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2019年9月24日 (火)

ゲームレビュー 「Red Dead Redemption 2」

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 ※当レビューにはやんわりとしたネタバレが含まれています。ご理解のうえお読みください。

[クリアまでにかかった時間]
マップ上に出現したミッションをすべてクリアするように進めて、エピローグ終了時でちょうど80時間。
終了時のゲーム総合進行度は85.7%で、残りは犯罪や狩りなど、チャレンジ関連が占めていた。

[ゲーム難易度]
デッドアイをうまく使えばだいぶ緩和されるが、中級者以上を前提とした作りだと思ったほうがよい。
敵の射撃の精度はかなり高め。デッドアイでいかに早く仕留めるか、そして障害物とカバーアクションが重要。
一部の近接攻撃は即死判定をもつため、近付かれない立ち回りが求められる。

[実績・トロフィー難易度]
約7割がオフライン関連のもので、これだけでもコンプリートするのは至難の業。
チャプター4までに達成しないと以降は解除できなくなってしまうものが5つほどある点に注意しておこう。
総支出額5000ドルが条件の「大盤振る舞い」はチャプター6終了までに解除しておくのがオススメ。


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[良いところ]
・非の打ちどころがない密度と完成度。そして、とてつもなく広大。どれだけ時間があっても足りないほど。
・ゲーム起動時以外に目立ったロード時間がなく、待たされていると感じさせないよう配慮が行き届いている。
・普通の生き方を手に入れるのがどれほど難しいことか、静かに考えさせられるメインストーリー。
・作業になりがちなミニゲームをビックリするくらい短く切り上げてしまう潔さ。
・途切れることのない新たな発見と緊張感。退屈しない操作と景色。このゲームをやめる瞬間が想像できない。

[どちらとも言えない]
・投げ出したくなるほど多岐にわたる遊びの要素。苦行とも呼べる。
・結果として無駄になってしまうキャンプへの寄付や投資。雰囲気作りには貢献している。
・鉄道や駅馬車を利用すれば町から町への移動はすぐだが、キャンプに戻るときだけは自力で歩くしかない。
・襲えるが預けることはできない銀行。逃亡犯なので仕方ないが、数千ドルつねに持ち歩くのはやや不安。
・取って付けた感が否めないチャプター5。寄り道としては豪華な出来だが、必要だったかはわからない。


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[悪いところ]
・煩雑な武器選択システム。使わない、使いたくない武器を選択肢からはずす方法がない。
・まとまった大金が手に入る一方で、大きな支出は馬の購入くらいしかない。投資の対象がほしかった。
・ミッションで金メダル獲得に必要な課題がタイムアタックばかり。思いつかないなら設定しないでほしい。
・「公爵夫人とその他の動物」と一部のチャレンジ。
・NPCの犯罪に対する取り締まりが甘く、少しでも反撃するとプレイヤーの罪になるのは理不尽極まりない。

サンドニ市街地に出現するガラの悪い連中は、プレイヤーが敵対的な姿勢を見せると白昼でも銃撃してくる。
たとえ正当防衛であっても一発でも反撃してしまうと、法執行官までもが一斉に襲ってくる。
有効な反撃手段はおそらくない。挑発に乗らないのがもっとも賢い対処法だろう。
サンドニには他にも悪質なイベントがいくつかあり、そのほとんどは夜間に発生するので注意が必要である。
イベントで生じた金銭的損失は取り返す手段がないので、損をしたくないなら近付かないほうがいい。
(直前にセーブしておいて、イベントを確認したのちロードするという手はあり)

他に、鉄道でサンドニ駅へ向かうと旅客用ではない線路に到着してしまうという不便な問題がある。
乗ってきた列車が進路を阻む状態になり、しばらく市街地方面へ進めなくなってしまう。
サンドニへは駅馬車で行くのがオススメだが、愛馬が馬車馬のすぐ脇に配置されるのでこれまたジャマである。


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[ゲームを進めるうえでのヒント]
プレイ中に自己解決した疑問のうち、周知が必要であると感じた回答を以下にまとめた。
本作にはやや説明不足なところがあるが、経験から学ぶ楽しさがあると思えば一概に悪いとは言えない。

