2013年4月3日
この記事を書いている段階では「ジョジョ」を残して、すべてのアニメが最終回を迎えていますが
「ジョジョ」は2クールですし、あえて自分がアレコレ言わずとも大成功を納めている部類ですから
「ジョジョ」が終わるのを待ってから改めて振り返る必要もないと考えました。
■2013年第1Q いわゆる冬アニメ総評
今期、個人的に気に入った作品は「兵部京介」「AMNESIA」「まおゆう」の3作品でした。
「まおゆう」はやや消化不良な感じはあったものの不満を覚えるほどでもなく。
「ジョジョ」にも触れたので2クール作品も含めると、「PSYCHO-PASS」と「絶園のテンペスト」も
毎週の楽しみになってくれる素晴らしいアニメでした。
さらに長いもので言えば、放送枠が変更になる「宇宙兄弟」も特筆すべき存在。
これらの作品に共通するのは追いかける魅力のあるストーリーと表現、それと…貴重と言うのも
変な話ですが、男性キャラの活躍が目立つ作品だったと言えるかもしれません。
女の子だけしか出てこなかったり、男性が出てきても主体性のないオマケみたいな存在だと
どうにも惹き付けられないというか「またか…」と思わされてしまいます。
これは自分の根幹にあるのが80~90年代のジャンプ漫画だからだと考えています。
昨今増加した5分アニメでは「ヤマノススメ」が出色の出来。5分にしておくのが勿体ないほど。
「まんがーる!」や「あいまいみー」も良い話題となってくれました。
周囲で「ラブライブ!」に匹敵するぐらい異様な人気を獲得していたのが「GJ部」。
癒ししかないアニメとでも言うべきか(笑)あの雰囲気に取り憑かれる人が多かったようで。
衝撃的な初回で注目を集めた「琴浦さん」はラブコメに振りつつも最後の締めには抜かりなく。
あとは休止を挟んだものの人気を維持し続けた「ガールズ&パンツァー」の存在の大きさ。
あえて話題作を省いていることについては後述。触れにくい作品だったとも言えますが…。
■「AKB0048 next stage」を見終えて
肝心の「AKB0048」はどうだったのかといえば、思ってたよりキレイに終わってくれましたね。
終盤「このままでは尺が足りないのでは…」という不安はあったものの、消化すべき要素はほぼ
消化して2期開始当初からの猛烈な勢いのまま最後まで駆け抜けていった感じでした。
未消化の要素があることについては肯定的に考えています。
智恵理パパを撃ったのは誰か?彼方の襲名は?DGTOやDES軍との決着は…などなど色々と
気になるところはありますが、あえて触れないのもひとつの選択だと思うんですよね。
これは「0048」の長い歴史の一部分でしかないわけですから。まだまだ先があるのです。
監督自身「いくらでも作れる」と言ってますし、あれこれ想像する楽しみがあります。
ちょっと物足りない、もうちょっと見続けたいと思えるぐらいの終わり方がベストではないかと。
スッパリ終わられると喪失感だけが残ってしまうので、それはそれでイヤなのです。
最終回の怒涛の展開で垣間見えたのは、2期初回でも感じた宗教戦争的な怖さ。
DES軍の艦長がマインドコントロールと称したように、対立側から見れば強度の洗脳行為であり
智恵理の強引な説得(笑)が神仏の域に達していたため平和的解決となっただけという…。
あの智恵理を見て恐怖を感じないと、逆にそれは客観的に見えてない怖さがあるのです。
DGTOが掲げるアンチ芸能もひとつの宗教であり、異なる信仰の対決において人々はどちらに
希望を感じることができるか?というのが2期の締めとなっていました。
結局、凪沙パパのように芸能の利点を論理的に説くやり方ではダメだったということですよね。
一旦どちらかの思想に寄ってしまうと、もう一方がどれだけ魅力的な事実をならべて説明しても
強烈な思い込みがそれに勝ってしまうという。これも宗教心の怖さです。
これは現実のAKB48に対する周囲の見方とまったく同じことを描いていると思います。
彼女たちの素性やそれぞれの思い、活動や歌の内容を知らずに誰かから植え込まれた知識で
AKB48に対して不自然なくらい根深い敵意を抱いている人が山ほどいます。
AKB側を宗教的だと思うのと同じぐらい、アンチ側も宗教的敵対心に染まっているわけです。
それをくつがえすには、本人のなかで変革が起きるほどの衝撃的な体験が必要です。
智恵理のようなやり方は極端だとしても、実際に彼女たちの公演を見たり触れ合うなどして
身をもって事実を知ろうとすればなにかが変わるでしょう。
このアニメにはそういった役割も期待されていたのではないでしょうか。
実際、「0048」を見て「自分のなかでなにかが変わった」という人も少なくないはずです。
2期でおもに指摘されたのは総選挙の扱い方と、後半の作画から来る不安さ。
総選挙についてはスタッフ間でもやるか否かの論争となり、放送されたあとも視聴者の間で
賛否両論続いていますが、個人的には非常に重要なエピソードだったと思っています。
