2025年4月14日 (月)

2025年 春アニメ注目作品

■お気に入り作品(暫定)
「ゴリラの神から加護された令嬢は王立騎士団で可愛がられる」
「ある魔女が死ぬまで」※2話以降、評価が上がっていくタイプかも?

■新作ピックアップ
「ユア・フォルマ」
「忍者と殺し屋のふたりぐらし」
「アポカリプスホテル」
「TO BE HERO X」

■続編ピックアップ
「小市民シリーズ」分割2クール後半(11話~)
「阿波連さんははかれない season2」2期
「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 SeasonⅡ」2期(2024年夏 → 2025年春)

■前期からの継続作品
「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。」2クール後半(12話~)
「薬屋のひとりごと」2期 2クール後半(37話~)
「魔神創造伝ワタル」(13話~)

□話題の新作
「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」
「ウマ娘 シンデレラグレイ」
「LAZARUS(ラザロ)」
「真・侍伝 YAIBA」


◇その他備考
・テレビ朝日が『イマニメーション』と題したアニメ新枠を、フジテレビが金曜に『ノイタミナ』新枠を設置。
・民放各社がアニメ放送に積極性を見せ始めたのに対し、TOKYO MXは再放送が多い印象がある。
・「GQuuuuuuX」の放送枠が直前のバラエティ番組と一体化しており、単体で録画予約できないことが話題に。
・アニメの公式サイトが縦1枚の、スマホで見る前提のデザインに変わりつつある。
 画面に一度に表示できる情報量がPCとくらべて少なく、なのに読み込む量は多い。ちょっと不便に感じる。


民放がアニメに本気を見せ始めたと感じる今期。ちゃんとお金をかけて良いものを作ろうとしている印象あり。

新作のなかからまず話題にしたいと思ったのもテレ朝で放送がはじまった「ユア・フォルマ」
よく『not for me』という表現が使われますが、本作はあきらかに『for you』として作られているなぁと。
原作2巻の内容からいきなり始まる、結構突き放した作りではあるんですけど、"わかっている人"ならそれでも
すんなり見れてしまうというか。わかる言語で話してくれてる感じがして。これは見ようと思いました。

「シンデレラグレイ」は「原作とくらべて迫力に欠ける」なんて声も見かけましたが…贅沢な話だと思います。
制作は安心のCygamesPicturesで、今期ほかに「アポカリプスホテル」のほうも担当。どちらも優良品質。


2006年から19年間フジテレビの日曜朝の看板作品を務めてきた「ONE PIECE」が突如、深夜枠へと異動となり
その代わりに始まったリ・ハオリン監督の「TO BE HERO X」。やはり違和感はあります。
日曜の朝らしくない、どちらかといえば深夜向きで、しかもコア層であれば納得して楽しめる感じの作風で。
これまで「ONE PIECE」を楽しみにしていた方々からの不満や非難がSNS上にあふれていました。

メチャクチャお金かかってる感じはするし、ものすごい話題作になる可能性も秘めている作品だとは思います。
ただ、人物名が原語そのままなので耳で聞き取りづらいなど、ライト層の壁になってる部分もあるのでは。
どうせローカライズするのであればもっと日本人に馴染みやすい変更を加えてもよかったのかもしれません。


今期最大の話題作は間違いなく「GQuuuuuuX」ですが、少々問題がありまして…。
先行上映された「Beginning」にサプライズ要素の多くをネタバレされた状態で見ることになってしまったため
本来サプライズで加点されるべきところが加点されず、評価に少なからず影響してしまうところがあります。
映画館で見た人たちの異様な興奮とくらべるとどうしたって温度差がある。仕方ないことと思ってください。


「忍者と殺し屋のふたりぐらし」はシャフトと宮本監督による新作。
2000年代のシャフト作品、特に「まどマギ」が社会現象的人気を獲得する以前のシャフト作品ってこんな雰囲気
だったなぁと思い起こさせるような、ちょっと懐かしさの漂う殺伐コメディ。

今期個人的に一番うれしいのは「キミ戦Ⅱ」の放送再開かもしれません。待ちに待ったという感じ。
既に2度は見たはずの第1話もニコニコしながら画面を見つめていました。初回放送分とは微妙な変化もあり。



サイエンスSARUによる「攻殻機動隊」の新アニメの制作が発表され、次の草薙素子は誰が演じるのか?という
話題が早くも出てきています。順当に考えれば坂本真綾が最有力候補なのかもしれません。

原作コミックのイメージに近い素子を描くつもりがあるなら、声も大幅に変更していい気がするんですよね。
希望を言わせてもらえば、自分を含むアニメオタクや声優オタクがすぐ思いつくような声優だけはやめてほしい。
できるだけ色のついていない、軽く批判が集まるくらい既存の素子のイメージと違うタイプの声がほしいです。