・目的地を設定して馬で移動しているとき、シネマティックカメラに切り替えると自動走行になる。
・ユニーク武器や帽子は入手した時点で愛馬に保存され、以降は地面に落としても消失しない。
・ヘビの毒の治療法として一番簡単なのは寝ること。変な話だが、病院に行っても治療はしてくれない。
・ピアソンや罠師に売り渡した素材は保管されていて、装備作成時に消費される。
・愛馬に載せておいた動物の皮や死骸はプレイヤー死亡時に消滅してしまう。
・キャンプ時の調理は愛馬に載せてある動物の死骸であっても材料として消費してしまうので注意が必要。
・小動物用の矢はキャンプや休憩時の制作メニューから作れる。リスなどの最良狙いに必須。
・郵送するための動物は仕留めた際に皮を剥いではならない。死骸のまま馬に乗せて郵便に持ち込むべし。
・伝説のヒョウは狩猟家チャレンジの最後の課題として出現するため、それまでは出現しない。
・金のジョイントブレスレットなど、一部の盗品はアクセサリー制作に必要になるので最低1個は残しておこう。
・コルムなど一部のギャングのキャンプはチャプターが進むと出現しなくなる。数字が気になるなら要注意。
・サンドニの港にはたまに手漕ぎボートが泊められている。場所はランダムだが西の端が多め。
・ロッキーセブンの民家強盗はヒントが間違っている。実際はマップの北東端で、始まるのはチャプター6以降。
・途中すべての所持品と財産を失う場面があるが、その後きちんと戻ってくるので安心して先に進めよう。
・チャプター6終盤で失う馬は戻ってこない。そして、失う馬を選ぶ意味もない。


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[総括]
年齢や環境の変化によって「自分はもうゲームを楽しめない人間になってしまったのでは?」と、誰もが一度は
不安に思ったことがあるのではないだろうか。かく言う自分もこれまで何度か経験がある。
そんな心の陰りを軽々と吹き飛ばしてしまうパワーが「Red Dead Redemption 2」というゲームにはあった。

Rockstar Gamesが前作から8年ぶりに送り出してきた続編は、同世代のあらゆるゲームを凌駕する出来だった。
どれか一部分でも本作の完成度を超えるのは難しい。それが一本のゲームにまとまっているのだ。

ただし本作は万人向けではない。CERO Z指定を受けた、プレイヤーを選ぶゲームであることを理解してほしい。


本作はオープンワールドアクションである以前に、開拓時代の生活を再現したシミュレータの風味が強い作りで
ゲームとしての快適性よりもリアリティと手間を重視している。そこでまず好みが割れてしまう。
ストレスを感じるプレイヤーも多いと思うが、違う世界で新たな生活をしたい、なりきりたいと思う人にとって
これほど希望に応えてくれるゲームもなかなかないだろう。

人は腹が減れば力は出ないし、寝ないと集中力が落ちる。食べれば出るものは出るし髪もヒゲも伸びる。
野ざらしにされた死骸には鳥や肉食獣が群がり、腐敗を経て白骨化して消えていく。
現実で起きることがゲームの中でも起きる、そしてできる。そういう次元からこのゲームは作られている。


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銃を撃つときはまずホルスターから抜かなければならないし、次弾を手動で薬室に送り込まなければならない。
このワンアクションの追加にもこだわりを感じるが、慣れるまでは本当にたくさん失敗させられた。

思いどおりに動かせるようになるには少々の慣れが必要だが、できるようになる過程もまた楽しい。
どうすれば狙ったとおりに当てられるのか、どうすれば食いつなげるのか。荒野での生き方がわかっていく。
『この地では人間が野性のなかで同等に扱われる』という感覚は前作にもあった。
それがより洗練されたものとなってプレイヤーの前に再現されているのが、続編としての本作と言えそうだ。


快適性を完全に無視しているわけではないし、快適性を重視して前作より緩和されている部分も一応ある。
荒野でいきなり馬が倒れたと思ったら毒ヘビがいたとか、クマを追いかけてたら無限にクマが増殖したとかいう
理不尽すぎた野性(笑)についてはきちんと改善がおこなわれている。


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ストーリーは前作よりも十数年前の時代。前作の主人公、ジョン・マーストンも若い姿で描かれている。

前作にも登場したダッチが率いる盗賊団のひとりとして、プレイヤーは逃亡の手助けに身を削って奔走する。
ただこのダッチが本当にクセモノで、リーダーとしての資質を次第に問われることになる。


ダッチは幾度となく「俺には計画がある」と口にする。だが、そこには計画と書かれた空箱しかない。
逃亡資金の具体的な目標額が明示されないせいで、所持金が5000ドルを超えたあたりから「もういいのでは?」
と思えてきてしまい、ダッチが提案してくる無謀な強盗計画に(プレイヤーとして)納得できなくなっていく。

