« 2021年 秋アニメ総括 | トップページ | 2022年 冬アニメ寸感 »

2022年1月11日 (火)

ゲームレビュー 「Horizon Zero Dawn」

Horizon_zd01

[プラットフォームと購入方法]
2021年の春に実施されたPlaystation Storeのキャンペーン『Play at Home』で無料配布されたタイトル。
配布対象は「Complete Edition」で、DLC『凍てついた大地』を含む。

[クリアまでにかかった時間]
難易度NORMALで本編約62時間。サイドクエストや収集など込みでの時間なので、縮めようはあるはず。
DLC『凍てついた大地』は全体で約30時間。一般的なDLCとくらべてかなりのボリューム感がある。

[ゲーム難易度]
ゲーム開始時に6段階から難易度を選ぶことができるが、本作のNORMALは一般的なHARDくらいはある。
アクションが不得意な人はNORMALよりも低い難易度でプレイしたほうが楽しめるだろう。

[トロフィー難易度]
数が多く、メインクエストの過程で獲得できるものが半数。オープンワールド特有の収集関連がいくつかあり。
メインクエストで大量に見つかる文献や音声ログはトロフィーに影響しないので、抜けがあっても問題なし。
本編でもっとも時間がかかるのはレベル50のトロフィー。DLCまでクリアするつもりであればいつかは届くはず。
技術的・作業的な難関は『狩場』関連。難しさに加えてシステム面でストレスが溜まりそう。

「全スキル習得」の獲得に必要なスキルは36種類。現バージョンで右端にある『流浪』の8種類は含まれない。
しかし『流浪』にも便利なスキルはあるので、トロフィー獲得を意識せずスキル選びをしてもよいだろう。


Horizon_zd02

[良いところ]
・AAA級の美麗で緻密なグラフィック。どこに目を向けても絵画のように美しく、フォトモードがはかどる。
・実在感あふれる人物表現。オープンワールドタイトルでこの質感は類を見ない。
・人と機械のパワーバランス。どんなにレベルを上げても、装備が充実しても一定の緊張感が保たれる。
・オープンワールドの名に偽りのないルート選びの柔軟さ。意外と登れる崖は多く、高台が強みを発揮する。
・王道ではずさないストーリー。グラフィックも相まって満足度は高め。

・ストーリーを補完するDLC。さらに雪深く過酷なシチュエーションと強力な武器の追加。


Horizon_zd03

[悪いところ]
・序盤のイベント戦闘がいきなり難しく、プレイヤーをふるい落としにかかっている。
・三人称視点のカメラの位置取り。戦闘中は捉えるべき敵が見えず、探索中は探しものが見つからない。
・ジャンプの飛距離がモーションのわりに短く、つねに事故がつきまとう。
・クエストのナビがもっとも近い『街道の分岐点』を示すせいで、目的地がどの方角にあるか確認しづらい。
・武器のチュートリアルクエストはアクティブにしておかないとカウントされず、いつまでも残り続ける。
・『狩場』の仕様。回復薬や矢弾など、消耗品はすべて自己負担。リスタートにも手間がかかる。

・DLCのラスボス戦。もう少し良心の感じられる調整にしてくれてもよかったのではないか。


Horizon_zd04

[どちらとも言えない]
・主人公のデザインは好みが分かれるところ。『戦う少女』の造型として説得力はある。
・荷物のやりくりが序盤の最大の悩み。アップグレードで上限が増えるまでは不要品の整理が続く。
・最初から利用可能なファストトラベル。ただし終盤までは実行時にアイテムを消費する。
・爆破属性の武器が強く、「とりあえず爆破しておこう」な思考停止プレイでわりと勝ててしまう。
・音声ログや文献はクエストに深みをもたせるが、きちんと読もうとするとゲームの進行が止まりがち。

DLCの追加要素のひとつに槍の改造があり、該当クエストをクリアするとパーツを装着できるようになるのだが
DLCをインストールしてあると改造可能になるより前に、本編でパーツだけ手に入ってしまう場合がある。
本作には荷物を預けるなどのサービスがないため、DLCを開始するまで荷物の負担になってしまう。


Horizon_zd05

[総括]
2017年に発売された「Horizon Zero Dawn」はプラットフォームを代表するオープンワールドアクションだ。
Playstationを日々嗜むゲーマーにその名を知らない人はいないであろう超有名タイトルである。
コロナ禍において本作は『Play at Home』で無料配布され、ネットワークに接続しているPS4所有者であれば
誰でも手に入れることができた。そういう規模の普及率を誇る作品であることをまず紹介しておきたい。

オープンワールドアクションと紹介したが、本作のゲーム性はRPG寄りである。
明確なストーリーが存在し、各地で依頼されるサイドクエストにもさまざまな人間模様が見て取れる。
深い雪に囲まれた美しい景色のせいだろうか、過去のいくつかの名作を連想させるところがある。

2022年初頭の時点でも、本作のグラフィックは最先端と言っていい水準にある。
視界の端まで広がる絶景と草木の数、美しいライティング、多種多様な人種を巧みに表現した人物描写。
昨年発売のタイトルでも本作に肉薄しているものは少ないのではないか。当時から輝きをまるで失っていない。
ただ歩いているだけで幸福な気持ちになれる。『Play at Home』の選出にも納得の旅路だ。


あらゆる面で高水準だがストレスを感じる部分があるのは否定できない。お世辞にも個性とは呼べない部分だ。
周囲の見づらさ、目的地の確認しづらさなど、基本的な欠陥が最後までつきまとうことになる。
なぜここまでできてシステム面の洗練を怠ったのか。100点を取れるテストで名前を書き忘れたかのようだ。

残念ながら100点満点はつけられない。しかし最低でも90点はつけられる。いや、つかなければおかしい。
エンディングまでの道のりは長いが、遊び応えとテンションを維持したまま最後まで楽しめるだろう。


Horizon_zd06

[オススメ度]
かなり高め。無料配布でもらったっきり積んでしまってる人はすみやかに時間を確保して積みを解消してほしい。



本文中にある『過去のいくつかの名作』ですが、広大な雪国を弓を持って駆け巡るという特徴から「Skyrim」や
「Rise of the Tomb Raider」を真っ先に連想していました。それと「Red Dead Redemption 2」。
これはややネタバレになるかな…いや、いまさらネタバレもない時期か。
あと、「Anthem」は本作のような完成形を目指して開発されていたのでは?と感じるところがありました。

現在はDLC『凍てついた大地』の領域を攻略中。まだまだ本作を遊び尽くせていません。
結構ハマってる自覚はあるものの、もうじき発売される次作「Horizon Forbidden West」に興味が湧かないのは
レビューで挙げた減点ポイントがまあまあ深刻なストレスの原因になっていたからですね…。

そもそもうちは新作をすぐにプレイするようなサイトではないし。数年後であれば可能性はあるかも。

(1/25 DLC分を追記)

|

« 2021年 秋アニメ総括 | トップページ | 2022年 冬アニメ寸感 »

ゲーム レビュー&コラム」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 2021年 秋アニメ総括 | トップページ | 2022年 冬アニメ寸感 »