
※当レビューはver. 1.03以前の体験に基づいて書かれており、現行ver.では異なる部分があります。
[プラットフォームと購入方法]
PS Storeにてアーリーアクセス権付きのPS5版『Ultimate Edition』を予約購入。12,650円。
本エディションには今夏配信予定のDLCのほか、アートブックやサウンドトラックなどが含まれている。
[クリアまでにかかった時間]
最初のエンディングまで74時間。すべてのエンディングを見終えるまで79時間。
このうち10時間はキャラクリとフォトモードに費やしたものと思われる。
ちなみにクリア時のレベルは142。経験値をロストするのがイヤで、セーブポイントに着くたびに上げていたら
思いのほか上がってしまったというだけで、意識的にレベル上げしていたわけではない。

[ゲーム難易度]
前作から装備周りのシステムが大きく変更されており、特に守備力を上げる方法については戸惑うかもしれない。
そのため、慣れるまでは敵の一撃の重さに苦しむことが予想される。
システムをよく理解できればプレイヤー側の強みを発揮し、壊れ気味な攻撃を敵に押し付けることも可能。
前作ではやや非力な印象があった銃剣も仕様がだいぶ変わっており、射撃が強力になっている(らしい)。
基本的には前作同様「クリアしてもらいたい」という制作側の思いやりが随所に垣間見える作りになっている。
前作でしばしば『白い血の聖堂』の構造が槍玉にあがったが、今回はあれほど道に迷うダンジョンはないものの
『白い血の聖堂』くらい広大なエリアがいくつも用意されているため、歩き疲れは感じるかもしれない。
詰まったらレベル上げやジェイルの強化、メインストーリー以外の探索に目を向けるとよいかもしれない。
本作には『鎮守の情念』と呼ばれる、プレイヤーに永続的なバフを与える施設が各地に複数個配置されている。
場所はマップ上にうっすら描かれている(音叉のようなマーク)ので、助力がほしいときは探してみよう。

[実績・トロフィー難易度]
1周プレイする過程で無難に解除されていく。意識的な収集や累積が必要なものはほぼない。
任意のバディの親密度を最大まで上げる実績『かけがえのない存在』が唯一の難関と言われている。
一説によると、個別の依頼クエストとプレゼントのほかに、探索によって加算されるポイントがあるとか。
ある時期を過ぎるとプレゼントを渡せなくなるバディもいるため注意が必要。
ちなみに筆者はすべてのエンディングを見たあと、クリア済みのセーブデータを使ってノアで解除した。
ラストダンジョンの最初から最後まで連れ歩いても足りず、ブラッドコードの習熟度を上げる作業に連れて行き
弱めの敵の集団をまとめて倒している最中に不意に達成された。なのでおそらく強敵でなくてもよいはず。

[良いところ]
・起動からプレイ開始までがスムーズ。ボタンを押す回数が少ない。
・字幕のサイズを見本を確認しながら変更できる。実況配信する人にとってもありがたいポイントかも。
・探索をひとつの売りにしているオープンワールド形式だが、重要なアイテムの位置はマップに明記されている。
・受領中のクエストを一覧で確認できる。誰から受けた依頼をどこまで進めているか、すぐに思い出せる。
・配置されているすべてのNPCがボイス付きで会話でき、ゲームの進行に応じてセリフも変わっていく。
・バックアタック時など、ターゲットマーカーが赤く変化することで追撃可能かどうか視覚的に判断しやすい。
・広大なマップのどこかにクエストをもったNPCが隠されており、謎解き的な楽しみができる。
・適切なタイミングでしっかり配置されているヤドリギ(セーブポイント)。
・涙あり、笑いも意外とありなストーリー。クリアするころにはすべての登場人物を愛せているはず。
・マルチエンディングを採用していながら周回プレイは要求しない、独特の方式。
初回起動時に表示されるバンダイナムコなどの企業ロゴは2回目以降省略され、表示されなくなる親切仕様。
ミドルウェアのライセンスも一瞬しか表示されないため、プレイ再開までが非常にスムーズ。
バックアタックは確定で大ダメージを取れるわけではなく、いわゆる"体幹削り値"が高い攻撃らしい。
なので強モブに対してバックアタックを当てると、ダウンもしなければたいしてダメージも取れないときがある。
背後から連続で殴っているうちにマーカーが赤く変化すれば特殊吸血に移行、ダウンを狙える。
だが、そうなるまで殴り続けていると先に倒してしまうかもしれない。

