2024年 春アニメ総括
■好評価作品
「となりの妖怪さん」
「忘却バッテリー」
「花野井くんと恋の病」
「夜のクラゲは泳げない」
■ピックアップ作品
「怪獣8号」
「じいさんばあさん若返る」
「変人のサラダボウル」
「ただいま、おかえり」
■好評価継続作品
「うる星やつら」第4クール
「時光代理人Ⅱ -LINK CLICK-」2期
「デート・ア・ライブⅤ」
「この素晴らしい世界に祝福を!3」
■6月中に放送終了しなかった作品
「夜桜さんちの大作戦」2クール
「僕のヒーローアカデミア」7期 2クール
「狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF」2クール
「転生したらスライムだった件」3期 2クール
「烏は主を選ばない」2クール
「忘却バッテリー」最終回のみ持ち越し
「ささやくように恋を唄う」第11・12話が持ち越し
「魔王学院の不適合者Ⅱ 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜」第23・24話が持ち越し
◇その他備考
・「ダイナミックコード」の監督として知られる影山楙倫がいくつかの作品に関わっている様子が見られた。
今月は月末まで記事を公開できずに来てしまいました。ちょっと私事でいろいろあったせいもありますが。
その日言いたいと思ったことを複数のSNSで消費するようになり、執筆欲が落ち着いているのも原因のひとつ。
SNSに落としているぶんを全部ブログに向けていればじゅうぶんな記事が揃っていたはずなので。
それと同時に、ブログという旧文明(笑)が役目を終える時期が近付いているのではないかとも思っています。
なんせ自分自身、他人の思っていることをちょっと知りたいと思ったらSNSで検索するようになっていますし。
以前はちょっと信じられなかった「知りたいことはYouTubeで検索」というのも当たり前になってきました。
世の中が変わって自分も変わって、使う道具も変わる。まあ、すぐにブログやめるって話でもないんですけど。
さて…お気に入り作品の該当なしで始まった今期。初期の評価から大きく変わった作品も少なからずあり。
「となりの妖怪さん」はある意味では大きく変わったかな…おもしろい作品とは思っていたけど、これほどとは。
毎週心を揺さぶられる。いい意味でも悪い意味でも、心に深く突き刺さるエピソードがたくさんありました。
この体験をより多くの人に味わってもらいたいので内容についてはあえて書きません。
「話題作の陰でこんなすごいアニメが放送されていたのか!」と、より多くの人に衝撃を味わってほしいので。
ちょっと悪い言い方をしますと、今期のアニメを語るうえで本作を挙げてない人はモグリと思っていいです(笑)
見ていたら絶対に話題にしないはずがない。話題にしていない人は見ていないってことになるので。
「忘却バッテリー」は高校野球が題材ですが、スポーツの経験がない人にも深く届く内容だったと思います。
楽しいこととつらいことは紙一重で、勝者の視点でも敗者の視点でも忘れたいことはあって。
それでも、たとえ記憶喪失になったとしても好きだったものへと引き戻されていく。ある意味では呪縛のように。
ふたたび苦しみに引き戻されるかもしれなくても、楽しい、楽しみたいという気持ちに変わりはなく。
原作未完のアニメなりの締めであり、ひとつの作品としてメッセージをもたせたうまい終わらせ方だと思います。
個人的には藤堂のイップスのエピソードがすごく好きで…いや、好きって言ったらアレかもしれませんが。
彼がイップスを克服するまでの流れが本作の評価を決定したと言ってもいいほど。共感が評価につながってます。
野球という競技のどの瞬間がおもしろいのか、よく理解したうえで巧みに書かれている作品だと思いました。
「花野井くん」は評価が結構割れている印象がありました。最後まで見て、自分は傑作の評価をつけています。
ちょっと異質な始まり方だったし、花野井くんの人当たりの悪さ、怖い振る舞いなどに強く引っ張られてしまい
たくさんの手間をかけて本作が伝えようとしていた部分がうまく届かなかったところもあるのかも。
恋愛とはなんなのか。誰かを好きになること、好きという感情の定義。体験から強く決め付けてしまうこと。
本作を『恋愛もの』という月並みな言葉で表してはいけないのかもしれません。もっと大きな人生観の話。
「ヨルクラ」については、"対抗馬"とくらべてどちらが好みか?で選んだところも多分にあります。
扱っているテーマ、題材の新しさ、言葉遣い、エピソードの組み立て。各話を見終えたあとの気持ちよさも。
あと、登場人物たちが直面している問題や悩みにどれだけ共感できるかでも軍配は変わったのかもしれません。
自分は絵をかじっていたひとりとして、まひるにもキウイにも共感できる部分が多かったんですよ。
ネットでつながっていながら孤独を感じる人、メディアが溢れているのに好きがわからないまま溺れてしまう人。
そんなさまよえるクラゲたちを、自分に接続し続けてくれるうちは絶対にひとりぼっちにしない。
新しい時代の人のつながり、そしてそこから生まれるものを描いた、きちんと現代の物語をしていたと思います。
まあ、気になる部分がなかったとは言いません。雪音が意外とイヤな…つまり、悪役に徹しなかったこととか。
おそらくそのへんは作家性が反映されていて、視聴後のスッキリした感じもそれの表れではないかと。
「ヨルクラ」といえば、キウイのネット上の姿・竜ヶ崎ノクスの性別について誤解が生じていたような。
劇中でまひるが『男の子』と表現したせいで、キウイを性別に違和感を抱えている性同一性障害のようなものと
捉えてしまった視聴者が少なからずいたみたいなんですけど、そういう話ではないですよね?
