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2021年4月28日 (水)

ララ・クロフトほしさに「Fortnite」に課金した話

「Fortnite」の初プレイでソロでビクロイを獲ってしまった話をしたのが昨年の夏のこと。
プレイしたのはあの一瞬のみで以降は再開もせず、保存領域の確保のためにアンインストールしてしまったほど。
対人戦がメインのゲームを自分が継続的にプレイするわけもなく、これは仕方のないことです。

そんな「Fortnite」を再開する機会が訪れたので、今回はその話をしていきます。再開の理由はふたつ。


Fortnite01

まずひとつめの理由は、4月21日からXbox向けの基本無料タイトルのマルチプレイが無料化されたこと。
これまでは基本無料タイトルであってもマルチプレイの利用にはゴールドメンバーシップ加入が求められていて
『基本無料でありながらお金を払わないと楽しめない』という矛盾が生じていました。
他のプラットフォーム、PS4やSwitchでは無料だっただけにユーザーから不満が寄せられていたそうな。

ただまあ、この一箇所を切り取ってXboxが劣っている云々言うのは早計なのですが。
たとえばXbox Oneのセーブデータのクラウドバックアップはサービス開始当初から無料でしたしね。


今回の無料化、Xbox LIVE上で『無料配信されてるタイトル』という条件で無料化されました。
これには特殊な例も含まれていて、PS4版はマルチプレイにPS Plusへの加入が必要な「DEAD OR ALIVE 6」や
「5LR」の基本無料版が、Xbox One版ではゴールドメンバーシップなしでマルチプレイ可能に。
ほかにも体験版のマルチプレイも無料化の対象となりました。これは地味に大きい変化です。


Fortnite02

ふたつめの理由は、「Fortnite」の現行のチャプター2・シーズン6がトゥームレイダーとコラボしてること。

今シーズンのコラボ、いわゆる旧ララだけでなくリブート版のララもスキンとして実装されています。
新生三部作を駆け抜けた自分としてはこれは押さえておきたいと思い、「Fortnite」の再開を検討したわけです。


ララのスキンなど関連アイテムはすべて『バトルパス』と呼ばれる有料サービスの報酬となっています。

「Fortnite」ではオンラインレベル1から100までのあいだ、ひとつ上がるごとに報酬としてアイテムがひとつ
アンロックされていきますが、無料で得られるのはそのうちの3割程度に限られています。
すべて獲得するには『バトルパス』への加入が必要で、料金はゲーム内通貨で950 V-Bucksとなっています。
V-Bucksは最低1,000から購入可能で、1,000 V-Bucksの販売価格は880円となっています。

おもしろいことにこの『バトルパス』、報酬としてV-Bucksももらえるんです。
7~8レベルごとに100ずつもらえて、レベル100になるころには次のシーズンの『バトルパス』の購入に必要な
V-Bucksが貯まる仕組みになっています。このことから「『バトルパス』はタダ同然」と言われることも。

少額の課金でよりお得に、より楽しく、目標をもって継続的に遊べる良い仕組みだと思います。


ほしいララのスキンがアンロックされるレベルは15、関連するアイテムすべてアンロックするには22が必要。
課金したはいいもののレベルが届かなければ意味がないので、課金の前にレベル上げしておくことに。


Fortnite03

「Fortnite」には全モード共通のクエスト、他のゲームで言うところのミッションのようなものがあります。
武器の使用回数やマップ上に隠されたオブジェクトの発見などで、まとまった経験値を得ることができます。
戦闘とはまったく関係のないものも多く、対戦を無視してクエストの達成に奔走する遊び方もありなわけです。
ソロでやるに越したことはありませんが、初心者ならチームランブルで狙うのが無難でしょうね。

クエストに加え、宝箱を開けるなど経験値が多めに振り込まれる行動を繰り返せば22くらいまではすぐいけます。
普通の遊び方(1日1~2時間?)で2~3日。対戦が得意 or 好きならもっと早く到達できるでしょう。

余談ですが、その気になればレベルも課金で買えます(笑)それはまあ最終手段ということで…。


Fortnite04

「Fortnite」の対戦自体はあいかわらず楽しめていないのですが、クエストの達成を目標とした遊び方は自分の
性格に合っているのか結構楽しめてます。しかし、そこだけを目標にするといくつか問題もありまして。

基本的には対戦ゲームなので、他のプレイヤーにジャマされることも多いのです。
こちらに交戦の意思があろうとなかろうと、対戦相手からはスコアにつながる敵に見えているわけですから。
あとは対戦開始時のバトルバスの航路によって、クエストの目標地点に向かうのが難しい場合もあったりします。
(字で書くとややこしいのですが、バトルバスは空飛ぶバスで『バトルパス』とはまったく違うものです)
これから向かおうとしていたクエストの地点が敵チームの航路の真下にある場合、交戦は免れません。

