2024年8月28日 (水)

「Solitaire Mahjong Classic」のスコアの謎

「急にどうした?」と思われるかもしれませんが、Microsoftの現行のブラウザ「Bing」のサイドバーのなかに
ゲームという項目を見つけまして。こういう機能もあるのか!と思ったのがそもそもの発端でした。


Solitairemahjong_result1

ブラウザ上で動作する海外製のゲームが数多く提供されており、以前から興味がありプレイしたいと思っていた
「上海」によく似たゲーム「Solitaire Mahjong Classic」もあったのです。
おそらく「上海」のほうであれば聞き覚えのある方も多いのではないかと。
元祖はあのActivisionがMac向けに開発したタイトルで、日本ではサンソフトのファミコン版が馴染みある存在。


Solitairemahjong_result2

盤上に積み重ねられた麻雀牌の山から、同じ絵柄の牌を2個ひと組みずつ取り除いていくゲームです。

上に他の牌が重なっていたり、左右を他の牌に挟まれている場合は取り除くことができません。
上の画像にある代表的な『龍配列』では全144個、72組をすべて取り除くことができればクリア。
(「Solitaire Mahjong Classic」に収録されている配列は『龍配列』1パターンのみです)
取り除く順番を誤るなどして手詰まりになった場合は、自動的にゲームオーバーという扱いになります。

サイドバーで発見してから約1か月、毎日2~3回はプレイし続けていたでしょうか。結構ハマってしまいまして。

で、ここからが本題。本作をクリアするたびに、クリア時のスコアが毎回微妙に違うことに気付きました。
すべての牌を取り除いているのになぜスコアが同じ数値にならないのか。疑問に思ったわけです。


Solitairemahjong_result3

「Solitaire Mahjong Classic」のスコア計算は上の画像のようになっています。
15分という制限時間はありますがクリア時間はスコアに一切影響せず、牌のみで加点されていきます。

萬子(マンズ)がもっとも配点が低く、筒子(ピンズ)、索子(ソウズ)、字牌の順に上がっていきます。
一般的に麻雀牌のセットには同じ絵柄の牌が4個ずつ用意されており、全144個と言われることが多いようですが
これには花牌や季節牌は含まれておらず、花牌と季節牌も4個ずつ含まれていたら全168個になるはずです。


 萬子(1~9)、筒子(1~9)、索子(1~9)、四風(東西南北)、三元(白發中)、花・季節(各4)
 42種類×4個=全168個


先述の『龍配列』は全144個。つまり24個足りないんですよ。どれかが
クリア時のスコアが毎回同じ数値にならない原因はここにあると確信し、検証のためプレイ動画を撮影しました。

撮影時のスコアは1145点。取り除いた牌の組み合わせを一手ずつメモしていったところ以下のような結果に。


Solitairemahjong_result4

盤上に2個しか配置されなかった絵柄が12種類、計24個でちょうど足りない牌の数と一致しました。
プレイに集中しているときはまったく気付きませんでしたが、萬子などにも2個しか配置されなかった牌があった
みたいで、配点が高めの索子に集中したことが1145点という低い得点につながったのかもしれません。

…「低い」って言われても経験がないとわかりませんよね。高いときは1200点を超えるゲームなんですよ。


Solitairemahjong_result5

まとめると、本作の『龍配列』72組は毎回ランダムに配置され、良いパターンを引ければスコアが上がる仕組み。
おそらくすべての絵柄が最低でも2個配置され、どれかが欠けるようなパターンは発生しないと思われます。

理論上の最高スコアは2個配置が萬子と筒子に偏ったパターンで、たぶん1295点…で合ってるかな?

ちなみに自分の自己ベストは1255点だったようです。ってか、記録が残されること自体今回初めて知りましたが。
本作のスコアは2周目との合算でランキングされており、上位勢はみな2周連続クリアしている模様。
自分は1回クリアしたらいつもやめてしまっていたので…機会があれば2周目にも挑戦してみたいと思います。



Solitairemahjong_result6

悲しみのスクリーンショット。ごくたまにあるんですよね…クリア間近で『詰み』に気付くときが。
こういうケースも含め、1回が5分~8分くらいのあいだに収まる遊びやすさも本作の魅力のひとつだと思います。

サイドバーのゲームにはたまに掘り出し物もあります。オススメは「Words Detective Bank Heist」

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2024年8月13日 (火)

「Satisfactory」石油の時代に突入

Satisfactory07

「Satisfactory」のプレイ時間が50時間を突破。現在フェーズ3突破のため地道に生産を続けております。

50時間といってもそのうちの1/3ぐらいは半放置の監視状態、ながら見の生産待ちだったと思いますが。
原油採掘燃料発電機がアンロックされ、電力に関する悩みがさらに解決されるかと思いきや意外と変化がなく
燃料発電を運用するにあたって必要な設備の数を考えるとむしろ石炭発電より厳しくなった気さえします。


Satisfactory08

燃料発電機は液体燃料の供給のみで発電できる代わりに、燃料を精製する過程で副産物が出てきます。
この副産物の処理を考えるのが結構めんどくさいというか…液体燃料とともに精製される合成樹脂は精製すれば
プラスチックやゴムになるのですが、燃料精製とは別にもうひとつ精製機が必要になります。
一機あたり30MW消費する精製機をふたつ。これだけで燃料発電機の発電量の約半分をもっていかれるのです。

合成樹脂を精製するには水も必要で、水を供給するには揚水ポンプが必要で。追加で20MW消費。
原油を拠点に送るものと、燃料発電機に送るものとで抽出機がふたつあって。さらに80MWの消費。
気が付くと燃料発電機の発電量150MWを超えてる…まあ、すべてが常時稼働してるわけではないのですが。

こうして考えると、石炭発電は少ない設備で運用しやすかったなぁと思えてしまうんですよね。
大量に必要になる石油製品の生産のほうがメインで、発電が副産物と捉えたほうがいいのかもしれません。


Satisfactory09

アチーブメントとフェーズの突破に必要な資材は、だんだんと必要な材料の数が増えて苦しくなってきています。
ヘビー・モジュラー・フレームコンピューターの量産がホント重い…特にネジが飛ぶようになくなっていく
代替レシピを見つけるまでは大変でした。たまたま見つけた『鋼鉄のネジ』のレシピにかなり救われています。

代替レシピというのは、惑星のあちこちに墜落している宇宙船をこじ開けることで入手できるものです。
ネジは通常、『鉄のインゴット』→『鉄のロッド』→『ネジ』と段階を踏んで加工していく必要があるのですが
代替レシピがあれば上位素材の『鋼梁』から一度に大量に生産することができるようになります。
オマケに製作機ひとつで済むようになるため、設置面積や消費電力の面でもメリットだらけ。

