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2020年7月13日 (月)

「Girls Mode 4」クリア後の感想

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4月初旬にプレイ開始した「Girls Mode 4」、ようやくエンディングに到達しました。3か月もかかってんの…。

前作や前々作が30時間弱だったので今回もそれぐらいで終わるだろうと思ってたら、終了時点でなんと51時間
平均的なRPGかそれ以上かかってることになります。ストーリー性の充実がひとつの要因でしょうか。


プレイヤーは『ブティックの店長』という立場のまま、変に地位が向上したりすることはありません。
店長ちゃんの持ち前のセンスで、出会うお客さんたちが成長していく。それぞれのストーリーが紡がれていく。
3人のいわゆるメインキャラとサブクエスト的に用意されたその他のお客さんたちによる群像劇。
それらを店長ちゃんの視点から見つめることになり、追いかけるストーリーが結構多めなんですよね。

感覚的にはオープンワールドタイプのRPGに近いかも。実際はとんでもなくクローズドな街なんですけど。
でも、いざプレイするとなったらそれくらいの覚悟でしっかり時間を確保して挑むべきゲームでした。
本来のターゲットである女児がすぐに飽きたり、すぐにクリアできてしまうようなボリューム感ではありません。


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RPGっぽいと感じた理由のひとつとして、クエストやフラグ立てという感覚があったことが挙げられます。
次へ進むために必要な手順が明確にある。ある意味で馴染み深いシステムではありました。

マップ上にわかりやすく『!』マークで表示されているイベントはすぐに見つけられるので問題ないんですけど
『!』マークがつかない、特定のキャラクターとの会話がフラグになってるパターンが結構ありました。
これに気付かないとマジで先に進まなくなるので注意が必要。率直に不便に感じるポイントでした。

RPGの場合、進行中のクエストで次にどこへ行けばいいか、誰と話せばいいかわからないなんてことはまずなく
あえて誘導しないとしたら、わざと時間をかけて探させる目的があったと考えるべきでしょうか。


ただ、次へ進むためのフラグを手順よく踏みすぎてしまうと今度はコーディネートが忙しくなるんですよね。
店長ちゃんの武器は基本的にコーデだけで、コーデによってイベントを突破していくわけです。
ひとつふたつ続く程度ならいいのですが、3人分のコーデを2連続とかになると大変な知的労働になります。
「スター☆スタイリスト」というサブタイトルのとおり、今回はスタイリストとしての仕事が本当に多めでした。


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3人のメインキャラは当然のこと、脇を固めるサブキャラのどれも個性が際立っていたと思います。

キュートタイプの桜野やよい、クールタイプの青紫月子のふたりは従来のスタンダードなイメージ。
今回の「4」で特に目立ったのはポップ系コーデを担う黄梨蛍。キャラ付けがいかにも現代風な感じでした。
わかりやすく言えばYouTuber。SF好きのギークで、女児には伝わりづらいネタも多かったかも…?

大好きなSFアニメがソシャゲになって、イメージキャラとして起用される流れなんかは今の時代ならありえるし
リアリティのあるシンデレラストーリーとしてうまく設定されていたのではないかと。


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個人的にお気に入りだったのは、アルバイト店員として最初に選択できるサキちゃん。
正直なところ単なるアシスタントとして存在するだけだと思っていたので、ストーリーへの絡み方が意外でした。
あらゆる言動がとにかくかわいく、貴重なツッコみ要員でもあって、目が離せない存在でしたね。
サキちゃんのコーデも変更できるようになってからは店長ちゃん以上にいろいろ試していたと思います(笑)

アルバイト店員は他にも何人か用意されているので、おそらく全員分のセリフが用意されているはずなのですが
それを全部見ようと思ったら約50時間×人数分なんで…メチャクチャ大変じゃないかな。
ひょっとすると性別で2パターンあるだけかもしれません。だとしてもテキストの量は相当なものでしょう。


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脚本を吉田玲子が担当しているせいか、随所に百合っぽいイベントが散りばめられていたような…(笑)
特にやよいとスワンの出会いは絵に描いたような百合なので、そっち方面に興味がある方にはオススメできます。

