ゲームレビュー 「Narita Boy」
[プラットフォームと購入方法]
PS4版をセール期間中に253円で購入。
[クリアまでにかかった時間]
7時間半。これにはボス戦のリトライやストーリーを読む時間も含まれる。
[ゲーム難易度]
本作は一見プラットフォーマーっぽいが、戦闘だけ切り取って見るとソウルズライクに近い難しさがある。
現在使用できるアクションを把握し、敵の行動パターンを見極め弱点を突く賢い戦い方を求められる。
[実績・トロフィー難易度]
ほとんどがストーリー実績で一周クリアするあいだに解除されるが、いくつか探索・収集系の実績が存在する。
クリア後のセーブデータでは取り返すことができない。1周目でコンプリートしたい場合は要注意。
ちなみにクリア後のセーブデータはラスボス撃破直後から再開なので、エンディングをいつでも見られる。
[良いところ]
・全編通じて丹念に描かれたドット絵で紡がれる家族の物語。
・80年代のカルチャーに対する思い入れを感じられる描写と音楽。独特のセンスがはじけている。
・表情はないが愛嬌のあるキャラクターたち。名前のないキャラクターまでよく動く。
・攻撃パターンを読んで攻略法を見出すボス戦。リトライを繰り返すたび操作技術の洗練を感じられる。
[悪いところ]
・全体的に敵が堅くて数が多い。ザコ敵のラッシュやボス戦に時間がかかり、くどい印象がある。
・一部の戦闘シーンで、画面の手前側に視界をさえぎるように影が配置されていて敵の行動が確認しづらい。
・チェックポイントの記録が不親切な場面が多々あり、やり直しの際に溜め息が出そうになる。
・扉を開けるためのカギ集めが必要以上に多い。来た道を戻らせる方法、誘導も洗練されてるとは言いがたい。
[どちらとも言えない]
・倒されてもすぐにリトライできる。ライフ回復の量が少なく、わざと倒されてリトライするほうが早いほど。
・数値化されていないボスの体力(画面右下になぜか心臓のグラフィックで表示される)。
・ワイルドファイアの解除操作は本当に必要だったのか。切り替えは別の色への上書きでよかったのでは?
・トランスクリプターを利用する際、パスワードを毎回入力しなければならない。隠し要素のためか?
・あの結末をよしとするかは賛否両論あるかもしれない(ぶっちゃけ完結はしていない)。
[攻略補足情報]
チュートリアルには書かれていないが、アッパーカットは斜め上に入力すると斜めに高く跳ぶことができる。
攻略上必須の移動方法なので覚えておこう。なお、斜め上跳びを攻撃目的で使う機会はあまりない。
[寸評]
本作の「Narita Boy」というタイトルを聞いて興味を惹かれない日本人はいないだろう。
スペインのインディーズスタジオ、STUDIO KOBAの代表が東京在住時に着想を得て開発がはじまったのだとか。
ゲームを起動してすぐ耳に飛び込んでくる「Narita Boy」の掛け声とタイトルイメージにまず圧倒される。
「Narita Boy」は劇中劇ならぬゲーム内ゲームであり、プレイを通じて誕生の道程を追体験していくことになる。
クリエイターが祖父母と過ごした幼年期、母親との別れ、ふたつの国の血が流れることによる生きづらさ。
失われた記憶をたどっていくことが、彼が創造したデジタルキングダムを救うカギでもあるのだ。
ドット絵で描かれる日本の生活風景はおそらく我々日本人のほうが実感をもって見つめることができるだろう。
戦闘は辛口だが、その先に待っている美しいストーリーには最後までプレイしてよかったと思わせるものがある。
終盤は涙を浮かべながらプレイしていた。ボス戦の難しさで泣きたくなる場面も、正直に言えば少しあった。
欲を言えば、3色のワイルドファイアを切り替えて戦うシステムには弱点を突く以外の工夫がほしかった。
本作はリプレイ性が限りなく低いので、色によって戦法がガラリと変わるくらいの変化があればよかったのだが
操作が忙しくなる以上の効果がなく、二度と出てこないアニマルフォームよりも突き詰めるべき部分だった。
[オススメ度]
本作の『味』を理解できるかどうか、年齢層にもよるところがあるので若い人にはオススメしにくいかも。
70~80年代生まれのゲーマーにオススメしたい。ゲーマーとしての老いに挑戦する意味でもオススメできる。
新年1発目の記事は「Narita Boy」のレビューとなりました。じつは購入の予定はなかったんですけどね。
セールで本命のタイトルを購入するついでに、あまりにも安かったので一緒にカートに入れて購入したのですが
発売当時に目にしていた評価のとおり、なかなか遊びがいのある内容でした。
1周目クリア後すぐにトロフィー目的で2周目を始め、既にコンプリート済みです。あの隠し部屋は気付かないわ。
隠されたクリエイターの記憶はそれほど重大ではなかったものの、プレイヤーなら見ておくべきものです。
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