ゲームレビュー 「Tom Clancy's The Division」
[クリアまでにかかった時間]
すべてのミッションをクリアし、マップ上の収集要素などをくまなく回収して約60時間。
マルチプレイや拡張コンテンツを含めた総プレイ時間は430時間(2016年8月時点)。ハマれば長い。
[ゲーム難易度]
タクティカル系FPS・TPS中級者~上級者向け。スポーツ系FPSの常識は通用しないので注意。
[実績難易度]
意外と簡単だがローグ関連の実績が若干気掛かり。談合は可能。
いづれにせよ人口が潤沢なうちに挑戦したいところ。幸いサーバは隔離されていない。
[関連記事]
・「Tom Clancy's The Division」 1.1の現在
・「The Division」 1.2という良心的アップデート、あるいは姿勢の軟化
・「The Division」 1.3という大きな分岐点
[GOOD]
・時刻や天候によって容貌が一変する、実在の街並みを模した広大なマップ。
・シングル専用のTPSと捉えた場合でもじゅうぶんなボリュームがある。
・ムービー部分が非常に少なく、音声ログの再生中もプレイヤーの操作を阻害しない。
・収集した断片的な要素から見える群像劇的なストーリー。
・派閥によって賢くもバカにもなる敵性NPCの行動パターン。
・終始頭を悩ませ続けるハック&スラッシュ要素と、それに付随するリプレイ性。
・緊張感のあるMMO区域。
[BAD]
・オンライン接続必須であるため、基本的にプレイの快適性はサーバ依存である。
・キャラクターエディット(首から上)のバリエーションとセンスの低さ。
・いくつかの不具合が確認されているが、不具合に個人差があり対処が遅れ気味。
・軽度のテクスチャ貼り遅れがあり、低解像度のテクスチャが貼られる場面がやや目立つ。
・レーダーの反応を示す効果音の意味がわかりづらく、慣れて覚えるしかない。
・メイン以外のミッションのバリエーションが乏しい。
・一番レベルの高い参加者に難易度を合わせる仕様のせいで、終盤まで協力プレイが活性化しない。
・ダークゾーンの回収エリアにおける敵性NPCの出現ペースと量。
[NEITHER]
・丁寧だがリアルな関西弁(?)に違和感を覚えるかもしれない日本語吹き替え。
・随時アップデートされるため、開始したタイミングによって優遇不遇の差が生じている。
・現時点ではレベルキャップが30に設定されており、わりとすぐに到達してしまう。
[総括]
本作はTom Clancy'sを冠しているためタクティカルTPSのように見えるが、中身はオンラインRPGであり
「Borderlands」や「Destiny」に近いものと思えばスムーズに飲み込めるだろう。
RPGと言っても「Fallout」のV.A.T.S.のようなシステムはなく、戦闘は完全にTPS方式となる。
リアル系のTPSやFPSは基本的に銃弾を一発喰らったら終わりだが、本作はオンラインRPGであるため
敵を倒すのに装甲値と体力値を削り切らなければならない。
レベルがカンストするころには数百発もの銃弾を浴びせないと倒せないという、人間とは思えないほど
頑丈な敵が多数登場する。ここに多くのプレイヤーが違和感を抱くと思われる。
なぜなら、彼らの見た目は強大なクリーチャーではなくプレイヤーと同じ人類だからである。
彼らは銃弾を数百発喰らおうと、催涙ガスを浴びせられようと、焼夷手榴弾の炎で焼かれようとひたすら
プレイヤーに向かって前進を続け、途切れることなく軽機関銃で射撃してくるのである。
しかも「Destiny」のように強靭なアーマーを装着しているわけでもない。
パンデミックに陥った街中で掻き集めた市販のプロテクターを身に着けただけの暴漢なのだ。
Tom Clancy'sを冠していながら、リアルとはかけ離れた怪物のように強靭な敵が無数に出現する。
その違和感を乗り越えられるのであれば「The Division」を楽しむことができるだろう。
最初に言ったとおり、本作はオンラインRPGである。
敵を倒せるまで攻撃を繰り返し、経験値を稼いでレベルを上げ、よりよい装備に身を包んで次の目標へと
進んでいくRPGなのである。たまたまビジュアルがリアル系というだけなのだ。
現実のニューヨークと見紛うほどに精巧に作られたオープンワールドのなかで、ときに逆光に視界を奪われ
ときに極寒の豪雪に行く手を遮られながら治安の奪取に尽力するのは非常に楽しい。
降雪ひとつとっても様々なパターンがあり、雪景色が好きなら心ゆくまで楽しめることを保証できる。
広大で緻密なマップを自由に散策し、市民や小動物とコミュニケーションを図り、迫り来る暴漢を倒して
都市の機能を地道に取り戻していく過程はすこぶる楽しいし充実感がある。
その過程でパンデミックの原因があきらかになり、パンデミックの渦中で起きた被災者たちのストーリーを
日記や音声ログで辿るのも奥深く、RPGならではの体験をじゅうぶんに詰め込んである。
それでいて、本作の核であるTPS要素とハック&スラッシュの部分を阻害していないから素晴らしい。
プレイヤーの操作を遮ることはほとんどなく、ストーリーが説明されるあいだも操作を続けることができるし
多くの記録はあとから好きなだけ見返すこともできる。至れり尽くせりだ。
単純にストーリーベースのTPSとして見た場合でも、ほかの作品を凌駕するほどのボリュームがある。
加えてオンライン要素もあるのだから多少値段が高くても納得できるはずだ。
ただ、本作には現状あまりよくない部分や不具合もだいぶ含まれている。
まず、あれほど広大なマップを用意していながらミッションのバリエーションが乏しい。
出てくる敵の種類が変わる程度でやることはほとんど変わらない。
街中でJTF隊員に協力する、拠点や物資を防衛する、人質を解放する、指名手配犯を始末する。
名目は変わっても、仕事の内容は基本的に『敵を倒す』でしかない。
汚染区域の調査やアンテナの再起動など、目的が『敵を倒す』以外のミッションもあるにはあるのだが
割合でいうとかなり少なくバリエーションを拡大できているとは言えない。
ゲームバランスや不具合は随時変更されていく様子であるし、来週にはどうなっているかわからない。
現時点で感じられる不満はそのうちなくなっているかもしれない。
なので、このレビューはあくまで発売当時のものであることを明言しておきたい。
現時点での満足度はかなり高い。どれだけ時間があってもプレイし足りないと思うほどだ。
[オススメ度]
ビジュアルの地味さ(クールさ?)を好きになれるなら100時間超のプレイを保証できる。
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