2023年 春アニメ総括
■好評価作品
「江戸前エルフ」
「スキップとローファー」
「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」
「僕の心のヤバイやつ」
■ピックアップ作品
「異世界召喚は二度目です」
「勇者が死んだ!」
「ワールドダイスター」
■好評価継続作品
「ヴィンランド・サガ」2期
「BIRDIE WING」分割2クール後半
■6月中に放送終了しなかった作品
「地獄楽」最終回のみ
「機動戦士ガンダム 水星の魔女 Season2」最終回のみ
「事情を知らない転校生がグイグイくる。」最終回のみ
「君は放課後インソムニア」最終回のみ
「神無き世界のカミサマ活動」最終回のみ
「青のオーケストラ」2クール
「TIGER & BUNNY 2」2クール
「贄姫と獣の王」2クール
◇その他備考
「魔王学院の不適合者Ⅱ」(冬 → 夏)7月からあらためて放送開始
「あやかしトライアングル」(冬 → 夏)7月からあらためて放送開始
「Nier: Automata Ver.1.1a」(冬 → 夏)7月に残り9話以降の一挙放送が決定
今夏は電気代の値上げだなんだで、アニメやゲームを趣味とする自分はちょっとだけ肩身が狭い思いをしてます。
アニメひとつ見るにも電源を入れる機材が結構多くて。かといって省エネを志すにも限度があるし。
徹底的に我慢して、それで楽しく暮らせるわけでもないし。変えたくない部分は変えないでいいかなと思います。
気が付けば既に7月。考えたくもない前置きはこのへんにして、春アニメの振り返りをしていきましょう。
今期はラブコメが強かった印象。数がそろっていたこともさることながら、傑作ぞろいだったこともあり。
原作が更新されるたび話題になっていた「僕ヤバ」は、人気の理由を今回のアニメで理解できた気がしました。
これは話題にしたくもなる。海外でも右肩上がりの評価だったそうで、恵まれたアニメ化になったのでは。
ほかの作品も甲乙つけがたく、今期のラブコメ作品からオススメをひとつ選べと言われたらかなり悩みそうです。
自分が挙げた上位の作品はどれも見終えたあと幸せなキモチになれる作品ばかり。偏りましたね。
特に「江戸前エルフ」と「スキップとローファー」は強かった。二大ハッピーオーラのアニメと言っていい内容。
「U149」もジャンルは違えど多幸感の強い、そして緻密でよく考えられた作品だったと思います。
今期の特徴としてもうひとつ、『放送終了後特番』という形式を取る作品が妙に多かったことが挙げられます。
従来あまり見られなかったこの形式が増えたのは、おそらくコロナの影響で休止を挿んでもいいようあらかじめ
スケジュールに余裕をもたせて作っていた影響なのでは?と、月並みな想像をしています。
総集編ではなく打ち上げ的な座談会だったり、続編発表の場として使われたりと、特番として健全な使われ方を
していたように感じたのは、自分がアニメオタクの視点で見ていたからかもしれません。
出演声優たちに一切興味がない視聴者からすれば、よくわからん特番に一話分取られたように感じたかも。
実際そんな、よくわからん女の子たちがしゃべってるだけの特番なんてのもなかにはありましたからね…。
ピックアップ枠に挙げた3作品はどれも、見ている途中から「意外とよく書かれているな?」と思ったもの。
「異世界召喚は二度目です」はアニメーション部分の仕上がりはアレでしたが、お話はわかりやすくおもしろく
それを限られた材料で丁寧に伝えようという配慮が見えて、今期の異世界モノのなかでも好感触だった作品。
ただ、本作に関しては周囲と評価が噛み合っていないことを自覚しています(笑)あくまで個人的なお気に入り。
「勇者が死んだ!」は少年マンガ的な魅力が凝縮された傑作だったと思います。サービスシーンも含め。
女性陣の脱ぎっぷりがあまりにも清々しく、特に後半はサービスとして機能しなくなっていった気さえしますが。
笑わせるところではしっかり笑わせ、戦いでは頭脳戦で逆転劇を見せてきちんと締める。
見た目や設定のおふざけ感のわりにすごくしっかりした内容で、いろんな意味で意外性の塊だったなと。