なので、生産などの待ち時間には積極的に宇宙船などの探索に出たほうがいいでしょう。
危険生物との遭遇などリスクもありますが、探索に出ることで待ち時間の短縮につながる発見もあるということ。



フェーズ3突破までかなりの時間がかかるであろうことが予測されるのと、そろそろ前のゲームに戻らなければ
という個人的な問題があり、一旦「Satisfactory」から離れる可能性があることをここでお伝えしておきます。
各種ソシャゲの夏イベントもだいぶ落ち着きましたしね。ただ、「NIKKE」のメインも進めたいんだよなぁ…。

メインストーリーを進めていないせいなのかはわかりませんが、他の人とくらべて戦力がメチャクチャ低いのが
最近気になっておりまして。遊び方を間違えているのか、それとも大事な何かを見落としているのか。

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2024年7月22日 (月)

近況:「Satisfactory」はじめました

Satisfactory01

以前からオススメされていた「Satisfactory」を購入してしまいました。理由はふたつ。

本作は2019年からアーリーアクセスという扱いでSteam上で販売されていましたが、それが今年の9月に正式な
販売へと移ることがようやく決定、同時に価格改定をおこなうと発表されたのです。
現在の販売価格から10ドルの値上げ。値上げを目前に控えて半額セールがおこなわれてたらどうなりますか?
「それはいま買っておくでしょ!」と、わかりやすい誘導に乗せられて買ってしまったわけです(笑)

もうひとつは、購入を検討するためいくつかの実況動画を見たところ、本作の内容が自分の性格にわりと向いて
いそうだったから。ストーリー性のない、いわゆる工場自動化系のゲーム。


ただ、現在レビューを執筆中のタイトルが他にあるのに新たに買い足すのはどうなのか?とだいぶ悩みまして。
特に直近1か月はプレイ中のソシャゲが一斉にイベントを開催しており、それだけでも重荷な状態で。
確実に時間を喰われるであろう本作に手を出すのは致死性の高い自殺行為ではないかと。確信がありました。


とりあえず買うだけ買って、動作確認ができたら後回しにしてしまえばいいだろうと思ってたんですね。
できなかった。大量のアニメやゲームのストーリーに圧迫された脳に、すっと入り込んできてしまいました。

あと、本作はゲームの性質上クリアしてレビューを書くのは不可能だと思ったので、こうして先に書くことに。


Satisfactory02

「Satisfactory」は、未開の惑星に単身送り込まれた主人公が現地調査をおこなって、獲得した資源を惑星外へ
送り出すために必要な施設を、現地の資源で建造するところから始める工場設営シミュレーションです。

緑地が広がる惑星や不毛の荒野の惑星など、難易度の異なるいくつかの惑星から候補を選びます。
惑星に降下して資源の採掘地点をスキャン、最初に必要な鉄鉱石や銅鉱石を発見したら、まずは手掘りから始め
集めた素材から携帯式の採掘機、大型の電動採掘機へとステップアップしていきます。


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HUBと呼ばれる拠点の端末を見ると、プレイヤーが次に達成すべき要求(目標)を確認できます。
たとえば鉄製品と銅製品をそれぞれ何十個。それらを上に送ると、建設可能な施設がアンロックされていきます。
要求はどんどん多く難しくなり、それに応えるための施設も増え、工場は次第に大きくなっていきます。

「効率よく生産するにはココとココがつながってたほうがいい」とか、改善案が次々と出てくるんですよね。
生産ラインを一旦止め、満足いくまで再配置してたら30分~1時間くらい溶けてたなんてのはよくある話。


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でも短時間でできることもたくさんあるし、放置して待つだけの状況も結構あるので付き合いやすいんですよ。
「始めたら確実に1時間はかかる」とか「終わるまで何十分かかるかわからない」みたいなゲームに囲まれてると
本作の気軽な始めやすさと止めやすさ、他の趣味との共存しやすさがすごく魅力的に見えてきます。
それでいて、プレイしていない時間も次のことを考えられる。食事中とか入浴中などに。

多くのプレイヤーが長く本作を続けている理由はおそらくその付き合いやすさにもあるのではないかと。
まあ…それにしたってアーリーアクセス期間が5年は悠長すぎると思いますけどね(笑)


Satisfactory05

資源や施設はさておき、本作でもっとも頭を悩まされるのは電力の供給かもしれません。

惑星に降り立って最初に建設するHUBにも発電機はついているのですが、燃料は現地で調達する必要があります。
いきなり水力や石炭に頼れるはずもなく、もっとも原始的な燃料である草木の伐採から始まるのです。
チェーンソーを開発できると多少早くなるのですが、チェーンソーを動かすにも燃料は必要なので…。

電力供給を安定させるには燃料の継続的な確保が必要で。他に集中してたら工場が止まってたなんてことも多々。
精神的な意味でも、落ち着くのは石炭発電機を建設可能になったあとでしょうね。
石炭発電機にも石炭と水を供給するための採掘機やポンプは必要ですが、一度はずみがつけば石炭発電機自身の
発電で採掘機やポンプを動かせるようになる
ので、半永久的な発電機関が完成するわけです。

ただ、石炭と水がちょうどいい感じの距離に配置されてるとは限らず…ふたつを結び付けるのもまた大変。
荒野をまっすぐ貫くパイプラインや送電線ができてしまうのもまあ一興かなと。


Satisfactory06

予定していたよりだいぶ長く書いてしまいましたが、まだ10時間にも満たないプレイ時間でここまで書けるので
少なくともその10倍、20倍は遊べてしまう魅力があるゲームなのだと思います。
でもホント、ほどほどにしておかないとな…予定していたゲームがマジで進まなくなってしまう。

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2024年6月29日 (土)

ゲームレビュー 「Freshly Frosted」

Freshlyfrosted01

[プラットフォームと購入方法]
Epic Gamesストアで2024年6月21日から6月28日の1週間限定で無料配信。


[クリアまでにかかった時間]
Epic Games上の表記で8時間50分


Freshlyfrosted02

[ゲーム難易度]
パズルゲームとしては標準的。特別難しいものを除いて、1ステージあたり3分前後で切り抜けられるはず。
各ステージで2段階のヒントを要求できるので、行き詰まりを感じる前にどんどん利用していこう。
ヒントを要求しても実績などには影響しない。逆に、ヒントを見ると解除できる実績がある。

全12ボックス(テーマ?)各12パズルで構成されているが、段階的に難しくなるわけではない。
次のボックスに進むたび新要素のチュートリアル的なステージを挿むため、どのボックスも前半は比較的簡単。
体感ではボックス4が序盤の大きな山、12ボックスの終盤が難関。一番最後は意外と簡単。