…などと書こうと思った理由は、Xのタイムライン上でちらっと見えた予想に不満を覚えたからです。


[追記]
既に収録が完了している可能性もあり、不謹慎なことを書いてしまったかも…と、掲載後に気付きました。
でも、既存のイメージから変えるつもりがあるなら大胆な変更が必要であると本心から思っています。

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2025年3月31日 (月)

2025年 冬アニメ 完走した感想

■高評価作品
「ハニーレモンソーダ」
「誰ソ彼ホテル」
「RINGING FATE」

"好"評価作品
「空色ユーティリティ」
「FARMAGIA」
「外れスキル《木の実マスター》」

■高評価継続作品
「チ。-地球の運動について-」2クール後半
アオのハコ」2クール後半
のミブロ」2クール後半
の祓魔師」4期後半(終夜篇)

□高評価話題作
「悪役令嬢転生おじさん」

■3月中に放送終了しなかった作品
「Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。」2クール
「薬屋のひとりごと」2期 2クール
「凍牌 〜裏レート麻雀闘牌録〜」最終回のみ4月に持ち越し
「アラフォー男の異世界通販」最終回のみ4月に持ち越し
「わたしの幸せな結婚」2期 25話の放送延期にともない、最終回が4月に持ち越し
「天久鷹央の推理カルテ」実写特番を3回も挿んだ結果、最終回が4月に持ち越し
「UniteUp! -Uni:Birth-」各ユニットにスポットを当てた『絆特番』を挿んだ結果、11話以降が4月に持ち越し

◇その他備考
・フジテレビの問題が大きくなり、1月下旬以降CM提供を降りる企業が続出。アニメ枠にも影響がおよぶ。
・2006年10月から約19年間、フジテレビの日曜朝の顔だった「ONE PIECE」が4月から23時台へ異動に。
・「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 SeasonⅡ」4月から放送仕切り直しが決定。
・「ハイガクラ」今夏(7月?)放送仕切り直しが決定。


1月中旬ごろ、コロナ以来の体調不良に見舞われ、アニメを見るどころではなくなってしまいまして。
結果として継続視聴の本数がいつもよりだいぶ絞られたのですが、今期はそれだけが理由ではなく。
放送開始前から名前が挙がっていた話題作も含め、総合的には芳しくないシーズンだったかもしれません。
それでも、序盤を見て期待できた作品は最後までしっかり楽しませてもらいました。


なんと言っても「チ。」がやっぱりすごい。5年に1本の傑作、いやサブカル史に残る名作と言っていいかも。

このテーマにひとりでも多くの人に触れてもらうため、アニメ化という手段をとったのではないかと。
大袈裟な言い方をさせてもらうと、すべての人が義務教育のあいだにぜひ見てもらいたい。
問題はレーティングかなぁ…まあまあ凄惨なシーンもありましたからね。でもNHKで放送できたんだからな?

ラファウという人物が何者だったのか。終盤の展開がファンのあいだでしばしば議論になります。
個人的な見方ですが、ラファウはある時代の個人ではなく、人間をそそのかす悪魔のような存在だったのでは。
知的好奇心をもつ人間に忍び寄る"知の悪魔"とでもいいましょうか。
後年のラファウは狂信的な異端審問官であり、知の解放に反する異端者を弾圧する存在でもありました。
そういう意味ではノヴァクと対になる存在。やはり偏ることなく中庸であることが肝要なのだろう、と思います。



以下短評。


・「ハニーレモンソーダ」
ストーリーに関して「現実的ではない」という声もあるかもしれないが、同じ夢を見るなら幸せなほうがいい。
そこはあくまで少女漫画というか。人生を変える王子様との出会いを物語として楽しんでほしいと思う。
非現実的な部分に対し、妙にリアリティのある不良生徒たちが混在するおもしろさがあった。
あゆみちゃんマジ天使。あゆみちゃんが出てくると画面に花が咲く。「アオのハコ」の笠原とは違う意味で天使。

「アオのハコ」は結末まで見せてほしいが、本作はこの先をあまり見たくない。この先悪いことが起きそうで。


・「RINGING FATE」
バトルものという体裁はとっているが、「時光代理人」のリ・ハオリンらしさを端々に感じる作品だった。
何かを得るために何かを失う。その対価が人生における大切なもの、記憶の喪失や回復につながるところなど。
随所に日本のアニメ文化に対するリスペクトやオマージュを感じると同時に、現在の中国のスタンダードである
セルルックの先をいく3DCG表現が取り入れられており、懐かしさと新しさが混在していた。