やはりこういう題材を描く作品では『憧れ』というものをきちんと描くことがとても大事だと思いました。
憧れの対象がいて、その人に近付きたいと思って。その憧れが次の世代の憧れとなって連鎖していく。
その連鎖に陰ながら携わることの喜びをナラティヴに体験させてくれる、良いストーリーだったと思います。


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「4」から追加された新機能について、4月の記事以降に気付いたものをいくつかお話ししておきます。

まずはスマホアプリ。買ったことがあるアイテムをスマホから注文して補充できるようになりました。
スマホを操作できる場所ならどこでも利用できるので、店内で取り寄せてお客さんに対処することも可能。
スピード解決できて便利な反面、お客さんに同じアイテムを二度売りつけてしまう危険性もある諸刃の剣(笑)
店長としてどれだけお客さんを認知できているか試されるところがありました。

重複提案を避けるため『買ったことがあるアイテムは補充しない』という遊び方もできます。
「4」はアイテム総数や在庫の上限がかなり多めなので、そういうプレイスタイルでも実際なんとかなりました。
中盤で7000種類を超え、最終的に19000種類(!)まで確保可能。好きなブランドは基本的に全買いでOK。


スタイリストとしての報酬が定期的に振り込まれるため、セレブ系以外のブランドなら買い占めも容易です。
週1程度のペースで開催されるセールの日を狙ってまとめて買い付けするのがオススメ。

展示会に最後に追加されるVIPルームでは、館内の全店舗のアイテムから検索しての購入が可能です。
たとえば自分のようなメガネ好きの場合(笑)すべてのブランドからメガネだけを一覧にして確認したりだとか
そういうピンポイントな仕入れがスムーズにできるようになるわけですよ。
アイテム数が異様に少ないセレブ系のブレスレット類を探すときなどはVIPルームがとても便利です。

これほど至れり尽くせりでも、所持金が少ないお客さんの要望に応えるのだけは本当に困難でした…。


本編クリア後に追加される機能として『休暇』というものができました。これは過去作にはなかったはず。
『休暇』を実行すると、ゲーム内で1か月ほど日付をスキップすることができるそうです。
春夏にプレイ開始してクリアし、秋冬のアイテムも見てみたいと思ったときなどはうまく利用できそうですね。


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ここから先は、プレイ中に気になった点をざっと書いていこうと思います。

ヘアサロンとメイクショップで店長ちゃんの助言を求められるのは「4」でも変わっていません。
ただし、店長ちゃんには一銭も入らなくなっています。あくまで助言であり、お金はお店に入るという仕組みに。
なのにお客さんからメールでご指名が来て「この時間帯にお願い!」って言われるんですよね…。
そんなにヒマじゃねえんだこっちも。君たちは店長ちゃんをなんだと思っているのかね?

ヘアサロンやメイクショップの解禁にはやや時間がかかります。それまでは初期の髪型で我慢することに。
髪型やメイクはこまめに追加されるものの似通ったものが多く、選択肢が増えた感じはしませんでした。
お客さんから「パンクな髪型」を指定されるときが何度かあるのに選択肢がひとつしかないのはどうなのかと。

ヘアサロンの店長がかなりの優柔不断で、それが理由で助言が必要になるというのはうまい設定でした。
メイクショップの店長、リップさんはその真逆の強気なタイプ。


前作で見られた、ブティックからヘアサロンやメイクショップへと渡り歩くような全身コーディネートの要望は
「4」ではほとんど発生せず、特に要望がある場合は先述のとおりメールが届くように。
プレイヤー側から全身コーデを希望したい場合はメールでアポを取ればOK。なんだかとっても現実的だ…。

インテリアショップが開店し、利用できるようになるまでも結構時間がかかりました。中盤以降だった気が。
要求される金額が他とは比較にならないほど高く、解禁の遅さにもまあ納得できるでしょう。


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特にイベントのない接客メインの日は一日が長くなりがちで。1時間におよぶこともありました。
一日の終わりをセーブタイミングと考えてプレイしていると、仕事量の多さをジワジワと感じられます。

