2025年 冬アニメ 完走した感想
■高評価作品
「ハニーレモンソーダ」
「誰ソ彼ホテル」
「RINGING FATE」
■"好"評価作品
「空色ユーティリティ」
「FARMAGIA」
「外れスキル《木の実マスター》」
■高評価継続作品
「チ。-地球の運動について-」2クール後半
「アオのハコ」2クール後半
「青のミブロ」2クール後半
「青の祓魔師」4期後半(終夜篇)
□高評価話題作
「悪役令嬢転生おじさん」
■3月中に放送終了しなかった作品
「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。」2クール
「薬屋のひとりごと」2期 2クール
「凍牌 〜裏レート麻雀闘牌録〜」最終回のみ4月に持ち越し
「アラフォー男の異世界通販」最終回のみ4月に持ち越し
「わたしの幸せな結婚」2期 25話の放送延期にともない、最終回が4月に持ち越し
「天久鷹央の推理カルテ」実写特番を3回も挿んだ結果、最終回が4月に持ち越し
「UniteUp! -Uni:Birth-」各ユニットにスポットを当てた『絆特番』を挿んだ結果、11話以降が4月に持ち越し
◇その他備考
・フジテレビの問題が大きくなり、1月下旬以降CM提供を降りる企業が続出。アニメ枠にも影響がおよぶ。
・2006年10月から約19年間、フジテレビの日曜朝の顔だった「ONE PIECE」が4月から23時台へ異動に。
・「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 SeasonⅡ」4月から放送仕切り直しが決定。
・「ハイガクラ」今夏(7月?)放送仕切り直しが決定。
1月中旬ごろ、コロナ以来の体調不良に見舞われ、アニメを見るどころではなくなってしまいまして。
結果として継続視聴の本数がいつもよりだいぶ絞られたのですが、今期はそれだけが理由ではなく。
放送開始前から名前が挙がっていた話題作も含め、総合的には芳しくないシーズンだったかもしれません。
それでも、序盤を見て期待できた作品は最後までしっかり楽しませてもらいました。
なんと言っても「チ。」がやっぱりすごい。5年に1本の傑作、いやサブカル史に残る名作と言っていいかも。
このテーマにひとりでも多くの人に触れてもらうため、アニメ化という手段をとったのではないかと。
大袈裟な言い方をさせてもらうと、すべての人が義務教育のあいだにぜひ見てもらいたい。
問題はレーティングかなぁ…まあまあ凄惨なシーンもありましたからね。でもNHKで放送できたんだからな?
ラファウという人物が何者だったのか。終盤の展開がファンのあいだでしばしば議論になります。
個人的な見方ですが、ラファウはある時代の個人ではなく、人間をそそのかす悪魔のような存在だったのでは。
知的好奇心をもつ人間に忍び寄る"知の悪魔"とでもいいましょうか。
後年のラファウは狂信的な異端審問官であり、知の解放に反する異端者を弾圧する存在でもありました。
そういう意味ではノヴァクと対になる存在。やはり偏ることなく中庸であることが肝要なのだろう、と思います。
以下短評。
・「ハニーレモンソーダ」
ストーリーに関して「現実的ではない」という声もあるかもしれないが、同じ夢を見るなら幸せなほうがいい。
そこはあくまで少女漫画というか。人生を変える王子様との出会いを物語として楽しんでほしいと思う。
非現実的な部分に対し、妙にリアリティのある不良生徒たちが混在するおもしろさがあった。
あゆみちゃんマジ天使。あゆみちゃんが出てくると画面に花が咲く。「アオのハコ」の笠原とは違う意味で天使。
「アオのハコ」は結末まで見せてほしいが、本作はこの先をあまり見たくない。この先悪いことが起きそうで。
・「RINGING FATE」
バトルものという体裁はとっているが、「時光代理人」のリ・ハオリンらしさを端々に感じる作品だった。
何かを得るために何かを失う。その対価が人生における大切なもの、記憶の喪失や回復につながるところなど。
随所に日本のアニメ文化に対するリスペクトやオマージュを感じると同時に、現在の中国のスタンダードである
セルルックの先をいく3DCG表現が取り入れられており、懐かしさと新しさが混在していた。
この先の展開は本国でもまだ描かれていないそうで。"あのエデン"に付き合わされる彩子がかなり不憫である。
・「空色ユーティリティ」
いいんだよこういうので。この言葉で全部説明がつく。趣味を題材にしたアニメに余計な心配事は要らないんだ。
・「誰ソ彼ホテル」
原作がありつつも1クールでキレイにまとめられていて、変更点を含め原作プレイヤーからの評価も上々。
多くのアニメを並行して見る人にとっては、他の作品に似た印象がない本作はよいポジションに来れたと思う。