この先の展開は本国でもまだ描かれていないそうで。"あのエデン"に付き合わされる彩子がかなり不憫である。


・「空色ユーティリティ」
いいんだよこういうので。この言葉で全部説明がつく。趣味を題材にしたアニメに余計な心配事は要らないんだ。


・「誰ソ彼ホテル」
原作がありつつも1クールでキレイにまとめられていて、変更点を含め原作プレイヤーからの評価も上々。
多くのアニメを並行して見る人にとっては、他の作品に似た印象がない本作はよいポジションに来れたと思う。
桃河りかメチャクチャ売れてほしい。もっといろんなところで声を聞きたい。本作がきっかけになるか。


・「FARMAGIA」
本放送が金曜ロードショーの真裏という事情もあってか、今期の作品のなかで存在感はかなり薄いほうだったが
いかにも少年マンガらしいところを突いてくる感じが個人的には好きで。特に劇伴は素晴らしかった
ゲームの内容を1クールに詰め込もうとすると、積み重ねに必要な尺はどうしても足りなくなってしまう。
それでもうまくペース配分をして、作品の魅力をうまく伝えられるよう作られていたのではないか。


・「外れスキル《木の実マスター》」
今期の異世界もののなかでは出色の出来。特別珍しいことをしているわけではないのに全体的な水準が高かった
手慣れているといった雰囲気さえ感じられたが、中盤のザムド戦あたりには若干の不満を覚えた。
ザムド戦以降、主人公・ライトが不在のまま終わってしまうが、そもそもダブル主人公の物語なのかも。


・「想星のアクエリオン Myth of Emotions」
アクエリオンシリーズに造詣の浅い自分にはわからない、シリーズを知ってるからこそ感心できる部分が多いと
コアなファンの考察を読みつつ見ていたのだが、コアなファンをしても理解が難しい部分が多かったらしい。
個人的にはハナちゃんとカミサマの年齢や境遇を越えた奇妙な関係が好きだった。今回も青は裏切り枠。


・「SAKAMOTO DAYS」
放送開始前に聞きおよんでいた話題性はどこへ。ありふれた設定、それを魅力的に描けているわけでもなく。
前時代的なジャンプ原作アニメという印象。テレ東の土曜23時台に入れるにしては非力な内容であると感じた。


・「天久鷹央の推理カルテ」
真相は怪奇よりつまらない、原因が呪いであったほうが話としてはおもしろいという構造的欠陥を抱えている。
知識さえあれば画面を見ていて推理が可能なエピソードはまだいいが、まったく不可能なエピソードもあった。
本編の内容よりも実写特番の内容のほうが話題に。1クールで3回も特番をやったのはどうかと思うが。


・「BanG Dream! Ave Mujica」
シリーズファンとして毎週楽しく見ていたのは間違いない。来週どうなるか、展開が気になる作品ではあった。
しかし終わって振り返ってみると「話がおもしろかった」というのとはちょっと違うような気がしてくる。
意表を突くことで話題性を獲得することに終始していて、話のまとまりや整合性には欠けていたかもしれない。
前期終了時に「全部見てから評価したい」と書いたが、全部見終えてなお評価にちょっと悩むところがある。

過去のシリーズとくらべて男性の関わりが多く、どこまで思いどおりに書けていたかは疑問が残る。
異性を完全に排除するとどうしても不都合が生じるので、書き手のポリシーとの衝突は避けられないのかも?

個人的に一番気になっているのは"本物の初華"が現在どこで何をしていて、初華の芸能活動をどう見ているか。
いろいろと血縁の設定を出して振り回したわりに、縛られることなく解決したのがご都合主義にも見える。
学生の身分でできることの限界を指摘した前期の祥子のセリフを思い出すと矛盾を覚えるような。



余談。特撮界隈で著名な、東映の白倉伸一郎Pが入社当時に言われた「テレビと映画は違う」という言葉。

テレビはそれまでのラジオと入れ替わるように、ラジオと同じように視聴者が接するメディアである。
垂れ流し、ときには画面を見ていないことすらある。でも耳では聞こえている。
映画のように画面に集中していなくても、何が起きているのか音で伝わるよう説明を盛り込む必要がある…と。

これはテレビアニメについても言えることで。昨今のテレビアニメは画面の情報に頼りすぎていると感じます。
いわゆる説明ゼリフも含め、耳から得る情報を"ダサいもの"として排除する傾向があるのかもしれません。
アニメは画面を見てもらってなんぼのメディアではあるのですが、画面だけが魅力ではないはずなんです。
テレビアニメとしてテレビにかけている以上、テレビの見られ方を意識した作品づくりを考えるべきと思います。

