目指して不要な部分は割愛して
見ている側の気持ちが次へつながるような良きタイミングで終わってくれれば…と思わなくもなく。
ただ、この調子だと続きが作られるかビミョーな気もしますね。

                    ◇     ◇     ◇

最近のレビューでは意識的に書かないようにしていたワースト作品。あえて春期のワーストを挙げるとするなら
最後まで見続けた作品のなかでは「幼なじみが絶対に負けないラブコメ」になります…。

タイトルが示すとおりの内容で第3話くらいはまだおもしろく見れていたのですが、そこから先はなんというか
「この内容で本当に100万部も売れてるの?」と原作小説のCMを疑いたくなるような虚無に終始。
懐かしさを感じていたころはまだよかったほうで、群青同盟が出てきたあたりからは理解が困難に。
しかも、これが動画工房制作というのがまた…まさか動画工房のアニメをワーストに掲げる日が来るなんて。

これはあくまで『最後まで視聴した作品』からの選出で、今期ほかにも結構すごいのがあったとかなかったとか。


出来の良し悪しの前に、その作品を好きになれるかどうかで選別してしまっている昨今。
たとえ世間で絶賛されていても見続ける気になれない作品はあるので、見た範囲で話をするようにしています。

たとえば辛いものが大好きな人とニガテな人がいて、ふたりの前に超激辛カレーが出されたとします。
大好きな人にしてみれば超激辛なところが魅力に映るし、ニガテな人にしてみれば大きな欠点に映るわけですよ。
魅力と欠点は表裏一体で、好みが真逆の人のなかでは100点満点がついてる可能性をつねに意識せねば…。

                    ◇     ◇     ◇

テレビアニメはテレビの尺のなかで勝負をしろ。自分は常々そう考えています。
Twitterで裏話だのYouTubeでボイスドラマだのと、外部の別のメディアで補強するやり方が好きではないので
外部で公開されたもので盛り上がってるアニメファンを見るとちょっとイライラしてしまうのです。
誰が悪いという話では決してなく、自分はそう考えているというだけの話なので。あしからず。

                    ◇     ◇     ◇

これまで異世界転生モノをいろいろ見てきたけど「この異世界に住みたい!」と思ったことは一度もないかも。
「聖女の魔力は万能です」を見ていたときだったか、ふとそんなことを考えました。
転生したいかしたくないかはさておき、移住先としての異世界にそんなに魅力を感じていないというか。

どちらかといえばゲーム世界を描いた作品、「SAO」なんかのほうがずっと夢があると感じてしまいます。
現実の生活は現実として別にあって、異世界生活の上澄みだけをゲーム世界で楽しむ。…いまと変わらないか。

                    ◇     ◇     ◇

「トロピカル~ジュ!プリキュア」の第10話は新アイテム登場回としてもかなりひどい内容でした。
赤点を取ったら部活できない、ダメージを受けたら変身解除など、使い古されたやり方ばかり。
さらに、奪われたヤル気はヤル気を出せばなんとかなる!という、敵の攻撃を根底からくつがえすような逆転劇。
この回は敵のほうもパワーアップしていただけに、視聴者を納得させるものになっていなかったと思います。

結局赤点は回避できなかったのに翌週そこからつながる様子もなく。前回の話なんだったの?という感じに。
そもそもトロピカる部って具体的な活動もないし、部活ができなくなることになんら問題がないのでは。

第13話の放送部の回もぶっちゃけ見るに堪えず。目に余る知性の低下。子供向けにしてもやりすぎだったのでは。
学校内の出来事とヤラネーダの出現が完全に分離していて、エピソード上の関連性がまるでなし。
ヤル気のない敵と人前に出られないローラが作劇上のネックになっているのを痛感します。
毎回苦心が見えるというか、そのうち脚が生えるのでは?と思っていたら、第17話でとうとう脚が!(笑)

人間に置き換えて考えた場合、下半身が急にヒレになったらうまく動かせなくて生活に困ると思うんですよね。
実際劇中でも、下半身が脚になったことでうまく泳げないというオチを用意してきました。
そこはいいんです。その前に、陸上で二足歩行は普通にできてることがおかしいんですよ。まずそっちでしょ。

今年のプリキュアは「説教くさくなくてよい」と褒めてる人もいるようですが、自分は逆にしんどいです。

                    ◇     ◇     ◇

声優と人種の問題がだんだん深刻になってきて、そのうち各事務所に黒人声優を所属させるようになるのでは?
などと思ったりしていますが、海外では笑い話にできないくらいの情勢になりつつありまして。
男女平等を推し進めた末に女尊男卑になるみたいなバカバカしさといいますか。
真の平等はどちらかの機会を奪うことでは成立しません。また、与えるものでもないと思います。