[悪いところ]
・動作の不安定さとフレームレートの低さ。家庭用で最大45fps程度しか出ない(改善予定あり)。
・一部のムービーシーンでアクセサリーのメガネの位置がズレて顔面にめり込む。
・両手剣や大槌など、大型武器の利点が見た目ほどない。攻撃の発生を潰されやすく怯みも取りにくい。
(同じ量のダメージしか取れないなら片手剣を選ぶほうが断然有利という判断になってしまう)
・ボスの調整全般。強みばかりを取り揃えていて、弱点が用意されていない。弱点を見つける楽しさがない。
・敵は転倒しているあいだ一切の攻撃を受け付けず、追撃ができない。
・ギフトヒールを受けたあとの硬直が長すぎて、回避できず連続死が確定するパターンが多い。
・特定の敵の攻撃がコンボ状態になってしまい、最悪そのまま体力を削り切られてダウンすることがある。
(おそらくこれも硬直の長さか、喰らいモーション中に追撃を受け付ける仕様なのが原因)
・親密度が可視化されておらず、最大まで上げるための目安が乏しい。
・『消えかけた縁』が有効になるタイミングがわかりにくく、多くのプレイヤーを困惑させてしまっている。
・一部の効果音が軽い。ジョゼのシャッター音、法廷の扉が開く音など、厳しい言い方をすればチープ。
このなかのいくつかはver. 1.05で修正がおこなわれ、フレームレートは継続的な改善が予告されている。
プレイ開始のタイミングによってはまったく感じなくなっている可能性もあることを留意していただきたい。

[どちらとも言えない]
・前作とストーリー上のつながりがないこと。しかし前作を匂わせる武器は山ほど出てくる。
・あきらかにそれとわかるヒット作からの影響、類似表現。天地をつなぐ謎の線は何…?
・R1ボタンの多用。R1を押しながらのボタン入力に割り振られた機能が多く、覚えるまでは操作が遅れがち。
・先行入力が利きすぎるときがある。さまざまな動作の硬直が長いため、先行入力が致命傷になりやすい。
・体力やスタミナのゲージは前作とくらべて確実に見やすくなったが、LPの概念はイマイチわかりづらい。
・敵のヘイトがプレイヤーに向きやすい。バディのほうがたくさん攻撃していてもプレイヤーが狙われがち。
・ブラッドコードの習熟度に応じて上位互換が追加される。逆に言えば、二度と使わない下位互換が増える。
(使わないブラッドコードはアイテムと同様、倉庫に預けられるので整理は可能)
・遠くの敵を釣り出そうとするとバディが前に出て盾になってくれるが、射線がさえぎられてしまう。
(『為政者の大弓』はバディにも当たり判定があり、跳ね返されてイコルの無駄になる)
・多彩な天候が用意されているが、なんらかの不具合があるのか、気が付くといつも雨が降っている。
のちに思い出したので追記。武器の転成は今回も『死に要素』になってしまっていたと思う。
普通にプレイしていると転成を意識する場面がない。意識させるよう仕向ける仕掛けが存在しないせいだろう。
たとえば「水没都市だから水属性の敵が多い」→「雷が効くに違いない」という発想はありうる。
しかし敵のデザインが「雷が効きそう」にはなっておらず、なんなら漏電地帯を平然と踏み越えてきてしまう。
そのあたりを作る側が意識するようにならないと、今後も『死に要素』であり続けるのではないか。
料理も同じくらい『死に要素』であった。自分で食べる目的で料理に着目したプレイヤーは少ないのでは?
モンスターハンターシリーズのように、毎回クエストの前に食べるような向かわせ方ができないと難しそうだ。

