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2022年10月 5日 (水)

2022年 夏アニメ総括

■好評価作品
「メイドインアビス 烈日の黄金郷」
「シャドーハウス 2nd Season」
「神クズ☆アイドル」
「連盟空軍航空魔法音楽隊 ルミナスウィッチーズ」
「異世界薬局」
「ユーレイデコ」

■ピックアップ作品
「ブッチギレ!」
「カッコウの許嫁」
「オリエント 淡路島激闘編」

■9月中に放送終了しなかった作品
「異世界おじさん」※制作上の都合、夏から秋に異動
「シャインポスト」※制作上の都合
「風都探偵」※ネット配信先行で地上波放送開始がそもそも遅かった


以前よりはだいぶ穏やかにはなったものの、コロナの影響でアニメが止まる事態はまだまだあるのだなと。
かく言う自分もこの期間に感染したわけですからね。人がたくさん動く場所では当然リスクも増すでしょう。
ひとりの視聴者としては、放送休止期間に作品への熱が冷めてしまうことを一番危惧しています。
作品の内容が同じでも、休止を挿むことで作品の評価が変わる可能性は大いにありますから。

前置きはこんなとこにしておいて。夏アニメで気になった作品を足早に触れていこうと思います。
なにせ、これ書いてる時点でもう秋アニメ始まってますからね…なんで9月30日から新番組が始まるのよ?


「メイドインアビス」はもう別格というか、テレビアニメとして提供する物語の域を超えていた気がします。

どういう頭をしていたらこんな話が思いつくのか、原作者の頭の中を念入りに覗いてみたくなりました。
同期の他の作品とくらべてあまりにも濃密で重く、作品から伝わってくる精神年齢が高い。
オトナの目線で見てもはるか上のオトナに向けた内容に見えてしまう、そんな異次元の領域から来た物語。
でも、この物語に込められたメッセージははるか下の少年少女たちに向けられたものだろうとも感じました。
特にワズキャンの最後のセリフなんか聞いてるとそう思います。ある種の警告であり、新世代への期待でもあり。

このレベルの作品をホイと出されると他の作品を評価しにくくなるんですよね…どうしたってくらべてしまう。
なので「メイドインアビス」だけは大きく遠ざけたシード枠に置いて話を進めなければなりません。

主題歌も音楽もバツグンによかったしなぁ。欠点がひとつも見当たらないアニメってたまにはあるんですね。


完全新作のなかでは、今期最速で最終回を迎えた「神クズ☆アイドル」が好感触でした。
アイドルアニメはやはりアイドルたちだけでなく、より俯瞰してアイドル文化全体を描いていてほしい。
本作ではメインのアイドルたちと同等に、アイドル文化を支えるファンの苦しみや叫びが親近感ある描かれ方を
していたのが印象的で、相当なアイドル好きの方が原作を書かれたのでは?と思える解像度の高さでした。

やはり題材として選んだ以上、題材の魅力がきちんと伝わるよう描いてほしいという希望があります。
アイドルに限らずスポーツものやホビーについても言えますが、本作を優れていると感じた理由はそこにあり。
アイドルというお仕事、アイドルを応援することの楽しさや魅力が十二分に伝わってくる内容になっていました。

メインの男性デュオだけでなく、幽霊の状態で登場する女性アイドル・最上アサヒもきちんとかわいかったし。
アイドルアニメだけど視聴者の性別を選ばない、非常にバランスのよい作品だったことも好評の理由です。


次いで挙がるのは「ブッチギレ!」と「ユーレイデコ」になるでしょうか。どちらも当初の印象を上回る出来。

「ブッチギレ!」は新選組を題材にした作品としてはかなり大胆な設定でしたが、史実への折り込み方がうまく
見た目とは裏腹によく考えて辻褄を合わせているなぁと、ちょっと感心しつつ楽しませてもらいました。
キャラクター原案を「シャーマンキング」の武井宏之に任せたなりの理由がわかる設定や描写が終盤出てくるし
あらためてオープニングを見るとお手本のようなキャラデザだなと勉強にもなりました。
ただ、最終回の尺の使い方には少々疑問が…尺が余ってしまったかのように感じられるBパートでしたよね。


湯浅政明と佐藤大というダブルネームを見て、当初はぶっちゃけ警戒していた(笑)「ユーレイデコ」
何を伝えようとしているのか、おもしろさを理解できるまでちょっと…いやかなり時間がかかる作品であるのは
間違いなくて、本筋からちょっと離れた第5話のエピソードを見て本作の評価が大幅に変わりました。