ようするに、画面に文字だけ表示して説明を済ませた気になってんじゃねえぞ?って話ですね。
今期は特にこれをどうしても言いたかった。次回予告のフリした用語解説。"フラッシュ暗算"と揶揄された独白。

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2025年1月14日 (火)

2025年 冬アニメ注目作品

■お気に入り作品(暫定)
「空色ユーティリティ」

■新作ピックアップ
「誰ソ彼ホテル」
「悪役令嬢転生おじさん」
「ハニーレモンソーダ」
「マジック・メイカー ~異世界魔法の作り方~」

■続編ピックアップ
「BanG Dream! Ave Mujica」
「わたしの幸せな結婚」2期(14話~)
「Dr.STONE SCIENCE FUTURE」4期
「薬屋のひとりごと」2期(25話~)

■前期からの継続作品
「チ。-地球の運動について-」2クール(15話~)
「アオのハコ」2クール(13話~)
「青のミブロ」2クール(12話~)
「シャングリラ・フロンティア 2nd Season」2クール(38話~)
「青の祓魔師 終夜篇」4期 実質2クール(13話~)
「ありふれた職業で世界最強 season3」全16話(年内に11話まで放送)
ほか

□話題の新作
「メダリスト」
「SAKAMOTO DAYS」
「魔法つかいプリキュア!! ~MIRAI DAYS~」
「魔神創造伝ワタル」


◇その他備考
・今期は異世界が舞台の作品が多め。広義で数えると15本近くある。
・「Sランクモンスターの《ベヒーモス》だけど、猫と間違われてエルフ娘の騎士(ペット)として暮らしてます」という
 規格外のタイトルの長さから、「ベヒ猫」という略称で番組表に掲載される珍事が起きている。
・テレビ朝日とテレビ東京がアニメ放送枠を新設。テレビ東京はなんと日曜夕方17時台。
・大塚剛央と矢野妃菜喜の出演作品が増加傾向にあるような。日笠陽子も前期から引き続き多い。
・前期放送休止を発表した「ハイガクラ」と「キミ戦Ⅱ」の続報は現時点ではなし。


つい「新規性がない」と評価しがちですが、そう感じる時点で自分はもう"対象"ではないのかもしれません。
上の世代から見れば使い古されたネタでも新鮮な気持ちで楽しめている世代がいるわけで。
いま楽しめている人たちの気持ちに水を差すようなことを書いてはいけないのかも?と思い始めています。
ってか…そうとでも思わないと、今期の新作のあまりの新規性のなさを前向きに評価できそうになかったので。

例示するのも不適切かもしれませんが、「没落予定の貴族だけど、暇だったから魔法を極めてみた」は代表格で
アスナ役を戸松遥が務めている(笑)とこも含めて、新しくないことを楽しむ雰囲気がある気がします。

いわゆる『お約束』のような、上の世代にとっては安心感になりうるもの。自分はまだ新しいものが見たいです。



毎シーズンこの時期になると、Yahoo!ニュースに掲載されるような新作アニメ紹介で『ダークホース』という
言葉が使われる様子を見るのですが、個人的にはあまり使いたくない、好きではない表現です。
「その価値にいち早く気付いてる俺カッコいい」みたいな、自己顕示欲が透けて見えるところがイヤというか。
自分が気に入った作品に『ダークホース』の烙印を押すことに抵抗を覚えるってのもあります。

アニメって当たりハズレを予想するようなものでもないですよね。見た人が満足できるかどうかが大事なわけで。
他人の紹介や評価に乗せられて、『自分なら100点をつけられる作品』との出会いを逃したくない。

だから毎シーズンこの時期は忙しくなるんですよね…ホントに全部見るから。

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2024年12月31日 (火)

2024年 秋アニメ 完走した感想

■高評価作品
「チ。-地球の運動について-」※絶対に見たほうがいい!
「メカウデ」

"好"評価作品
「アクロトリップ」
「君は冥土様。」※ただし最終回の最後のシーンが審議対象に
「星降る王国のニナ」
「歴史に残る悪女になるぞ」
「村井の恋」

■高評価継続作品
「2.5次元の誘惑」2クール後半

□高評価話題作
「アオのハコ」2クール前半

■12月中に放送終了しなかった作品
「チ。-地球の運動について-」2クール
「アオのハコ」2クール
「青のミブロ」2クール
「凍牌 ~裏レート麻雀闘牌録~」2クール
「妖怪学校の先生はじめました!」2クール
「甘神さんちの縁結び」2クール
「ドラゴンボール DAIMA」2クール?
「シャングリラ・フロンティア 2nd Season」2クール
「青の祓魔師」4期 実質2クール(雪ノ果篇 → 終夜篇)
「ありふれた職業で世界最強 season3」全16話(年内に11話まで放送)
「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅤ 豊穣の女神篇」全15話(12話以降が未定)

