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2024年10月 7日 (月)

ゲームレビュー 「Pentiment」

Pentiment01

[プラットフォームと購入方法]
Xbox版(Xbox Play Anywhereに対応しており、PC上でプレイ可能)をセール期間中に1260円で購入。

[クリアまでにかかった時間]
1周目は約18時間。非常に飛び飛びでプレイしていたため、プレイ期間は3か月以上になってしまった。


Pentiment02

[ゲーム難易度]
基本システムは古典的な選択式アドベンチャーゲームであり、会話の選択肢を選んで物語を進めていく。
序盤で選択した主人公の出身や専攻によって会話の選択肢が増えたり、成否判定が有利にはたらく場合がある。
日本語訳の問題で、思っていた選択肢を選べない場合があるかもしれない。
また、登場人物が非常に多いため人間関係の把握には苦労すると思われる。たまに呼び方も変化する。

[実績・トロフィー難易度]
全41種類。Xbox版は説明が日本語化されていないので、PS5版の攻略情報を参考にするといいかもしれない。
一部秘密の実績があるが、ネタバレを踏む可能性が高いので1周クリアするまで調べないことをオススメする
1周でのコンプリートは不可能。システム的にも複数回プレイを楽しんでもらう設計になっている。
ちなみに1周目クリア時点での解除率は全体のちょうど半分。見落としたイベントがいくつもあったらしい。


Pentiment03

[良いところ]
・ほかに類を見ない独特なグラフィック。宗教的な出来事を描いた彩飾写本の再現
・時代を再現するためにおこなわれたであろう膨大な調査とゲーム本編への反映。圧倒的な情報量。
・テーブルトークRPGを思わせるキャラクターメイキング。得意言語や学科の選択が攻略を左右する。
・セリフの表示方法が凝っており、活版印刷に関わる者なら文字が打刻され、感情が昂ると筆圧が強くなる。


Pentiment04

[悪いところ]
・日本語訳の出来はお世辞にも良いとは言えない。ときに直訳気味、ときに遠回しで理解しにくい。
(男性のセリフが途中で女性的になる、指示語が何を指しているのかわからない、固有名詞の表記ブレなど)
・セーブデータを複数もつことができず、エンディングを見るとそれまでのセーブデータが消滅する。
(ルートの分岐点でセーブしておいて、あとで戻ってくるなどの遊び方ができない)

 ※PC版なら内部ファイルのバックアップを複数保存しておけるかもしれない。


Pentiment05

[どちらとも言えない]
・次の時間帯に進むイベントがどれか判別しにくく、意図せず先に進んでしまう場合がある。
・当時のカトリックとルターが提唱したプロテスタント的思想の衝突を知らないと理解しにくい会話がある。

余談だが、ゲーム終了を選択すると何秒前に自動セーブしたかを教えてくれる。非常に珍しい機能だと思う。


Pentiment06

[寸評]
「Fallout: New Vegas」「The Outer Worlds」で知られるObsidian Entertainmentが2022年に発売した
「Pentiment」は16世紀のドイツの山岳地帯を舞台にした、ある殺人事件にまつわる物語を描いている。

架空の静かな村・タッシングの修道院で、注文した写本の進捗を確認に訪れた男爵が何者かに殺されてしまう。
たまたま現場に居合わせた年老いた修道士が疑われ、彼を父のように慕う画家・アンドレアスは村を奔走。
潔白証明のため証拠や証言を集め、犯人と思しき者を探す…というのがおおまかな流れである。

プレイヤーは限られた時間のなかで最良の選択を、つまりどこへ行き何を見て、誰と話すか考えなければならず
その選択次第では罪もない人が広場で処刑されることもある。プレイヤーが他者の命運を握っているのだ。
確証が得られないまま決断の時が迫る。人狼ゲームのような緊迫感がある。
そして、誰が処刑されても正しかったかどうかわからないまま次の時代へと進んでいく。そこから話が広がる。


Pentiment07

正直に言って、わかりやすいゲームではない。冒頭、精神世界の対話から始まるあたりも理解しにくくしている。
加えて「Disco Elysium」にも似た文章量と情報量。読み疲れを感じて中断する日も珍しくなかった。

自分が10代、20代のころに本作をプレイしても、おそらく同じ楽しみ方はできなかっただろうと思う。
海外のさまざまなゲームでキリスト教を学んだからこそ理解できる部分が本作にはたくさんあった。
特にAssassin's Creedシリーズへの謝辞を述べなければならない。あれがなければいまほど世界史に興味を抱く
こともなかったはずで、ゲームといえどもじゅうぶん積み重ねになっているのを実感できる。


Pentiment08

本作はアメリカ放送界の最古にして最高の賞と呼ばれるピーボディ賞のインタラクティブ&イマーシブ部門賞を
2023年に受賞している(前年度の受賞作は「Life Is Strange: True Colors」)。
それがゲームのおもしろさを保証するわけではないが、ひとつの客観的評価として合わせて紹介しておきたい。


[オススメ度]
読むことが好きな人、歴史に関心のある人、推理小説が好きな人にオススメ。
アクション要素は一切ないが、日本語訳された洋ゲー独特の難解さはあるので、超初心者には向かないかも。



Pentiment09

つい最近、PCエンジンの「山村美紗サスペンス 金盞花京絵皿殺人事件」の実況配信を見たばっかりだったので
横スクロールで村を移動して村人たちに聞き取りをおこなう感じがちょっと似てるなぁと思ったのですが(笑)
例として挙げるにはあまりにも古く、知名度も高いとは思えなかったので欄外で触れることにしました。

プレイ期間が3か月にもおよんだ理由はたぶん、いま遊びたいタイプのゲームではなかったからだと思います。
文章を読むのにホント疲れてしまっていて、何も考えず手を動かすだけのゲームをやりたいと感じていたころで
結果として「一度プレイしたら次は数週間後」という長いローテに。
1か月ぶりにプレイ再開したら2時間でエンディングが始まって結構ビックリしましたからね…。

マルチエンディングでさらに実績も残っていますし、最低でもあと1周はプレイしておきたいと思っていますが
こういうタイプのゲームを次にいつプレイしたくなるかがわからないのでなんとも言えません。

そんなゲームがぽつぽつと溜まっているなぁ…同じゲームを繰り返しプレイする意志力が足りてない。

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