ただしオンタイムで見ていることが条件であり、繰り返し見るものではないということ。
結果がどうなるかわからないからこそおもしろいというライブ感も総選挙がもつ魅力なわけですし
スポーツ中継などと同じで、結果がわかっていたらおもしろさは半減してしまいます。
それと、総選挙によって一層盛り付けが進んだキャラもいます。
そういう要素を無視して「時間かけ過ぎ」だの「絵に動きがない」という理由で総選挙回を不要と
言い切ってしまうのはどうかと思います。先に必要性を考えるべきじゃないかと。
それに、総選挙を語らずにAKBを語るというのも変な話で。
三国志を語るうえで桃園の誓いを省略するみたいな、オイオイそれでいいのか?って話ですよ。
しかし…そもそもAKBに対して嫌悪感を抱いている人にとっては、現実のAKBを連想させるような
イベントをアニメに持ち込むこと自体NGというのもあったようで。
個人的感情でしかないのでこれは却下ですね。っていうか「今更言うことか?」って感じ。
作画の不安についてはまあ…あの製作状況ではある程度仕方ないことなのかなぁと。
製作中にも絶えず事件や変化が起こり、取材先で得た感動を逐一コンテに反映していくという
河森監督の製作スタイルを受けてもなお放送できていることを褒めるべきで(笑)
感動が創作の源であり、現場の温度がダイレクトに伝わってくるという良さがありました。
「AKB0048」というアニメには新鮮さと驚きしかなかったと言っても過言ではありません。
あらゆるものが新しく、それが河森監督の芸風にぴったりハマったことが最大のポイントであり
関わるスタッフが全力を尽くして支えたからこその出来なのだと思います。
熱心に作るなんてどこの現場だって同じだと言われれるかもしれません。それはその通り。
でも、声優として参加した48Gのメンバーにとっては二度とないチャンスかもしれないわけですし
この『一所懸命』の力に勝てるものを他が有しているとは考えられません。
あと、AKBというだけでアニメファンに見てもらえないことを製作側が把握していたのも大きいかと。
現実と劇中のリンクも含め、このタイミングだからこその良さというものもたくさんありました。
あと1年早くても1年遅くても同じものは作れない、同じ感動は味わえないだろうことがわかるので
このタイミングで見なければ同じような評価は下せなかったと思います。
昨年の1期本放送から数えて約1年、追いかけ続けてきてよかったなぁと思える作品でした。
■2013年第1Q いわゆる冬アニメ総評(話題作編)
今期は放送前に大掛かりな宣伝を打ったり、前評判が高かった作品ほど落差が激しいという
傾向にあったと思います。個人的好みは当然ありますけど。
その落差がもっとも激しかったのが「ビビッドレッド・オペレーション」。
どこぞで言われていた「オトナ向けのプリキュアを目指した作った」という推測にも納得。
戦隊モノやプリキュアシリーズなどで扱われる王道イベントやバンクシーンをやりたいがために
先にそれだけ書いて、間を最低限違和感のないテキトーな文章でつないだ感じと言いましょうか。
特に露骨だったのは第3話ですが、1クール通じてそんな作りだったと思います。
苦境からの逆転、友情による勝利といった熱い展開というのはそこだけ抽出しても感じられず
前置きとなるストーリーをしっかり描かなければ感動は芽生えません。
ただ、そういった前置きを積み重ねるほどの尺もなかったので…2クールあれば違ったかなぁと。
そもそもシステムがよくなかったという意見も理解できます。赤抜きでも合体ができていたなら
緑と黄色の友情エピソードをもっと熱い内容にできたでしょうし。
これも、本来は合体が可能だったものを尺の都合で赤中心に変更したのかもしれませんが。
終盤は黒騎れいが飲み込まれる笑撃のシーン以降、カラスの言動が非常に残念でした。
絶対無比の強大な力を手に入れたにもかかわらず主人公たちの抵抗にことごとく慌てていて
しまいには発狂するという落ち着きの無さ。最後の敵がこれではちょっと…。
一般の兵力や市街地の被害に対して最後まで無関心を貫いていたことも悪印象。
正義感が芽生えることもないまま子供の遊びの延長で戦っているようにしか見えなかったのは
世界平和よりもひとりの友達を、友情を重視する作りになっていたからではないかと思いますが
それが決定的な違和感となってしまいました。
多大な期待を集める魅力的なデザインがあっただけに、それらがきちんと評価されるような話を
盛り付けられなかったことが残念でした。やり方が違えば違ったかも。
続いてアニメ版「ラブライブ!」。こちらは終盤の展開がよく槍玉に上がります。
穂乃果が暴走して本番前日に体調を崩し、ライブを中断させたことが原因でランクは急落。
ラブライブへの出場は取り止めることになったが、療養中に当初の目標だった廃校撤回は達成。
目標の喪失やメンバーの離脱などを理由に空中分解していくμ'sとアイドル部。