[実績・トロフィー難易度]
全78種類とかなりの量だが、大半はクリアの過程で自然に解除されていく。なので解除ペースはかなり早い。
クレジット画面を見るだけで解除される実績が7つもあり(笑)だいぶ水増しされていると思っていい。
ちなみに筆者のクリア時の解除率は65/78種類で83%となっていた。
クリアしたはずのステージのクリア実績がいくつか抜けていたが、再度クリアすると無事解除できた。

解除条件がわかりにくい「Noncommittal」は、ベルトコンベアーの全消しを短時間に繰り返せばいいだけ。
ボックス1のパズル1でいいので、開始して『3マス配置しては全消し』を何度も繰り返してみよう。


Freshlyfrosted03

[良いところ]
・いわゆる『工場自動化系』とパズル要素を組み合わせたようなゲームシステム。操作はシンプル。
・カラフルな画面、BGMとシンクロするベルトコンベアーは見て聞いて気持ちいい。
・値段を超えるボリューム。この価格帯にしてはオプションの項目も多岐にわたっており日本語訳も丁寧なほう。


Freshlyfrosted04

[悪いところ]
・ボックス11のクローン機能。投入されたドーナツを仕様に沿って複製しない場合がある。

上の画像がその一例で、ベルトコンベアーの流れは同じなのだが1マス違うと複製の結果が変わってしまう
本作の隠された『周期』に合うよう、ベルトコンベアーの長さで調整してあげないといけない。


Freshlyfrosted06

[どちらとも言えない]
・プレイヤーが困っていそうな場面で的確なアドバイスを与えてくる。ちょっとうるさく感じるかも?
・箱の大きさの都合もあってか、解き方が複数あるパズルはほぼ存在しない
・早回しにしたうえで長時間放置しないとクリア条件を満たせないパズルがごくたまにある。
・撮影や配信をしようと思うと、全体を捉える視点からほぼ動かない画面に少し不満を抱いてしまう。


Freshlyfrosted05

[寸評]
The Quantum Astrophysicists Guildが開発した「Freshly Frosted」は、オーブンから次々出てくるドーナツを
ベルトコンベアーで誘導して、指定どおりのデコレーションをしたあと所定の位置に納めるパズルゲームだ。

デコレーションは重ねられる順番が定められており、最大で4種類、1から順でなければ重なってくれない。
そのルールを利用して、たとえば1番目だけ乗せた状態で3番と4番の機械を素通りさせるテクニックがある。
他にもベルトコンベアーの合流や分配、特定のデコレーションがされたドーナツのみを隣のレーンへと押し出す
装置などを利用して、一見簡単そうに見えて複雑な要求をクリアしていくことになる。

終盤になるとドーナツをワープさせる装置や、入れたドーナツをクローン複製する装置なども登場する。
ベルトコンベアーを高速で流れる大量のドーナツを見つめているとクッキーを焼いていた日々を少し思い出す。

一応キーボードでも操作可能だが、左クリックでベルトコンベアーを敷設、右クリックで除去を覚えてしまうと
あえてキーボードに戻ろうとは思えなくなるくらいスムーズにプレイすることができる。
わかりやすく楽しく、それでいて安価でボリュームがあり、1週間くらいは余暇の相手になってくれるだろう。


[オススメ度]
あらゆる層にオススメ。ただしリプレイ性はほぼないので、やり込みたい人にはあまり向いていない。

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2024年5月28日 (火)

ゲームレビュー 「Jusant」

Jusant01

[プラットフォームと購入方法]
Steam版をセール期間中に2,117円で購入。

[クリアまでにかかった時間]
Steam上の表記で7.8時間
本作は任意の地点でセーブができず、ゲーム再開は最後に通過した『見えないチェックポイント』からとなる。
(画面の右上にセーブ中のアイコンが表示されるので、チェックポイント通過の確認は可能)
この仕様を知らないでいると、前回中断した地点から大幅に戻されて再開する場合がある
一度に短時間しかプレイできないなどの理由で中断が多いと、それだけクリアまでの時間も長くなってしまう。

[ゲーム難易度]
敵や戦闘といった要素が一切なく、難しいところといえば時間制限のある場面で操作が忙しくなる程度。
どこから上へ登れるのか、正しいルートはどれか見極める観察力も多少は求められる。
そのルートについても、ある程度はヒントが表示されるし追加でヒントを求めることもできる。


Jusant02

[実績・トロフィー難易度]
全21種類。半分はクリアまでの過程で解除される。一部特殊な動作に関わる実績が用意されている。
序盤に基本操作についてのヒントが表示されるが、実績に関わる一部の『相棒』の操作はヒントがない。
フレスコ画など、あきらかに何かが起こりそうな場所では『相棒』の反応を確認するクセをつけておこう

収集系実績の進捗はクリア後にチャプターセレクトの画面から確認可能。
『相棒』からヒントを得られるのは第2章以降となるので、第1章の収集物は自力で見つけるしかない。
基本的には一本道だが、複数のルートがある場面(第1章最後の塔など)では収集物を見落としやすい。
特に各章のゴール付近は探索を終える前にゴールしてしまいがち。法螺貝を吹く前に探索は済ませておこう。

注意点として、ニューゲームを始めるとチャプターセレクトを利用できなくなってしまう問題が挙げられる。
進捗は引き継がれるが、できれば収集物の穴埋め中はニューゲームには触れないようにしよう。


Jusant03

[良いところ]
・現実どおりに三点支持を守り、ハーケンとロープで確保しながら登っていくクライミングアクション
・かつて人が暮らしていた形跡に思いをはせる楽しさ。廃墟好きな人にもオススメできそう。
・効果音や環境音へのこだわり。プレイ環境周辺の騒音などに合わせて詳細なセッティングが可能。

[悪いところ]
ストーリー性が希薄。主人公と『相棒』が何者か、何のために登るのか、理由付けがないまま始まる。
 (道中で読める文献からある程度の推測はできるのだが、推測の域を超えるものではない)
・文献の位置や重要な場所を教えてくれるヒント機能はあるが、遠近感が乏しく正確な位置がわかりづらい。

[どちらとも言えない]
・ハシゴを登るときでも基本の三点支持を守らされる。安全第一。
・システムから想像しうる最高難易度に到達する前に終わってしまい、やや物足りなさを感じる。
・プレイ環境によっては影の表現が正常になされず、画面の印象がだいぶ変わってしまう(後述)

第5章の冒頭、フォグの表現がおかしくなって画面がホワイトアウトする場合があるが、ポーズで解決できる。


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[寸評]
フランスのDON'T NODといえば「Life is Strange」のシリーズを真っ先に思い出す人が多いであろう。
「Jusant」は2023年に同社がリリースした、パズル的な要素を含んだアクションアドベンチャーゲームである。