他のプレイヤーという不確定要素があるからこその難易度設定だろうし、いなかったらクエスト簡単すぎるか…。


バトロワ系ゲーム特有の、時間経過で行動範囲を狭めていくサークルも厄介な存在です。
目標を達成できていないのに制限時間が迫ってくる。達成できても生きて戻れない。そんなケースも多々あり。
スムーズに達成するためには下調べが大事ですね。幸い本作は攻略情報の共有が充実しています。


Fortnite05

目標であったララのスキンと、ララの関連アイテムは無事コンプリートできました。

ララのスキンには基本形のほかにスタイルが2種類あり、クラシックララの入手には別の手間がかかります。
クエストのうちレアリティがエピック(紫)のものを指定された回数達成することで別途アンロックされますが
クラシックララは興味なかったので、そのうち手に入ればいいやという気持ちで気長にやりました。
スキンが手に入るとエモートもほしくなる…記念撮影に使えそうなエモートがないのがちょっとした悩みです。

好きな外見で遊べるかどうかって、継続的にプレイするうえでのモチベーションとして非常に大事ですよね。
たいして思い入れのない、それどころか気に入らない外見で遊び続けるのってホントに苦痛なので。
「Fortnite」は初期スキンだと性別すら選べず、毎回ランダムな見た目になるのがよくないと思っていました。


Fortnite06

ついでなので言っておくと、限定ではない一般的なスキンの販売形態の不便さはなんとかしてほしいところ。

「Fortnite」のゲーム内ストアで販売されているスキンは日替わりでラインナップが変更されているんですけど
実装されてるスキンの総数のわりに、店頭にならんでいる数があまりにも少なすぎるんですよね。
その日を逃したら次に店頭にならぶのは1年後かもしれない。限定でもないスキンの入手が困難なわけです。

たとえば特定のスキンをたまたま見かけて、それが使いたくて「Fortnite」を始めてもスキンが手に入らない。
それが期間限定のレアなスキンならいざ知らず、一番価格帯の低いスキンでも入荷日は未定なのです。
次にいつ店頭にならぶかわからないまま気に入らないスキンを使って遊び続けなきゃいけない。
これってゲーム体験としてはかなりよろしくないし、改善されないまま運営されてるのもどうかと思うんです。

『バトルパス』がタダ同然なのに対し、スキン単体の価格設定が妙に高いのも気になるといえばなるのですが。
そこは見た目の差別化のための投資として割り切れるので、もっと買いやすいようにするべきでしょうね。


Fortnite07

ちなみに『バトルパス』報酬のスキンは基本的に再販されないそうです。ララがほしいならいましかない!

チャプター2・シーズン6は6月上旬まで続く予定で、これから始めてもまだ全然間に合います。
…と言っても、ララ目当てで始める人なんてそうそういないかな。まあ、今後の参考にはなるかもしれませんが。



「Fortnite」を久し振りにプレイして感じるのは、これが無料で提供されていることの異常性といいますか。
このクオリティのものが無料で遊べる時代に生まれた子供たちってフルプライスのタイトルをどう捉えてるのか
ちょっと気になるんですよね。ヘタしたら眼中にないまであるのかも。
対戦ツールとしてだけでなくサンドボックスとしても無限の可能性があるし。すごい時代になったなぁ…。


Fortnite08

「Fortnite」にはフォトモードと銘打たれたものこそないものの、リプレイモードのカメラの設定がこまかくて
フォトモードと呼んでも過言ではない出来になっています。焦点距離や被写界深度まで調整可能。
強いて難点を挙げるとすればカメラを傾けられないことですが、公式のスクショには傾いてるのあるんですよね。

本来は対戦のリプレイを見るモードなのですが、設定次第でクリエイティブモードも記録されるようになるので
好きな建物を配置してこだわりの一枚を撮るもよし、手に入れたスキンをじっくり眺めるもよし。

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2021年4月19日 (月)

2021年 春アニメ新作寸感

今年もロクに桜を見ぬまま花見の時期を過ぎてしまいました。しかもまだ寒く、春という実感がありません。
寒暖差による体調の変化、くしゃみや腹痛がやたら出るほうなので早く暖かくなってほしいですね。

さっそくですが、今期の新作アニメから当方なりのピックアップをご紹介します。タイトルは以下のとおり。

 「セブンナイツ レボリューション」
 「バクテン!!」
 「ましろのおと」
 「スーパーカブ」
 「MARS RED」

順番はおおむね高評価・好感の順となっております。ものによっては現時点で第3話まで視聴済み。
なので初回に限定した評価とは言い切れないところもありますが、初回以降もおおむね変わってはいません。