◇その他備考
・「ハイガクラ」第8話以降の品質維持のため放送休止。放送再開などの日程は未定。
・春アニメ「ささやくように恋を唄う」第11・12話の放送完了。だが今度は舞台版の制作会社が廃業を発表。


J.C.STAFF制作の作品が9本もあった今期。その影響か、割を食う作品もやはり出てきてしまいましたが。
そんななかで「2.5次元の誘惑」のように非常に優れた作品を輩出してくれたことを個人的には評価したいです。
ホントにいいアニメだった…原作もちゃんと追おうかな?と、久し振りに思えるくらい高く評価しています。

どういうアニメを見てアニメを好きになったか、「メカウデ」はそれを思い出させてくれるような作品でした。
こういうアニメが見たくて、その後いろんなアニメを見続けていたのだろうなと気付かされた感じ。

「チ。」はいかにもNHKらしい硬派で手堅い作品。時代や分野に囚われないテーマが描かれています。

今期は途中で打ち切ってしまった作品と、ゲームをしながらの『ながら見』だった作品が多めでした。
おもしろいおもしろくない以前に『関心をもてない作品』というのがどうしてもあって。
そういう作品が局地的に高評価だったりすると、同じ作品でも見てる側面が違うのだろうなぁ…と感じます。



以下短評。夏には「このフォーマットに定まっていない」と言いつつ、なんか定着してしまいそうな気配が。


・「君は冥土様。」
ある種の同窓会というか、"あのころ"の"こういうの"が好きだった人たちで集まって楽しんでる雰囲気があった。
個人的にも最後のシーンまでは楽しめていたが、人好が勝手にビターな終わらせ方をしたのは意味不明。
視聴者を納得させるだけの段取りがない。直後の雪の態度があるせいで余計に意図がわからなくなった。
原作には今後の展開につなげるシーンが少し先にもあったそうで、シリーズ構成のセンスの問題かもしれない。


・「星降る王国のニナ」
こんなに少女漫画してる作品も他にないってくらい少女漫画していた。揺れ動く心の描写がたまらなく良い。
決して目立つ作品ではないが、丁寧で満足させてくれる。そして続きを早く知りたくなる終わらせ方をしていた。
原作付きのアニメが1クールできっちり完結するほうが珍しいのは言うまでもなく。
完結しないなりの区切りの付け方、原作のプロモーションという意味での引きの強さを本作は感じさせてくれた。

少し余談を。最終回で完結しなかった作品を『投げっぱなし』と表現するアニメファンをたまに見かける。
その人にはそう見えてしまったのなら仕方ないが、尺が限られているテレビシリーズではある種のお約束であり
すべてが減点対象になるものではないと個人的には思う。上記の2作品が好対照である。
未解決の事象が解決されるところを早く見たい!と思わせたなら、それは制作側の勝利ではないか。


・「きのこいぬ」
ハートフルでかわいい低年齢層向けの作品に見えて、実際はオトナの心に深く突き刺さる作品だった。
周囲の価値観で自分を評価してしまったり、「あのころから少しも変わっていない」と卑下してしまったり。
ひとりでいると小さな失敗は大きく、大きな失敗はより深刻に感じてしまう。分け合える存在の有無が描かれる。
ペットがそばにいることのメリットとデメリット、両方が真摯に描かれていたと思う。


・「魔法使いになれなかった女の子の話」
本作のメッセージ性を考えると放送時間帯がどう考えても不釣り合い。小中学生に見て考えてもらいたい内容。
何かになることが目標ではない。なって何をしたいか、その先の世界が見えているかどうかが大事なのだ。
夢とは何か。どうすれば新たな夢をもつことができるのか。オトナが見ても感じ入るところはじゅうぶんにある。
そのメッセージ性にたどり着くまでの流れがかなりトンチキなので(笑)侮られそうではある。


・「青のミブロ」
新選組という使い古された題材ではあるが、だからこそ楽しめる部分もあるし脚色次第で新たな魅力も生まれる。
本作の特に優れているところはセリフ。短いセンテンスで心に刺さるものになっている。


・「魔王2099」
最初はどうしてもオマージュの部分が気になってしまった。オマージュとはつまり古典からの引用である。
それは新しくないことを認めるようなものだし、"オマージュ元を知ってる人がおもしろがる部分"でしかない。
なので作品の評価点にしたくなかったのだが、本作のおもしろさは冒頭の目立つオマージュとは関係がなかった。
それより問題なのは1クール内でのペース配分のほうだろう。魔法学園編の終盤はだいぶ駆け足だった。


