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2020年7月18日 (土)

2020年 夏アニメ新作寸感

「止まない雨はない」などという月並みな表現がありますが、いつになったら止むんでしょうね…この雨。
コロナに追い打ちをかけるように降り続く雨のせいで、世の中の冷え込みが一層増しています。

本当に、娯楽でもないとやってられません。というわけでテレビアニメを見ていきましょう。


今期はまず、新作の本数がだいぶ少ないという特徴が挙げられます。もちろんコロナの影響ですが。
完全新作と言えるものが20本弱。このなかには春から夏へと放送開始時期をズラした作品がいくつか含まれます。
そこに春期に放送を中断した作品と、地上波初放送の既成作品が計10本くらい加わる感じ。
このご時世でこれだけ放送できてるだけでもすごいと言えますが、異例であるのは間違いありません。

曜日によっては新作が1本しかない日もあったりします。再放送枠が多いので実感しにくいですが、
でも、ぶっちゃけ過ごしやすい印象もあるんですよね。ゆとりがあって、選択の自由度が増してる感じがして。
再放送による再評価も進みそうな気がしています。「ハナヤマタ」とか楽しみにしていましたし。


今期の新作で筆頭を挙げるのはちょっと難しいですね…全体的に手応えが弱めで決めかねます。

初回を一巡して比較的印象がよかったのは「恋とプロデューサー」と「魔法学院の不適合者」あたり。
次点として、Netflix独占配信作品で今期地上波初放送となる「HERO MASK」と「A.I.C.O.」が続く感じ。

「恋とプロデューサー ~EVOL×LOVE~」は中国発のスマホ向け恋愛シミュレーションが原作となるアニメ。
タイトルから芸能界が舞台の作品であるとは想像できたのですが、超能力とかが絡んでくる部分もあるみたいで
単なる女性向けの作品とは捉えないほうがよさそうな気がしています。
制作はMAPPA。驚くほど高精細かつ均整のとれた絵で、作画の面でも今期の作品群では上位に来ています。

「魔法学院の不適合者」は我ながら意外なチョイスですが、この手の作品としてはかなりの好印象でした。
強大な力をもつ魔王が平和的かつ良識があり、鼻につくところがないのも一因だと思います。
ムダなお色気も極力排されていますし、設定のわりには落ち着いて見れる作品というふうに感じました。


近年ひとつのスタイルとなっている、独占配信からの地上波初放送という作品が目立つのも今期の特徴かも。
コロナの影響で空き地となった放送枠を埋める目的もあるのでしょうか。

「HERO MASK」は海外ドラマのテイストを盛り込んだオトナ向けの香りが漂うアクションサスペンス。
キャスティングも外画吹き替えをかなり意識した感じで、外ドラあるあるな雰囲気にニヤニヤできる人向けか。
「A.I.C.O. -Incarnation-」は「翠星のガルガンティア」の村田和也監督によるSFモノ。
制作はボンズで、今期の作品群においては画面から発せられる圧倒的なパワーで随一という状態にあります。

あえて見せなくてもいいのに、自然に下着を描写していることがちょっとだけ気になりました。
そういうの必要ない作品というか、見えることで冷めてしまう人もいるのではないかと思ってしまいます。

揺れるだの下着だのという話が出たのでこのタイミングで触れますけど、今期はエロアニメが妙に豊富です(笑)
タイトルからしてひどい「ド級編隊エグゼロス」「ピーター・グリルと賢者の時間」はわかりやすい例。
TBSの問題枠ではじまった「彼女、お借りします」、医療行為なので問題ない「モンスター娘のお医者さん」
「宇崎ちゃん」も含めると、今期の金曜はプレミアムフライデーって感じですね(誤用)

このなかであえて選出するなら「宇崎ちゃんは遊びたい!」というのが当方のスタンスとなります。
想像していたよりもウザくなかったのが意外。思いやりが発端であることが先に明示されていたせいかも?
SUGOI DEKAIあの部分がひたすら揺れ動く点を除けば、普通にラブコメとして見ていけそうな予感。


今期Twitterのタイムラインが一番盛り上がるのは「うまよん」です(笑)5分アニメなんだけどなぁ。

「ウマ娘」でファンになった人たちにしてみれば待望の新作なわけで、注目される理由も理解できます。
あと、実際かわいいですよね…デフォルメされたキャラクターたちが画面に映るだけで多幸感を味わえますから。
「ガルパ☆ピコ」とならんで、短時間でトリップできる現代人向けのサプリと言えそう。

「ガルパ☆ピコ 大盛り」はYouTubeで9週分ほど先行配信していたものを地上波初放送という形式。週2回放送。
先行放送を継続しているYouTubeの最新分も入れると週3で見れます。録画したうえで実際に週3で見ています。


