ノートPCの冷却ファンを上下逆に取り付けてみた話
自宅用のノートPCで二代にわたって発生した悩ましい不具合。それは冷却ファンのノイズです。
これまでは単純にグリスの枯渇による軸のブレや摩耗が原因ではと思っていたのですが、もっと根本的な原因が
あるのではないかと思い、ノートPCを分解して角度や向きなどいろいろ変えつつ試していました。
そのなかで、『重力が影響している』というひとつの仮説が浮上したのです。
ノートPCの冷却ファンは本体内で逆さの状態で取り付けられ、動作しています。
内部で回転しているファン(羽根)は磁力で回転軸に保持されていて、わずかに上下する程度の余裕があります。
重力というと極端ですが、タイピングの振動などが影響して微妙に下方にズレる可能性があるわけです。
この仮説が正しければ、定期的に掃除したりグリスを注したりしても効果は薄いと言えます。
仮説を検証するためふたつの実験を試みました。まずはシンプルに、動作中に下から指で押し上げてみる(笑)
冷却ファンのノイズが大きいとき、回転が止まるくらい強く下から押し上げたあと指で回して回転させてやると
グリスを注した直後くらいの静けさを取り戻すことがわかりました。
しかしこの方法では定期的に押し上げてやらねばならず、安定動作と言えるものではありません。
ふたつめの方法は、冷却ファンを上下逆に取り付ける。重力による下降を物理的になくす方法です。
冷却ファンのネジ穴の位置によっては上下逆に取り付けることができない場合があります。
実際うちのノートPCの冷却ファンは左右非対称の設計だったので、逆に取り付けるには改造が必要でした。
上下逆に取り付けるうえでもうひとつ注意しなければならないのが、正しく吸気がおこなえるか?という点。
おそらく多くの冷却ファンは上面と下面にほぼ同じ径の吸気口が開けられていると思います。
この場合は上下逆にしても吸気に影響はないはず。片面しか吸気口がないモデルは対策が必要かもしれません。
冷却ファンを上下逆に取り付けてから1週間試用してみて、音も温度も問題なく動作しています。
まず、起動時にノイズが発生しないことに大きな変化を感じますね。一日の最初が一番ノイズが大きかったので。
動作音が静かになったことに加えて、キーボード側にまで伝わってくる振動も解消されました。
もっとも懸念していた温度も平均で50℃前後、高負荷時も55℃程度なので安心して見ていられます。
(高負荷といってもせいぜいYouTubeでライブ配信を見るくらいなので、それ以上の負荷に耐えるかは不明)
うちのノートPCはもともと必要以上に回転数を高くするクセがあって、回転数を制御するフリーソフトを入れて
静かに冷やすようにしてあるのですが、それでも上記の温度なのできっと大丈夫でしょう。
今後も監視を続けていきますが、ひとまずノイズ解消の効果があったと言えるのではないかと。
それにしても、世の中のノートPCはどうして冷却ファンを逆さに取り付けているのか。甚だ疑問です。
最初から上下逆であれば購入から数年後にユーザーが悩むこともないのに…いや、そこがもう認識のズレなのか。
メーカー側は同じノートPCを何年も、物理的不具合が生じるまで使い続けることを想定していないのかも。
PCの静音化は結構な深さの沼であり、どこかで引き際を見極めないと逆にストレスになってしまいます。
今回の検証でノイズの解消にはつながりましたが、頭のどこかで原因を意識し続けることにはなるはずです。
「いまは静かだけどまたうるさくなったらどうしよう?」とか「改造した部分が壊れないか?」とか。
つまり、実際に音を発しているかどうかではなく『発生源が存在するだけでノイズになる』が正解なんですよね。
機嫌よく回っているのにムダに顔色を意識してしまったり。人間関係に近いかもしれません。
人間関係の場合、どこかで他人を他人として切り分ける必要があると思います。
自分とは違う人生、人格である。自分がケアする義務のないものであると(良い意味で)諦めるのが大事です。
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