・「やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中」
マトモに見れるのは初回だけで、以降は話を理解するのが難しいほどのジェットコースター的な体感速度
説明ゼリフが非常に多く、セリフが途切れる時間がほぼない。視聴者が理解に要する時間をまるで考慮してない。
なのに事前に説明のない事実や能力が飛び出したり、相関図に矛盾が生じるようなセリフがあったりする。
一度わからなくなると話自体に興味がもてなくなってしまう可能性もあるわけで、本作の作りはよくない。


・「ネガポジアングラー」
まず言いたくなるのは、釣りという趣味の要素と登場人物たちの境遇の食い合わせがあまりにも悪いこと。
個人的には趣味に没頭しているときぐらいは深刻な問題を忘れたい。同じお皿に盛り付けないでほしい
貴明がヒロに対して不自然に親切な理由が終盤まで明かされないため、見ていてずっと違和感になり続ける。
逆に、こずえは無意味に不快。貴明の昔の源氏名を聞くなど、その後の展開に一切必要のない悪事が目立った。


・「村井の恋」
すごく評価が難しい…というのも、たぶん作画とかわかりやすい部分だけで見たら絶対に上のほうには来ない
だが本作を映像化するにあたって、これほどマッチしている手段もないであろうと感じるのだ。
見ていてあっという間に時間が過ぎる。見た目はエキセントリックなのに真摯に恋愛を描いている。
初回を見始めたころの自分に言っても絶対に信じないと思う。素晴らしいセンスで作られた映像作品だった。


・「らんま1/2」
旧アニメ版を一切見てない自分が見ても、本作のオリジナルキャストには大きな驚きと発見があった。
男性陣はカッコよく若々しく、女性陣はかわいく魅力的で。令和の作品とならんでも全然勝負になっているのだ。
令和の時代に新たなブームが来てもおかしくない。特に女らんまとシャンプーは強い。


・「カミエラビ GOD.app」2期
1期で用意したパーツをうまく組み合わせていたが、ホノカの扱いにはさすがに困ったのかもしれない…(笑)
神とは世界の作者であり、作品作りで苦しむ作者の孤独な姿を描き、救いを求めようとしていたのかも。
作者を肯定してあげることで生み出された作品も、作品のなかで生きる人物たちも肯定され、意味をもつ。
本作の製作陣自身が本作を通じて自己肯定してあげてるような感じさえあった。

世の中には報われない善意が多すぎる。創作も善意であり、このままでは善意が失われた世界になってしまう。
「あなたのおこないは正しい」と認めてくれる社会になってほしい、という願いが込められていた気がした。



最後に、2024年の新作10作品を挙げるとすればこんなラインナップになるかな?というものを載せておきます。


「ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する」
「ゆびさきと恋々」
「となりの妖怪さん」
「忘却バッテリー」
「魔女と野獣」
「花野井くんと恋の病」
「烏は主を選ばない」
「異世界失格」
「小市民シリーズ」
「2.5次元の誘惑」
「チ。-地球の運動について-」
「メカウデ」

ダメだ…12本ある。しかも続編を除いての数だからなぁ。ちなみに続編では以下の作品が挙がります。


「僕の心のヤバイやつ」2期
「時光代理人Ⅱ -LINK CLICK-」
「デート・ア・ライブⅤ」


「百妖譜」は本放送が2020年だったので今年の新作という条件には合わず。でも素晴らしい内容でした。
「負けヒロインが多すぎる!」は自分が挙げなくてもみんなが挙げるだろうから選外としました。
あと「先輩はおとこのこ」も悩んだんですけど、個人的にはちょっと重たかったなぁと…。

「狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF」は新作とは言いがたいですが、挙げたくはなりました。
近年難しいですよね…リメイクやリブートがたくさんあって。ストーリーは既に知ってるわけだし。

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2024年10月20日 (日)

2024年 秋アニメ注目作品

■お気に入り作品(暫定)
「メカウデ」
「アクロトリップ」

■新作ピックアップ
「チ。-地球の運動について-」※マジで見たほうがいい
「きのこいぬ」
「君は冥土様。」

■続編ピックアップ
「Re:ゼロから始める異世界生活 3rd season」(51話~)
「百妖譜」2期
「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインⅡ」
「MFゴースト 2nd Season」(13話~)
「シャングリラ・フロンティア 2nd Season」(26話~)

■前期からの継続作品
「2.5次元の誘惑」2クール後半(14話~)
「多数欠」2クール後半(12話~)
「デリコズ・ナーサリー」(7話~)前期から特番や再放送を挿みつつの変則的放送

