2017年第3Q アニメ総括
いつもはだいたい一番を決めるのが難しいのですが、今期は明確にコレという作品があり続けた感じでした。
「ボールルームへようこそ」がダントツ。1クールの終わりを迎える前に順位が確定していたほどです。
社交ダンスというメジャーとは言えない競技をこれほど魅力的に、躍動感あふれる動画で描き切ったことだけでも
特筆すべきことなのに、さらにセリフのひとつひとつの重さがハンパではありませんでした。
このメッセージ性はダンスやスポーツに限らず、すべての夢に向かう人たちの心に突き刺さったのではないかと。
自分はその重さに圧倒され、感動とともに苦しさすら覚えるほどでした。
年中アニメを見ていると何年かに一本はこういう傑作が出てくる。「ボールルーム」はそういう作品です。
ただ、不満がまったくなかったわけではありません。具体的に言うと第10話の作画。
「メイドインアビス」でキャラデザなどを務めている黄瀬さんの担当回で、目の位置や大きさなどこまかい部分で
作画のバランスが変わっており、1クールを通じて見たときちょっと浮いた感じの絵になってしまっていました。
個性のある作画がイヤとかいうわけではないし、べつに黄瀬さんの絵がイヤなわけでもないんですよ。
むしろ他のアニメでは好きだったくらいですから。それでも均一に保たれなかったことが気になってしまって。
全体が均一に高品質すぎたせいで、普段なら見えないものが目に付いた…という感じですかね。
作品全体の評価を左右するような話ではないし、気にならなかった人のほうが圧倒的に多かったでしょう。
「ボールルーム」は来期も続きますが、2クール目が蛇足に感じられてしまうほど1クールでの完成度が高い。
続きが見れることはありがたいはずなのに、このまま終わってくれたら…と、どこかで願う自分がいました。
まあでも心配の必要はないかもしれません。盛り下がりそうな気配がないので。
次点は「活劇 刀剣乱舞」か「メイドインアビス」。双方とも非常に満足度の高い作品でした。
「活劇」の評価は原作ゲームをプレイしたうえでのもの、という自分にしては珍しいタイプの評価となります。
あの原作の内容からよくぞここまでおもしろく創作してくれたなぁと。史実の裏で暗躍する刀剣男子たちの活躍と
タイムトラベルものにありがちな葛藤、改変される過去など見どころの多い作品でした。
終盤の千人の軍勢を撃退する方法が「がんばって倒す」だったことだけが残念。もう少し捻りがほしかった…。
先に放送されていた「-花丸-」とは明確に異なるアプローチで作られていたこともまた良し。
個人的な好みで言えばシリアスな味付けの「活劇」のほうが好きですが、「-花丸-」の2期にも期待してます。
「メイドインアビス」は普段ゲームをプレイされてる方のほうがより刺さっていた気がしますね。
冒険心をくすぐる世界設定、つねに緊張感ただようストーリー。それを支える圧倒的な絵作り。抜け目なし。
絵柄に反して目を覆いたくなるような展開もあり、本当にどっしりとした重みのある作品でした。
アニメ化の都合、半端なタイミングで終わってしまったんですけど悪い印象はまったくありませんでした。
むしろあの終わり方に心が震えるほどで。劇伴も素晴らしかった…この2作品は劇伴の効果が大きかったです。
上記3作品に続くのは「ナイツ&マジック」や「ゲーマーズ!」、「チアフルーツ」あたりになりますかね。
「ナイツ&マジック」は主人公のロボット愛のみならず、スタッフ陣のロボットアニメ愛にもあふれていました。
特に最終回のオマージュの連続(笑)まさか本当に押し返すとは思いませんでした…。
べつに不満というわけではないのですが、異世界転生ものなのに異世界転生の要素が非常に薄かったことが
ちょっとだけ気になりました。もう少し前世の価値観や言動が見えてもよかったのではないかと。
「チアフルーツ」は寸感の段階から大きくブレることなく最後まで駆け抜けてくれました。
少々気になったのは、なにかを待つためにアドリブで時間稼ぎをしなければならないシーンの時間設定。
戦闘だけで10分とか稼いでたらさすがに観客がざわつきますよ。もう少し現実的にもちそうな時間にするべく
花火や移動距離などアクシデントそのものを調整するべきだろうと思いました。
寸感の段階で上位に挙げていた「Fate/Apocrypha」はなんとなく惹かれなくて見るのをやめてしまいました。
なにが足りなかったのかは自分にもよくわかりません。録画予約を忘れ、自然と見なくなっていたので。
今期はゲームを優先した都合で、完走できた作品がいつもよりだいぶ少なかったです。
そんななか、なぜか「異世界はスマートフォンとともに。」は完走してるんですよね。
決しておもしろい作品ではないけど、3話くらいまで見るとこの作品の"楽しみ方"がわかってずっと見てしまう。
ある種の中毒というか、見るのをやめさせる力をもっていない不思議な魅力のある作品だったと思います。
オススメはしませんよ?本当に"楽しみ方"がわかる人たちだけで共有しているような感覚ですから。
タイトルにスマホってあるのにスマホ全然使ってねえじゃん…な状態は序盤を過ぎて一応解消されたかな?