旧サンライズの新規IP「ワールドダイスター」はソシャゲ原作アニメとしての不安が当初はありました。
本作独特の『センス』なる能力が開示されてからリアリティラインがぐっと下がって、結果として見やすくなり
それが当たり前になった中盤以降、演技論の衝突などが評価をがらっと変えていった感じがします。
気になるのは、これをゲームシステムにどう落とし込むかですよね。どんなゲームになるのか想像できません。
継続作品のなかでは、一週間の始まりに見る内容ではない「ヴィンランド・サガ」が圧倒的存在感を放ちました。
心が震えるアニメ。戦わずして平和を勝ち取るための小さな一歩、勇気ある決意がいまの時代に特に響きます。
「BIRDIE WING」は最後まで熱い、ゴルフを題材にしたアニメとは思えない勢いが途切れず。
冬アニメとして放送がはじまって中断以降、長らく音沙汰がなかった「Nier: Automata Ver.1.1a」はようやく
残り4話分の放送日程が発表されましたが、1話からあらためて…ってわけにはいかなかったようです。
さて…本稿を「水星の魔女」2期最終回の直前に書いております。見てから書いてもよかった気はしますが。
いや~…もう、夏アニメのことなんか考えたくない。考える余裕がない。新番組のチェックもしていません。
なのに6月中に初回90分で前倒しで始まる新作があったり、初回2時間を予告する秋アニメの話が来ていたりして
作品の内容ではなくその数字の大きさがすごく負担に感じるようになってきました。
なんかこう…法律で制限とかできないんですか(笑)このまま好き放題やられたら際限がなくなりますよ?
これはあくまで個人的な評価の話なのですが、今期は前評判の大きな話題作ほど芳しくなかった印象があります。
"あの作品"に話題を掻っ攫われてしまったことも原因のひとつと言えるかもしれません。
「推しが武道館いってくれたら死ぬ」の原作者・平尾アウリが実写版の劇場公開に向けてインタビューで語った
原作を書き始めるにあたって考えたことが印象的だったので、引用して紹介しておきます。
アイドルを扱う作品における『リアル』の取り扱いは、作家ごと作品ごとにそれぞれ違いが見えます。
"アイドルの闇"みたいなものを描く話はほかにもいっぱいあるから、それを見たい人はそっちを読んでもらって
私はこの方向で行こう、と差別化の意図も含めて「推し武道」を書き始めたそうな。
たしかにアイドルを題材にした、あるいは劇中にアイドルが出てくる作品は、裏の表情をもつ描き方をしている
作品があまりにも多くて、そういうものを読みたい、書きたいという潜在的欲求の濃さが窺えます。
でも、アイドル好きな人が現場で感じている魅力はそこではないし、そんなもの見たいとも思っていないはず。
アイドルの現場に精通する作家が書くアイドルものには共通する『匂い』があると個人的には感じていて。
そんな嗅覚の判断で、今期社会的にも話題になったあの作品を自分はあまり話題にしたくなかったのです。
あの作品を話題にすることは、評価することは、内容を肯定するのと一緒だなと思いまして。
ああいうものを好む人はあっちを見てもらって、自分は自分の好きなものを褒めていこうと思った次第です。
ただ、一応言っておくとおもしろくはありましたよ。おもしろいかどうかと好き嫌いはまた別の話なので。
『おもしろいけど好きになれないアニメ』という状態はしばしば起こりうるものなのです。
『好きなアニメ』はおもしろくない時期があっても『好き』という気持ちがあるので最後まで見続けられます。
対して、『おもしろいアニメ』はおもしろくない時期が来ると当然ですがおもしろくなくなってしまいます。
あの作品は『おもしろいけど好きになれないアニメ』から始まり、後半に向かうに連れておもしろさが薄まって
『あまりおもしろくないし好きになれないアニメ』に変化していったと自己分析しています。
『好きになれない』から『好き』になるのは難しいですね。拒否の感情は好意よりもずっと根深いのかも。
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