プレイ時間が長くなっているのに対し、お客さんの要望のパターンはそれほど多くないので間延びした印象が。
単に同じ要望なだけならいいのですが、エピソードまでまったく同じなのが何度も出てきますしね…。
「この街の人間はどんだけペンキ塗りたてのベンチに座るんだよ!?」とツッコみたくなりました(笑)
あと、同じお客さんがしましまのカーディガンを何着も買っていくなんて出来事もあり。

「○○なアイテムありますか?」という要望を満たしたとき「そう!○○っぽいのを探してたんです!」という
謎の会話が繰り返されるという文面上の問題も、あまりにも多いので気になってしまいました。


お客さんに実際に提案する前に『ざいこかくにん』で要望にマッチするアイテムがあるか確認できるようになり
便利になりましたが、実際に提案する際に再検索しなければならず、二度手間で不便でしたね。
『ざいこかくにん』の検索結果をそのまま提案時に引き継げたらいいのに。そこまでやってほしかったです。


展示会へ招致するブランドの選出は「4」でも任意ですが、イベントを完了するために特定のテイストが必要で
特に甘ロリ系のブランドは優先的に招致しておかないとストーリー進行に支障を来たしそうな気が。
逆にエスニックやアジアン、サイケは要望が少ないので後回しでも問題ないと思います。
カバンは単品での要望がさらに少なく、特定のカラーで要望されたときに提案するかどうかという程度でした。

終盤はセレブ系の要望が連続で来ますが、平時は基本的に売れません。マネキンに着せると顕著です。
お客さんの所持金額を上回ってしまうのが原因だと思うのですが、セレブ系コーデは買い手がつきませんでした。


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メインの3人がユニットを結成することになってからストーリーの進みが露骨に遅くなります。
というより、日付を進めないと次のイベントが始まらないので、何も起きない日がムダになってしまうというか。
かといって日付を進めるために早寝ばかりしていると、接客業務の存在意義が薄れてしまうんですよね。

「Girls Modeシリーズってどういうゲームなの?」と考えたとき、やはり第一にあるのはコーデなわけで。
ストーリー進行のためにその部分の存在意義が薄れてしまうのはプレイヤー感覚でもよろしくないと思えます。
このへんのバランスの取り方はなかなか難しそうですね…遊ばせ方に一考の必要あり。
それともうひとつ、「このゲームの最終目標はなんなの?」という部分の明示も必要であると感じました。

WGM(ワールド・オブ・ガールズモード)なるイベントが公表されるのがあまりにも遅すぎるんですよね。
すごい後付け感があるし、結局は勝ち負けで終わらせてしまうんだな…という残念さもあり。

わかりやすさで最終目標を決めてはいけない。特にファッションという分野においては、そう願います。


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3か月分の文量なのでだいぶ長くなってしまいましたが、とりあえず思ったことは全部書けたかな?
現時点でシリーズ最終作、純粋進化を遂げた作品。過去作の不満点に一定の回答を提示している点は変わらず。
改良や新要素の先に新たな問題点が浮上するというのはよくあることで、それはまあ仕方ないかと。
オトナがプレイしてもじゅうぶんにおもしろい、平和で魅力的なシリーズです。


シンソフィアの家庭用タイトルの開発って現状どうなっているのか、ちょっと気になりますね。
Girls Modeシリーズについては3DSの終了とともに「4」で完結と受け取っておいたほうがよいのでしょうか?
Switchのシェアが拡大して、これからという可能性もありそうですが。ほどほどの期待にしておきます。

Switchの導入は考えていませんが、「プリ☆チャン」の家庭用を出してくれるなら前向きに検討します(笑)
自分にとってはキラータイトルになりうる存在ですよ。「ゼルダ」よりも「あつ森」よりも。



いやぁ~長かった。ここからまだ全然遊び倒せるボリュームが残ってるんですけど、とりあえずここまで。

「Girls Mode 4」の音楽制作はavexであることはオープニングムービーでも紹介されてるので知っていましたが
やよいの歌声は『わーすた』の子が担当してたんですね。エンディングで見つけてちょっと驚きました。
『わーすた』といえば「プリ☆チャン」じゃないですか。なるほどな~。

すっかり書き忘れていましたが、今回の「4」はボーカル曲が多めに収録されているのもひとつの特徴でした。

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