ゲームレビュー 「7 Days to End with You」
[プラットフォームと購入方法]
フレンドからの提供(Steam版)
[クリアまでにかかった時間]
ゲーム内で7日間過ごすことを1周と考えれば1時間程度だが、おそらく本当の意味でのクリアにはならない。
最低でも2~3周する前提で作られている。しかし、長くとも10時間程度で遊び尽くしてしまうだろう。
[ゲーム難易度]
基本的にはポイント&クリック方式のアドベンチャーゲームなので、操作については難しいところは一切ない。
未知の言語に自分なりの解釈、翻訳をつけていく行程が順調にいくかどうかで個人差が生じる。
義務教育程度の英語ができればなんとかなるはずだが、なんの進展もないまま周回を繰り返す可能性もある。
主人公の境遇になりきるつもりで、言葉のわからなさを楽しむつもりで取り組んでほしい。
[実績・トロフィー難易度]
本作には実績が設定されていない模様。
エンディングはおおまかに4種類あると言われており、いわゆる真エンディングは存在する。
[良いところ]
・システム要件が非常に低く抑えられており、プラットフォームを選ばず気軽に楽しむことができる。
・未知の言語を理解していく過程。他のゲームでは味わえない知的探求。
・プレイヤーの解釈、翻訳次第で変化するストーリー。プレイヤーだけのストーリーが形成される。
[悪いところ]
・任意のタイミングでセーブができず、中断するために必ず日をまたがねばならない。
・重要ではないが本編で一度しか使われない単語がいくつかあり、その意味を特定しにくい。
・実績やチェックリストがないのでエンディングや単語の達成率を確認できない。
(何をもって本作のクリアとするか、明確でないのは現代においてはマイナスポイントになりうる)
[どちらとも言えない]
・値段相応のボリューム感であり、できることはそれほど多くないし増えることもない。
・ファミコン時代を彷彿とさせるグラフィック。しかしタイトル画面などで統一感を欠く画像も使われている。
・言語のベースとなっているのは英語のようだが、アルファベットの使われ方が共通していない。
(だが、ひとつの単語のなかではアルファベットの使われ方が共通しているので、ある程度の予想がつく)
たとえば『RED』と『GREEN』にはRとEが含まれるが、数字に置き換えると『123』と『45667』という具合に
単語ごとに異なる文字が割り振られているため、ふたつの単語の共通点から推理することはできない。
しかし、『45667』なら「3番目と4番目に同じアルファベットが入る5文字の英単語」であることがわかる。
会話の流れで「色を示す単語」であることがわかっていれば、候補を楽に絞り込めるだろう。
この法則に気付くと『REMEMBER』のような、文字数は多いが同じアルファベットを複数使っている単語の場合
「これは『REMEMBER』以外にありえないだろう」と、その特徴から単語を断定できるようになる。
「義務教育程度の英語ができれば…」と先に述べたのはこのためだが、使われているのが英語だとわかった途端
ゲームの雰囲気を台無しに、かつ難易度を低下させてしまうおそれがあるので良し悪しである。
おそらく本作をプレイするうちに誰もがそこに気付くはずで、制作者もそのつもりで作っているのではないか。
『REMEMBER』のように、「覚える」と「思い出す」というふたつの意味をもつ単語が英語には存在する。
日本語話者である我々にとっては意味を断定しづらい、攻略の障害となりうる部分である。
[総括]
「7 Days to End with You」は2022年に発表された革新的なタイトルのひとつである。
技術的にはさほど難しいことはしていないはずで、おそらくファミコン程度のスペックでも実現はできただろう。
なのに2022年までカタチになって世に出てこなかった。作者の着眼点と発想がもたらした新しさと言える。
主人公は目を覚ますと知らない部屋にいて、すべての記憶を失っており、傍らには名前も知らない女性がひとり。
未知の言語を話す彼女と身振り手振りの交流を繰り返し、言葉の意味を推測するところから本作は始まる。
主人公がものに触れると、それがなんなのか彼女がシンプルな単語の羅列で教えてくれる。
このやりとりを繰り返すうちに単語の共通点が見えてきて、彼女が何を言いたいのか意味を理解できてくる。
しかし、明確な正解があるわけではない。単語にどんな翻訳をつけるかはプレイヤー次第だ。
きちんと意味を理解していながら間違った翻訳をつけることもできてしまう(クリアからは遠のいてしまうが)。
プレイヤーごとに異なるセンスで、異なる理解で、異なるストーリーが紡がれるところが本作の魅力である。
わたしは誰で、彼女はなぜ寄り添ってくれるのか。あなたの手で確かめてほしい。
ひとりでプレイしても当然おもしろいが、みんなでああだこうだと推理しながら遊ぶのもまたおもしろそうだ。
[オススメ度]
あらゆる人にオススメ。特に、既存のゲームシステムに飽きが来てしまっている人には強くオススメできる。
PC版以外にAndroid版とSwitch版が存在するが、操作性や文字入力の面ではPC版が有利だろう。
すべてを理解したとき、泣けるゲームになっているところも本作が高く評価されるポイントだと思っています。
レビューを掲載する順序が当初の予定とは異なっています。あと、全体的に遅れ気味です。
1回あたりのプレイ時間を多く取りたいゲームを起動する精神的余裕が、年明けからだいぶ減退しておりまして。
時間的余裕はあるんです。気楽に起動できる短時間向けのゲームに時間を割く傾向が続いてるんですね。
それともうひとつ、やはりPCでゲームをプレイすることに馴染めていません。家庭用ゲーム機のほうが気楽。
ゲームを動かす機能が分かれているほうが安心感があるというか。PCが塞がることにストレスを感じるのかも?
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