今期の筆頭に「セブンナイツ レボリューション」を挙げたのは初回の印象が非常によかったから。
制作はライデンフィルム×ドメリカ。事前登録受付中のソシャゲが原作で、魔法と英霊のファンタジーに加えて
学園ものっぽい要素がある感じ。主題歌がflumpoolというだけでも本気度が伝わってきます。

とにかく音楽がバツグンに良く、その音楽にきちんと絵を合わせようという意識、演出の意図が伝わってきます。
おかげで戦闘シーンはとても見応えがあり、自分としては珍しく初回から二度視聴したほど。
己を犠牲にして敵を倒すことへの違和感、正義への疑問。主人公なりの物事の考え方が見えるのもいいですね。
目立ちにくい作品だと思いますが、前期の「キングスレイド」のようなポジションに納まってくれそうな予感。


「バクテン!!」はある意味では五輪特需の一本か。加えて震災から10年目の節目の作品でもあります。
男子新体操というあまり馴染みのない、キツい言い方をすればマイナースポーツを題材としている本作。
競技をいかに魅力的に紹介できるか?という観点で言えば、初回のAパートの時点で既に達成できていました。

初めて男子新体操に触れた主人公の感動を視聴者も共有できる。そういう意味でお手本のような滑り出しでした。
続いてルール、採点の方法を説明していたのも好感。なぜ得点が低かったか、解説が非常に論理的。
加えて、人数が少なくても部活動として成立していることも同時に説明完了してるんですよね。
他にもさりげない一瞬の描写で設定を伝える場面があり、その巧みさに感心しながら初回を見終えました。

なにより爽やかなところがいいですね。前期同枠の「2.43」はスポーツものとしては少々暗すぎました。
もはやベテランと言ってもいい年齢層の『数字をもってる』人気男性声優を揃えているところも強み。

しかし、人数の少ない部で体育館の半分を占有できてるのはすごいな…普通は揉めるところでしょ。

マイナースポーツといえば今期は「灼熱カバディ」もあります。かつてあっただろうか、カバディのアニメが。
こちらも競技の魅力の伝え方がうまいなぁと思っています。筋力がモノを言うスポーツだったとは…。


「ましろのおと」は和楽器ものとして、なんとなく既視感を覚えるのは「この音とまれ!」があったからか。
和楽器に限らず、楽器が出てくる作品はどうしたって演奏の描写を避けられません。
本作でひとつ最大限に評価したいのが、毎回の演奏シーンを逃げずにしっかり動かして描いてるところ。
実際の演奏に触れたときの緊張感や心の震えなど、体験がきちんと映像に反映できているところがよかったです。

表現者として誰しも衝突する悩みや疑問の描写は「ばらかもん」にも共通しそうな印象があります。
あちらもかなり深い枠での放送でしたが、本作ももう少し浅い枠でやってくれると助かるのに…と思ったり。


もはやタイトルで説明完了してる感のある「スーパーカブ」。スーパーカブが出てくる作品です。

お世辞にも前向きとは言えない、薄暗い日々にスーパーカブがやってきて彩りが変化していく。
その様子が静かに淡々と描かれていく。それもものすごい解像度で。背景美術の緻密さに少々怖くなりました。
制作は前期「ウマ娘」が大好評だったSTUDIO 櫂。カブの描写はホンダがきっちり監修しているようです。

逆に言えば、中古のカブにしてはちょっとキレイ過ぎるんですよね…1万円で買える個体ではない。
安さの理由である「3人殺してる」とは事故や他殺ではないみたいで。いづれそのへんの説明もあるでしょうか。
バイクやクルマが登場する作品で、説明書を確認しながら操作する描写が続くことを非常に珍しく感じます。
珍しいといえば、劇伴がオリジナルではなくクラシック曲を多用してるのもちょっと気になるところ。

OP曲のギターになんとなく耳馴染みがあると思ったら、前期「のんのんびより」のnano.RIPEの提供曲でした。
原作小説とマンガ版で印象の異なる作品と言われており、アニメ版でさらに変化が加わる可能性もありそう。


タイトルからSFを想像していた「MARS RED」、全然SFではなくシリーズ構成が藤咲淳一の吸血鬼ものでした。
大正時代の日本を舞台に吸血鬼を取り締まる特殊機関を描く、ソシャゲ原作の女性向けっぽい作品。
やっぱり吸血鬼という設定は手堅いのだなぁ…まあ自分もわりと好きですが。藤咲さんが関わる作品全般に。

初回が一本の短編としてまとまりも出来もよく、それが2話でちょっと弱まった印象があったので5番目の紹介に。
画面がなんだかシャフトっぽい感じがするのですが、制作はProduction I.G系列のSIGNAL.MD。