流行歌という概念が希薄になってずいぶん経ちます。バイタルの存在しない曲が流行ることも増えました。

近年はYouTubeの利用拡大により、『有名人』という共通認識が消失しつつあるのだとか。
YouTubeはたとえるならチャンネルが数千万あるテレビであり、視聴者それぞれ思う『有名人』が異なります。
トレンドは存在するものの、個々の趣味嗜好の範囲では共有しにくい時代になっているようです。
アニメもそのうちそういう時代が来るかもしれません。『いまおもしろいアニメ』を他の人と共有できない時代。

逆に、不特定多数から集めたはずのTwitterのタイムラインで、毎週特定の曜日になると全員が同じマンガの話を
しているという現象も起きたりしています。ぶっちゃけ自分はそれをとても気持ち悪いことだと思ってまして。

みんな違っているほうが自然というか。トランプの山からカードを引いて全部エースだったら怖いですよ。

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2021年7月 6日 (火)

2021年 春アニメ総括

気が付けばもう7月。今期はなんだかあっという間に過ぎた感じがします。6月も終わりか…と。
体感時間が加速した一番の原因は「Fortnite」だと思いますが、「Fortnite」に大量の時間を割く理由になった
過剰なストレスも無視できません。なので、あまり前向きな話でもないんですよね。
言わば「Fortnite」依存。…そこまで後ろ向きに表現しなくてもいいか(笑)楽しく続けているわけですし。

春アニメの感想をお伝えする前に、予定よりも掲載が遅れてしまったことをまずはお詫びいたします。
というのも、「シャドーハウス」と「蜘蛛ですが、なにか?」の最終回が7月にはみ出してしまったのが原因で
特に「シャドーハウス」を完走せずに掲載するのはよろしくないという判断からの延期でした。

蜘蛛子さんのほうは春アニメでは唯一になるのか、『制作上の都合』で遅れたので責任を負えませんな!


今期の新作寸感でピックアップした5作品には多かれ少なかれ不満を覚える部分がありました。
そのなかで、限りなく不満が少なかったのが寸感で筆頭として挙げた「セブンナイツ レボリューション」です。

自分がアニメにおいてもっとも重視するストーリーと、総合芸術たるアニメに欠かせない優れた音楽。
その音楽に意識的に乗せたアニメーション、見応えのある戦闘シーン。別れるのは惜しいと感じるキャラクター。
そして1クールというパッケージングにおける完成度と、どれも非常に満足のいくものでした。

ただ唯一、設定面のわかりづらさで全体の理解度に難があったと感じています。
本作のキーアイテムである時の書や銀の砂時計など、それがどういうものなのか把握できるほどの説明がなくて
毎回の出来事をメモを取りつつ見ていた自分ですら「たぶんこんな感じ?」程度の理解に留まりました。
そのへんがもう少しわかりやすく伝わっていれば視聴後の感想はもっと前のめりになっていたかもしれません。

学園内という狭い範囲で物語が展開していた印象はありましたが、1クールできちんとまとめることを考えれば
かえってよかったのではないかと。そのなかで友情あり恋愛あり、記憶に残る喪失もあり…。
英雄の遺志を引き継いで戦うことがクライマックスに向けて別の意味を帯びてくるところにも感心しました。

客観的には目立ちにくい作品ではありましたが、個人的にはホントに傑作の部類でしたよ。
各種配信サイトで見れるようなので、もし興味を持たれたならいまからでも初回だけでも見てほしいですね。


次いでピックアップ作品から「MARS RED」「バクテン!!」「ましろのおと」の感想を書いていきます。

朗読劇からの初アニメ化という異色の作品であった「MARS RED」は、原作の舞台劇『らしさ』を失うことなく
画面の構成自体を観客席からの観劇のように見せるシーンがいくつもあったのが印象的。
人間と吸血鬼、住む世界と命運を表す光と影の領域、その違いを悲哀を込めて巧みに描いていました。
終幕の際には思わず拍手したくなるほど。これを逆に舞台に戻して、演劇として見てみたくなりましたね。

セリフの言葉選びやちょっとした小道具の描写など、随所に独特の美学を感じられた本作。
あらためて振り返ると減点したポイントがほとんどない。こちらを筆頭に挙げてもよかったかもしれません。

