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2019年1月28日 (月)

「Metal Gear Solid V: The Phantom Pain」 前半戦雑感

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誰にも告げることなく、年明けから黙々と「Metal Gear Solid V: The Phantom Pain」をプレイしていました。
以前Games withe Goldでもらったまま放置していたのを、なんとなく思い立って始めたのです。
新しくないし有名なタイトルだし、あえて触れる必要もないかと思ってTwitterでもまったく話題にしていません。

それに、あまり良い感想を書けない気がしたので。結構ストレスの溜まるゲームですから。
ゴールドメンバーシップが切れて先に進めなくなったので、このタイミングで感想をまとめることにしました。


一言で言えば『不便さを楽しむゲーム』という感じ。MGSシリーズの"伝統的なルール"が好きな人向け。
あえて旧態依然の不便なシステムで、表示される情報の少なさのせいでアクシデントが起きやすいこのゲームを
200時間近くプレイしたいと思える人ってMGSシリーズの熱烈なファン以外にいないと思うんですよ。
似たような内容でもっと遊びやすいゲームはありますし。たとえば「Ghost Recon: Wildlands」とか。


Mgsvtpp02

オープンワールド化はぱっと見のインパクトはあるんですが、長所よりは短所のほうが多いような。

オープンワールドといっても、ミッションで使われるのは建物が配置されている限定されたエリアだけ。
しかも同じエリアが何度も使い回される。一度で全部済ませろよ!って言いたくなるくらい。
エリア間のなにもないところも移動可能になったというだけで、閉じられていたころと基本的な部分は変わりなく
PSP時代の「Portable OPS」や「Peace Walker」からの純粋進化という印象。
モンスターハンターシリーズの進化の先にある「Monster Hunter World」みたいな、あれに近いかなぁと。

目の前に利用できそうな高台があるのに登れなかったり、進路を阻む壁でしかない長大な丘陵地帯があったりと
プレイヤーの移動が制限されている本作は、言うなれば"リミテッド・オープンワールド"ゲームです。
結果として移動距離が極端に延びたり、大きく迂回させられたり、決められたルートに追い込まれたりします。
「あの上を通れたら絶対有利に戦えるのに…」という場面がプレイ中何度もありましたね。

クラック(ヒビ)を利用して崖を登る移動方法が新たに追加されているのですが、対応した壁がほとんどなくて
"死に要素"と呼んで差し支えない状態になっています。なぜそれをもっと活かそうと思わなかった…?


それと、オープンワールドにしては美しい景色がまったく出てこないという致命的な問題も抱えています。
アフガニスタンやアフリカという地域の問題ではなく、本来美しいであろう地域の再現が貧弱であるということ。
「Wildlands」のボリビアの筆舌に尽くしがたい絶景を見たあとでは余計にそう感じます。


Mgsvtpp03

30分から1時間程度で終了する手頃なミッションを次から次へと提供してくれるので、飽きさえしなければずっと
プレイしていられるというのが本作の良いところではあります。ちょっとした時間を埋めるにはいい感じ。

ただ、同じことを繰り返している印象は否めません。「なんかさっきから救出作戦ばっかりだなぁ…」みたいな。
毎回の出撃にコストがかかるというのも気になるところ。手持ちの武器を持ち出すにもお金がかかるのです。
ミッションの報酬として提示されている額を見て、赤字にならないよう装備を選ばないといけない。
実際はそうそう赤字にはならないのですが、どうしても消極的な装備になっちゃうんですよね。

アサルトライフルとか滅多に使わないんですけど、プライマリーウェポンを持たずに出撃することはできないので
もっともコストが安くなるアサルトライフルをカスタマイズ機能で作る(笑)という残念な事態に。
メインミッション後半では武器持ち込み不可のミッションもあるのだから、最初からそうできればよかったのに。


ガンスミスを救出するとアンロックされる武器のカスタマイズ機能はなかなかおもしろいですね。
アサルトライフルにスナイパーライフルのストックを取り付けたりと、他では見られない自由なカスタムが可能。
武器以外にもヘリや四輪駆動車などの乗り物、ミッションに同行する馬や犬の外観も好みに設定することができ
カスタマイズという側面においてはだいぶ充実したゲームであると言えます。

おそらくカスタマイズを充実させているのはオンラインプレイを前提として作られているからでしょう。
しかし、オンライン接続を"要求"されるとなると話は別。本作はそういうところでもストレスを稼いできます。


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本作はゲーム内の所持金がオンラインと部分的に共有されています。いや、大半を占有されてると言うべきか。
なんらかの理由でサーバとつながらない、あるいはオフライン状態だと所持金を全額使えないのです。
武器の開発などで大きな金額が動くことの多い本作で、この仕様は正直どうなんですかね?

それと、プレイヤーの不安を大いに煽ってくる『FOB』というオンライン要素。
本編をある程度進めると、メインミッションの途中でいきなりマザーベース(拠点)の襲撃を告げられます。
これが『FOB』のチュートリアルとなっているわけですが、ようするにネットワークを通じてほかのプレイヤーが
自分のマザーベースに襲撃をかけてくるので、これを撃退して人材や資材を守れという話。
この襲撃を無視したり、防衛に失敗したりすると損失が発生するという旨をいきなり突きつけられるのです。

こんなこと言われたら安心してゲームを楽しめませんよね。いつ損失が発生するか気が気じゃない。
実際はまず滅多にないそうですが、可能性を示唆されただけで不安になるものです。

『FOB』はサーバ上で進行する都合、プレイヤーがゲームを起動していないあいだも動きがあります。
一方でマザーベースの拡張や武器の開発など、ゲームを起動していないと進捗しない要素もあるのです。
なぜどっちかに寄せなかったのか。プレイヤーの不利益につながるほうばかりに寄せられたのか。
こういうところが本当に「プレイヤーのほうを見ていないゲーム」という感じがしますね。


Mgsvtpp05

今回ゴールドメンバーシップの期間の問題で、中盤を折り返したあたりでプレイが中断となってしまいましたが
中盤で発生する伝染病の被害は衝撃的でした。マザーベースの隊員がバタバタと倒れていく。

イベントでそのようなシーンがあるというのではなく、プレイヤーが集めた兵士たちが実際に失われてしまうので
それまで育ててきたマザーベースの機能がボロボロに衰退しちゃうんですよ。
しかも原因を突き止めないと被害がどんどん広がっていくので、早急に対応策を見つけなければなりません。

感染の可能性がある隊員をある条件で見分け、隔離棟へ移す作業がプレイヤーに任されます。
しかしこの条件、ゲーム内のソート機能にないんですよね。完全に手作業で、ひとりひとり選別しないとダメ。
自分の場合、その時点で400人以上の隊員がいたので結構大変でした。
すべてのプレイヤーがこのイベントを通過することをわかっていながら、効率よくやれる機能がないという…。


各ミッションのレベルデザインなんかにも言いたいことはあるのですが、些細なことかな?と思えてきます。
全体的に未完成というか未調整というか、素直に褒められる部分が本当に少ない。
どの要素にもなにかしらの欠点があり、こまかなストレスを生み出し、プレイヤーの負担として鬱積していく。

山ほど与えられる雑務をひとつずつプチプチと埋めていくのが好きな人にとっては、長期間プレイし続けられる
良ゲーと言えるかもしれませんが、それは長期間ストレスに耐え続けるという意味でもあります。

いやぁ…自分はこれを良ゲーとは呼べないなぁ。正しい状態で発売されていれば、あるいはという感じ。

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