継続枠としては「Re:ゼロから始める異世界生活」2期と「SAO アリシゼーション」が二強という状態でしょう。
「ノー・ガンズ・ライフ」の分割2期も開始時期をズラしてようやく放送開始。
今期から改めて仕切り直しとなる「放課後ていぼう日誌」、「文豪とアルケミスト」にも期待しています。
「天晴爛漫!」と「富豪刑事」は休止前もそれほど好感触とは言えなかったので、再開後も様子見が続くでしょう。
あとは「炎炎ノ消防隊」2期あたり。1期から制作陣が微妙に入れ替わっているのが現状気掛かりではありますが。

前期から引き続き放送なのは「無限の住人」と「フルーツバスケット」、そして「オリンピア・キュクロス」。
「フルバ」の新OP・EDは必見です。作品を知らない人でもとりあえずOP・EDだけ見てほしい。
9月末まで放送期間を延長した「とある科学の超電磁砲T」は再開待ち。おもしろくなってきただけにつらい。


以下は、現状ちょっと判断を保留している状態の作品。印象がよくなかった作品ではないので誤解なきよう。

「GREAT PRETENDER」は初回ではなんとも言えないなぁ…信頼のWIT STUDIOではあるけども。
たぶん『好きになれそうな人物がまだ見当たらない』というのが上のほうに来なかった理由であると思います。
今後の展開次第では上のほうに来る可能性は全然あるし、どうせ見るならそうなってほしいものです。

「Lapis Re:LiGHTs」はジャンルが過積載で、どこに向かってるのかわからない印象。絵はキレイなんですが。
いろいろやりたいのはわかるんですけど、どうにも散漫で食い合わせが悪そうな感じしかしません。
メインであろう学園モノな部分にだけ目を向けていれば落ち着きそう。しかし、そうすると没個性なんですよね。
都市デザインがおもしろく、見ているとなんとなく構造が伝わってくるよう描かれていたことが好感。

「デカダンス」は画面から伝わるインパクトだけは間違いないものです。好きな人は好きなはず。
初回のラストから第2話で明かされる世界の真実に驚かされた人も多いのではないかと。
しかし全体的に使い古された印象が否めず、前期の「Listeners」ほどではないにせよ不安を感じてしまいます。


今期一番の問題作は「GIBIATE the Animation」でしょうね。なんかもう、危険な匂いしかしない…。
キャラクター原案にあの天野喜孝、音楽に古代祐三、SUGIZOに大黒摩季と錚々たる名前がならんでおりまして
さまざまなアクシデントを乗り越えて7月の放送開始を『敢行』した、志の高い作品と言えます。
その志は認めますが、やはり志の高さだけでは良い作品は放送できないな…と、改めて思わされる初回でした。

20年前にU局で放送されていた深夜アニメ、あるいはもっと昔のカルトなOVAみたいな雰囲気といいますか。
世界中のアニメファンがこれをどう見るか気になりますね。日本製アニメの死と感じるかも。

本作の企画・原作・製作総指揮・作詞にいたるまで一手に担当している、脚本家の青木良なる人物の経歴ですが
2013年のインタビューに詳しく書かれていました。なるほど、どうりであちこちにコネがあるわけだ。
とりわけ日テレ界隈には太いつながりがあるみたいで、直近だと「エンドライド」に関わっていたようです。


今期はこんなとこですかね。最後発となった「恋とプロデューサー」は思わぬ収穫でした。
一週間で一番楽しみにしているのは「ガルパ☆ピコ 大盛り」の先行放送ですが、他人にオススメはしません。
「BanG Dream!」本編は好きじゃないのにスピンオフだけ好きってのも変な話なんです…。
あとは「ハナヤマタ」かなぁ。本放送時に未チェックだったので、今回が初見ということもあって楽しみです。

BSで再放送中の「91Days」や「アサシンズプライド」も放送開始に気付いていたら見てたかもなぁ。惜しい。
最近ちょっといろいろ忙しくて、普段なら見落とさない情報も見落としがちです。



最近はポリコレだのなんだので、表現や名称の訂正を求められるなんて話題をしばしば見受けます。
一番最近だと『クソゲー』というワードをゲームメディアが使うことの是非というのが議論になっていました。

どうしようもないクソゲーというのはまああるもんですからね…言いたくなるキモチもわかります。
ただ、立場や影響力を考慮するとゲームメディアが使ってよいものか?という疑問が浮かぶのは当然のこと。
強力な発信者であるメディアがクソゲーと言い放つことで、レッテルとして定着・浸透してしまう。
そうなると、クソゲーと聞いてあとからやってきた人たちが、クソゲーという評価ありきで作品を見てしまう。
ようするにプレイヤー自身の体験からくる評価ではなくなってしまうんですよ。

プレイヤーが個々に「これはクソゲーだ!」と評価するぶんにはまったく問題ないんです。
体験がともなわない評価をメディアが植え付けてしまう危険性。使いやすいワードに置き換えてしまう危険性。
そういった被害は可能な限り避けるべきであると実体験から申し上げたいのです。

ちなみに当ブログではゲームを評価する際に『クソゲー』というワードを使ったことは…一度だけあります!
アレは今回のケースとは逆ですね。良ゲーという評価で固まっていた作品だったので、一石を投じたまでです。

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