マイナースポーツを題材にしたアニメのなかで「バクテン!!」は突出した完成度だったと思います。
競技の描写がとにかく美しく、心理描写の演出として多用される水や鳥の動きも非常に緻密。
アニメによくある尖ったキャラ付けも本作においては飾りにならず、掘り下げにきちんと活かされていました。

終盤のアクシデントは先生の過去編と絡めるうえで必要だったと弁護は可能なものの、印象は芳しくなく。
できれば描写として、多少なりともケガが競技に影響する様子を描いておいてほしかったなぁ…と。
直前まで体調不良だったのにライブシーンでは笑顔で活き活き歌ってた某・アイドルアニメみたいで(笑)
ケガをした手首が一瞬クローズアップされるとか、それだけでも緊張感は全然違っていたのでは。

テレビ版できちんと品質の保証をしたあと劇場版の制作を発表をする、という流れは好印象でした。

「ましろのおと」は楽器一本の演奏でありながら、方向性の違いが素人耳にも伝わってくるのがとにかくすごい。
セリフによる説明に頼ることなく、音だけで違いを実感できることに毎回感心しながら見ていました。
勝った理由、負けた理由も視聴者の納得に足りるだけの解説がきちんと織り込まれていたのがよかったです。

1クールのパッケージングに難があるのが本作のウィークポイントで、スッキリ見終えられなかったんですよね。
簡単にはたどり着けない答えを追い求める物語なだけに仕方のないところではあるのですが…。


継続枠からは「憂国のモリアーティ」後半1クールを挙げたい。とにかくバツグンにおもしろかったです。
単純にモリアーティとホームズの衝突と見てもおもしろいし、同時代のイギリスにおける歴史の『if』を描く作品
としても大興奮を保証できる、アサクリシリーズなどが好きな人には全力でオススメしたい内容でした。
女性向けという側面もあるにはあるのですが、(あくまで私見ですが)最終回までは鳴りを潜めていた…かな?

それにしても火事の描写が多いアニメだったなぁ。炎の中から生まれて炎の中に消えていくような、紅い物語。


序盤こそ印象のよくなかった「BLUE REFLECTION RAY/澪」は、個人的にはこの1クールで化けましたね。
どういうお話なのか伝わりづらい問題は1クール経っても変わらないものの、わかればおもしろい。
たとえるならハイティーン向けのプリキュアというか。一時期流行った魔法少女モノの系譜なのかも。
悪しき記憶も自分の一部として受け入れるか、否定して消し去ることで安定を手に入れるか。二大派閥の衝突。

作画の不安定さはあいかわらずですが、話をおもしろく感じてくると気にならなくなるもので。
しかし、ここぞという戦闘シーンでも絵的に盛り上がらないのは残念ですね。そのへんの弱さは否定できません。
個人的には後半1クールを見るのにじゅうぶんな期待ができたので、今後も楽しみに追い続けていきます。


世間的には「ゴジラ S.P」で大盛り上がりだったようで。たしかにおもしろい作品ではあったと思います。

今期ほかの作品でもテーマになっていたシンギュラリティなる現象をゴジラで描くとしたらどうなるのか。
…という怪獣モノとしての部分はあくまで建前で、本作の核はSFと謎解きの部分だったのではないかと。
悪意のある言い方をすれば、ゴジラな部分は視聴者を集めるための釣り餌でしかなかったみたいな?
ゴジラという看板がなかったとしてもSFとしてのおもしろさ、謎解きのおもしろさは保たれると思ったので。

そう感じたのはおそらく、自分はそれほど怪獣映画ファンではないからかもしれません。
見た瞬間にどの作品のオマージュかわかるくらいゴジラに傾倒している人とは魅力を感じる部分も違うと思うし
ゴジラを冠するわりにゴジラ出てるシーンそんなに多くねえな?と率直に思ったというのもあり(笑)

今期の話題作のなかから選ぶなら、個人的には「シャドーハウス」。こちらも謎解きのおもしろさがありました。
その謎が視聴者にわかりやすいカタチで1クールの終わりまでにきちんと明かされていくのも好感。
原作未完のアニメ化だとそのへんはぐらかされたまま終わる作品もあるので、ここはしっかり評価したいところ。
それと、エミリコというキャラクターの魅力に大いに引っ張られたところはあると思います。


そんなわけで、今期の話題に乗っかりたいのであればまずは「ゴジラ S.P」と「シャドーハウス」を。
当ブログを信頼していただけるなら「セブンナイツ」と「MARS RED」、「憂国のモリアーティ」を推薦します。


今期ほかに好印象だったのは「やくならマグカップも」「恋と呼ぶには気持ち悪い」「ドラゴン、家を買う。」
あたりが挙げられます。見終えたあと心に良いものが残る、結果としてそんな選抜になりました。
続きモノでは「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀3」「NOMAD メガロボクス2」が期待どおりの出来。
中国原作の「魔道祖師」は続く3期を日本国内で見られることを祈りつつ…「TBF」同様、全然完結してないし!

