2023年 秋アニメ総括
■好評価作品
「ミギとダリ」
「でこぼこ魔女の親子事情」
「Paradox Live THE ANIMATION」
「アイドルマスター ミリオンライブ!」
■ピックアップ作品
「オーバーテイク!」
「アンダーニンジャ」
「僕らの雨いろプロトコル」
「絆のアリル」分割2クール後半
■好評価継続作品
「魔法使いの嫁 SEASON2」分割2クール後半
「Dr. STONE NEW WORLD」分割2クール後半
「Helck」2クール後半
「B-PROJECT ~熱烈*ラブコール~」3期
■12月中に放送終了しなかった作品
「葬送のフリーレン」2クール(16話まで放送済み)
「薬屋のひとりごと」2クール
「ラグナクリムゾン」2クール
「アンデッドアンラック」2クール
「シャングリラ・フロンティア」2クール
「範馬刃牙」シーズン2全27話(残り13話)
「豚のレバーは過熱しろ」8話翌週に8話再放送、最終回未定
「川越ボーイス・シング」10話翌週に9話再放送、最終回未定
project No.9制作の3つの作品のうち「ひきこまり吸血姫の悶々」「豚のレバーは過熱しろ」が放送休止を挿み
唯一休止なしで乗り切った「お嬢と番犬くん」も、休止しなかっただけで墜落寸前の低空飛行だった。
◇その他備考
「クズ悪役の自己救済システム」という中国製CGアニメがBSのみで放送されていたらしく、完全に見逃す。
気が付けばもう年の瀬。みなさんは健やかにお過ごしでしょうか。自分はちょっと沈み込んでいます。
毎年この時期になると多かれ少なかれナーバスにはなるのですが、年々それが重くなっていくようで。
今期は特に…理由はよくわかりませんが謎の忙しさに翻弄され、ブログの更新も思うようにできませんでした。
書けることはいくらでもあったはずで、どうしても書き残したかったことがなかったのかもしれません。
いまや文章もイラストもAIが出力できてしまう時代、あとは『伝えたい』と思う何かがあるかどうか。
手段や結果ではなく目的をよくよく考えなければいけないなと、他人の受け売りではありますが考える日々です。
ともかくアニメの話をしましょう。今期はなかなかに豊作で、取り上げたい作品が結構あったんですよ。
今期どれが良かった?と聞かれたら真っ先に挙げるのは「ミギとダリ」。これについては迷いがありません。
1クールでの完成度。喜怒哀楽、コメディとシリアスの緩急つけた展開。最後のワンシーンにいたるまでの配慮。
物語がきちんと完結するところまで含めて、これほど充実した作品はなかなか出てくるものではない。
「亡くなった原作者のためにもヘタなものは作れない」という制作陣の強い意志も間違いなくあったのでしょう。
いろんな奇跡や巡り合わせでできているような。それはキャスティングであったり主題歌であったり。
まるで示し合わせたかのようにクリスマスに最終回が放送されたことも。おかげで良いクリスマスとなりました。
「葬送のフリーレン」や「薬屋のひとりごと」など、話題作がしっかりおもしろい期間でもあったと思います。
他には「アンデッドアンラック」に「シャングリラ・フロンティア」。ただしこれらはすべて2クール作品。
このへんはまた最終回を迎えるころに触れようかと。あ、でも書いておきたいことがあるのでひとつだけ。
「薬屋」の監督を務める長沼範裕は「魔法使いの嫁」の1期を手掛けた人でもあります。
オープニングが真っ黒なバックにヒロインという目立った共通点があり、こういうの好きなのかな?と思ったり。
監督によって結構そういう特徴みたいなのってありますよね。長井龍雪が真っ白なバックを好んで使うとか。
ただ「薬屋」のあのオープニング曲はちょっと…歌詞が韻を踏みすぎていて鬱陶しいところがあります。
一番は「ミギとダリ」として、次点で挙げる作品にちょっと悩みました。
寸感で暫定お気に入り作品に挙げた「でこぼこ魔女の親子事情」は最後までとにかく楽しかったですね。
同時期に追いかける本数が多くなるとストーリーに対する拒否感みたいなものが少しずつ湧いてきて、たとえば
ふだんなら読めるソシャゲのストーリーもすぐにウンザリしてしまったりするんです。いや、してたんです。
そういうとき、シンプルに見てて楽しい本作のようなタイプはホントに心の救いになります。
あとコメディエンヌとしての古賀葵、やっぱりいいなと。本人はどう思っているかは知りませんが。
声優さんの好みといえば、自分は日高里菜の声が好きなんだなと今期を通じて強く認識できるようになりました。
今期はいろんな作品に出演されていて、彼女の声が聴けるだけで作品自体の評価がちょっと上がるほど。
「シャンフロ」なんかはその最たるものですね。エムルがかわいいだけで楽しく見れてしまう。
彼女の薩摩方言が聴ける「レヱル・ロマネスク2」はマジでヤバい。初めて音声作品を買おうかと思ったほど。
新作のなかからは「Paradox Live THE ANIMATION」を挙げておきます。他が触れそうにない作品なので。
奇しくも「ヒプノシスマイク」2期とのヒップホップアニメ頂上決戦の構図となっていた今期。
「ヒプマイ」が相変わらずのホビーアニメテイストだったのに対し、「Paradox Live」はいたってマジメで。
精神面の問題で作品が出てこなくなる苦悩、過去の痛みを未来の輝きに変える力。そのメッセージ性が評価点に。