本作をひとことで言い表すと、ひたすら壁を登って上を目指す。全編ほぼ移動のみで構成されている。
自分が過去にプレイしたゲームでたとえると、トゥームレイダー新生三部作の壁登りだけを切り出したみたいな
ある意味では理想的な潔さ、純粋に壁登りの魅力を楽しむことができるゲームとなっている。


Jusant05

本作ではタイトル画面の前にコントローラーでのプレイを推奨するメッセージが表示される。
コントローラーの左右のトリガーがそれぞれ右手と左手を担当し、どちらかの手で壁にしっかりと捕まったまま
アナログスティックで次の手掛かりに目を向け、空いた手を伸ばしてトリガーを押し込んでホールド。
いわゆる三点支持の動作が疑似的に再現されており、コントローラーが推奨される理由に納得ができる。

最大3箇所まで任意のポイントにハーケンを打ち込み命綱を確保する、セルフビレイがあるのも特徴のひとつ。
ときにはロープを長く伸ばしてスイングアクション。勢いをつけて壁を蹴り遠くの手掛かりをつかむ場面もある。
人間離れした握力と忍耐力には見えてしまうが、ひとつひとつの動作が"その気にさせてくれる"のだ。


「移動が楽しいゲームは最後まで楽しい」とはこのブログで繰り返しお伝えしてきたことである。
ただし、移動はあくまで手段であり目的ではない。ゲームにおいては目的を達成するのに必要な手段のひとつだ。
誰かに会いに行く、荷物を運ぶ、魔王を倒して囚われの姫を救う。その目的を達成するための手段が移動だ。
そう考えると、本作には手段だけがあって目的が見えず、どこか実験的な、不完全な印象を受けてしまう


Jusant06

ゲームを開始していきなり砂漠にそびえ立つ巨大な塔を登らされる。理由も、主人公の名前もわからないまま。
本作には登場人物が1人と1匹しかおらず、彼らは言葉を交わさないのでセリフらしいセリフがない。

塔に残された手紙や手記がおもな情報源であり、そこから次第に『人がいなくなった理由』が見えてくる。
人々の暮らしの形跡をたどっていくうちに、この世界に起きたこと、誰かがなすべきことがわかっていく。
「目的が見えてくるまで手段を続ける」という、順番があべこべな状態であることに気付く。

旅とはえてしてそういうものかもしれない。歩いているうちに目標が定まる。人生にも重なるところがある。


Jusant07

すべてはプレイヤーの受け取り方次第。最後までわからないまま終わってしまう人もいるはずだ。
共通の体験を通して何を感じるか、プレイヤーに委ねられているゲームと言えるだろう。
だが、ただ登ることを楽しみに、登ること自体を目的にプレイしてしまってもまったく問題はない。
プレイヤーにできることがほぼ変わらないまま、難しくなっていく壁に応え続けるだけでも楽しいゲームだ。


Jusant08

[オススメ度]
・登山やロッククライミング、ボルダリングの要素があるゲームを探している人。
・「ナウシカ」や「ラピュタ」あたりのジブリ作品、「メイドインアビス」などの冒険物語が好きな人。
・「Journey(風ノ旅ビト)」などの世界観、雰囲気が好きな人。

以上の条件に当てはまる人であれば抵抗なくオススメできる。



Jusant09

ここしばらく『いつかプレイしようと思っていた心残りのゲーム』が続いていましたが、それがようやく終わり
いよいよ『最近発売した注目のタイトル』に着手し始めました。その1本目が今回の「Jusant」です。
発売日はなんと昨年の10月末。当ブログで扱うタイトルでこんなに若いゲームはなかなかありません(笑)

うちの無印Xbox Oneでは買うことすら許されなかった本作。Steamならとりあえず買うこと自体はできるので
あとは起動するかどうか、プレイに支障のないレベルで動いてくれるかが焦点でした。
本作はSteam Deckでの動作が保証されているので、画質設定を最低まで下げればなんとかなるのではないかと
期待しつつ、頭の一方では返金手続きを覚悟しつつ購入したところ、プレイ可能なレベルで動いてくれました。

解像度を1280×720、全画面表示、アンチエイリアスをTSRからAMD FSR 2.0に変えるとだいぶ快適に。
他は任意でいいと思いますが、エフェクト品質(煙などの描写)だけは高めにしておくことをオススメします。


Jusant10

 (左の2枚はチャプターセレクト画面と最高品質の表示例、右の2枚は当方の環境の表示状態)

チャプターセレクトの画面と見比べて驚いたのですが、影の表現が全然違います…暗いところが暗くならない
おそらく「Jusant」の影の表現がレイトレーシング技術ありきで作られているからだと思います。
なので、ハードウェア的に対応していない場合は設定をどう変更しても暗くならないままなのでしょう。
やはり推奨環境でプレイすべき…それでもPC版なら幅広い環境でプレイ可能であることを伝えたかったのです。

余談ですが、主人公の名前は一応設定されてるんですよね。スタッフロールに声優の役名として書かれています。

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2024年5月16日 (木)

近況:いろんなゲームで遊んでいます

Metroexodus11

気が付けば今月一度もブログを更新していない…でもこれといって大きなネタもない時期なので、近況報告でも。

「Metro Exodus」本編をクリアしたあと、Gold Edition付属のふたつのDLCをプレイしていました。
現在「サムの物語」の途中まで進んでいるところで、「2人の大佐」はクリア済みです。
それぞれ本編のチャプターひとつぶんの長さがあり、本編には登場しないDLC限定の武器を使えるのが特徴。
特に「2人の大佐」で登場する火炎放射器はDLCならではの爽快感があります。好きなだけ汚物消毒ができます。

「2人の大佐」はストーリーもすごくいいんですよね。本編終盤で感動した人は絶対にプレイしておくべき内容。
ノヴォシビルスクで出会ったキリルの父・フレーブニコフ大佐がどのような人物であったかが描かれています。
本編で故人であることが既に知らされているので最後は…なのですが、大佐同士の絡みに胸が熱くなります。

ムービーシーンの見せ方も本編以上にうまいんですよね。同じ場所の過去と現在のつなぎ方が本当に巧みで。
そして本編でも感心の出来だった日本語吹き替えがDLCでも徹底されています。


レビューを執筆予定のタイトルが現在ほかに1本進行中。おそらく今月末までには掲載できるんじゃないかと。


Nikke_gov19

ソシャゲのほうはプレイ中の3作品に同時にイベントが来て大変でした。ブログのネタが枯渇した原因かも。
「NIKKE」の過去のイベントのミニゲーム「MEMORY OF GODDESS」に再挑戦中に1.5周年イベントが到来。

1.5周年の大型イベント「LAST KINGDOM」が絶賛したくなるほどの出来で。
たった3週間のイベントにこれだけの手間をかけられる本作のコンテンツ制作規模はホントすごいと思います。
フルボイスにアニメまで。すべてを見終えたとき、一本のゲームをクリアしたときくらいの充足感がありました。