メンバーそれぞれが自分自身と向き合う時間が設けられ、穂乃果は己の本心に気付く。
引き留めてほしい気まんまんで待っていた留学直前のことりを瞬間移動してあっさり連れ戻し
アイドルを続けることそのものを目的とし、再結成して超満員のライブ…という流れ。
このような書き方をするととんでもないお話に思えますが、実際そうでしたからね…。
あえてこのような展開にしたのは監督の意向とのことですが、ラブライブへの不参加はともかく
最終回でライブをやったあと、気持ち良く廃校を回避してくれたほうが視聴者にはわかりやすく
納得して見終えることのできるものになっていたのではないでしょうか。
今後の可能性として、学校の事情に関係ない新たな目標を掲げて活動する様子を描けるように
再スタートというカタチをとる必要があったのかもしれません。
しかし、終盤の展開が違えば良い評価をできたかといえばそうでもなく。
自分は本作については初めから終わりまで全編通じて魅力を感じられませんでした。
自分が「AKB0048」に傾倒していたから魅力的に見えなかったという可能性も大いにありますが。
ひとつハッキリ言えるのは「ラブライブ!」のストーリーには驚きが圧倒的に足りないということ。
「こう来たら次はこうなるだろう」と、予想がそのまま的中してしまうほどありがちな展開ばかりで
過去に似たような作品を見たことがあれば退屈としか思えなかったでしょう。
厳しい言い方をすれば陳腐な内容。既存のコンテンツありきでストーリーを付け加えたことによる
弊害とでも言いましょうか…かえって貶められたキャラもいたりいなかったり。
そもそも今回のアニメ化が、本来の商品である曲(CD)とPVの宣伝のためであったと考えれば
そのあたりの到らなさも理解できないこともありません。
しかし売りとなるPV(ライブシーン)も、劇中での演出効果や心情の変化を伴わない使われ方で
ただそこに貼り付けてある、本編と切り離されたシーンという印象が否めず。
ライブのライブたるところがまったく感じられない、ストーリーのあるアニメに挿入する意味のない
曲に合わせて踊っていることに満足しているだけのただの動画という感じがしました。
効果的にライブシーンを使っているアニメがほかにあるだけに、それができてないというのは
当たり前の話ですが評価を下げざるをえません。
このように様々な理由があり、自分は「ラブライブ!」というアニメを褒めることができません。
自分がアニメ作品に求める要素がこの2作品には欠けていたというだけで、この2作品に対して
ものすごい愛情を注いでいる人も間違いなくいると思います。特に後者。
なので、そもそもターゲットから外れている自分が評価を下すべきではないですね。
今期の筆頭としてもうひとつ、「たまこまーけっと」が挙げられると思います。
世間的な評価は別として、個人的には先に触れた2作品よりも高く評価しています。
京アニが得意とするキャラクターのこまかい仕草や芝居、独特の描写力はあえて言うまでもなく
そこに実写映画的なカメラワークやいかにも昭和っぽい雰囲気の再現が盛り込まれており
やろうとしている表現には間違いなく成功していると思いました。
問題はそれが大多数の視聴者に伝わったかどうかということ。
やろうとしていたことが正しく伝わるかどうか、伝わったとしてもいまの価値観のなかでそれが
評価されるかどうかはわかりません。そのへんが判断を分かつところだったのではないかと。
本編よりも間に挿入された例のCM(水泳のヤツ)が話題になるあたり、視聴者が京アニに対し
求めるものが伝統芸能ではなく、新鮮さのあるものに推移しているのかもしれません。
「まさか京アニがイケメン男子しか出てこないアニメを作るとは!」みたいな。
驚きが足りないというのは「ラブライブ!」に限らず3作品ともに言えることなのかもしれません。
エンターテイメントにはつねに新鮮さと驚きが必要なのです。
これが自分なりの、今期の話題作に対する客観に徹したつもりの感想です。
「ラブライブ!」は極端に支持者(信者?)が多く、逆に「たまこ」は極端に支持者が少なかった
こともあって参考になる感想を見つけるのが難しかったです。
この記事をアップロードすべきか否か散々悩みましたが、どうせ反応もないだろうし上げます。
そんなに「ラブライブ!」がキライか?と思われそうですが、決してそういう意味ではなく。
正確に言えば「好きになれる部分がなかった」わけで、少しでも気に入ることができていたなら
評価は変わっていたかもしれません。アンチではなく「興味を惹かれなかった」のです。
春期はあえて視聴本数を減らし、「AKB0048」を見直す時間を設けたいと考えています。
とりあえずすべて初回は見ますけどね。どれだけ残すかは完全に気分次第だと思います。
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