SIGNAL.MDは今期もう一本「ドラゴン、家を買う。」も制作。ドラゴンが家を買う作品です(笑)


Twitterのタイムライン周辺では「ゴジラ S.P.」「SSSS.DYNAZENON」あたりが注目作の様子。
どちらも男の子っぽい作品で、わかってる前提でニヤニヤ楽しむ内容といいますか。コア層のアニメですかね。
世間的な注目作は「Vivy」「86」「シャドーハウス」あたりになると思われます。たしかに出来は上々。
しかし3つとも土曜深夜に固まって配置されてるので、全部見ようと思うと結構な疲労になります…。

続きものとしては、いよいよ完結となる「フルーツバスケット The Final」が放送開始。
「憂国のモリアーティ」の後半が特筆すべきおもしろさなので、見てない人はぜひ前半から追いかけてほしい!
ほかには「魔入りました!入間くん2」、「メガロボクス」の続編「NOMAD メガロボクス2」あたりに期待。

あと、アニメではありませんが「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀3」も楽しみにしております。
これらも含め、今期は土日に放送される作品が非常に多い。もうちょっと分散してくれると助かるのですが。


今期のタイトル長い枠「究極進化したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら」は…見なくていいかな。
タイトルの時点でひしひしと伝わってくるジャンクフード感、コントラスト強めで安っぽく見える画面。
「SAO」などを前提としたメタなギャグを楽しめるかどうか。それにしたって感性が古い作品だと思います。

VR世代の若い子の口から「身体でも動かしたほうが」なんて昭和くさい発言が出たことにまず驚き。
カツアゲしてくるヤンキー(笑)や寂れたゲームショップの描写がフルダイブRPGがある時代背景と噛み合わず
お約束として受け入れるにしてもかなり苦しく、見ていて真顔になってしまいます。
よくよく考えるとフルダイブRPGがある時代にダウンロード版を同時発売してないなんてありえないと思うので
本気でプレイしたかったら事前にダウンロード予約するし、カツアゲも回避できたと思うんですよね。

その後のクソゲーな部分は百歩譲るとして、導入はもうちょっと考証を入れて描くべきだったのではないかと。

もうひとつ、コーエーテクモ原作の「BLUE REFLECTION RAY/澪」は少々判断しあぐねています。
作画の話はとりあえず置いといて、わざとらしい説明ゼリフを一切廃してるせいか話がまったく頭に入ってこず
「セブンナイツ」とは別の意味で2回視聴した作品です。初回をながら見した自分も悪いのですが。
現時点では作画も含め、特殊な作品という印象があります。今後よいほうに印象が変わるでしょうか。


事前にプラモデルの発売情報で話題になっていたバンダイ案件のドラマ「ガールガンレディ」も始まりました。
現状ではなんとも…話のタネになるか?という程度で見ていますが、関連商品が売れるとは思えず。
かわいい子が山ほど出てくるし、この作品から新時代の人気女優が輩出される可能性は全然ありそうです。

劇中にバンダイの製品がさりげないとは言えないレベルで出てくるのはご愛敬。
プラモデルという日陰の趣味が戦場では強力なアドバンテージになる、という点では異世界転生的な感じもあり。
ただ、専用銃の弾を戦闘中にランナーから組み立てる(笑)描写は納得はできても笑ってしまいます。
現実世界での組み立て中に挿入されるライブシーンも意味不明で、ぶっちゃけ奇妙な作品です。

優勝すれば生存のデスゲーム。生徒を選別する目的はなんなのか、どんな結末が待っているのでしょうか。

そういえば撮影に使われている校舎が「アイカツプラネット」と同じなんだとか。特徴のある建物ですよね。
YouTubeで配信がはじまった「ガンダムビルドリアル」も実写だし、なにか実写に向く理由がある…?


さてさて…今回もだいぶ長くなりましたがこんなとこで。大変な作業とは言いつつも感想は書きたくなります。

Twitterのほうをご確認の方は既にお気付きかもしれませんが、今期は実況をかなりひかえめにしています。
そのぶんローカルのテキストに感じたことをその都度メモっていまして。視聴中の行動はほぼ変わっていません。
ツイートだと文体や誤字に注意するせいで、どうしても意識が散漫になってしまっていました。
メモはそのへん気にしなくていいし、前の週に感じたことを追いやすいので総合的に好都合なのです。

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2021年4月12日 (月)