今回のイベントのミニゲーム「FOR THE KING」はいわゆるタワーディフェンスタイプのRTSでした。
個人的にタワーディフェンスってすごくニガテ意識があったんですけど、本作はわりと楽しめたほうでしたね。


Alchemystars44

ここのところ復刻イベント続きだった「白夜極光」は、セファーをフィーチャーした夢境イベントが開始。
正直あんまり好きじゃないんですよね…夢境。完走しようと思うと終盤の難易度がいつもキツくて。
運営側が想定している"夢境向きのキャラ"がそろわないと完走できない調整、と言ってしまってよいかと。

「白夜極光」はレベルキャップがほぼ変わらないまま続いているため、手持ちのキャラを育て切るとそれ以上は
戦力強化ができず、有能なキャラを入手できているかどうかのガチャ運勝負のゲームになりつつあります。
それにくらべると「NIKKE」のイベントは始めたばかりの新規層でも完走できるよう調整を維持してるあたりに
すごく好感をもてるんですよね。同時進行しているので余計に「NIKKE」の評価が高くなります。


Alchemystars45

あと最近気付いたことですが、「NIKKE」はスマホの縦画面でプレイするのを前提に作られているゲームなので
ストーリーの一行あたりの文字数(セリフ)が短く、少ないセンテンスで伝えられるよう工夫されています。
「白夜極光」の文字数は視界にはいったときに受ける『圧』が大きい(笑)読む気が失せがち。

これについてはもう良し悪しというより付き合っていけるかどうか、好みの話になってしまうかもしれません。
文字数の多さをボリュームと捉えて、ライターが書きたいことを一切削ることなく詰め込んだ長文に付き合える
時間的・精神的に余裕のある人なら、現行の「白夜極光」にも満足できるのでは。
『現行の』という言い方をしたのは、サービス開始から3年でだいぶ性質が変化してきているのを感じるからで
自分が魅力を感じていたメインストーリー第一部のころとは運営方針が違ってきた気がするのです。


Bsbs38

ブログでは本当に久し振りに話題にしますが、「ブレイブソード×ブレイズソウル」もわりと熱心に続けていて
最近のガチャで鳳凰円文螺鈿黒櫃:Blaze原罪王イミティション=ロールを運よく入手。
名前聞いても全然わからないと思うんですけど(笑)本作においてチート級の性能を誇る最高レアの2本です。


「ブレ×ブレ」では各イベントの後半にINFERNOと呼ばれるハイエンドコンテンツが追加されます。
そのなかでも『超危険』の上をいく『超絶危険』クエストには、火力不足のため毎回工夫を強いられていました。

先述の通称・黒ブレと原罪王は『超絶危険』の難易度を大幅に下げるキーパーツとなる存在です。
詳しい性能については説明を省きますが、あきらかに運営から贔屓されてない?ってレベルのスキル盛り盛りで
いままでこんなに苦戦してたのに…という強敵が秒で溶ける、戦いの常識が変わる組み合わせです。
特に黒ブレのブレイズドライブ(言わば超必殺技)はヤバいですよね。消費ゲージ4本であの性能って。

クリアできるとわかれば挑戦してみたくもなるわけで。それで最近はイベントに積極的に参加しています。
まあ『超絶危険』クリアしても一生使わない称号をもらえるだけなんですけど、達成感があるのでね。


Machinika_m01

今回紹介したタイトルのほかにも、Steamの利用が現実的になったので体験版とかをちょくちょく触っています。
コンシューマーとくらべて、Steamでは新しいアイデアが未完成のまま出てくる感じがあっておもしろいです。
プレイヤーも完成までの過程をいっしょに見守れる、いっしょに育てられる感覚があります。

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2024年4月30日 (火)

ゲームレビュー 「Metro Exodus」

Metroexodus01

[プラットフォームと購入方法]
Xbox One版(Gold Edition)をセール期間中に726円で購入。

[クリアまでにかかった時間]
約18時間。サイドクエストの探索、道に迷っていた時間も含まれるため、最短にはほど遠い。


Metroexodus02

[ゲーム難易度]
難易度を4段階から選択可能で、FPSがニガテな人向けに『ストーリー』という難易度が用意されてはいるのだが
入手できる弾薬や素材が多いだけで、敵の耐久力や出現数にはあまり違いがなさそうな印象がある。
敵の種類や距離に応じて武器を切り替え、投擲武器を出し惜しみせず使っていけば突破自体は難しくない。
ストーリー中に何度かあるボス戦ではステルスも効果がないので、ショットガンと火炎瓶の優位性に頼ろう。

進入ルートや時間帯など選択に自由度があり、工夫次第では楽に突破できる場合もある。
道に迷ったりしていると放射能の影響で死亡してしまうことも。難易度選択ではどうにもならない部分だ。


Metroexodus03

[実績・トロフィー難易度]
全68種類。そのうち本編実績は52種類で、クリア時点で25種類を解除。
敵の討伐方法の累計やマップ上に隠された日記や写真などの収集、ステージごとの特殊条件の実績などがある。
1周でコンプリートするのは不可能なので、初回は実績をあまり意識せずプレイすることをオススメする。

プレイヤーの善行や悪行によってカルマ値が変動し、グッドエンドと通常エンドの2種類に分岐する。
どのような行動で変動するかはやってみるまでわからない。行動後に鳴る効果音で一部わかるものもある。
気になる場合は先に調べておくことをオススメする。サイドクエストはだいたい善行につながる。
どちらのエンディングにも専用実績があるため、両方回収しようと思うと2周はプレイすることになるのでは。


Metroexodus04

[良いところ]
・驚異的な日本語吹き替え。ストーリー上それほど重要ではないセリフまで恐ろしい長さで収録されている。
旅の仲間たち。セリフや動作など、芝居のおかげもあって存在感にあふれている。
・オープンワールドっぽい雰囲気のある複数の大規模ステージ。探索やサイドミッション的要素もあり。
・ゴーグルを拭う、ライターで灯りをとる、ライトを充電するなど、ひと手間かかるガジェットのおもしろさ。

[悪いところ]
・オープンワールド風の大規模ステージはロード時間が長い。最長で5分ほど待たされる。
目標地点への誘導が甘い。マップの縮尺が小さく、次に何をすればいいかが具体的にわかりづらい。
・「カスピ海」のステージで四輪車の運転中にマップを開くと視点が高くなってしまう不具合がある。
(それでなくても運転にかなりのクセがあるので、長時間乗っていると酔う人も出てくるだろう)

