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2016年2月 1日 (月)

日本人の『勝ち組』依存と少数忌避

昨年、具体的には2か月ほど前「『勝ち組』に寄りたがる日本人の傾向」というテーマで記事を書き
公開すべきかどうか悩んだまま放置していたのを、結局削除してしまいました。
いまになってみれば惜しいことをしたかなぁと…ちょっと後悔しています。
というのも、最近またそれに当てはまりそうな事件が起きていたからなんですね。


ここでの『勝ち組』とは、アニメやゲームなどで特にシェアを誇っているものを言います。

物事の優劣の指標として、数字で判断するのが好き。
数字で一番優っている勢力に寄り添いたいという強烈な依存傾向と帰属意識。
その作品が好きならば数なんて…というわけにはいかず、とにかく数で優っていなければならない。
「最大勢力に属している」という認識が彼らには必要らしいのです。

より良い選択をしたという自負がおそらく大事なんだと思います。
いち早く次の『勝ち組』を見定め、『勝ち組』選びに成功した、『勝ち組』になった…という自負が。

だから、『勝ち組』を選んだ自分自身を偉いと思い込んでいる。強くなったかのように錯覚している。
『勝ち組』は何を言っても許される。すべては『勝ち組』に従うべきだと考えている。
すべては『勝ち組』を満足させるように働け。『勝ち組』に道を譲れ。そんな調子なのです。


早い話、『勝ち組』に属することで得られる優越感が一番の目的なわけですよ。

数が多ければ共通の話題になりやすい、多くのサービスやグッズの提供を継続的に受けられるなど
『勝ち組』に属するメリットは多く、少数に属すればみじめな思いをします。
一時期ネットで話題になった『ぼっち飯』を忌避する傾向に似ているかもしれませんね。

「みんなまとまって同じほうを向いているべきである」という日本人特有の並列主義と同調圧力。
「みんなと同じ」という多勢に属することの安心感。他者に選択をゆだねることの気楽さ。

なにもせずに優越感と安心感を得られるのですから、寄り添わないほうがおかしいのかもしれません。

多くの選択肢のなかから自分に合っているもの、好きなものを自分の力で見つけ出すという楽しさは
もはや受け容れられない傾向にあると考えるべきなのでしょう。
選択には責任がともなうし、少数に属する可能性を覚悟しなければならない。
そこに安心感はありません。己の審美眼に対する自信が優越感に変わる可能性はありますが。


多勢とは違う選択への不安や疑問が転じて、少数忌避へとつながったのではないかと。
ネット上で必要以上に少数が貶され叩かれる理由、存在をなきものにする理由がうかがえます。

ただ、この少数忌避というのは国際的に見るとかなり危ういですよね。
日本は島国で村社会的であるせいか、他民族や障がい者、性的少数者といったマイノリティーたちを
これまでできるだけ見ないようにしてきたところがあります。
昨今急にLGBTの問題が浮上しているのは人権の考え方を国際的にしようという向きがあるからで
いま日本人特有の少数忌避の性質を抜本的に変えることを求められているわけです。

なんかすごくマジメな話になってしまいましたが…でも、ものの考え方は同じなんですよ。
物事の重要性や価値を数で判断しないこと。マイノリティーをマジョリティーと同様に扱うこと。

逆に、世の中のマジョリティーに本当に価値があるかどうか疑うべきですらあると思います。
いや…そこまで言うと危険かな。でもそれぐらいでいいはずですよ。
マジョリティーを多勢だからという理由で正義のように扱ってはいけません。

そもそもその勝ち負けとか、正義とか悪とかいう考え方が危ないっていう話ですので。



人はなぜ、プレイしたいゲームもないのにPlaystationを買うのか。
そして本体を買ってからオススメのゲームを聞くのか。

つねづね疑問だったのですが、今回の記事でなんとなく謎が解けた気がします。
彼らは安心感と優越感を買っているのだろうと。そのためにまず本体を選ぶところから始まる。
だから順序が逆転してしまうわけです。本来はプレイしたいゲームがあって本体を買うべきなのに。

「ほしいゲームが出たときにすぐにプレイできるよう用意しておく」なんて言えば聞こえはいいですが
そこまで言えるのはすべてのハードを確実に揃えるコアゲーマーだけです。

2か月前に件の記事を書いたときは「ラブライブ!」とその悪質なファンを想定して書いていましたが
世の中の、特にサブカル系の分野では大概当てはまることに気付きました。
昨今の「おそ松さん」バブルと悪質なファンの凶行然り。性別とか関係ないってことですね。

べつにファンは偉くないし強くもないんですよ。ちょっと金銭的に貢献してるだけで。
お客様は神様じゃない。お客様は言わば信徒なのですから、その点を履き違えてはいけません。

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