ゲームレビュー 「テイルズオブベルセリア」
[クリアまでにかかった時間]
エンディング終了後のセーブ時点で49時間ちょうど。なお、半数近くのサブイベントが未消化のまま。
[ゲーム難易度]
戦闘難易度は最大で6段階。自分の楽しみ方に合わせて柔軟な調整ができる。
もっとも簡単なシンプルモードを選べば、装備品の選択や敵の属性などに悩むことなく冒険に専念できる。
[トロフィー難易度]
1周でコンプリートするのはほぼ不可能。取り返しのつかない要素もあり、かなりの根気と注意力が要る。
[良いところ]
・本編容量約12GBのわりに長時間遊べるボリューム感。膨大なやり込み要素。
・ロード時間皆無で画面の切り替えがスムーズ。待ち時間が発生するのはセーブとロードだけ。
・戦闘時の味方NPCがかなり優秀でたよりになる。傍観していてもゴリゴリと敵を倒してしまう。
・ボス級の経験値配分が大きいらしく、ザコ敵はヒマ潰し程度に戦う程度で問題なし。基本的にレベル上げ不要。
・どのエリアでもつねにマップが表示され、宝箱の個数も確認できるなどストレスフリーな仕様。
・プレイしていない時間も(たった30分だが)有効利用できる異海探索。プレイ時間の目安としても利用できる。
[悪いところ]
・スクリーンショット撮影や動画配信が不可能(特定のエリアを除く)
・プレイ時間の半分くらいは会話。当然その間は見ていることしかできず、操作が止まりがち。
・戦闘がそこそこ難しく、プレイヤー層を考えると辛めな味付け。失敗に対するペナルティが大きい。
・一部のボスや甲種モンスターはひたすらガードとカウンター攻撃を繰り返すため、戦闘が爽快感に欠ける。
・用途がよくわからないまま大量に拾わされるフィールドアイテム。その大半は換金用である。
・ダンジョン内のパズルがお世辞にも楽しいとは言えず、マップが表示されていても面倒に感じる。
[どちらとも言えない]
・意識的に寄り道をしないとほぼ一本道。ダンジョンを出たら次のダンジョンへと忙しく歩きまわされることに。
・武器や防具の優劣を判断しにくく選択に悩まされるが、どれを選んでも大きな間違いにはならない。
・装備の分解や強化は奥深いが、分解しきれないほど次々ドロップするのでだんだん煩わしくなってくる。
・存在を忘れがちな料理要素。まったく利用しなくても最後までプレイできてしまう。
・フィールドアイテムだけでなく、宝箱の中身まで時間経過で復活する。集め始めると本当にキリがない。
・移動に飽き始めたころに乗り物が提供されるが、地域ごとにアンロックが必要。
・食品の名前やその味付けなど、文化面で必要以上にジャパナイズ(日本化)されているところ。
…などと言い出すと、シリーズ伝統の『マーボーカレー』なども場違いな存在として指摘せねばならなくなるが
雑談の端々に登場する日本的な要素は、いかにも日本生まれなゲームだなぁと思わせるものだった。
ノルミン島を流れるおしるこの川を見て海外のプレイヤーはどう思ったのか、とても気になる。
[総括]
まず大前提としてRPGがニガテで、特にJRPGは滅多に買わないプレイヤーの感想として読んでいただきたい。
本作は見た目のカジュアルさとは裏腹に、ゲームシステムに必要以上に複雑なところがある。
というより、もっとシンプルに遊べるゲームと思い込んでいて、そのギャップに勝手に苦しめられてしまった。
「正解がわかりにくい」というのもある。どれを選べばいいのか、どれを捨てても大丈夫なのか。
正解がわからないまま選択肢だけがどんどん増えていき、どれを選んでもなんだかんだで先には進めてしまう。
どうにもスッキリしない、モヤモヤしたままストーリーを追うことに違和感を覚えていた。
そして、本作には『やってもやらなくてもいい要素』がいくつも用意されている。
これを「できることがたくさんあって楽しい」と感じるか、「いろいろあってよくわからない」と感じるか。
筆者の場合、完全に後者になってしまった。もっとシンプルであってほしいと。
幸い本作はシンプルにプレイすることもできるようになっている。それでも購入からクリアまで5か月を要した。
なんとなくプレイが続かない、一度中断すると再開に時間がかかる。モチベーションを維持できない。
理由はなんなんだろう?といろいろ考えてみたが、やはり会話イベントによるプレイの停滞が一番大きかった。
ストーリーは重い。こちらも正解の確信がないまま、先に進んでは次々と失敗させられていく。
プレイヤーは見ていることしかできない。膨大な会話の最中はプレイヤーではなく、ただの視聴者になる。
「ゲームは1日1時間まで」のルールがある場合、その1時間がまるまる会話だけで終わる日もある。
決して大袈裟ではなく、それくらい見ているだけの時間が長いゲームなのだ。
会話にはメインキャラだけでなく一般市民も参加するし、たいして重要ではない雑談が結構な尺を占めている。
会話をきちんと聞こうとする姿勢がだんだん薄れていき、本当に重要なセリフを聞き逃すことも多かった。
セリフは多ければよいというものではない。本作をプレイしていてしみじみと感じた。
しかし、会話に費やした時間がそのまま積み重ねとなって後半に効いてくる。
そのことを実感できたのはプレイ時間が40時間を過ぎたあたりだった。終盤はセリフの重みが違ってくる。
小さな雑談のひとつひとつがキャラを掘り下げると同時に、必要な『ゆるみ』をもたせていたのかもしれない。
すべてを見終えたあと、費やした時間をムダだったと感じることはおそらくないだろう。
(ただし、すべての内容を理解するには前作なりアニメ版を見るなりして予備知識を入れておく必要はある)
むしろクリアしたあとこそ、世界中をまわってまだ見ぬ雑談を聞きたくなる。そういう心境にさせられてしまう。
ゲームのクリアは物語の終わりを、彼らとの別れを意味する。
一度クリアして結末を知っているRPGを2周、3周とプレイする人の気持ちが少しだけわかった気がした。
PS3との縦マルチの都合か、PS4らしいグラフィックとは言えないが、それ自体は気にならなくなっていった。
むしろ画面切り替えのスムーズさなどの面で、良いほうへ働いてるとさえ感じるほどだ。
時間はどれだけかけてもいい。自分なりに遊びやすいよう工夫して、できれば最後までプレイしてほしい。
[オススメ度]
まあまあ。アニメ版「ゼスティリア ザ クロス」を見た人には『プレイするアニメ』として本作はオススメできる。
精神的に病んでいる自覚がある人、またはそういう時期にプレイするのはオススメしない。
だが、そういうときこそ本作から励ましのメッセージを得られるかもしれない。毒にもなれば薬にもなりそうだ。

本作のダウンロード版を購入した人は特になんですが、最初に操作方法をきちんと確認しておくべきですね。
ダンジョンから一瞬で脱出できるアイテムと、行ったことのある都市へ移動できるアイテムの使い方を最後まで
知らないままクリアしてしまい、クリア後になって初めて利用しました…(笑)
また、□ボタンでマップやサブクエストの進行状況を表示できることもクリア後まで知りませんでした。
これを知ってるのと知らないのとではゲームの楽しみ方がかなり違ってくると思われるので注意してください。
トロフィーのコンプは諦めましたが、見えてる範囲のサブクエストだけでも消化して次に移ろうと思います。
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