[どちらとも言えない]
・FPSのキャンペーンモードというよりはFPS視点のRPGに近いプレイ感覚
・ホラーとは銘打たれていないがホラー要素が非常に多く含まれる。かなりプレイヤーを選ぶ内容である。
・攻撃してこないが倒せもしない、演出で周囲を歩き回る怪物。知らずに無駄に弾を消費してしまう。
・突然のゴリラ。


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[寸評]
いつかプレイしようと思っていた心残りのゲーム、最後の一本がこの「Metro Exodus」である。
当時E3だったと思うが、発表されたトレイラーの内容に感激し、いつか絶対にプレイしようと思っていたのだが
それが遅れに遅れて2024年となってしまった。冬から春に向けてプレイできたのは幸いか。

「Metro Exodus」はウクライナの4A Gamesが2019年に発売した、Metroシリーズの3作目となる作品だ。
ドミトリー・グルホフスキーの小説「Metro 2033」を原作とした同名の1作目が発売されたのが2010年。
続く2作目の「Last Light」が2013年に発売されているが、「Exodus」をプレイし始めてから「Last Light」を
プレイしていないことに気付いたため(笑)今回のレビューではストーリーのつながりに触れられない。
ちなみに筆者が「2033」をプレイしたのは2015年のことである。たしか英語版だったはずだ。

核戦争で汚染された地上を避けモスクワの地下で生活していた主人公たちが、地上のどこかにある楽園を求めて
わずかな情報を頼りに鉄路で極東へと向かう。本作ではその冒険の結末までが描かれている。


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「2033」は暗い地下を進みつつミュータントと戦う、風景の変化が乏しい前時代的なFPSという印象だった。
対して「Exodus」は地下を脱したあとの話なのでシチュエーションの変化が豊富。美しい景色も出てくるのだが
地下には収まりきらない強大で醜悪な敵に襲われる恐ろしさが感想の大きな位置を占めることになった。
「2033」にもたしかに怖いところはあったのだが、「Exodus」のそれは完全にホラーゲームである。

食人組織に巨大グモの巣穴、ヒルが粘液を吐きかけてくる腐敗した地下道など、気持ち悪さに事欠かない。
一直線に襲い掛かってくるミュータントを見るとむしろ安心する。それくらい新規の恐怖に満ち溢れている。
序盤を過ぎたあたりで始めたことを深く後悔した。美しい雪の世界なんてほんのひと握りだった。

正直に言うと自分はホラーが得意ではない。「Alan Wake」ですら知らずに始めてショックを受けたほどだ。


Metroexodus07

それでも前進したいと思わせたのは、本作で描かれる『血のつながりのない家族』の物語の魅力にある。
義理の父親のもとに集った戦士たち。旅の途中で新たな家族を迎え、家族が帰る場所を求めてみなが奔走する。
家族を生かすために命を賭して戦った先で、力尽きて見上げた空にひとすじの光明が見える。
雪に覆われた家路を進みながら、泣きながらハンドルを握っていたことを思い出すとふたたび涙腺が熱くなる。

4A Gamesが同社のタイトルのために開発したグラフィックエンジンで描かれる世界はいま見てもなお美しい。
日本語吹き替えの完成度も素晴らしいので、いまからでもぜひ日本語版をプレイしてほしい。


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[オススメ度]
高め。本作のストーリーは過去のシリーズをプレイしていない人でも問題なく楽しめるはず。
ホラーがニガテな人、虫がニガテな人には絶対にオススメできない。痛みはないが不快さがかなり高め。



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4A Gamesのキーウの制作チームはウクライナ侵攻で戦時下におかれ、複数の関係者が戦死しています。
また、原作のグルホフスキー氏に対して懲役刑が言い渡されるなど、いま起きている戦争に立ち向かう人たちに
よって手掛けられた作品であること、いまも制作が続けられていることを触れずにはいられません。

ひとりのゲームプレイヤーとして、ゲームをプレイすることで、紹介することでできる支援もあるのかなと思い
引き続き「Metro Exodus」のDLCもプレイしていこうと思っています。

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2024年3月25日 (月)

ゲームレビュー 「Death Stranding」

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[プラットフォームと購入方法]
2022年12月26日にEpic Gamesストアで無料配布。Director's Cut版ではない。

[クリアまでにかかった時間]
59時間11分38秒。エンディング後のリザルト画面で確認。難易度はNormal。
PC版で追加されたコラボ依頼のプレイ時間なども含まれるが、いわゆる100%クリアの状態ではない。
本作にはクリアに必須ではないエリアがいくつか存在し、クリア時点で2~3箇所が未開通のままだった。


[ゲーム難易度]
PC版は5段階の難易度から選択可能で、ストーリーを楽しみたい人向けのVery Easyが用意されている。
Very Easyでは敵の数や体力が極端に少なくなるため、進行上必須の戦闘を少ない手数で突破できる。
とはいえプレイヤーキャラクターの操作や配送時のルート選択など、プレイするうえで避けられない要素も多く
ゲーム慣れしていない人、アクションゲームがニガテな人だと苦しむ場面がありそう。

オフラインだと他のプレイヤーの落とし物や建築物などを利用できなくなり、結果として難易度が高めになる。
できる限りスムーズにプレイしたいなら必ずオンラインの状態でプレイしよう。


Deathstranding02

[実績・トロフィー難易度]
Epic Games版には他のプラットフォームと同じく63種類の実績があり、クリア時点で45種類を解除。
大半はクリアまでの過程で解除されるが、配送した荷物の総数など一部やりこみ系の実績も用意されている。
また、難易度Hard以上が条件のもの、隠された収集物のコンプリート実績もある。

個人差はあると思うが、実績のコンプリートを目指す場合は100~120時間くらい必要になると思われる。


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[良いところ]
移動が楽しいから最初から最後まで楽しい
・自分なりに工夫する楽しさ。荷物の積み方、ルート選択、建設する位置など好みが反映されやすい。
・風景の美しさ。岩が覗く草原も雪深い高山も素晴らしいが、雨だけは設定上どうにも疎ましい存在である。
・姿は見えないがそこにいる気配を感じられる、独特の連帯感があるオンラインの仕組み。
・繰り返し歩いたところから草や岩が取り払われ、徐々に道ができていく個性的なシステム。
・圧巻の人物描写。日本語吹き替えには小島組おなじみの声優が多数参加。
・メッセージ性を感じ取れるストーリー。線で結ぶなど、本作のあらゆる要素にテーマが込められている。