私見ですが、ノクスはあくまで『好きになれる自分の姿』であり、性別は関係ないと解釈しています。
MMORPGの自キャラとか、VR上のアバターに近いものと捉えていますが…ひょっとしたら正解じゃないかも。
あと、花音がまひるに突然キスしたりで本作に恋愛要素を読み取ってる人もわりと見かけました。
カップリングはあっても恋愛はないかな…自分が知っているカテゴリーに振り分けたい気持ちもわかりますが。
"対抗馬"という表現をしたので、もう一方と合わせて今期感じたことをもう少しだけ書いておきます。
バンドにせよアイドルにせよ音楽活動を描いているアニメって、楽曲の『世代感』も評価に大きく影響していて
楽曲提供してる人の『世代感』が同世代の視聴者にはメチャクチャ刺さるけど、世代が少しでもズレてしまうと
「おもしろいとは思うけどそこまでではなくない?」みたいな、温度差を生んでいる気がします。
源流にあるアーティストや世代の影響、好みの違いがどうしても出しまって、作品評価が一致しにくい。
かといって楽曲を完全に切り離して考えるのも難しく。なので、今期の作品の評価は自分には難しかったです。
自分は「ぼっち・ざ・ろっく!」の楽曲でもギリはずれてる感じで。世代の古さを認めざるをえません。
「怪獣8号」はオマージュされている作品の好みが一致したため、個人的には結構楽しめた作品でした。
原作読者たちの評価のわりには、と付け加えるべきですね。原作読者が多い作品だとそういう事態が起きがちで
アニメで初めて見てる人たちは楽しんでるのに「原作でもこのへんまではおもしろいんだよね~」と、水を差す
ようなことを言う人がとにかく多いわけですよ。今期だとほかに「戦隊大失格」もこれに当たります。
アニメはアニメで初めて見る人を楽しませるようできていればそれでいいし、実際見て楽しかったんですよ。
アニメはテレビを通じて不特定多数に向けられた一個の作品であり、原作と切り離して考えるべきです。
「アニメがおもしろくて原作も買って、読んだら原作もおもしろかった!」ってのがベストではありますが。
原作読者による悪い影響が届きにくい海外のほうが「怪獣8号」の評価は高いようです。
逆のパターンもありますけどね。日本の原作読者がベタ褒めしてるのに海外では"冷静に"評価されているアニメ。
テレビアニメはアニメで初めて見る人に理解できるよう、楽しめるようできていなければダメなんです。
原作の一番見てほしいところを見せるために『ダイジェスト化』してしまっているようなアニメもありましたが
それは原作読者に向けたファンアイテムでしかなく、一個の映像作品として考えると不適当だと思います。
[以下追記分]
始まったときから絵に不安のあった「じいさんばあさん若返る」は、絵の不安については最後まで残ったものの
それが気にならなくなるくらい話が巧みで、ときには涙腺を刺激されることもありました。
老夫婦が若返るという、ヘタすれば一発ネタで終わりかねない設定でよくぞここまで広げたものだと。
ある意味では「となりの妖怪さん」に次ぐ、エピソードが進むにつれて評価が上がっていくタイプの作品でした。
岐阜が舞台のアニメはどうしてこうなるんだ…と、最後まで楽しませてくれた「変人のサラダボウル」。
ご当地感を出しておきながらどうしてここまでやれんの!?って内容で、見てるほうがハラハラ。
ドラッグ以外のことはだいたいやった。ロックを標榜するアニメよりもロックな内容だったと思います…。
「ただいま、おかえり」はオメガバースなる共通設定が理解を遅らせる要因になっていたのは間違いなく。
最終回直前になっても新たな設定が出てきて、登場人物が苦しんでいた理由をあとから理解できるみたいなのが
たびたびあったもので、共通設定によって描かれる作品のひとつの問題点が浮き彫りになった気がしました。
また、その設定が単に嗜好を満たすものなのか、現実の性別問題の風刺を含んでいるのか判断が難しくて。
本作で描かれているオメガ差別って、どんな被差別対象と置き換えても成立する物語ではあると思います。
この世のあらゆる差別や偏見を次の世代へ継承してはいけない。いや、次の世代がすぐに解決するかもしれない。
若い世代に対するひとつの希望を感じる、あるいは見ている人に希望をもたらす作品でした。
ただ…本作に強いBL要素を求めていた人には物足りない内容だったかもしれません。