ダッチは逃亡者たち全員の父親のつもりで行動していて、多くの無謀な行動も父たる決意から来るものなのだが
自分が一番賢く、自分の選択に従えば間違いはなく、うまくいかなかったときは「運が悪かったから」と考える。
その人格はあきらかに指導者向きではないし、できれば友人としても付き合いたくない。
道中何度撃ちたいと思ったことか。しかし残念ながら、未来(前作)での生存が確定している。


プレイヤーの誰もが覚えるであろう違和感、反対の意思がストーリーに反映されるのはかなり後のほうである。
このシンクロしない感じが、プレイしていて個人的につらいと思った最初の部分だ。


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もうひとつ、これはセリフを担当した人間のクセのようなものだと思うが、「選択肢はない」という言い回しが
全編にわたってやたら使われていることが少々気になった。
自由度の高さ、言い換えれば選択肢の豊富さが問われるオープンワールドタイプのアクションゲームにおいて
その幅が狭く感じるようなセリフを繰り返し使うのはどうだろう。少なくとも良い印象にはつながらないと思う。

ダッチの迷走も含め、「なぜそうなってしまったのか?」を推測するのは難しくない。
「Red Dead Redemption 2」は前作の過去の物語であり、決められた結末にたどり着く必要があった。
導かれるようにして破滅へ向かっていく物語。そこを理解していれば、不満こそあれど納得はできるだろう。

幸い、いいヤツはだいたい生き残る。かなりネタバレに踏み込むが、ハッピーエンドと呼んでいい結末だった。


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というわけで、不満を覚える部分はあるにはあるが些細な減点に留まる。ないに等しいと言っていい。
膨大な時間と製作費を投じて、ハッキリとした方針のもとに徹底的に作られたゲーム。飛び抜けた作品である。

できることが多すぎて途方に暮れる。そう感じたのは、スタッフロールを見たあとだった。
あと何時間あればこのゲームを遊び尽くせるのだろう。ちょっとわからない。
オンラインモードにまったく手をつけてない状態でこれだから、最低でも200時間はもつのではないか。


[オススメ度]
プレイヤーを選ぶゲームだが、最大限にオススメできる。ただし他のゲームをすべて止めてから始めること。
また、インストールにかなりの時間と空き容量を要するので、早めの準備をオススメする。



チャプターが進むごとに登場する敵対ギャングはどんどん凶悪になり、特にマーフリー・プルードの襲撃には
幾度となく行く手を阻まれましたが、さらに凶悪な犯罪集団が出てくるとは思いませんでした…。
エピローグ以降に遭遇する南方のギャング、スキナーブラザーズの猟奇的犯行はまさにCERO Zという感じ。

マーフリー・プルードまではまだギャングらしいというか、縄張り争いや物取りぐらいの次元だったのですが
スキナーブラザーズは純粋に殺戮を楽しんでいる、拷問や死体損壊を繰り返す集団なんです。


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ある日、連中の縄張りである森の中を移動していたところ、場違いなイヌの鳴き声が聞こえてきました。
近くに行ってみると、スキナーブラザーズに惨殺されたばかりのキャラバンのなかに生き残ったイヌが1匹。
もはや目を覚ますこともないご主人のそばから決して離れようとしません。
イヌ自身もケガを負っていましたが、ご主人に近寄ろうとするプレイヤーを必死に威嚇してくるのです。

ゲームのシステム的に、このイヌにしてあげられることが何もないことが悔しかったんですよ。
エサをやることも連れ帰ることもできない、犯人が用意されているサイドミッションでもなかったので。
暗い森の中でいつまでも鳴き続けるイヌを見つめながら、自分の無力さに泣きました。

このイヌのためにも、スキナーブラザーズを一掃しなければならない。皆殺しにしてやる。
所詮ゲームの中の出来事ですし、実際は全滅させることもできないのですが、勝手にそう誓うことにしました。

こういうナラティヴな体験も用意されているのが本作のたくさんある魅力のひとつだと思います。


当レビュー掲載時点でゲーム進行度は99.5%まで来ています。残っているのはギャンブラーのチャレンジのみ。
でもこれが最大の壁なんですよね…技術ではどうにもならない部分が大いにあるので。やめてよこういうの。
なんとか楽しく攻略できるといいのですが、いまのところ良い方策が見つかっておりません。

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