ゲームレビュー 「ABZU」

Abzu01

 ※「ABZU」の「U」には曲折アクセント記号(^)がつくが、環境依存文字なので本稿では「U」とする

[プラットフォームと購入方法]
Playstation Storeのキャンペーン「Play at Home」で配布された9タイトルのうちのひとつ。なので無料

[クリアまでにかかった時間]
ちょうど1時間半。念入りに探索したとしても、おそらく2~3時間で完了する程度のボリューム。

[ゲーム難易度]
フライトシミュレータのような若干クセのある操作に慣れさえすれば、あとは難なくプレイできるはず。
戦闘やゲームオーバーはないが、わずかなパズル要素はある。といってもスイッチを見つける程度のもの。

[実績・トロフィー難易度]
全12種類。収集や発見などが条件になっているものばかりで、場所さえわかればコンプリートは容易。
『瞑想の像』の発見状況はメニューの[瞑想]からある程度確認できる。[瞑想]から探索には移行できない。


Abzu03

[良いところ]
・驚くべき数の海洋生物。過去にも海洋もののゲームはあったが、これほどの数は初めてかもしれない。
・水の流れに呼応するような弦楽と管楽。BBCの自然ドキュメンタリーを見ているかのよう。

[悪いところ]
・アイテムの収集状況を確認できるような画面がない。
・強制移動ステージにもアイテムが配置されており、唯一ここだけが操作の難しさを感じさせる。

[どちらとも言えない]
・何をするゲームなのか一切説明がない。逆に言えば、どう遊んでもよい。
・画面上にUIの表示がなく、セーブ中を示すアイコンも表示されないのでアイテム収集の際はちょっと不安。


Abzu02

[総括]
「ABZU」は「風ノ旅ビト(Journey)」のアートディレクターが独立後に設立したスタジオ、"Giant Squid"の
初の作品であり、あきらかに同じ人物が関わっていることがプレイし始めてすぐに伝わってくる。
それくらい作家性にあふれた独特なゲームと言えるだろう。Unreal Engineとはにわかに信じがたい映像だ。

ゲームを始めるとプレイヤーはすぐに海に突き落とされ、あとはひたすら自由に泳ぐことになる。
最初だけ操作の説明は表示されるが、以降は画面に指示も文章もない。それらしい方向へ向かうしかない。
それでも迷わないのは、本作の視覚的誘導がとても優れているからだろう。
仮に間違った方向を目指してしまったとしても、その先になにかしら発見があって失敗した気にさせない。

まるで巨大な水族館にいるような映像、そして壮大なオーケストラによる強烈なリラクゼーション。
なぜ本作が「Play at Home」に選出されたのか、その意図がよく理解できる体験だった。

実績をコンプリートしたあとも瞑想モードでアクアリウムとして楽しむことができる。大画面で楽しみたい。


[オススメ度]
万人にオススメ。疲れている人、ストレスが溜まっている人、海洋生物が好きな人には確実に刺さる内容。
「風ノ旅ビト」同様、イスラムの香りが漂う装飾も好みな人にはぜひ見てもらいたい。



Abzu04

今回の「Play at Home」は「ABZU」を含む9作品が一挙無料配信という大盤振る舞いでした。
そのうち4作品はPSVR専用タイトルなので、PSVRを持ってない自分からすれば実質5作品ということになります。
「The Witness」はXbox One版をレビュー済み。まあ、すべてをレビューすることはおそらくないでしょう。

他の作品も一応ざっと触ってはいまして、「Rez Infinite」が意外と感触がよかったです。
「レイストーム」のようなロックオン攻撃のあるシューティングとリズムアクションの融合とでもいいますか。
VJのようなグラフィックも合わさって独特のトリップ感を味わえます。オススメはArea Xモード。
「THUMPER」も同じくリズムアクションですが、「Rez Infinite」にくらべるとかなり短調な印象が。

この9作品の少し前に「ラチェット&クランク」が、今月末には「Horizon Zero Dawn」が追加される予定。
「Horizon」は購入を検討したこともあったのでちょっと楽しみにしています。


「The Outer Worlds」のようなじっくり遊ぶタイプのゲームのあとは、一度のプレイ時間が短めで物語のない
アーケードライクなゲームをサクサク遊びたくなります。「Rez Infinite」は需要に合ってたのかも。
「デュエプレ」はあれから全然触れてない…TCGに対しての欲求が満たされてしまったのか。

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2021年4月 5日 (月)

2021年 冬アニメ総括

最終回が4月にはみ出してしまう作品がいくつかあったため、当ブログも若干遅れての振り返りとなります。

歌やスポーツに陰りが見えるコロナ禍で、アニメやゲームは以前よりも輝いて見えます。
「シン・エヴァ」の話題性、競馬に新たな客層を送り込む「ウマ娘」、グッズ化も加速する「モルカー」。
「鬼滅の刃」ブームも最盛期は過ぎた感はあるものの、まだまだ活気を残していそう。

テレビアニメを話題にし続けてきた自分からすると、もっとテレビアニメが注目されてほしいと思うんですよね。
それも、できれば放送中の作品。「鬼滅」は放送終了後でしたが「呪術廻戦」はかろうじて達成できたかな?