「美少年探偵団」も忘れてはいけませんね。ニガテだった西尾維新原作アニメで初の完走作品となりました。
西尾節の濃さ、小説原作にありがちな文量の多さは本作でも変わらず。それでも話は比較的わかりやすいほうで
加えて探偵という要素があったおかげで興味を維持し続けられたのかもしれません。

とはいえそんなに探偵要素ないんですけどね(笑)探偵ではなく少年探偵団なので、そこは履き違えないように。
最後のD坂のエピソードはそのサブタイトルも含め、個人的には要求に合う楽しみ方ができました。


さて…寸感で話題作として挙げた「Vivy」と「86」ですが、個人的にはビミョーな感じ。

「Vivy」はクオリティに関しては認めます。WIT STDIO制作なのでそこは間違いありません。
しかし個人的な『SF観』とのズレというか、話数を重ねるたびに埋めようのない亀裂が広がってしまいまして。

半世紀先の未来、そこから10年後、20年後、さらには100年先の…と、段階的に刻んでいく本作の未来の描写は
その経年を感じさせるものにはまったくなっていなくて、1年後と言われても信じられる程度のものでした。
一番の違和感は主人公・ヴィヴィ自体で、彼女は100年ものあいだ稼働し続けてるんですよね。
ドッグイヤーと言われるITの世界でハードウェア的な変更もないまま、新型と遜色ない働きをしている。

まあそもそもの話、時代をさかのぼってプログラムを送信するってところから説明はつかんわけですが。

AIの反乱を描く作品として視聴者の想像を超えるものにならず、非常に前時代的なSFというふうに映りました。
それと結末かな。あの結末だけ取り上げても賛否両論、首をひねる人のほうが多かったのでは。
長月達平×梅原英司のダブルネームに期待しすぎてしまったところはあるかもしれません。


「86」は2期を残しているので今期の分の評価とします。本作はまず、戦争モノとして見てはいけない気が。
どうして戦争が始まって、いまも続いているか。そういった基本的な設定は重視されていないと思うのです。
どちらかといえば局所的な、二国間の戦闘で消費される被差別民族のほうが大事で。
彼らの生き方や考えていること、虚しく死んでいくこと。そのエモさを長く楽しんでもらうための戦争というか。

防衛戦を続けている側の共和国の国民は戦争に無関心で、攻め込んでくる帝国側にも侵攻の目的が見えなくて。
ひょっとすると戦隊が向かう先に帝国という国はもう存在しなくて、レギオンとの戦闘だけが続いているのでは。
国としての意思の見えなさ、描写の不透明さに視聴中そんなふうに思うこともありました。

戦争と呼ぶには極めておかしな印象であることが、逆に言えば「86」独特の個性なのかもしれません。
ただ、アニメ版を見ている限りではそこまで前向きに捉えるのは難しかったですね。

加えて本作を見ていて気になったのは、欧米風の文化圏であるにもかかわらず日本風の描写が多かったこと。
春には桜を楽しみ、夏にはセミの声と花火、そして彼岸花…みたいな。ものすごい違和感がありました。
戦隊が侵攻中に見つけたゴーストタウンも極めて日本的な風景だったことが気になっています。
(帝国と呼ばれる国が第二次大戦に勝利した日本で、ユーラシア大陸へ侵攻した形跡では?という見方もあり)

まあ、それでも「転スラ日記」ほどのジャパナイズではなかったので(笑)アレはもうほぼ日本ですよ。
日本を舞台にした日常系アニメのフォーマットに異世界モノを投げ込むとああなるんだなぁ…。
でもキライではなかったです。「転スラ」はやっぱりこの時期がおもしろかったとあらためて実感できました。


寸感ではピックアップ作品としていた「スーパーカブ」はいろいろあって評価は下げ止まりに。

免許取り立ての小熊ちゃんが二人乗りをしている描写への賛否両論が思わぬ広がりを見せていました。
「アニメの出来事だから」云々ではなく、彼女のキャラクター造形のうえで問題があると個人的には思いました。