[アップデート提案]
・『心の重なり』にある鏡台でもキャラクタークリエイトのやり直しができたら便利だと思う。
→ ver. 1.05で実装!
・回復のバフがかかっている敵が近くにいると、回復時のSEが繰り返し聞こえてくるのはどうなのだろう。
(環境音に混じって回復時のSEが何度も聞こえてくるため、最初はバグかと思った)
・バイクにもカラー変更などのカスタム要素がほしかった。『マグメル』の整備士がいるところにぜひ。
・イリスの扱い。他のバディとくらべて存在感が薄く、もう少し役割の盛り付けがほしかった。
・バディの親密度の可視化と、プレゼントの店売り化。現状ではすべてのリアクションを聞くのに足りない。
[寸評]
2019年に発売された前作「CODE VEIN」は個性的なソウルズライクとして広く認知された。
「ここがもうちょっとこうだったら…」と指摘したくなる部分は多いが、ここにしかない体験が確実にある。
もし続編が作られるなら。ファンのあいだではしばしば妄想に近い改善案が取り交わされていた。
7年ぶりの新作「CODE VEIN Ⅱ」は、自身に期待されるものをよく理解して作られた傑作だ。
前作「CODE VEIN」で感じられた魅力は確実に引き継がれ、よりよくブラッシュアップされている。
前作で指摘された不満点にはそれぞれ一定の回答を示し、改善を見せてくれている。
そのうえで、7年経ったいまだからこそやるべき、現在の水準にシフトさせようという意思が感じられた。

「CODE VEIN Ⅱ」を一言で言い表すなら「エルデンリング」ライク、略して"エルデンライク"である。
これに関しては発売前から既に予想されていたことであった。イメージカラーが金、そしてオープンワールド化。
移動するための乗り物も用意されて、間違いなく「エルデンリング」を意識しているだろうと。
フタを開けてみると、思っていた以上に「エルデンリング」からの影響が大きいことに思わず笑ってしまった。
こまかいところではフィールドBGMの雰囲気までそっくりなのである。不意に聞こえてきて耳を疑うほどだった。
そういう見方をすると、あらゆるものが"エルデンライク"に見えてくる。真似てないとは決して言えないはずだ。
序盤の難関となるボスもマルギットとゴドリックの特徴を備えたような、ニヤリとさせる動きをしてくるのだ。
しかし、元ネタよりも難しいと感じてしまうのは、本作全体に言えるボスの隙のなさによるものだろう。
まるで回転するコマを相手しているような感覚。余白のない攻撃の連発。プレイヤーを見ていない感じさえある。
フェアな戦いを楽しめる、対戦相手として戦っていて楽しいボスにできていないところが残念である。

本作は"エルデンライク"であり、戦闘についても同じことが言える。"壊れ"に気付けば有利に戦えるのだ。
プレイヤーとボスが互いの"壊れた"部分をぶつけ合い、生き残ったほうが勝者となる。
可能なビルドのなかからいかにして"壊れ"を見つけるか。ご丁寧に、説明文にヒントが書かれていたりする。
プレイヤーが各々に試行を繰り返し、研究結果を共有する。そういうゲーム体験もじつに"エルデンライク"だ。
ブラッドコードでいつでも変更できるビルド傾向の手軽さと、そこからさらに突き詰められるほどほどの難しさ。
難しいが難しすぎない。シンプルではないが適度に複雑。そこに「CODE VEIN」らしさを感じる。

本作への評価が好転するタイミングは、おそらく多くのプレイヤーで一致するのではないか。
マグメル島にいるあいだは「まあこんなものか」という印象だったのが、水没都市に行けるようになった途端に
大きく変わる。「CODE VEIN」というタイトルに抱いていた印象が大きくくつがえされる瞬間が訪れる。
「CODE VEIN」でありながらこの規模のものが来るのか、という驚き。同時に怖れすらも感じる。
この世界を遊び尽くすのにどれだけの時間と手間がかかるのか。巧妙に仕組まれたステージ演出である。
同じマップを繰り返し利用することを「複数の時代を旅する」という設定で合理性あるものにしているところも
本作の巧みな部分ではないかと思う。言い方は少々アレだが、経済的に優れた(笑)作りである。
過去の時代にあった障壁が現在にはない、あるいは過去と違うものが新たに置かれている。
既に攻略したエリアであっても探索の価値がある。そういう遊び方ができるオープンワールドを他に知らない。
だから、思っていた以上に新しいことを実現したゲームなのではないだろうか。
この『思っていたよりも』という意外性が「CODE VEIN Ⅱ」の評価の広い部分を占めているように思える。