対して「コンビニカレシ」はタイトルにコンビニ入れるほどではない話を最後まで貫いてました。
いや、お話自体は好みでしたが。ほかにタイトルのつけようがあったのでは?と思えてしまうだけで。
今期はお話に惹かれる作品に限って絵がついてこない傾向がありました。「コンビニカレシ」も然り。
「ゲーマーズ!」も同様。こちらもタイトルのわりに序盤以外まったくゲームに触れていなかったような気が。
「将国のアルタイル」は作画の揺らぎもさることながら、固有名詞の覚えにくさに非常に苦しめられました。
人名、国名、役職やそれらの関係などを把握するところで壁にぶつかってしまうのがつらい。
後半戦に向けて自主的に復習しておこうかなと思ってます。把握できれば確実におもしろいはずなので。
「クリオネの灯り」も無事完走しました…なんだかんだでやっぱり地上波で放送してるというのは強いですね。
でも聞いてた話とちょっと違うというか、これは感動できる類の話ではないのでは?
どちらかといえば『世にも奇妙な』的な方向性、あるいはひと夏の怪奇。そしていじめに対する強い警鐘。
視聴者から涙を引き出すにはセリフの言葉選びやストーリー展開など、いろいろ問題があった気がします。
放送開始時いろいろ言われていた演技はそれぞれ多かれ少なかれ進歩が見られたと思います。
できればこの作品で終わりではなく、"次"を聞ける機会があるといいですね。
「Re:CREATORS」は楽しんでいた人とボロクソに言う人、評価が大きく二分されていた印象があります。
自分的には、良いところもあったし楽しませてもらったけど気になる部分や疑問が残る部分もあったという感じ。
良くて80点ぐらいに留まるかなぁと…後味の良さでごまかされてる部分もあるような。
おもな減点ポイントは真鍳ちゃん周辺とチャンバーフェスの準備期間、そして本番のあたり。
真鍳ちゃんの存在やその能力がストーリー展開にあまりにも強い影響をおよぼしてしまったこと、そのわりには
能力以外の部分で視聴者が納得できるような絡み方、結末の描き方をされなかったことが気になりました。
非常に気まぐれな存在だし、あれで正しいと思えば正しいんですけどスッキリはしません。
チャンバーフェスは準備期間に起きていたであろうことが都合よく描かれなかった感じがアレだなぁと。
また、会場の観客の反応や描写が、『承認力』という不透明な存在を視聴者に納得させるのにじゅうぶんでは
なかったと個人的には思っています。鳥かご内の戦闘描写に尺を割きすぎたのが原因ではないかと。
結果として鳥かご内の戦闘が無駄になってしまったことがその印象を強めていました。
アルタイルの剣による防御が根拠不明な硬さで、見ていておもしろいと思える戦闘描写ではなかったですし。
颯太殿の倫理観についてはまあ…健全な創作をするうえで"都合よく無視すべきリアリティ"なのかも。
魅力のあるキャラクターがたくさんいて、視聴者から広く愛されているなぁという実感はありました。
ここから二次創作が広がり、彼らが新たな『承認力』を得てメタ的に力を得ていくのもおもしろいと思います。
あの結末なら続編を描くことも可能でしょうし、今後の展開に期待している人も少なくないでしょう。
被造物であるメテオラさんが新たに被造物を生み出す可能性もあります。想像がいろいろ膨らみますね。
現世に残った真鍳ちゃんの今後については、公式があまり語らないほうがよいだろうと思ってます。
おそらく答えがないほうが視聴者としては楽しいですよ。想像する楽しみをファンから奪わないでほしいなぁ。
…とまぁ、だいたいこんなとこです。来期への引き継ぎは「ボールルーム」と「将国のアルタイル」のみ。
順風満帆に見えた「けものフレンズ」がまさかあんなカタチで座礁するなんて想像もしていませんでした。
どれが正しい情報かはわかりませんが、結果として誰も得しない事態になってしまったのは間違いありません。
自分はそれほど「けもフレ」に傾倒していたわけではないのでショックは小さかったのですが、これを他人事と
見るのは無理があるというか、いつ自分の畑に同じように火の粉が降りかかるかわかりませんしね。
これをひとつの教訓として、"次"が起きないようにしていただきたいと強く願います。
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