ゲームレビュー 「STAY(ステイ)」
[クリアまでにかかった時間]
初回は6時間半、『PCから離れている時間』は約5時間。
2周目以降はパズルをスキップ可能になるが、どんなにスキップを使っても1時間半はかかる。
[ゲーム難易度]
パズルの部分だけ切り取って言えば、並みのパズルゲームよりもはるかに難しい。
基本ノーヒントで、導入もないままいきなり応用問題を提示してくる感じ。詰む可能性も大いにありうる。
[実績・トロフィー難易度]
ストーリー実績を含めて初回で4割くらいは解除される。残りはエンディング別の実績など。
どんなに効率よくプレイしてもコンプリートには周回が必要なので、初回はとりあえず無心でプレイしよう。
エンディングはキズナと『PCから離れている時間』によって7段階に分岐する。
なお、クリアまでにかかった時間はエンディングの分岐や実績にはまったく影響しない。
途中何度ゲームオーバーになっても大丈夫。アイテムの収集率に関する実績は存在しない。
余談だが、トロフィーのコンプリート率は全プレイヤーの1割を超えている。
[関連記事]
・「STAY(ステイ)」攻略情報まとめ(フローチャートなど)
[良いところ]
・日本語を含む10種類の言語を収録。誤字は多いが、それが逆に状況をリアルにしている。
・こまかく描かれた16bit風のグラフィック。
・時折セリフに混じる映画ネタや格言。読み物としておもしろく、話し相手としての盛り付けにも貢献している。
・一度始めてしまうとクリアするまで続けてしまう強制力がある。悪く言えば、やめさせてもらえない。
[悪いところ]
・PS Vitaへの最適化不足。少々不便な操作系統やユーザーインターフェース。
・字が小さすぎて読めないテキスト。英語版では小さくならないので、おそらくローカライズによるミス。
・チャプター22。
・マルチエンディングなのにセーブは中断用のひとつだけ。セリフ送りの処理も不親切。
[どちらとも言えない]
・利便性を考えれば仕方ないかもしれないが、できれば通信手段は最後までPCのみにしてほしかった。
・良心に反する選択肢が相手の心をつかむこともある。
・ゲーム内のヒントだけで完結していない、予備知識を要する高難易度のパズル。
・ゲームオーバーからの再開はスムーズだが、その『ゲームらしさ』によって現実に引き戻されてしまう。
[気になったところ]
・言語設定を変更すると進行中のゲームは一旦リセットされてしまうので、変更する場合は要注意。
・『昭和57年度卒業生』という実績があるが、これは英語では『Class of '82』となっている。なぜ元号に?
・スタッフロールでBGMが音割れするのはおそらく仕様ではない。
[総括]
「STAY」は昨今ブームが来ている脱出ゲームと、ストーリーベースのアドベンチャーゲームの融合である。
脱出ゲームならば普通はプレイヤー自身が閉じ込められるものだが、本作はプレイヤーとは別に被害者がいて
プレイヤーは外部からチャットによって被害者の手助けをする。
このシチュエーション・スリラー的な舞台設定が本作のもっとも個性的なポイントだ。
本作では時間という概念が緊張感を生む大きな要素となっている。
経過した時間がつねに画面に表示されており、ゲームを中断していた時間までもがカウントされてしまう。
待たされた被害者は心理状態が悪化し、信頼関係を少なからず揺るがすことになる。
被害者を救い出すまで手を止められない。プレイヤー自身の生活にまで被害をおよぼすゲームなのだ。
中断している間もゲームの体験に含まれるという稀有な作品である。
ただし、基本的な要素は脱出ゲームである。脱出のために気になる箇所を逐一チェックしなければならない。
その過程で意外なくらいあっさりゲームオーバーを迎えることもある。
被害者がヤケを起こして通信機器を破壊してしまい、連絡が途絶えてゲームオーバーになるなんてこともあるし
「Web上でプレイできる無料の脱出ゲーム」にありがちなバカバカしい原因で被害者が死ぬこともある。
そういう"死因"は中盤を過ぎると露骨に増え、突然の『不可解な死』に呆れることも多かった。
中盤以降は、高難易度のパズルの"メインコンテンツ化"が気になった。
製作者が思いついたパズルをとにかく詰め込んだかのような、シチュエーションとは関係ないパズルが目立ち
脱出やアドベンチャーという本来メインコンテンツであるべきパートがフレーバーと化してしまった。
(結果として迷宮の構造が不自然に膨張していくのだが、真相を知れば納得のいく解釈は一応できる)
終盤に向かうにつれて選択肢が直接的になり、プレイヤー自身が被害者になる一般的な脱出ゲームとあまり
変わらない状態になってしまっていたことも残念だ。最初に提示した方針はつらぬくべきだった。
単にパズルゲームとして考えると、本作はレベルデザインにかなりの難を抱えている。
プレイヤーは外からチャットで手助けしているという設定なので、攻略情報を検索してパズルを解決するのも
設定を逸脱することのない、ある意味では正しいロールプレイと言えるだろう。
[オススメ度]
実績コンプリートを目指すならかなり遊べる。作りの粗さは気になるが、楽しみを阻害するほどではない。
Vita以外にもXbox One版やAndroid版、PC版(Steam)があり、どれも日本語化されたものをプレイ可能。
Android版がもっとも安く、Xbox One版はやや割高で画面タッチに対応していないので操作性に影響ありそう。
暗い画面が多いので、画面に光が当たらない環境でのプレイを推奨する。
ひととおりレビューを編集し終えてから、ストーリーに関する評価をまったく書いてないことに気付きました。
本作唯一の登場人物と言ってもいい被害者男性、精神科医・クインの態度や発言、心に抱え込んだ闇について
共感できる人とまったく共感できない人とで評価が大きく分かれるのではないかと。
できれば共感できない人生のほうがいいし、共感できる人にとってはきっと良い体験になるでしょう。
ベストエンディングの最後に提示されるささやかな演出にちょっと泣きそうになりました。
このゲームのストーリーを書いた人は、心に深刻な骨折を負った患者の心境をよく理解していると思います。
「STAY」を購入する際に気付いたのですが、PS Storeも表示価格で支払いできるようになったんですね。
公式的には『ぴったり決済』と呼ばれているそうで、昨年の夏からはじまっていたみたいです。
画面の説明は最低1,000円から支払わされていたころのままですが(笑)ちゃんと表記どおり請求されます。
今回Xbox One版ではなくVita版を選んだのは「Vitaを使ってあげたかったから」という理由が大きいです。
こういう機会を逃したらもう二度と使わないかもしれないなぁと思ったので。終焉が近付いてきていますしね…。
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