□話題の新作
「ぷにるはかわいいスライム」
「ダンダダン」
「アオのハコ」
「ドラゴンボール DAIMA」
「らんま1/2」

◇その他備考
・いわゆる続編ものだけで30作品近くあることが今期の特色となっており、新作の影がやや薄い印象さえある。
 そのためピックアップするにしても、いつもよりどうしても本数が増えてしまう。
 過去作を見ていない場合バッサリ除外して視聴本数を減らすことも可能。負担が軽くなる人もいるかも?
・J.C.STAFF制作の作品が前期から継続の「2.5次元の誘惑」などを含め、合計9本もある。
・日曜深夜の放送枠かぶりが深刻で、見逃し配信の需要が高まっている。
・「魔法科高校の劣等生」のフォロワーとも呼ぶべき作品がアニメ化される時期に来ているのだろうか?
 「魔王2099」や「魔法使いになれなかった女の子の話」を見ていると、そう考えずにはいられない。


あいかわらずメモを取りながらアニメを見ているせいで、最近体感的に気になることが出てきました。
メモを取りながらでも理解できるアニメは話がすんなり頭にはいってくる。話を整理しながら見る余裕がある。
メモを取る手が追いつかないアニメって基本わかりにくいんですよ。つねに置いていかれるような感覚。

「それならメモを取らなきゃいいのでは?」って言われそうですが(笑)「取ることでわかった」って話なので。

『時間あたりの情報量』の配分ってすごく大事なんだなと思います。視聴者の処理能力を考慮した書き方
昨今、原作付きのアニメでしばしば感じる話の詰め込みすぎ。何度もリピートしないと理解できない説明ゼリフ。
あるいは詰め込みを避けるため端折った結果、シーンのつながりがおかしくなって新たな混乱を招いたり。

キャラクターの魅力とかセリフのカッコよさとか、神がかり的な作画でぐりぐり動くとかも大事ではありますが
映像作品として、お芝居として、一度の視聴で理解できるよう書かれているのって大事なんじゃないかと。

制作側の人への期待は当然のこと、視聴者側にもそういう観点でアニメを見てほしいと思ったりして。

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2024年9月30日 (月)

2024年 夏アニメ 完走した感想

■高評価作品
「異世界失格」
「小市民シリーズ」
「2.5次元の誘惑」
「新米オッサン冒険者、最強パーティに死ぬほど鍛えられて無敵になる。」

■高評価継続作品
「狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF」2クール(14話~25話)
「烏は主を選ばない」2クール(14話~20話)※マジで見たほうがいい!

□高評価話題作
「負けヒロインが多すぎる!」

■9月中に放送終了しなかった作品
「推しの子」2期 最終回のみ持ち越し
「ATRI -My Dear Moments-」最終回のみ持ち越し
「夜桜さんちの大作戦」最終回のみ持ち越し
「僕のヒーローアカデミア」7期後半(残り2話?)

◇その他備考
・前期の「ささやくように恋を唄う」、第11・12話の放送日程がいまだ決まらず。ソフトの発売は冬に延期。
・「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 SeasonⅡ」放送延期。今後1話から仕切り直す予定。
・周囲より1か月遅れて始まった「デリコズ・ナーサリー」、また1か月の休止期間に突入する。


今期はそのとき思ったことをできるだけSNSに落とすようにしていたので、まとめで書くことがないですね…。
ひとつ、作品に対する感想ではなく自分自身のアニメの見方についての反省をちょっと書いておくことにします。

最近の自分はアニメの物語やキャラクターよりも作品全体の流れや設定に目を向けることが多くなってるようで
他の視聴者と時間を合わせて見ていても、なんというか…的外れな感想を述べているような感覚があるのです。
その作品の世界において実現しうるか、合理性のあることなのかをついつい考えてしまって。
これは自分の源流に少なからずSFがあって、SFとはつねにそういうものだから仕方ないのかもしれませんが。

だから日本の現代劇を見てるときが一番気楽なんですよね。地名もだいたい知ってるし。

さて…アニメのリメイクブームが本格化し、次に来るのはなんだろう?と自分も考えるときがしばしばあります。
「ドラゴンボールDAIMA」の放送直前にこんなこと言うのもアレですが、「Dr.スランプ」は近いうち来そう。



以下短評。まだ新しいフォーマットが定まっていないので、タイトルを含め今後変わっていく可能性大。


・「異世界失格」
自分がアニメに求めるものがすべて詰まっていたお気に入り作品。楽しい、かわいい、戦いに涙。全部がある。
これで2期がなかったらおかしいでしょ?という終わり方をしていた。続きを期待してしまう。
ただ、センセーは率先して人助けをするようなヒーロー的性格のキャラではないので立ち回りが難しそう。