Deathstranding04

[悪いところ]
・序盤など一部のエピソードで強制される危険地帯の通行。オープンワールドの否定。
ストレスが溜まる一方の危険地帯と戦闘パート。おそらく積極的に戦わせないための調整だろう。
・四輪車の挙動。ちょっとでも傾斜のある山道を登ろうとすると、タイヤがグリップしなくなり滑り落ちる。
・国道の一部の区間で『リバース・トライク』の回転半径よりもきついカーブがあって走りにくい。
・国道の一部の区間の再建コストが高すぎる。位置も微妙に不便で、再建しないままクリアする人も多そう。
・小島秀夫監督の悪癖とも言えるエピソード09の一連の戦闘。ニヤリとはさせられるが苦笑いでしかない。
・落とし物を配送センターに預ける際、他の宛て先の落とし物も『一緒に預ける』がデフォルトなのは困る。

悪癖は言い過ぎかもしれないが、「こういうとこ小島監督作品っぽいな」と感じるポイントは随所に登場する。


Deathstranding05

[どちらとも言えない]
・自分の行動が褒められる、感謝される気持ちよさがある一方で、中盤以降はセリフをスキップしがち。
乗り物に用意されている『ジャンプ』というアクション。不自然ではあるがスタックした際の保険か。
・『カイラル・アーティスト』の存在。それまでドライだった世界に急に現れたウェットな違和感。
・国道の再建とジップラインの登場が良くも悪くも配達の常識を変えてしまう。別の次元のゲームに変わる。
・インフラ整備に夢中になりすぎてメインストーリーが停滞しがち。
・時間経過とともに朽ちていく建築物や乗り物。設定上仕方ないが世話するのも大変。特に乗り物は劣化が早い。
・いつ終わるとも知れないスタッフロール(1回目)の先に待つ丁寧すぎる解説編。少々くどい。
・設定上、配送の目的に合わせてスーツの色を変えるはずなのだが、死に要素になってしまっている。


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[寸評]
ゲーム好きを自称している人で小島秀夫の名を知らない人はおそらくいないであろう。
「Death Stranding」は小島秀夫率いるコジマプロダクション制作の、分類上はインディーズタイトルらしい。
ただその制作規模、販売本数、ファンの総数でいえばAAA級に相当するタイトルと言っても過言ではない。
いまさら説明するまでもない、2019年に発売され大きな話題を集めた小島秀夫監督作品である。

本作を一言で説明するなら、アメリカ合衆国再建のためにひたすら荷物を運ぶゲームだ。
主人公・サムを操作して、触れたものの老化を早める『時雨』が降り注ぐ北米大陸を東から西へ横断する。
ときには川を渡るために橋をかけ、山を越えるためにザイルやハシゴを駆使し、荷物を守りながら駆け抜ける。

あまりにも有名な作品なので、プレイしたことがない人でもだいたいどんなゲームか知っているのではないか。


Deathstranding07

しかし実際にプレイし始めると思っていたのと違う側面が出てくる。しかもその側面が結構な苦痛だったりする。
「みんな知っていて、あえて言わないようにしていたのだな…」と邪推してしまうほどだ。

おもしろい部分は寝る間も惜しんでプレイしてしまうほどおもしろい。そこは間違いないのだが。
おもしろい部分と同じくらい、思わず悪態を吐きたくなるほどストレスが溜まる部分も混在している。
本作をキライにはなりたくないので、苦痛な部分を「早く終わってくれ!」と祈りながらプレイするほどだった。
少なく見積もってもプレイ時間の4割くらいは祈り続けていた覚えがある。

何がそこまで悪さをしたかといえば、本作に込められた小島監督なりのメッセージのせいではないか。
セリフにもたびたび出てくる『棒』と『縄』の例え。『棒』の時代がいかに苦痛をもたらすか味わってもらって
『縄』の時代の尊さ、生きやすさを実感してもらう。つまり、あえての調整なのだろう。


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『棒』の時代が過ぎ去ったあとの『縄』の時代、ようするにクリア後の世界はすこぶる快適だ。
やりこみ要素が視野に入ったころに快適になる。本編が終わったあとこそ楽しみの本番なのかもしれない。

クリアするまで続けられた"配達依存症"のプレイヤーなら、クリア後も50時間以上は楽しめるだろう。


ここから先は余談というか妄想みたいな話になるが…当ブログでは「移動が楽しいゲームは楽しい」と繰り返し
書いてきており、「Death Stranding」はそれを体現したような作品であった。
小島監督の前作にあたる「Metal Gear Solid V」の感想で指摘した多くの問題点が、偶然とは思えないレベルで
改善され本作に実装されている点も無視できない。まるでこちらの記事を読んでくれたかのようだ。


Deathstranding09

冗談はさておき、「MGSV」の反省点についてはある程度把握していたのだろう。
オープンワールドなのに進路を阻む明確な壁があったこと、写真を撮りたくなるような風景がなかったこと。
似たような仕事のために、同じ場所を何度も行き来するのを退屈に思わせないような配慮。
プレイヤーの不利益につながるばかりだったオンライン要素も、本作では利益をもたらす一方になっている。
シリーズこそ違えど、前作の反省点に一定の回答を示しているところはしっかりと評価しておきたい。

それと、デッドマンがヒロインと言われる由縁は最後までプレイして理解できた。彼は間違いなくヒロインだ。


[オススメ度]
いまさら自分がオススメするまでもない作品だが、ある程度のストレスを覚悟のうえでプレイしてみてほしい。
PC版はグラフィック設定を『中』以下にすればポータブルゲーミングPCやミニPCでもプレイ可能である。

なお、配送依頼や落とし物が尽きることはない。プレイし続ける限り新しいものが追加される。
なのですべてをやり遂げたい几帳面な人は気を付けてほしい。カンペキを求めすぎると疲れてしまうだろう。
プレイ時間が60時間を過ぎると国道であっても劣化の通知が来る。建設物の整備もこだわるとキリがない。



小島監督巡回済みのRTA in Japanの動画がちょっとした話題になった本作。最短4時間でクリアできるそうで…。

そのなかで「BB(ブリッジベイビー)はRTAの場合ジャマにしかならない」というような話が出てきます。
たしかにBBってストーリー上重要なキャラではあるのですが、ゲームとして見るとBTを可視化させるためだけに
存在するようなものなので、敵の出現パターンまで織り込み済みのRTAにおいては抱え損というか。
あるイベントで一時的にBBを手放したとき、不便さよりも重荷から解放された感覚があったのを覚えています。

転倒や水没などの小さなミスのたびに泣き続けるBBを最初は鬱陶しく、次第に何も感じなくなってしまって。
駐車場のクルマに閉じ込めてパチンコ打ってる親ってこんな心境なのかな?と、邪悪な考えが浮かぶほどでした。


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泣かせると面倒なので泣かせないよう立ち回るようになる。丁寧になるというよりは避けるようになる
BTやミュールの対処と同じであることにあとで気付きました。近付くと面倒なのでできるだけ迂回して通過する。
ストレスを多めに盛ることでプレイヤーの行動を制御しているような印象が終始ありました。