本作には『車体の説明書を読みながら丁寧にオイル交換を繰り返す』という描写が事前に出てきます。
免許取り立てで几帳面にルールを順守する。経済面でも厳格なところを見せる小熊ちゃん。
そんな性格を見せてきた小熊ちゃんがはたして二人乗りなどするだろうか?という疑問があったんですよね。
人間にはいろんな側面があるとはいえ、そのシーンにいたるまでの人物描写と比べればやはり違和感があります。

終盤で恵庭ちゃんが事故った際に救急車を呼ばず、自宅へ運んで入浴させたのも疑問といえば疑問で。
その対処に恵庭ちゃんの両親が感謝していたのもなんか違和感がありまして…奇妙な世界だなぁと。

原作の小熊ちゃんはもっとやべー性格でアニメではだいぶマイルドになってるそうな。原作が垣間見えてるのか。

小熊ちゃんといえば、彼女のテーマとして有名なクラシック曲が複数使われていたことも気になりました。
クラシック曲を使うこと自体はいいんですけど、どうにもシーンに合わない選曲ばかりで。
なんというか…著作権フリーのBGMとして流してるだけみたいな、意図のない使い方をしていると感じたのです。
音楽制作が複数人クレジットされている本作で、あえてクラシック曲を採用する理由も謎でしたし。

ここぞという場面でクラシック曲を起用した「MARS RED」があっただけに、どうしても見劣りを感じます。


えーと…長くなってしまったので(いつものことですが)春アニメの総括はここまでとします。
視聴中に書き留めたメモから他にも話したいことがいくつかあったので、また別の記事にまとめようと思います。
おそらくそれほど時間はかからず。夏アニメの寸感までには確実に公開できるでしょう。


で、もうひとつ忘れてはいけないのが6月末にようやく放送された「ワンダーエッグ・プライオリティ」特別編。
1時間の放送枠のうち前半は比較的わかりやすい解説のついた総集編で、新着分は後半30分のみという構成。

結末から先に触れると、大半の視聴者はこれで完結したとは感じなかったと思うんですよ。
でも、本作を通じて伝えたかったことはすべて描き切っていて、それをもって完結と見ることもできそうな気が。
おそらく本作において、友人を生き返らせることや敵を倒すことはそれほど重要ではないんじゃないかと。
人間はフィジカルではなく、メンタルとメンタルのあいだに生まれるものこそ本質なのかもしれません。

たとえ相手が何者であったとしても、人格やその人との思い出は嘘ではないはず。
本当の意味で友人とふたたび出会うには生き返る前に、失う前に会いに行かなければならない。
決して手放してはいけない。そんな、誰かの後悔から生まれた警告みたいな…という解釈で合ってるかどうか。

ひとつ気になっているのは、アイがふたたびワンダーを救うための戦いへと向かったこと。
自殺者でなければワンダーにはなれないわけで、探し求める相手が既にこの世にはいないと悟っていたのか…?

いまだ不透明な部分が多いし、これが正解というひとつの答えはないのかも。興味深い作品ではありました。



当ブログのアニメレビューは難しい言い方をすれば『体系的な批評』に類するものなのかもしれません。

自分はアニメを見るときも感想を書くときも、なにかしら過去の作品との比較がともなってしまいます。
各作品を個別に評価できてるとは言いがたく、100点満点と言えるような作品が滅多に出ないのもそのせいかと。

100点満点ではないということは、なにかしらの減点ポイントがあるわけで。
当ブログでは減点するなりの理由も必ず書くようにしていますが、そもそもそういう部分を読みたくないという
「好きな作品のことは全部褒めてほしい!」タイプの人にはまったく届かないレビューなんですよね。
現在のアニメシーンを語るのに必要な作品の良いところだけ知りたい、いわゆる時短重視な人だとなおさら。


ただ、いまネット上で求められてるのはむしろそっちの文章なんだと思います。
好きな作品をとにかく熱烈にオススメする紹介文か、もしくは「これだけ見ておけば」というリスト化した記事。

現代人はとにかく時間がないしストレスを抱えている。フォローとミュートで情報を取捨選択している。
読んでもらえる文章を書いてお金をもらっている人たちはホントに大変でしょうね。
自分は『誰かが読みたい文章』ではなく『自分が言いたいこと』を書いて載せてるだけなので気楽なもんですが。

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