長い長い事前登録期間の末にようやく配信開始となった「ウマ娘 プリティーダービー」、その完成度の高さから
プレイヤーたちをテレビアニメ(「Season 2」)のほうにも引き寄せる効果がありました。
今期放送のアニメのなかで、Twitterのタイムラインで確認できる視聴者数がもっとも多い作品でした。
ゲームの効果もさることながらアニメとしての完成度の高さが注目を集める大きな要因になっていたと思います。

なにせ原作が良いので(笑)いや…今期はその原作の無慈悲さに苦しめられる視聴者も多かったのではないかと。
相次ぐケガ、挫かれる希望。史実どおりとはいえ、見ていてつらくなるシーンがいくつもありました。
その一方で肥ゆるスペちゃん、ズッ友なギャルなど、笑いを誘うシーンもバランスよく配置。

かわいさもありカッコよさもあり、本当にあらゆる方向に優れたテレビアニメ。久し振りの手応えでしたね。

ただ、ひとつどうしても申し上げたい苦言があります。それは最終回のレース中に差し込まれたコメディ要素
今回の2期は美容院のふたりなど、よくわからないコメディ(笑)が全体に散りばめられていました。
でもそれが許される雰囲気というものがあって、できれば最後の有馬では避けてほしかったんですよね…。
観戦するすべての人がギャグマンガみたいに号泣しているのも、茶化されてるみたいで個人的には悪印象でした。

最終回でもっとも大事なのは有馬で、そのあとに開催されるウイニングライブではなかったはず。
なのに作画はウイニングライブに注力され、有馬のシーンはあきらかに力の配分が弱かったのも残念でした。
あと、あのライブを見てみんなナイスネイチャの話しかしてないのもメガネ好きとしては納得がいきません(笑)

以上のことから、100点満点はつけられないけど今期随一の作品であった、という評価になります。


ストーリー面で言えば「Re:ゼロから始める異世界生活」の2期後半も特筆すべき内容だったと思います。
通常テレビアニメはCM部分を差し引くと、本編部分は23~4分という程度の尺になります。
しかし今期の「リゼロ」はCMがほとんどない。30分の放送枠を限界ギリギリまで放送に使っていくスタイルで
最後にオマケ程度に挿まれるCMもゲーム版「リゼロ」のものだけ。主題歌が流れる週はわずかでした。

これまでに登場した印象的なキャラが驚くべき役割で登場する過去編。積み重ねが活きる正解のルート。
長いシリーズですが、ここまで付き合ってきてよかったなぁと思えました。特殊な放送形態が許されるのも納得。

なんかもう大団円な感じでしたけど、ここからようやく王選ってヤツが始まるんですよね…まだまだ先が長い。


寸感で注目の作品として挙げた「ワンダーエッグ・プライオリティ」と「魔道祖師」、「SK∞」は期待どおり。
…といっても「SK∞」以外はまだ完結していないので現時点での評価となりますが。

「ワンダーエッグ・プライオリティ」は自分としては珍しく、メモを取りつつ考察しつつの視聴となりました。
そうでもしないと理解が追いつかないというのもあるし、そうさせるパワーがある作品とも言えます。
わからないけどおもしろい、読み解くのがおもしろい。けど、どんなに考えてもわからない。
「エヴァ」ほど衒学的ではないものの感覚的には「エヴァ」を見ていたときに近いかもしれません。

一番厄介なのは劇中で『上』と『下』と表現される空間、リアルとファンタジーの境界があやふやなところ。
後半にあたる9話以降は特にSF的な描写も多く、明かされる情報に戸惑うこともしばしば。
次回の特別編は6月末放送と聞いて、10年前に震災で最終回が放送延期になった「まどマギ」を連想しました。


「魔道祖師」はここまでの1クールがプロローグで、おそらく本筋はこれからが始まるんですよね。
1クール作品が当たり前な昨今、気長な話ではあります。しかし、展開がゆっくりでもじゅうぶん見るに堪える。
大河ドラマを見るような気持ちで楽しんでいます。放送もちょうど日曜で大河の直後ですし。
あと、やっぱり画面の精細さがすごくて。ただ見ているだけでも贅沢な気持ちになれるアニメです。


放送前はスケートボード周辺の文化がアニメファンに受け入れられるか不安だった「SK∞」は、終わってみれば
超次元スケボーアニメとして、つまりホビーアニメ的な味付けの作品として見事に心をつかんでいました。
スケートと沖縄に対する多大な誤解が生じたような気も(笑)まあ、現実の競技と混同する人もいないかな?

