「FF14」の"FFっぽい"変化
「FF14」は「新生エオルゼア」編が終わり、現在「蒼天のイシュガルド」編の3.0実装分を進行中。
3.0前半の真ラーヴァナ戦までを終えて、メインクエストのストーリー展開でひとつ気付いた点があります。
それは、「新生エオルゼア」のころと比べて非常に"FFっぽい"雰囲気になっているということ。
ここで言う"FFっぽさ"というのは、任天堂のハードで発売されていた古い時代の作品の話です。
「新生エオルゼア」のストーリーはFFらしいとからしくないとか以前に、単純に目新しいところがありません。
加護を受けたわかりやすい主人公がいて、倒されるために用意されたわかりやすい敵がいて。
それを種族や戦闘職の特色に合わせた国家と文化で固めているだけ。
ゲームとしてはともかく、ストーリーがおもしろく感じてプレイしていた人は少ないのではないかと。
旅の協力者である『暁の血盟』の活躍を積極的に描こうとしなかったのもよくないところ。
改めて振り返ると、描く手間を省くために都合よく「別行動をしている」場面が多かったですよね。
『超える力』をもちながら身を守る術すらもたない、単なる電話番と化していたミンフィリアがその最たるもの。
ようやく活躍を見れるかと思ったら、徒党を組んだクリスタルブレイブ隊員に押し負けるという…。
『暁の血盟』のメンバーひとりひとりが冒険者と同じぐらいの力をもっていて、そのレベル帯で出現する敵NPC
複数体を同時に相手しても余裕で勝てるだろうと勝手に思い込んでいました。
襲撃されてあっさり壊滅した『砂の家』の一件からしても、本当に弱小組織だったのかもしれません。
たいした能力ももってない、自分ひとり守れないクセに冒険者を便利な使いっ走り扱いしてくる組織。
蛮神戦や帝国と戦うときだけ冒険者を戦力としてアテにしてくる組織。
プレイヤーと協力関係にある、同じ目的のために戦っているという印象を残せるものではありませんでした。
それに比べて、「蒼天のイシュガルド」の登場人物はともに戦ってくれているという印象が非常に強い。
各人が個性的かつ能力もハッキリしていて、旅に同行しているという雰囲気をうまく作り出せているのです。
"FFっぽい"と感じるひとつの理由として、4人セットでストーリーを追うところが挙げられます。
「蒼天のイシュガルド」では冒険者を含めた思想や信条の異なる4人がともに行動する場面が非常に多く
必ず現場にいて、その場その場で感じたことをきちんとセリフとして出力してくれるのです。
性格が噛み合わない、主義主張の異なるキャラクターが呉越同舟している状態なのもおもしろいところで
ひとつの出来事に対してそれぞれ違う意見を提示してくれるから、短い話題にも深みが生じます。
そして各人が最低でも自分の身を守るだけの実力を持ち合わせているというのも大きな違い。
「新生エオルゼア」のラストをあのようにしたのは、不要で不評なキャラクターを一掃する目的もあったのでは
ないかと思えるほど(笑)見違えるほど整理されて興味を惹く描き方に変化しているのです。
"FFっぽい"と感じる以外にも、古参のゲーマーが安心できる理由はいくつかあると思います。
「6」以降のFFをFFだと思ってる人には違和感はないのかもしれませんが、ガレマール帝国という存在自体が
ファンタジーの世界にとっては異質な、バランスを著しく欠くものとして映っていました。
あのオーバーテクノロジー感をファンタジーのルールに基づいて合理的に説明するのは不可能でしょうし
その説明を怠ったからこそ、取って付けたかのような悪役となってしまったのだとも思います。
倒されるためだけに用意された帝国がストーリーから脱落し、雲間に浮かぶイシュガルドやドラゴンとの対話
といういかにもファンタジーらしい主軸に変わってホッとしたプレイヤーも多いのではないかと。
FFで許されるのは飛行艇まで。それを実証した結果が「イシュガルド」の評価につながったと言えます。
無難というとアレですが、ラーメン屋に入ってラーメンが出てくるぐらい当たり前の状態でいいんですよ。
RPGのクエストというのは序盤はおつかいであっても仕方ありません。主人公は駆け出しですから。
使う者と使われる者の力関係が逆転し、主人公の力がないと国や世界を救えないことが周知された後半は
「森に行ってキノコを採ってこい」とかいう安いおつかいは通用しなくなるんですよ。
そんなもんほしければお前が採ってこいよと。英雄様にキノコ採ってこいとかナメてんの?って話です。
しかし、「FF14」ではいつまでたってもこういうクエストが出てきます。
それを不快に思わせないように、きちんと納得して遂行できるよう書かれていないクエストが本当に多い。
冒険者のことを『無条件で助力してくれるお人好し』程度にしか考えていない気がするんですよね。
プレイヤー自身がどう思っているかはさておき、冒険者は自分の居場所がほしいとか頼られたいとかいう
現代人みたいな(笑)理由で働いているわけではないので、職業として成立させてほしいのです。
冒険者はあくまで傭兵のようなものであり、利害が一致して初めて能動的に助力してくれる存在なわけで
依頼に見合う報酬が用意されていないと不満が生じても仕方ありません。
特にサブクエストにおいては、それ自体が世界の命運を左右するわけではない私的な依頼が多いのだから
道徳心や正義感以外の部分で(つまり報酬で)合意できるよう条件を整える必要があります。
納得できないクエストを断る自由は与えられていますが、断れば当然ゲームが進まなくなります。
言わばゲームの進行と引き換えに納得のいかない作業を無理矢理やらされてる状態になるわけですよ。
それが不快なものになるかどうかはクエストを書く人の手腕にかかっています。
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