当初感じた『年寄りががんばって新しいことをしようとしている感』はある意味正しかったのかも。
本作は非デジタルネイティブ世代からSNS世代に向けた、年長者なりのメッセージだったのかもしれません。
自分の在り方、自分自身の定義、自分の居場所、信条。上の世代から連綿と続く疑問や悩み。
若者の居場所は若者たち自身で創造し、管理していくべきであり、年長者の決め付けに囚われるべきではない。
…とか。自分の解釈が正しいかはわかりませんが、『いま』見るべき価値のある作品だと思います。

変に説教くさくもないですしね。ネット上で見かける出来事を寓話的に描いていたりもしてて興味深い作品です。


意外な掘り出し物だったのが「異世界薬局」。まず今期の異世界系のなかではトップと言ってよいはず。
医療ものはよほどの間違いがない限りおもしろいってのはあるのですが、チート能力で貴族が薬局を開業したら
起こりうるであろう出来事、身分や貧富、信仰との衝突が違和感なく描かれていました。
それでいて明確な悪が存在するわけではなく、誰もが自身の信条に基づいて行動してるところがまたよくて。

放送されたのがポストコロナというのもタイミング的によく、本作終盤の黒死病に対する取り組みを見ていると
以前よりもずっとリアリティを感じるというか、視聴者側が経験をもとに見れるようになったのが大きいなと。


今期の異世界系は全体的にマジメな印象がありましたね。エロ全振りの作品でも基本はマジメという(笑)

ただ、最近は異世界系の一部に「いわゆる創作とは違うものなのでは?」と感じるときが増えています。
自分が知っているなかでもっとも近いのが『テーブルトークRPGのリプレイ』で、RPGのルールの上で起こった
プレイヤーたちの選択や行動、会話を小説のようにまとめている小説とは非なるものみたいな。
今期それを一番強く感じたのが「異世界迷宮でハーレムを」で。あそこまでいくとほぼ『リプレイ』ですね。

良い悪いの話ではなく、一般的なマンガや小説とは異なるジャンルの何かになりつつあるという話で。
ゲームの実況をアニメ化して見てるみたいな違和感というか。視聴者として馴染んでいけるとよいのですが。


世間的には「リコリス・リコイル」一色な感じでしたね。自分もまあ、そこそこ高く評価しているつもり。
今年アニプレックス枠で放送された作品のなかでは確実に最上位に食い込む内容だったと思います。
こまかいところを突きまわすアニメではなく、ノリと会話(と百合?)を楽しむアニメであり、その割り切りが
きちんとできていれば心底楽しめるであろう娯楽アクション。加えて小学生レベルの下ネタ…。

昔は当たり前に見られた、治安が悪すぎる街で銃をバカスカ撃つハードボイルド風ドラマってよかったよなぁ…
という特定の世代の需要を制服美少女というフォーマットで埋めにきたみたいな。それが好評の理由かと。

終盤の延空木での決闘を見て「まるでMGSシリーズみたいだなぁ」と思ってたら、当の小島監督にウケたという。


「風都探偵」は人気実写作品のスピンオフとして、ファンが期待することに100%応えている感じがします。
次元を違えたメディア展開では「あれが足りない、やり直し」と口うるさく言われがちですからね。
逆のパターン、二次元の実写化作品も最近は原作ファンが何を要求するかをきちんと理解して作ってきてますし
三次元の二次元化においても、用意できるものはすべて用意して当然と言えるかもしれません。


続きモノとしては「シャドーハウス」が期待を超えてくるおもしろさ。ときにシリアス、ときにコメディ。
戦いあり謎解きありのバランスのよさ。そしてどんなときでも視聴者の心を和ませるエミリコのリアクション。
またいつか続きが見られるでしょうか…続きの見たさで言えば「メイドインアビス」とならぶ位置にはあります。

あとは、冒頭で挙げていませんが「オーバーロード」4期も。気が付けば長寿のシリーズとなりました。

「オリエント」は1期とくらべて『この話のどこを見てほしいか?』が明確で見やすくなっていたと思います。
話の中心に武蔵とみちるがいて、戦いのなかで武蔵が成長して主人公らしい立ち回りを見せていく。
みちるは非常にヒロインらしい立ち回りで、つぐみとは扱いが違う(笑)のがハッキリと伝わってきました。