競技内外の直接的な暴力行為でトーナメントが動いていくとは思っていませんでした。でも、ああでもしないと
テクニックの面では天才たちにおよばないレキのスケートへの取り組み方を描けなかったでしょうね。
シャドウはいろんな意味で不運だった…もし続編があるなら報われるところが見たい。
予想に反してアダムは逮捕されなかったし、続きを描くにじゅうぶんな下地が整っているのでは?

余談ですが「ワンエグ」は8週目に、「SK∞」は9週目に実質上の総集編を挿んでいました。
今期はこういう後半や最終回直前に総集編が放送される作品がいくつかあり。ちょっと気になる傾向でした。


いまどき珍しいぐらいマジメに戦記をやってる印象だった「オルタンシア・サーガ」は最終回で評価が急上昇。
なんか無難に終わるのでは?とゆったりした気持ちで見ていたら、とんでもない結末に驚かされました。

登場人物たちの成長が見える最終回までの流れや、非常に合理的な展開も評価していたんですよ。
なぜこの世界に魔物と呼ばれる幻想的な生き物がいるのか、そこまできっちり説明してた作品ですからね。
それだけに、この結末で終わるの!?という強い衝撃があったのかもしれません。原作の続きが気になるわぁ~。

同じく、マジメで堅実な内容のファンタジーものとして「キングスレイド」にも触れておかねばなりません。
ストーリーも本当に王道中の王道で、そのせいで目立った特徴のない作品として見られていた気もします。
2クールという尺で「オルタンシア」以上に積み重ねを築き、別れるには惜しい旅を描いてくれました。
あとは…なんか全体的におっぱいデカいアニメだったな(笑)胸の描き分けにも妙なこだわりがあったような?


「キングスレイド」とならんで、評価とか関係なく好きで見ていたのが「ラスダン」でした。

「ラスダン」こと「たとえばラストダンジョン前の村の少年が序盤の街で暮らすような物語」は原作から改変や
省略が多いという話は耳にしていましたが、アニメ単体で見ていてそれほど違和感のあるものではなく。
少なくとも自分はまったく悪い気がせず、むしろ毎週楽しく見ていました。
登場人物みんながかわいらしく愛着をもって見られる、もうちょっと続きを見ていたくなるアニメでした。

「ラスダン」に限らず、原作既読者がアニメ化作品を見るとどうしても間違い探しになってしまって。
どこが違う、何が欠けてる。アニメ化に際して変えた部分がすべて減点対象になる。厳しい見方になりがちです。
そういう原作既読者の指摘が『アニメだけを見て楽しんでる人たち』に水を差すことになりかねません…。

テレビアニメはテレビ番組として、テレビで見ている人を楽しませるものになっていればそれでよい。
そこを起点として、原作に興味をもってくれればなおよし。「ラスダン」はきっと成功の部類ではないかと。

アニオリの部分が指摘される「約束のネバーランド」もアニメ単体としてはひとつの正解だと思うんです。
やや駆け足なエピローグにしても、あのあとの出来事を想像するにはじゅうぶんな置き土産だったと思いますし。
「キングスレイド」のリヒトなどは彼が存在しない状態で描かれる原作を想像しにくいほどでした。


「ラスダン」といえばオープニング曲もツボでしたね。世代に刺さり過ぎる、ものすごいI've固めの制作陣。
今期ほかにお気に入りだった主題歌は「約ネバ」と「のんのんびより のんすとっぷ」のOP曲。
「のんすとっぷ」のOPは全編に渡ってギターの音がとても気持ちよく、ニヤニヤしながら聴いてました。
あと「ワールドウィッチーズ 発進しますっ!」のOPも本編に不釣り合いなくらい無駄にエモくて(笑)よかった。

「のんのんびより のんすとっぷ」は第5話のこまぐるみが脱走するエピソードが傑作。
ああいう不条理なギャグと心暖まるエピソードが交互にやってくるため、回ごとの印象にかなり波がありました。
否応なしに過ぎていく時間、次へ向かうこと、変化の春。それらがポジティブに描かれていたのが好感。


ほかに今期視聴中に思ったことをいくつか、視聴時のメモから書き写しておきます。

「ゆるキャン△」はもはや良し悪しではなく、全国民に必要な穏やかさを給付する存在と言えます。
アニメ2期が終わって、その30分後にはドラマ2期が始まる。アニメで見たエピソードがもう実写になってる…。

「Dr.STONE」の2期「STONE WARS」は全体的に満足できるもので、司の冷凍睡眠も科学的なロマンがあって
よい結末だったのですが、その先の続編を描くことについては反対というか。妄想であるうちが華かなぁと。
妄想どおり、理想どおりにきちんと描かれたらそれはそれで満足しちゃうんでしょうけど!