男同士で仲が良いと周囲がカップルにしようとする、外圧が働く様子なんかはむしろ警鐘っぽくも見えましたし。
継続作品では「時光代理人Ⅱ」が期待どおり。新たな能力者の登場で、状況の考察が毎週はかどりました。
海外ドラマのようなクリフハンガー的が今期も毎回、そして最終回でも、つまり「Ⅱ」で解決しなかった部分も
あったわけで、続きがあることを喜ぶべきかスッキリ終わらなかったことを不満に思うべきか迷います。
興味がある人はいまからでも1期からまとめて見たほうがいいですよ。いっしょに被害者になってください(笑)
完結してないといえば「デート・ア・ライブ」も今期で完結ではなかったんですよね。まだ続きがあるらしい。
でも今回の5期は本当によかった。これまで作品を支えてきた、続きを待っていたファンを確実に満たす出来。
できれば完結までアニメ化してほしいですね。本作をおもに支える海外のファンにはがんばってもろて。
2クール作品の中間報告をすると、「狼と香辛料」がやっぱりおもしろいですね。
旧アニメ版を見ていない、ようするに特に思い入れがない自分が見てもおもしろいと思える物語であること。
それと、ホロというヒロインに長年固執するファンがいる原因(笑)が見て理解できた気がしました。
あとは「烏は主を選ばない」が1クールの終盤に来て、具体的に言うと12話の終わりから急激におもしろくなり
これまで提示されてきた謎が一気につながっていく怖さと気持ちよさは完全にサスペンスのそれ。
「夜桜さんちの大作戦」が意外といい塩梅のポジションに収まっているのを感じます。
オープニングから楽しく、みんなかわいくカッコよく、過度な深刻さがないようリアリティラインが引かれてて
日曜日の夕方にみんなで楽しむ作品ってこういうのでよかったんじゃない?と気付かされた感じで。
家族のスパイものとして二匹目のドジョウを狙ったのでは?などと当初は思いましたが、比較されることのない
もうひとつのスパイものとして受け入れられているのではないかと。あくまで個人的な感想ですが。
あのオープニング曲ホントにすごいんですよね。タイアップと全然関係ない内容なのにすごくマッチしていて。
主題歌は物語の入口で、あのリズム感や高揚感は間違いなく本編への導入になってます。そしてMVが悪夢。
ほかに主題歌が印象に残ったのは「忘却バッテリー」と「変人のサラダボウル」、「ひみつのアイプリ」あたり。
最後に「ヴァンパイア男子寮」に触れておきたい。なかよし創刊70周年記念作品と銘打たれた今回のアニメ化。
良い意味か悪い意味か判断に悩むところはあるのですが、見た人の記憶に確実に残る作品でした。
意図してこれを書いたのだとしたら相当な天才か、あるいは頭がどうかしてるか(笑)とにかくメチャクチャな
話の展開、登場人物たちの言動にツッコみが絶えず、実況で賑わうタイプのアニメと言えるでしょう。
記念作品がこれで本当によかったのか…でも、おもしろくなかったとは絶対に言えない。
アニメの評価や感想をまとめてブログに掲載するのはおそらく今回で最後になると思います。
とうとうやめる決心がついたというか。理由はこれまでにも何度か書いたとおり、アニメの評価や感想を求めて
検索する人はSNSに集中しており、SNSに逐一投下していくのが正しいと判断したからですね。
問題は当ブログのメインコンテンツのひとつが失われることですが。夏からはなんか別の方法を考えようかと。
どんな作品に注目しているかリストアップしておくだけでもひとつの記事にはなるでしょうし。
近年、高齢者が既存のテレビ番組を離れ、アニメの開拓を始めているなんて話をチラホラ見かけます。
おそらく高齢者たちが『高齢者向けの番組』に飽きつつあることと、テレビ局の番組編成が高齢者たちを裏切り
これまで見ていた番組を探しにくくしていることが背景にあるのではないかと自分は考えています。
それで、家族がたまたま録画しておいたものを見たとかで、新鮮さやわかりやすさにハマっていったのでは。
本当におもしろい作品はどんな世代の人が見てもおもしろく感じるでしょうしね。
ドラマとくらべて選択肢も多いし、一話見るのにかかる時間的な負担も軽いし。隙間に収まりそうな感じが。
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