ゲームレビュー 「Metro Exodus」
[プラットフォームと購入方法]
Xbox One版(Gold Edition)をセール期間中に726円で購入。
[クリアまでにかかった時間]
約18時間。サイドクエストの探索、道に迷っていた時間も含まれるため、最短にはほど遠い。
[ゲーム難易度]
難易度を4段階から選択可能で、FPSがニガテな人向けに『ストーリー』という難易度が用意されてはいるのだが
入手できる弾薬や素材が多いだけで、敵の耐久力や出現数にはあまり違いがなさそうな印象がある。
敵の種類や距離に応じて武器を切り替え、投擲武器を出し惜しみせず使っていけば突破自体は難しくない。
ストーリー中に何度かあるボス戦ではステルスも効果がないので、ショットガンと火炎瓶の優位性に頼ろう。
進入ルートや時間帯など選択に自由度があり、工夫次第では楽に突破できる場合もある。
道に迷ったりしていると放射能の影響で死亡してしまうことも。難易度選択ではどうにもならない部分だ。
[実績・トロフィー難易度]
全68種類。そのうち本編実績は52種類で、クリア時点で25種類を解除。
敵の討伐方法の累計やマップ上に隠された日記や写真などの収集、ステージごとの特殊条件の実績などがある。
1周でコンプリートするのは不可能なので、初回は実績をあまり意識せずプレイすることをオススメする。
プレイヤーの善行や悪行によってカルマ値が変動し、グッドエンドと通常エンドの2種類に分岐する。
どのような行動で変動するかはやってみるまでわからない。行動後に鳴る効果音で一部わかるものもある。
気になる場合は先に調べておくことをオススメする。サイドクエストはだいたい善行につながる。
どちらのエンディングにも専用実績があるため、両方回収しようと思うと2周はプレイすることになるのでは。
[良いところ]
・驚異的な日本語吹き替え。ストーリー上それほど重要ではないセリフまで恐ろしい長さで収録されている。
・旅の仲間たち。セリフや動作など、芝居のおかげもあって存在感にあふれている。
・オープンワールドっぽい雰囲気のある複数の大規模ステージ。探索やサイドミッション的要素もあり。
・ゴーグルを拭う、ライターで灯りをとる、ライトを充電するなど、ひと手間かかるガジェットのおもしろさ。
[悪いところ]
・オープンワールド風の大規模ステージはロード時間が長い。最長で5分ほど待たされる。
・目標地点への誘導が甘い。マップの縮尺が小さく、次に何をすればいいかが具体的にわかりづらい。
・「カスピ海」のステージで四輪車の運転中にマップを開くと視点が高くなってしまう不具合がある。
(それでなくても運転にかなりのクセがあるので、長時間乗っていると酔う人も出てくるだろう)
[どちらとも言えない]
・FPSのキャンペーンモードというよりはFPS視点のRPGに近いプレイ感覚。
・ホラーとは銘打たれていないがホラー要素が非常に多く含まれる。かなりプレイヤーを選ぶ内容である。
・攻撃してこないが倒せもしない、演出で周囲を歩き回る怪物。知らずに無駄に弾を消費してしまう。
・突然のゴリラ。
[寸評]
いつかプレイしようと思っていた心残りのゲーム、最後の一本がこの「Metro Exodus」である。
当時E3だったと思うが、発表されたトレイラーの内容に感激し、いつか絶対にプレイしようと思っていたのだが
それが遅れに遅れて2024年となってしまった。冬から春に向けてプレイできたのは幸いか。
「Metro Exodus」はウクライナの4A Gamesが2019年に発売した、Metroシリーズの3作目となる作品だ。
ドミトリー・グルホフスキーの小説「Metro 2033」を原作とした同名の1作目が発売されたのが2010年。
続く2作目の「Last Light」が2013年に発売されているが、「Exodus」をプレイし始めてから「Last Light」を
プレイしていないことに気付いたため(笑)今回のレビューではストーリーのつながりに触れられない。
ちなみに筆者が「2033」をプレイしたのは2015年のことである。たしか英語版だったはずだ。
核戦争で汚染された地上を避けモスクワの地下で生活していた主人公たちが、地上のどこかにある楽園を求めて
わずかな情報を頼りに鉄路で極東へと向かう。本作ではその冒険の結末までが描かれている。
「2033」は暗い地下を進みつつミュータントと戦う、風景の変化が乏しい前時代的なFPSという印象だった。
対して「Exodus」は地下を脱したあとの話なのでシチュエーションの変化が豊富。美しい景色も出てくるのだが
地下には収まりきらない強大で醜悪な敵に襲われる恐ろしさが感想の大きな位置を占めることになった。
「2033」にもたしかに怖いところはあったのだが、「Exodus」のそれは完全にホラーゲームである。
食人組織に巨大グモの巣穴、ヒルが粘液を吐きかけてくる腐敗した地下道など、気持ち悪さに事欠かない。
一直線に襲い掛かってくるミュータントを見るとむしろ安心する。それくらい新規の恐怖に満ち溢れている。
序盤を過ぎたあたりで始めたことを深く後悔した。美しい雪の世界なんてほんのひと握りだった。
正直に言うと自分はホラーが得意ではない。「Alan Wake」ですら知らずに始めてショックを受けたほどだ。
それでも前進したいと思わせたのは、本作で描かれる『血のつながりのない家族』の物語の魅力にある。
義理の父親のもとに集った戦士たち。旅の途中で新たな家族を迎え、家族が帰る場所を求めてみなが奔走する。
家族を生かすために命を賭して戦った先で、力尽きて見上げた空にひとすじの光明が見える。
雪に覆われた家路を進みながら、泣きながらハンドルを握っていたことを思い出すとふたたび涙腺が熱くなる。
4A Gamesが同社のタイトルのために開発したグラフィックエンジンで描かれる世界はいま見てもなお美しい。
日本語吹き替えの完成度も素晴らしいので、いまからでもぜひ日本語版をプレイしてほしい。
[オススメ度]
高め。本作のストーリーは過去のシリーズをプレイしていない人でも問題なく楽しめるはず。
ホラーがニガテな人、虫がニガテな人には絶対にオススメできない。痛みはないが不快さがかなり高め。
4A Gamesのキーウの制作チームはウクライナ侵攻で戦時下におかれ、複数の関係者が戦死しています。
また、原作のグルホフスキー氏に対して懲役刑が言い渡されるなど、いま起きている戦争に立ち向かう人たちに
よって手掛けられた作品であること、いまも制作が続けられていることを触れずにはいられません。
ひとりのゲームプレイヤーとして、ゲームをプレイすることで、紹介することでできる支援もあるのかなと思い
引き続き「Metro Exodus」のDLCもプレイしていこうと思っています。
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