それだけに、最終回におけるみちるの顛末が本当に解せない。ああするならなぜ八咫郎と対話させたのか。
2期を通じて育て上げてきたみちるというキャラを手放してしまうのが惜しいというか、ちょっと信じられない。
全体的に女性キャラに対する当たりが強く、積極的に活躍させようという気がない感じがします。
これはつぐみの扱いを見てもあきらかな話で。原作者のなかに何か特別な思いでもあるのでしょうか…?
(キービジュアルに描かれているのにマトモな活躍がない女性キャラなんて、普通はありえないと思います)


自分でも意外なくらい、思いのほか楽しめていた「カッコウの許嫁」。ひとえに天野エリカの魅力に尽きます。
「ちょっとニガテだな…」とか「退屈そうだな…」と感じるタイプの作品でもお気に入りのキャラが見つかると
そこを突破口にしてお話全体が見えるようになり、作品そのものを好きになれる可能性がある。
天野エリカはヒロインのひとりとしてだけでなく、視聴を進めるうえでの貢献度がとても大きかったです。

逆に、瀬川ひろの魅力が自分には正直わかりません。最終回に向けてさらにわからなくなっていった感じで。
主人公・海野凪が彼女に感じている魅力が視聴者に伝わってくるような客観的描写が足りない気がするんですよ。
終盤の別荘のエピソード以降、不可解に場を荒らすようになってむしろ印象は悪くなりました。

2クールという長尺で、最終回に1時間枠取ったのにアニメ独自の完結を見せるでもなかったのはちょっと意外。
しかも謎を増やして終わる(笑)誰なのよ写真の子は…宗助の問題も解決してないってのに。
あとはエリカの父親の思惑も。ひとつぐらい何かスッキリしてから終わってほしかったなと思います。
原作既読の方のツイートによると結構アニオリも多かったみたいだし、アニオリで終わらせてもよかったのに。

まあ原作未完の作品の難しいところですね。特に恋愛モノでは誰が選ばれるか?って重大だし。
恋の行方についてはベストエンドではないものの、グッドエンドのひとつにはたどり着いた感じはありましたが。


余談ですが、好きになれそうなキャラがひとりも見当たらないアニメはキツいですね…視聴打ち切りまである。
キャラって表現するとキャラ萌えで見てるみたいに思われそうですが、そういう観点の話ではありません。
どんなに絵がキレイでも、どんなに世間的評価が高くても、共感しがたい言動にあふれたアニメは見てられない
ひとりの人間として「彼らを理解できない…」と感じた瞬間、作品との断絶が起きるのです。


夏アニメの感想はこんなもんで。既に秋アニメが大量に始まっているので多少の焦りを感じています。
もし個別に感想を尋ねたい作品があれば当記事のコメント欄、Twitterの匿名コメントなどをご利用ください。

そういえば「サマータイムレンダ」の感想はどこにも落としていなかったので最後に少し触れておきます。
本作はタイムリープものとして見始めるとちょっと肩透かしを喰らう、強めの言い方をするとガッカリな内容で
どちらかといえば未知の生命体との命懸けの戦い、それも異能力バトルに重きを置いた作品と言えます。
しょうゆ系だと思って入ったらとんこつ系だったみたいな(笑)期待と違うものが出てきた感があったわけです。

おなかは満たされたものの「やっぱりしょうゆ系が食べたかったな…」という不満が残る。
入口を誤ってしまった。これは自分の責任でもありますが、本作のプロモーションの責任でもあると思ってます。
最初から未知の生命体との戦いと思って見れば間違いなく満足できる、リッチな2クール作品でした。



後日「シャインポスト」の感想は落とすかもしれませんが、現状あまり期待できないと思います(オブラート)。

「からかい上手の高木さん」あたりから始まった感のある、男子をもてあそぶ系ラブコメのブーム。
ひとつの作品に留まらずブームと呼べる状況になっているのは『時代の需要』があるからと見てよいでしょうか。
個人的な傾向を言うと、どう楽しめばいいのかわからずリタイアしてしまうことも珍しくありません。

男性が受けにまわる構図がまったくダメなわけではなく。実際このジャンルで完走できてる作品もありますしね。

女性上位の描写がいきすぎて男性蔑視になってしまっていると、さすがに不快感を無視できなくなります。
単にマウントを取るだけならそこまで言わなくていい。言い方に愛を感じないというか、ドM向けになっている。
さじ加減の問題もあるのかも。強めの表現って第三者の耳にも不快に聞こえるものですから。
でもまあ…そもそもがマニアックなジャンルだから、ツボに刺さらなかったとしても仕方ないのかな?

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