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2022年6月30日 (木)

2022年 春アニメ総括

■好評価作品リスト
「薔薇王の葬列」2クール目
「ビルディバイド -#FFFFFF-」
「パリピ孔明」
「SPY×FAMILY」
「BIRDIE WING -Golf Girl's Story-」
「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」
「古見さんは、コミュ症です。」2期
「社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。」

■6月中に放送終了しなかった作品
「可愛いだけじゃない式守さん」※制作上の都合
「カッコウの許嫁」※放送スケジュールの都合
「ラブオールプレー」2クール作品
「サマータイムレンダ」2クール作品?


寸感に続いて総括のほうも形式を変更。従来より文量を減らすつもりで書い…ていたはずなのですが。
やっぱり思い返すうちに「あの作品のここは書いておきたい!」という欲求が次々出てきてしまうのです。


自分にとってアニメの『おもしろい』はストーリーによるところが大きく、ストーリーで満足感を得られないと
どんなに他の部分(たとえば絵や音楽など)がよくても『おもしろい』という感想にはいたりません。
この評価軸については以前から変わることなく、今期のアニメにも適用されています。

ただ、今期は5月の上旬から6月にかけて、5年に一度あるかないかという規模のストレスに晒されていた影響で
特にこの期間は『見ててストレスが溜まるタイプのアニメ』に対する評価が厳しめだったと自覚しています。

そもそも『見ててストレスが溜まるタイプのアニメ』は作品としてダメなんじゃないの?って気もしますが。

ストレスのかけ方がうまい作品と、ただただストレスが溜まるだけの作品はやっぱり全然違うと思うんですよ。
ある展開を見ているとき、視聴者がどれくらいストレスを感じるか、そのストレスをどこで処理するか。
視聴者の視点に立ってきちんとストレスをコントロールできているか。そういう意識の有無が見えてきます。


「薔薇王の葬列」は見ていて気持ちよくなるようなストーリーではありませんが、それでも最上位に挙がるのは
見ててしんどいけどおもしろい、史実がベースなのに悲劇への昇華が巧みだったおかげかもしれません。
さすがはシェイクスピア。それに本作独自の解釈、加えて近年の研究であきらかになった事実なども織り込まれ
史実や原案を知っていてさらに楽しめる、それに悲劇を彩る恋愛もある、今年を代表する1本になりました。

今期は「薔薇王の葬列」と大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のせいで毎週日曜の夜はどんよりしていました。
それだけこの2作品を熱心に、能動的に見ていたと言えます。楽しむための調べものもいっぱいしましたから。


放送が始まったころは正直、アニプレックス枠の余りを埋める程度の作品と捉えていた「ビルディバイド」
この1クールで同期のアニプレックス系列作品を退け、あれほどおもしろくなるとは…よもやよもやの展開。
同期の他の作品が勝手に失速したという見方もできますが…それだけに留まらない出来でしたね。

TCGってスポーツものと同じくらい、ルールという制約があるなかでドラマを描く難しさがあると思うのですが
本作はじつに巧みに対戦が組み上げられていて、題材への理解度が色濃く伝わってきました。
カードのひとつひとつ、それらを駆使して戦う登場人物たちが端役にいたるまで記憶に残る活躍をしている。
始まったころと最終的な感想が真逆と言ってもいいほど、黒が白に変わるほど変化した2クール作品でした。

難点をひとつ挙げるとすれば、肝心のTCGの部分が視聴者に浸透しているとは言いがたいところですか。
初心者向けの解説がないまま最後まで走り抜けていった感じで、商品のプロモになったかどうかは疑問…。


同期の他の作品、「群青のファンファーレ」は二匹目のドジョウならぬ、二頭目のダービー馬にはなれず。
急に1年後に飛んだ第8話あたりから多少巻き返した感はあったのですが、前半戦で抱えた負債を返し切れなくて
結局これといって褒めるところがない、競馬学校を舞台にしたなりの熱量が伝わってこないまま終わりました。
もっと言えば、競馬への敬意を読み取れない。敬意があったら実在の馬名を使った下ネタとかやらんよな…。

放送枠が「SPY×FAMILY」の直後じゃなかったら途中で切っていたと思います。
楽しく見れていたのはJO1のファンくらいじゃないかな…いや、JO1のファンでも最後まで見れたかどうか。


「パリピ孔明」「SPY×FAMILY」については世間一般の評価と大差ないと思います。良き娯楽作品。

「SPY×FAMILY」の続きは10月から。「デート・ア・ライブⅣ」は順当に「Ⅴ」に続くそうで。
「かぐや様は告らせたい」はあそこまでやり切ってしまったら続きを描けないのでは?と思ってたら新作が発表。
「本好きの下克上」も待っていればそのうち続きを見られるでしょうか。完結までアニメ化…できます?

