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2020年7月30日 (木)

ゲームレビュー 「Carrion」

Carrion_c01

[プラットフォームと購入方法]
Xbox One版をリリース日に2,350円(定価)で購入。

[クリアまでにかかった時間]
約8時間。Twitchで配信した時間の合計で、実績コンプリート作業などの時間もすべて含む。
インディーズタイトルなせいか、Xbox Oneのプロフィールには総プレイ時間が記録されなかった。

[ゲーム難易度]
平均的なアクションゲームの難易度よりもやや低めだが、瞬間的に難しくなる場面がある
また、若干のパズル要素もあるので考えて進む必要あり。ステルスアクションの経験があればなおよい。
一度倒した敵は二度と復活せず、倒した場所に残骸として残る。

[実績・トロフィー難易度]
秘密の実績だらけで、さらに0Gの実績が3つある。ただし大半はクリアまでに必ず解除される。
いわゆる収集系の実績が4つあるが、見つけた時点ではまず回収できないので後回しにしてしまって問題ない。
終盤で折り返し、過去のエリアを巡る機会が訪れる。このタイミングでまとめて回収するのがオススメ。


Carrion_c02

[良いところ]
・見た目からは想像できないスムーズな操作感覚。直感的な移動や攻撃。
・「次はどんな方法で人間を襲おうか?」とホラーを演出する楽しみがあり、音楽がさらに盛り上げてくれる。
・秀逸なレベルデザインと、こまめなセーブポイントの配置。セーブポイント解放時の演出もまたよい。

[悪いところ]
・主人公が不定形なせいで、一定以上に大きくなると操作しづらくなる。当たり判定もわかりにくい。
・全体を確認できるマップがない。行きはよいのだが、収集目的で逆走するとき道に迷いやすい。
・リプレイ性はないと言ってよい。独特の操作感覚をふたたび味わいたいとき起動する程度になるか。

[どちらとも言えない]
人間は思ったよりも強い。序盤でそれを知ることになり、ゲームの印象が変わる。
・読むべき文章は本当にわずかでセリフは一切ないので、海外版でもまったく問題なくプレイできそう。
・解釈次第なストーリー性。「昔のゲームはこんなもんだった」と思えば特に不足も感じない。


Carrion_c03

[総括]
「Carrion」は全編ピクセル・スタイルで描かれたメトロイドヴァニア風の2Dアクションである。
最大の特徴はプレイヤーキャラクターが不定形のクリーチャー、イトミミズの群体のような怪物であること。
培養ポッドを抜け出した怪物は人間を襲っては食い殺し、新たな能力を身に付けて侵略していく。
一般的なホラーゲームの立場を逆転させたような設定に独創性を感じ、発売の1年ほど前から注目していた。

この複雑な形状をどのように操作しているのか、画面を見ただけではなかなか想像しにくいだろう。
想像以上に素早く、かつ滑らかに、そして簡単に移動できる。プレイし始めてすぐにその気持ちよさが伝わる。

他のゲームでは体験できないこの移動の気持ちよさだけでもじゅうぶん元を取れてしまうほどだ。


Carrion_c04

圧倒的な力で人間を蹂躙するだけかと思いきや、そうではないことに早い段階で気付かされる。
怪物は銃で撃たれればすぐに弱り、思っていたよりも早く死んでしまう。武装した警備兵相手ではさらに不利だ。

ときには物音を立てず慎重に、視界の外から襲わなければならない。だが、それもまた楽しいのである。
通風孔の格子を静かに開け、背後からゆっくりと触手を絡めて暗がりへと引きずり込み、貪り食い散らかす。
恐怖を煽るBGMと盛大な悲鳴がいろどり、ホラー映画の怪物になった気分を味わえる。
あまり使うことのない鳴き声を活用するのも一興だ。怪物になりきることが本作を楽しむうえでは大事である。


Carrion02

物足りない部分がないとは言わない。値段なりのボリュームしかないし、リプレイ性も限りなく低い。
個人的は本作のコンセプトをとても気に入っており、もう1周ぐらいはしてもいいと思っている。


[オススメ度]
並程度。よほど惚れ込んでいない限り、定価での購入はオススメしない。賢い方法で機会を設けてほしい。
本作はXbox Game Passのラインナップに含まれているので、加入者であれば無料でプレイできる。



国からもらった給付金で人間を食い殺すゲームを買うのって…最高ですよね!

Game Passの話が出たので、ゲームをプレイする前の話もちょっとしておこうと思います。
昨今はサブスクリプションサービスの加入者を対象とした、いわゆるフリープレイの機会が増えていますよね。
実際にはお金を払っているんですけど、体験としては無料でプレイできてるみたいな感覚。
「まったく興味なかったけどフリープレイになってたから」という理由で試してみる人も多いのではないかと。

対して、定価を支払って購入する人は明確な意思をもって、お金を払った実感をもってプレイするわけです。
ここには大なり小なりバイアスがあって、プレイ後の感想にも影響が出ると思うんですよ。


自分は「Carrion」を定価で購入したし、1年前から興味をもっていたのでかなり好意的に見てる自覚があります。
たまたまGame Passでプレイした人の感想とは温度差が生じてもおかしくないでしょう。
それで、ゲームのレビューには『どのようにして手に入れたか?』から書くべきでは?と考えるに至りました。

でも逆のパターンもあるんだよなぁ…投げ売り価格で買った「Anthem」を絶賛した過去がありますからね。
一番高いエディションを定価で、しかもダウンロード版で買った人と同じ感想になるとは思えません。

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