でも、こっちにもクワガタ探しに一話まるまる使うとかいう頭悪い部分もあったんですけどね(笑)
「ヒプマイ」2期は現在放送中のプリキュアよりもプリキュアっぽかった…何を言ってるかわからねーと思うが。
「アイドルマスター ミリオンライブ!」はとにかく出来が良く、アイドルアニメの新風になる予感がしました。
全編3DCGで作る以上スケールなどの面で嘘をつきにくいことと、既に現実でライブを開催してる実績もあってか
一定の現実感を維持したスタンダードなアイドルアニメの構築に成功していたと思います。
それと、見てる自分たちの蓄積も確実にあって。あの春香や千早がこんな立派な先輩になって…みたいな。
続編モノも含めると、強い思い入れもあって「魔法使いの嫁」2期がやっぱりダントツの一番になります。
ここまで4クールの大変な長丁場となりましたが、今期終盤の3話くらいは毎回がクライマックスで感動感激の嵐。
思わず画面の前で拍手したくなる。フィロメラが広大な自由に打ちのめされるまでの積み重ねが良かった…。
「まほよめ」といえばスポーツ選手ばりの移籍が話題になりましたが、今後どうなっていくんでしょうね?
アニメ化の企画自体は今後も続いていくみたいで、続きがあるうちは自分も長生きしないといけないと思ったり。
「まほよめ」とほぼ毎回セットで放送されている「Dr.STONE」も手に汗握る展開の連続でした。
この1時間の満足度は他に並び立つものなし。こちらも完結編までアニメ化が決定、楽しみに待ちたいと思います。
逆に、いいところまでいっておいて意外にも完結しなかった「Helck」は今後どうなるのやら。
あれで完結までアニメ化されなかったら嘘でしょ?ってなるし、ぜひとも続きを…お願いします。
序盤は勢いのいいツッコみとして機能していたヴァミリオの声が終盤では強力な応援の声となる。
それを演出できる声の持ち主でなければならなかった。このキャスティングは声優冥利に尽きるのではないかと。
「MFゴースト」とモータースポーツアニメアワーを形成していた「オーバーテイク!」はまずまずの内容。
きちんと取材をして描いてることが伝わってくるところはモータースポーツ好きとして好感がもてたのですが。
本作の主題はモータースポーツか?と問われると微妙なんですよね。
かつてフォトジャーナリストだった眞賀孝哉の善意や応援、トラウマの克服にかなりの尺を割いていたので。
たしかに孝哉周辺のエピソードに感動はしたものの、本作の主役って誰?何?という疑問がなくもなくて。
レース関係の動きを止めて必要以上に震災を題材に、悪い言い方をすれば効果的に利用していたところがあって
これをモータースポーツのアニメとして評価していいのだろうか?と考えてしまったわけです。
モータースポーツという側面から見ても、孝哉がチームの運営に口を出しすぎ、チーム側も聞きすぎな感じで。
あとは浅雛悠が目標である表彰台のどの位置に最終回で立つか、脚本上の判断でも評価が割れそうな気が
本編と全然関係ないんですけど、マラソン大会の回で亜梨子が言ったセリフがすごく引っ掛かってしまって。
「頭いいからって運動できなくていい理由にはならない」って。「しなくていい理由」ならまだわかるんですよ。
運動できない=悪いって話になると真剣に揉めると思うし、もう少し言い回しを考えるべきだったのでは。
「アンダーニンジャ」はなんともマニアックな、冷静に振り返ると何だったんだこれ?となりそうな話でしたが
視聴体験でいえば間違いなくおもしろい、だけど他人には微妙にオススメしにくい感じの佳作。
本作を通じてメッセージがどうのとかいうのは考えず、ひたすらエンタメとして楽しんでいい作品なのかも。
一本のアクションエンターテイメント。エロやグロに耐性がある人ならオススメできる作品でした。
一見するとなんでもないモブみたいなキャラが同時間帯に発生した別件ではすごく重要な役割を担っていたりと
複雑に展開していくなか、大野さんだけは普通にただのおじさんだったのがメチャクチャ意外…(笑)
今期最大の問題作との呼び声高い「僕らの雨いろプロトコル」は、おもしろかったこと自体は否定できず。
ただ、美桜で遊びすぎてると思う(笑)eスポーツを題材にしながら妹の兄に対する偏執的な愛情を描いたうえ
ヒロインたちを差し置いて、ライバルの全裸カレー飲みまで争奪戦に参加してきて目が離せませんでした。
ある意味では前期の「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」に匹敵する、もっと話題にされていいお話だったのでは。
eスポーツを題材にするとどうしてもゲーム画面の描写が必要になり、特定の作品とタイアップでもしない限りは
作品オリジナルのゲームを作り起こさなければならず、つまり普通にアニメ作るよりお金がかかってしまって。
そのへんの問題がどうにも画面に反映されてしまって残念な感じはありましたね。
でもがんばっていたほうじゃないかな。ゲーム展開を理解するのに困らない絵にはじゅうぶんなっていたし。
「絆のアリル」の後半は脚本に新たな執筆陣を迎えた効果か、お話の印象が前半からガラリと変化していました。
具体的に言うと14話から。無軌道な印象のあった前半とくらべて異様に(笑)しっかりした感じになって。
ってか、シリーズ構成の赤尾でこが担当した回があまりにも少なすぎるんですよね。全24話中たったの5回?