「BEASTARS」2期と「ホリミヤ」BLです。原作者が否定したとしても断言できるレベルのBL。
どちらも男女の恋愛として描かれると思って見ていただけに、思い込みとのギャップで毎週結構な衝撃でしたね。
ハルちゃんもジュノさんも影が薄すぎる…サービスシーンはあったものの記憶から抜け落ちていました。
「ホリミヤ」は歯型の一件が堀さんとの山場で、それ以外は宮村総受け(男からの)が事実。

「ひぐらしのなく頃に 業」の『郷壊し編』は半分ギャグでしょ…原因の大半は沙都子の選択にあるのですが。
あれほど強大な能力を得てもなお、その力を学力向上に使おうとしない意地がすごいというか(笑)

物語は「業」から「卒」へ。我々も「ひぐらし」を卒業できることを祈りつつ。次こそ悟史は出てくるのかな?


「転生したらスライムだった件」の2期終盤はずっとモヤモヤした気持ちで見つめていました。
生き返ることが織り込み済みの味方の犠牲と、リムルが魔王になるための材料としての敵軍2万人の犠牲。
単純に勧善懲悪として見れば、仇を討って材料も手に入って一石二鳥!でよいのですが、同じ命ですからね…。
1万人の被害が魔物の国に対する印象をどう変えるかなど、ハッピーラッキーでは済まされない懸念があります。

この先どう落とし前をつけるのか、気になるといえば気になるのですが楽しくは見続けられないかも。
シオンは死んだままのほうがドラマとしてはよかったんじゃないかな…などと個人的には思っております。


今期最終回を迎えた「ヒーリングっど プリキュア」。終盤のダルイゼンとの決別の回は衝撃的でした。
これまでのプリキュアでは敵にもある程度の情けをかける、あるいはなんだかんだで生き延びて地球で生活する
パターンが多かったので、「悪は悪である」と断じて見放すという選択は新しかったと思います。
ニチアサという広い範囲で見ても珍しい『お約束潰し』だったのでは。でも、あの選択は正しかったですよね…。

新作「トロピカル~ジュ!プリキュア」は微妙にレトロな空気が漂う、悪く言えば古臭さが気になります。
トロピカルや南国といったキーワードから連想するイメージの安直さ。ステレオタイプに乗っかっているところ。
オトナのアニメオタクにはお約束として通じるものが、はたして現代のお子様に通じるのかどうか。

学内のなんでも屋的なポジションに納まると思っていたトロピカる部が、活動に具体性がないままOGの後押しで
部活として認められてしまったあたりに、視聴者を納得させる力がちょっと弱いなと感じています。


さて…これでようやく区切りをつけられる。既に春アニメの一部は放送が始まっております。

長年アニメの新作情報を提供してくれていた某・サイトがプロバイダのWebサービス終了とともに閉鎖したため
春から新作アニメの放送日程などを調べるのにちょっと手間取っています。
Yahoo!テレビの番組表で、検索条件を『アニメ/特撮』『新番組』に設定したものがなかなか便利。
番組情報にあらすじや役名が併記されたキャスト欄なども載っており、視聴時のお供としてオススメです。

しかし正直な話、アニメを継続的に追いかけるのにも疲れてきましたね。いや、サイクルに飽きてきたのか。
何か新しいことを始めようとするのにアニメ視聴の時間的拘束がジャマになってきた、というのが正しいかも。
続きモノは別として、オンタイムで実況しつつの視聴は今後減らしていこうかと思っています。



今期は途中で脱落してしまった作品が結構多かったですね。そのなかに傑作もあったかもしれません。

アニメの内容とは関係なく、バックにいる企業を理由に作品を貶すタイプのアンチもいるようで。
原因はおそらく過去のアニメ作品における『やらかし』で、ようは前科持ちを前科で殴り続けてるわけですね。
至極くだらない話ですが、そういう人たちの貶しも作品の評価として同等にネット上には置かれています。
他の人の評価を読むうえでそういう事情は一応把握しておくべきかと…あくまで、他人の評価を気にするならば。

「PUI PUI モルカー」を見ていると、アンチがつきにくくウケやすい作品の傾向が見えてくる気がしました。
まず大前提として、商売っ気が薄そうに見えること。回収できてるのかどうか視聴者が不安になるくらいがよい。
ある種の嫌儲主義といいますか、お金の匂いがするとネット上の群衆はすーっと去っていくものです。

あとは考察の余地ですね。なんでも掘り下げるのが大好きな人たちによる考察がライト層への拡散につながる。
一見ソフトタッチの世界が、その奥に仕込まれたネタによって奥深いものに見えてくるみたいな。

この条件に当てはまるのが「けものフレンズ」で。2期がそうならなかった理由もこれで説明がつくのでは。

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