自分がそう感じているだけで、他の人は乱暴なプレイのまま楽しく遊べている可能性も全然あるでしょうね。
自分はステルス可能なゲームなら最後までステルスを貫きたい、危ない橋は渡りたくないと考えるタイプなので。

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2024年3月 7日 (木)

ゲームレビュー 「Doors: Paradox」

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[プラットフォームと購入方法]
Epic Gamesストアで2024年2月2日から2月9日の1週間限定で無料配信。

[クリアまでにかかった時間]
Epic Gamesライブラリ上の表記で8時間ちょうど。


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[ゲーム難易度]
ステージ方式の謎解きパズルゲームで、基本的には目の前にあるものだけで攻略できる。なので安心感がある。
使えるアイテムはわかりやすく配置されており、もしわからなくてもひたすらクリックしていけば解けるかも?
いわゆるスライドパズルのような、きちんとパズルの解き方を求められる部分もある。
それでも一般的なスライドパズルとくらべたらかなり難易度を下げてあるので心配する必要はないだろう。
各ステージに配置されている収集要素(手紙と宝石)のほうが本題のパズルよりもずっと見落としやすい。

[実績・トロフィー難易度]
Epic Games版には実装されていない模様。Steam版には全30種類の実績が用意されている。


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[良いところ]
・全体的な軽快さ。起動してすぐにメニュー画面が出てきて本題のパズルに挑める。
・失敗や取り返しのつかない要素が一切ない。時間制限もなく、ストレスなく最後までプレイできる
・収集要素はあるが、ステージ選択画面から取りこぼしを確認できる。あとから回収しやすい。

[悪いところ]
・純粋にパズルを楽しみたい人にとっては「説教くさい」と感じる部分があるかも。
・必要なアイテムが画面外からやってくるステージがたまにある。視野を広く保ちたい。
・色を一致させるパズルで見分けがつきにくい色が使われている
(色覚多様性への配慮を取り入れるゲームが最近は少なくないので、余計に気になるポイントである)

[どちらとも言えない]
・総ステージ数と現在の進捗がメニュー画面に表示されているため、終わりがいつ来るかがわかりやすい。
・テーマに沿って、たまにファンタジックで非合理な仕掛けが出てくる。納得できないわけではないが。
・「刃物で縫い目を切り裂く」など、アイテムと用途にパターン化が見られる。同じことの繰り返しに感じる。
・エンディングらしいエンディングがない。


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[寸評]
たまたま新しいPCを買ったタイミングで無料配信されていたため、PCの動作確認や動画配信のテストを兼ねて
プレイし始めただけなので、当初レビューを書く予定はなかったのだがせっかくなので書くことにした。
何気なく始めたわりに最後までプレイできたということは、それなりに楽しめた証拠とも言えるだろう。

「Doors: Paradox」はブルガリアとドイツを拠点とするBig Loop Studiosが開発した脱出パズルゲームである。

画面の中央に置かれたパズルを360度回転させながら解いていくスタイルは前作「Boxes: Lost Fragments」と
システムがほぼ共通しており、指一本で楽しめるバリアフリーなタイトルとなっている。


Doors_pr05

世界各地の文明や各時代の技術などをテーマにしたステージがひとつクリアするたびアンロックされていく。
ただそれだけならなんてことはないのだが、各ステージに隠された意味深な内容の手紙やステージの順序により
人類の進歩が誤った方向に向かっているのではないかと感じさせるようなシリアスな匂いが漂い始める。
かと思えば、終盤はホラーをテーマにしたステージが続いたりと構成に謎を感じるところもある。

そういったフレーバーはさておき、知育玩具のようにひたすらカギを開けていく作業が楽しい。
「ゼルダの伝説」や「Tomb Raider」の迷宮に配置されている謎解きの部分だけをまとめたようなゲームなので
ストーリーを気にせずとにかくカギを開けまくりたい気分の人には本作をオススメできる。

10分程度の隙間時間にさっと始めて達成感を味わえる。手軽さと適度な刺激が本作の魅力ではないだろうか。


Doors_pr06

[オススメ度]
あらゆる人にオススメできる。一緒に考える楽しさ、見栄えのよさから動画配信者にもオススメできそう
お金を払ってまでパズルゲームを楽しみたい人にとっては難易度が低すぎるので、ガチ勢にはオススメしない。
終盤のステージで巨大なクモが登場するなど、ニガテな人にはつらい部分もあるかもしれない。

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2024年3月 1日 (金)

Tips:Epic GamesのスクリーンショットをSteamで撮る

PCゲームの代表的なプラットフォームとしてSteamとともに挙がることが多いEpic Games
しかしEpic Gamesには『スクリーンショット機能がない』という、SNS時代にとっては致命的と言える弱点が
ありまして、「スクショを手軽に撮れるからSteamを選んでる」って人も結構いるのではないかと。

この弱点を克服する画期的な方法を最近知ったので、備忘録がてら記事にしておこうと思いました。


その方法がなんと「SteamのライブラリにEpic Gamesのゲームを追加する」というもの。
嘘みたいな話ではありますが、実際この方法でSteamのゲームと同様にF12キーで撮影できるようになりました。


St_ep_scsh01

まずSteamを起動して、ウインドウの左上にある[Steam]をクリックし、[設定]へ進みます。
(タスクバー上のSteamアイコンを右クリックして、表示されたメニューから[設定]へ進んでもOKです)


St_ep_scsh02

「STEAM設定」のウインドウが表示されたら、[ライブラリ][非Steamゲームを追加]をクリックします。


St_ep_scsh03

「非Steamゲームを追加」のウインドウに、インストールされているプログラムの一覧が表示されます。
Epic Gamesのゲームは通常ここに表示されていないので、左下の[参照...]から直接ファイルを指定します。

インストール先を特に変更していないなら、C:¥Program Files¥Epic Games以下に各フォルダがあるはず。
登録したいゲームの起動ファイル(拡張子.exeで終わるファイル)を選択してください。
あとは[選択したプログラムを追加]で登録完了です。

Epic Games Launcher自体を登録する方法もあるそうですが、自分の環境ではうまく機能しませんでした。


St_ep_scsh05

Steam側から登録したゲームを起動して、F12キーでスクリーンショットを撮れるか確認してみてください。
(タスクバー上のSteamアイコンを右クリックして、表示されたメニューから起動でもOKです)
Epic Games側、あるいはデスクトップ上のショートカットから起動するとスクリーンショットは撮れません。


St_ep_scsh04

Epic Gamesで所有しているゲームの記事を作る際は毎回Windowsのスクリーンショット(Snipping Tool)で
撮影しなきゃいけないのか…と、ちょっと億劫に思っていただけにこの解決方法はホントに助かりました。

同じ方法でソシャゲのPC版も撮影できないものかと思ったのですが、手持ちのタイトルは不可能でした。

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