ユニット同士の競い合いだったはずの本戦が結局は友情物語として解決されてしまったこと、友情物語のわりに
応援歌らしくないクールな曲調の楽曲ばかりだったことなど、終盤気になるところはいくつかあったのですが。
SF好きとして一番気になったのは、SF以前の情報技術に関わる設定の詰めが甘かったことですかね。
いまよりもずっと未来の話なのにそんな都合よく不便な事態にはならんやろ?と、やはり言いたくなるのです。
「絆のアリル」も一部関係してる話ですが、今期は画面に現在の日時や時刻を表示するアニメが妙に多くて。
それが重要な役割をもってるのかどうか。実際は覚えておいてもあまり意味のない例のほうが多かったかな…?
最後にアニメ関連の話題をひとつ。実写ドラマ版「パリピ孔明」はかなり良い出来だったと思います。
先にアニメ版を見ているせいでどうしても比較してしまうところはあったのですが、アニメよりも尺が長いぶん
詰め込める情報が増えていること、実写ならではの絵的な情報量の多さで勝っている部分もあり。
ただ、それだけに渋谷ゲリラライブの小規模化だけはどうしても気になってしまいました。
尺のぶん『間』も長くなり緊張感が薄い。あと、あそこに集まった人数では10万イイネ超えないだろ(笑)と。
二次元ならではの絵によるハッタリが実写版には欠けていたかな。霧も発生していなかったし。
でもホントそのぐらいの些細な指摘に留まります。アニメ版が好きなら確実に実写版も楽しめると確約できます。
ひとつの戦争が終わる前にまさか新しい戦争が始まるとは。世界が冷え込む冬の訪れを感じています。
…という前文から始めようかと一度は思ったのですが、あまりにも暗くクサいのでさすがに取り止めました。
ただ、いま起きている戦争以上に重大な問題はないと思います。武器で、寒さで、飢えで死んでいく人がいる。
世界が好転するところを見たい。できれば日本社会も。スポーツくらいしか楽しいニュースがないのは困ります。
前文にも書いたとおりホントに謎の忙しさで、本稿もほぼ書いて出しの状態です。後日追記や編集あるかも。
途中でプリキュアを話題に出したので今年の「ひろプリ」の話もしようかと思ったのですが…まだやめとくかな。
最終回を迎えていない作品をアレコレ言うのは自分のポリシーに反しているので。3月まで覚えてたら書きます。
ここからもう2024年。あけてます。そういえば2023年のベストを挙げていないことにあとから気付きまして。
各シーズンの総括で挙げたもののなかから10本に絞り込んでみました。
「ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん」
「REVENGER」
「江戸前エルフ」
「スキップとローファー」
「僕の心のヤバイやつ」
「ヴィンランド・サガ」2期
「わたしの幸せな結婚」
「アンデッドガール・マーダーファルス」
「ミギとダリ」
「魔法使いの嫁 SEASON2」
ここからさらにオススメを選ぶとしたらやはり「スキップとローファー」を挙げることになるでしょう。
2023年を代表する作品として老若男女問わず楽しめる。なんか中国でも賞を獲得するくらい人気があるのだとか。
それか「わたしの幸せな結婚」かな。自分でも意外ですが、恋愛要素のある作品が多いかも。
話題作を意識的にはずしながらも「僕の心のヤバイやつ」なんかは挙げずにはいられない傑作でしたしね。
4クール付き合ってくれる覚悟決まってる人にはもちろん「魔法使いの嫁」。
「ヴィンランド・サガ」も同様。2期を見るためにまず1期をしっかり見て、心に積み重ねていってほしいです。
ほかにも挙げたい作品はあるんだけどな…「もういっぽん!」や「U149」、あと「もののがたり」とか。
「Helck」は物語が完結していたら10本のなかに入れていたかも。いや、現時点でもじゅうぶんではありますが。
「魔道祖師」完結編は地上波初放送作品なので今年の作品に入れるのは違うかな?と思い、除外としました。
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