桃河りかメチャクチャ売れてほしい。もっといろんなところで声を聞きたい。本作がきっかけになるか。
・「FARMAGIA」
本放送が金曜ロードショーの真裏という事情もあってか、今期の作品のなかで存在感はかなり薄いほうだったが
いかにも少年マンガらしいところを突いてくる感じが個人的には好きで。特に劇伴は素晴らしかった。
ゲームの内容を1クールに詰め込もうとすると、積み重ねに必要な尺はどうしても足りなくなってしまう。
それでもうまくペース配分をして、作品の魅力をうまく伝えられるよう作られていたのではないか。
・「外れスキル《木の実マスター》」
今期の異世界もののなかでは出色の出来。特別珍しいことをしているわけではないのに全体的な水準が高かった。
手慣れているといった雰囲気さえ感じられたが、中盤のザムド戦あたりには若干の不満を覚えた。
ザムド戦以降、主人公・ライトが不在のまま終わってしまうが、そもそもダブル主人公の物語なのかも。
・「想星のアクエリオン Myth of Emotions」
アクエリオンシリーズに造詣の浅い自分にはわからない、シリーズを知ってるからこそ感心できる部分が多いと
コアなファンの考察を読みつつ見ていたのだが、コアなファンをしても理解が難しい部分が多かったらしい。
個人的にはハナちゃんとカミサマの年齢や境遇を越えた奇妙な関係が好きだった。今回も青は裏切り枠。
・「SAKAMOTO DAYS」
放送開始前に聞きおよんでいた話題性はどこへ。ありふれた設定、それを魅力的に描けているわけでもなく。
前時代的なジャンプ原作アニメという印象。テレ東の土曜23時台に入れるにしては非力な内容であると感じた。
・「天久鷹央の推理カルテ」
真相は怪奇よりつまらない、原因が呪いであったほうが話としてはおもしろいという構造的欠陥を抱えている。
知識さえあれば画面を見ていて推理が可能なエピソードはまだいいが、まったく不可能なエピソードもあった。
本編の内容よりも実写特番の内容のほうが話題に。1クールで3回も特番をやったのはどうかと思うが。
・「BanG Dream! Ave Mujica」
シリーズファンとして毎週楽しく見ていたのは間違いない。来週どうなるか、展開が気になる作品ではあった。
しかし終わって振り返ってみると「話がおもしろかった」というのとはちょっと違うような気がしてくる。
意表を突くことで話題性を獲得することに終始していて、話のまとまりや整合性には欠けていたかもしれない。
前期終了時に「全部見てから評価したい」と書いたが、全部見終えてなお評価にちょっと悩むところがある。
過去のシリーズとくらべて男性の関わりが多く、どこまで思いどおりに書けていたかは疑問が残る。
異性を完全に排除するとどうしても不都合が生じるので、書き手のポリシーとの衝突は避けられないのかも?
個人的に一番気になっているのは"本物の初華"が現在どこで何をしていて、初華の芸能活動をどう見ているか。
いろいろと血縁の設定を出して振り回したわりに、縛られることなく解決したのがご都合主義にも見える。
学生の身分でできることの限界を指摘した前期の祥子のセリフを思い出すと矛盾を覚えるような。
余談。特撮界隈で著名な、東映の白倉伸一郎Pが入社当時に言われた「テレビと映画は違う」という言葉。
テレビはそれまでのラジオと入れ替わるように、ラジオと同じように視聴者が接するメディアである。
垂れ流し、ときには画面を見ていないことすらある。でも耳では聞こえている。
映画のように画面に集中していなくても、何が起きているのか音で伝わるよう説明を盛り込む必要がある…と。
これはテレビアニメについても言えることで。昨今のテレビアニメは画面の情報に頼りすぎていると感じます。
いわゆる説明ゼリフも含め、耳から得る情報を"ダサいもの"として排除する傾向があるのかもしれません。
アニメは画面を見てもらってなんぼのメディアではあるのですが、画面だけが魅力ではないはずなんです。
テレビアニメとしてテレビにかけている以上、テレビの見られ方を意識した作品づくりを考えるべきと思います。
ようするに、画面に文字だけ表示して説明を済ませた気になってんじゃねえぞ?って話ですね。
今期は特にこれをどうしても言いたかった。次回予告のフリした用語解説。"フラッシュ暗算"と揶揄された独白。
| 固定リンク
「アニメ レビュー&コラム」カテゴリの記事
- 2025年 春アニメ注目作品(2025.04.14)
- 2025年 冬アニメ 完走した感想(2025.03.31)
- 2025年 冬アニメ注目作品(2025.01.14)
- 2024年 秋アニメ 完走した感想(2024.12.31)
- 2024年 秋アニメ注目作品(2024.10.20)
コメント