前作のレビューにおいて「CODE VEIN」は愛と献身の物語であると書いたのをいまでもよく覚えている。
誰もが誰かのために、おのれを犠牲にして幸せを願おうとする。本作にもその根底の部分は引き継がれている。
同胞のために、家族のために、はじめから終わりまで一貫して美しい自己犠牲が描かれている。
自分が前作「CODE VEIN」に対して強い思い入れを抱いている理由であり、本作でも期待に応えてくれた。
さらに、前作の結末でひとつ"しこりを残してしまった部分"についても救済が図られているから素晴らしい。
前作とのつながりがないことが早い時期に公式から明かされ落胆したが、まったくつながりがないわけではなく
『記憶の残滓』のパートではおなじみのBGMが流れ、前作のファンの気持ちをなだめてくれる。
そこで初めて考えるようになった。「CODE VEIN」を象徴するメロディーはこちらだったのではないかと。
メインテーマが変わってつながりが否定されてしまったかのように感じていたが、実際はそうではないのではと。
ただ、劇伴の扱いとしては前作のほうが秀でていたのではないかと思っている。
セリフやカット割りにぴたっと当てはまるあの気持ちよさ。本作は同じ曲の使いまわしが気になるくらい多い。

本作のストーリーはメタ的な要素も含め、ほかでは見られないかなり独特な構造で作られている。
ちょっと説明するだけでネタバレになりかねないのでやんわりと解説すると、前作ではすべてのエンディングを
見るのに周回プレイを要求する構造になっていたが…なんと1周ですべてカバーできてしまうのである。
マルチエンディングを採用しているアクションRPGとしては新鮮な体験が期待できる。
感動はもちろんあるのだが、それと同じくらい感心もする。新しいものに触れた感覚が確実にある。
単なる"エルデンライク"に留まらない、本作でなければ体験できないものがきちんと詰め込まれている。
正直に言えば、発売前は期待と同じくらい不安も抱えていたのだが、期待を上回る内容だったと言えるだろう。
[オススメ度]
今年プレイすべき一本。いますぐにとは言わないが、遊びやすくなったタイミングで手に入れてもらいたい。
金額的な理由もあるが、フレームレートの問題を改善するアップデートが予定されているのも大きな理由。
本作の話をしていると、しばしば『オープンフィールド』という言葉を使う人たちが出てきます。
おそらく『オープンワールド』との定義分けをしたいのだと思いますが、個人的には無意味なことと感じます。
『オープンワールド』という言葉を使うと、過剰な期待を招いてしまうおそれがある。
そこまで世界をシミュレートしたものではなく、ある程度の広大なエリアと自由度の高さを担保しているだけの
非『オープンワールド』である…という言い訳。誤解を避けるための日和った和製英語といいますか。
日本国内のごく狭い範囲でしか通じない造語として自分は捉えています。
広義のジャンルとして『オープンワールド』という言葉ひとつあればそれでじゅうぶん。
あと、ついでに言っておくと『オープンワールド』を『OW』って略すのも誤解のもとなので避けるべきかと。
『OW』が略称になっているゲームも世の中にはありますからね…。

本作の評価が大きく割れるのは、ゲームに対する取り組み方がプレイヤーごとに異なるからではないかと。
ソウルズライクの一作品として、アクションや戦闘などシステム的な部分だけを見比べてプレイしてる人たちと
RPG的な体験を重視してプレイしている人たちとのあいだで評価に差が生じている。
日々投稿されているSNS上の感想や実況動画を見ていて、そんなふうに分析できる気がしました。
前作のレビューでも書きましたが、コードヴェインシリーズはJRPGの文脈で作られたアクションRPGなんです。
高難易度のアクションという側面だけ見ると、魅力が半減どころか大きく損なわれてしまうでしょう。
プレイヤーが主人公になりきって、選択を委ねられ、仲間たちとの関係性を醸成していく体験こそが重要であり
それを能動的にできる人たちは本作を高く評価している傾向があります。
画面の前でセリフと会話しながら、涙にまみれながらプレイできる情熱的な人たちにとっては幸福なゲーム。
自分はそこまでの移入はできませんが前作の熱烈なファンなので、楽しみ方を知っていたわけです。

ソウルズライクに「救いのない世界観の作品が多い」のは傾向として間違いない事実です。
しかし「救いのない世界観であるべき」というのは間違いで、それは個人的な要求でしかありません。
救済があるからといって決して間違いではない。コードヴェインはソウルズライクではあるがソウルズではない
という明確な線引きであり、確固たる方向性の表明であると自分は受け止めています。
「CODE VEIN Ⅱ」を終えてから「エルデンリング」を振り返ると、メリナはポジション的にはヒロインなのに
全編を通じての登場回数が非常に少なく、印象に残らないキャラクターだったなとあらためて思います。
ルゥちゃんとメリメリの扱いの違いが、両作品の方向性の違いを象徴していると言えるかもしれません。