「Miitomo」が長続きしなかった理由
今年の3月中旬に配信開始となった任天堂初のスマホ向けアプリ「Miitomo」。
配信当時はそれこそすべてのゲーマーが興味を示してると言っても過言ではないほど盛り上がっていて
SNS(のようなもの?)として定着するのではないかと思えたほどでした。
しかし、その勢いは配信から2週間ほどであきらかに衰退が見え始め、4月中旬にはほぼ消沈。
5月にもなるとプレイし続けているのはフレンドの1/10以下程度となってしまいました。
この記事を書いている6月現在では、新規の投稿を確認できるのは自分をふくめて3人程度となっています。
なにが「Miitomo」をそこまで短命にしてしまったのか。おそらく最初からわかりきっていたことなんです。
できることがあまりにも少なすぎるし、受動的すぎる。それにゲーム性と継続性が低すぎる。
本作のメインである質問への回答部分はインタビューされることの楽しさを実現できていると思います。
しかし運営側があらかじめ用意した質問に回答するしかなく、その質問の数にも限りがあります。
運営側が提示している『1日に3回の回答』というノルマをクリアしようとすると、半年も経たないうちに質問が
尽きてしまうという致命的な問題を抱えているのです。
また、まだ答えたことのない質問を引き当てる難しさがプレイヤーにストレスを与えてもいます。
とにかく同じ質問の繰り返しが多い。同じ質問を繰り返されることを不快に思わない人はいないでしょう。
答えたからにはその回答を他のプレイヤーにも読んでほしいと思うのが人の常。
ですが、読んでもらったことを実感できるのは回答にハートマークやコメントをつけてもらったときだけ。
アクティブユーザーが低下すればそれだけ実感できる機会は減り、回答へのモチベーションも低下します。
自分の回答がどれだけ閲覧されたか数字で確認できるほうがまだよかったのではないかと。
質問への回答以外にできることといえばMiiの着替えと撮影、それに申し訳程度に用意されたゲーム要素。
着替えと撮影はおそらく「Miitomo」でもっとも遊ばれた部分だと思います。
配信当初は異様なほど盛り上がってましたからね。静まった現在でも優秀な機能だとは思っています。
スマホ向けアプリらしさ(?)を感じられる事実上のギャンブル要素である「おとしてMii」は、いわゆるガチャの
"内部で起きている確率の処理"を視覚的に確認できるようにしたものと解釈しました。
どこから落とすか、どのタイミングで落とすかでプレイヤーが確率にある程度は介入できるようになっているし
どういう経路をたどってアイテムがドロップしたか見た目にわかるので納得しやすくもあります。
ゲーム内通貨であるコイン以外にも、定期的に配布されるゲームチケットでプレイが可能。
それに最低でもキャンディというアイテムが保証されています。しかし、このキャンディが問題でして…。
プレイヤーが回答した質問にほかのフレンドも回答をつけている場合、手持ちのキャンディを消費することで
回答の内容を可視化できるようになっているのですが、使わないんですよ…使いたいとも思わない。
普通にプレイしていて読める程度で足りるのに、そこからさらに何かを消費してまで他人の回答を読みたいと
思う人ってそんなに多くないのではないかと。少なくとも自分はそこまで興味をもてません。
しかしフレンドの回答を可視化する以外にキャンディの用途はなく、結果として膨大な不良在庫となります。
つまり、キャンディが提供されても全然うれしくないんですね。
キャンディの代わりにハズレクジを用意して、ハズレクジが10枚溜まったらもう1回チャレンジさせてくれる
「バッジとれ~るセンター」の練習台のようなシステムのほうが喜ばれたのではないかと。
そもそも衣料アイテムに興味がない人は「おとしてMii」をプレイしないし、コインの使い道もありません。
落とす以外に操作がないゲームによって、もっと使い道のないキャンディに化けるかもしれない。
これはMiiの着せ替え要素がプレイヤーにウケることを前提にした、非常に希望的観測に傾いた構造であり
そこがウケなかった場合や早期に飽きられた場合をまったく考慮してないんですよね。
現状ではプレイヤーの興味を惹くほどの、コインを奪うほどの魅力はないと思います。
まあ…任天堂が他社のように貪欲にコインをむしりに来るゲームを作ってきたらそれはそれで怖いんですが
生き残りを賭けて戦うにはちょっと優しすぎるかなと、自分はそう感じました。
本作は「クラブニンテンドー」に代わる新しい会員サービス「マイニンテンドー」に合わせて作られたものであり
「マイニンテンドー」と連携して長期的に利用してもらうことが目的だろうと推測しています。
質問やゲームの部分が飽きられてしまっても、定期的に起動してもらえれば目的は達成できると思いますが
ここでもうひとつ浮かんでくるのが、アプリ自体の容量がわりと大きいという問題。
この記事を書いている段階では総容量が800MB以上もあり、結構なメモリの負担になっています。
利用頻度が少なくて容量の大きいアプリを長期的に残しておいてくれる人がどれほどいるでしょうか。
メーカー側の目的、プレイヤー側の要求、インカムの仕組み。現状どれもうまくいっていない感じがします。
改良の可能性はこの先あるのか、どこから変えるべきなのか。なかなか難しそうです。
長続きしないとか言いながらこのレビュアー、3か月間毎日続けてからこのレビュー書いてますからね…。
いまでも続けてはいますが、やってることといえば『1日に3回の回答』と『フレンドの回答を10回読む』という
ノルマ達成を目的としたアクションのみで、楽しんで続けているとは言い難いものです。
せめて新しい質問をどんどん追加してくれればモチベーションを維持できるのですが、期待薄でしょうか。
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