続きものからひとつ話題を。「盾の勇者の成り上がり」の2期はダウンロードコンテンツみたいな内容でした。
本筋である四聖勇者たちの世界の話を一旦保留し、並行する別の異世界の出来事を描いていた2期。
よく言えば世界観を広げることができた、悪く言えば本筋の進行を意図的に止めていたような印象があり…。
本来対処すべき『波』が端に置かれ、ひたすらキョウに振り回されていたのもそう感じた理由かもしれません。

2期全体がアニオリだったと言われても信じられそう。週刊連載のマンガのアニメ化によくあるような。
ひとつひとつの出来事の扱いが特に後半は非常にあっさりしていて、登場人物の死の描写も軽くて驚きました。


いまの時代にゴルフアニメなんてどういうつもりなんだ?と、界隈を騒がせていた「BIRDIE WING」
令和版「プロゴルファー猿」という見方もあながち間違いではなく、ゴルフには不釣り合いなデタラメな熱さが
ほとばしる痛快娯楽作品として、近所では「SPY×FAMILY」よりも盛り上がっていた感があります。

コアなアニメファンがどういうものを見て喜ぶかちゃんと計算されて描かれているアニメとでもいいますか。
商業的に成功するかはわかりませんが、見た人の心に深く刻まれたのは間違いありません。

いわゆる異世界転生ものである「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」を高評価作品のひとつに挙げた理由は
異世界転生ものというジャンルに留まらず、今期の作品全体で見ても好感触な内容だったから。
登場人物がどいつもこいつもクセが強いのに、心底イヤなヤツがいないおかげで気持ちよく見ていられる。
仲良くないなりに信頼し合って、協力して難局に立ち向かう彼らの物語をもう少し見ていたいと思えました。

「古見さん」の2期は終盤ちょっと作画に不安があったのが惜しい。それ以外は期待したとおり。


高評価作品に「阿波連さんははかれない」を入れなかったのは終盤の恋愛モードに多少の疑問があったので。
ライドウくんと阿波連さんは異常な距離感にありながら恋愛関係にはない、奇妙な関係によってコメディとして
機能していたところがあったので、キャンプ回から最終回Bパートまでは違和感を覚えつつ見ていました。
なんというか…男女バディものだったはずなのに熱いキスで終わるハリウッド映画みたいな違和感?

違和感といえば「ヒロインたるもの!」の終盤の展開も見ててちょっとモヤモヤしましたね。
千鶴が起こした事件は友達うちや学校内という狭い範囲を超えて、多大な社会的影響をもたらしていたわけで。
さらには校内での暴力沙汰。これをただのケンカ、仲直りしてハイおしまい!とするのは無理があったのでは。
最低でも停学から自主退学になってもおかしくないレベルの事件ですよ。
平和な世界で起きたちょっとしたケンカのつもりで描くなら、規模をコントロールする必要があったと思います。

現代劇の場合、現行法に照らし合わせてこの描写はどうなんだい?という意見がしばしば出てきます。
今期だと「パリピ孔明」の終盤で描かれた渋谷109前でのゲリラライブがそれで、往来の激しい渋谷の一等地に
大型トレーラーで乗り付け、道をふさいでライブを始めたシーンを見て「冷めた」という声を見かけました。

「パリピ孔明」ではこのシーンの以前に、無許可の路上ライブへの注意と許可証の描写が出てきます。
なので、『さらに大きなライブをやるのに許可を得てないわけがない』と考えるのが自然なのではないかと。

この『前段を用意する』というのが地味に大事で、平和な世界に突然の暴力を用いた「ヒロインたるもの!」は
やっぱりちょっと頭のネジが飛んでいるというか(笑)すげえアニメだな…と思いました。
決して否定的な目で見ているわけではなく。むしろ今期のなかではかなり好意的に見ていた作品のひとつです。


冒頭でお伝えしたストレスの影響で「社畜さん」を泣きながら見ていた日もありました。
優しさだけでできている世界への憧れと、どうして現実はこうなれないのだろう?という悲しみが入り混じって
メチャクチャな感情になりつつも、どこか客観的かつ冷静に自分自身の状態を捉えていたような。
健常であればこの内容では泣かないだろうと。時間が経って、落ち着いたいまとなっては余計にそう感じます。

アニメは現実をより楽しむための現実世界の産物である。この持論が揺らぐことはありません。
現実の良いところを見つめて、悪いところには心を囚われないよう今後も楽しんでいければと思います。

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