・「小市民シリーズ」
フィクション上の岐阜のイメージをさらに悪化させた傑作サスペンス。お気に入りを除けば今期トップの評価。
内容が内容だけに詳しいことは言えず…おもしろさと品質は保証するのでとにかく見てほしい。
できれば過去のエピソードをすぐに振り返れるような状態で。意外なヒントが先出しされてることも多いので。


・「2.5次元の誘惑」2クール前半
美少女ラブコメの側面もあるが本質はスポ根。清々しいキャラクターばかりで見ていて気持ちがいい。
逆に、ラブコメに期待しているとちょっと肩透かしを喰らうかも。個人的には今期一番の掘り出し物だった。


・「新米オッサン冒険者、最強パーティに死ぬほど鍛えられて無敵になる。」
ややベタなところはあるが話の運びがうまく、戦いを熱く魅せることに関しては今期随一だったと言えるかも。


・「先輩はおとこのこ」
見た目はソフトでコミカルだが、徐々にシリアスさが顔を出してくるため気軽に楽しめる作品ではなくなった。
『男らしさ』や『女らしさ』といった古びた概念に一石を投じる、強いテーマをもった作品だったと思う。
誰もがずっと思い悩んでいて、意を決して誰かに伝えるまでの積み重ねがあることを他人は知らないものだ。
突飛だが、見ていてきっと誰かに共感できる。誰かの言葉にはっとさせられる瞬間がある。


・「負けヒロインが多すぎる!」
敗者にも物語がある。そう表現すれば日本人が古来より大好きな判官贔屓の系譜なのかもしれない。
だが、彼女たちを敗者と決め付けて見てしまうことへの批判、あるいは否定も込められていたように思う。

本作のコミカライズを「はがない」のコミカライズのいたち氏が担当していることを放送中に知る。
そう言われるとなんかつながりがありそうな気がしてくるから不思議。令和の「はがない」なのかもしれない。
余談だが、各ヒロインが持ち回りでエンディング曲を歌ったことで新たな歌の才能が見つかった気がした。


・「NINJA KAMUI」
洋画など海外作品あるあるが好きな人なら好きを共有できる作品。終盤の3DCGによる戦闘シーンだけが残念。


・「デリコズ・ナーサリー」
放送上の問題がいろいろ起きてはいるが中身は良い。というか意外と理解しやすく見やすい。
最近は駆け足すぎ、詰め込みすぎな原作付きアニメが多く、比較してもかなり配慮して書かれている印象。


・「時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん」
放送開始前に思い描いていたイメージとのズレ、本作に期待していたものが足りなかったことが評価に影響した。
思っていたよりもアーリャの活躍がない。ラブコメ要素が薄く、主人公・政近の"政治的活躍"が主題だった。
生徒会選挙の話は今後もずっと続くそうで、それを知ってる人は2期制作発表を喜べたのだろうか?


・「VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた」
現実に起こりうる、より現実的な、実現可能な新しい異世界転生を描いているのかもしれない。
死ななくても生まれ変わることはできるんだよ?と、穏当な解決方法を示してくれている気がした。
全体的に下品(笑)ではあるが、動画配信やラジオのような感覚で楽しめる。気軽で付き合いやすいアニメ。
ただし8話と最終回を除く。特に8話は全体の流れから見ても、本作の作風から見ても違和感でしかなかった。


・「下の階には澪がいる」
前時代的な印象は否めないものの佳作のラブコメ。ヒロインは一応3人いるが、紗羅の扱いはホントかわいそう。


・「SHY」2期
ヒーローでもアマラリルクでもないニンジャたちに話の中心を奪われることに大きな疑問を感じた。
個人的に一番許せなかったのはシャイが武器を握らされたこと。2期全体がシャイのパワーアップイベント。


・「異世界ゆるり紀行」
かわいいはある。話の起点になりそうな出来事やキャラクターが出てくるわりに何も起きず終わるのが斬新(笑)
その代表格が吸血鬼のヴィヴィアンで、あれでは何のために出てきて助けられたのかわからない。


・「僕の妻は感情がない」
ロボットは出てくるがSFではない。SFとして見ると設定が気になりすぎるので、SFには期待せず見ること。
昭和にしか見えない社会にぽつんとオーパーツ的に配置された女性型家事ロボットと織り成すレトロラブコメ。


・「恋は双子で割り切れない」
視聴に大変な苦痛と悪寒をともなう。アニメ化でそうなったのではなく、そもそも原作からこうだったらしい。
すべてのキャラクターに原作者の人格が透けて見える感じが本作の大きな短所。

ラブコメの原則として、主人公が好かれる理由、ヒロインが好かれる理由に納得できるべきであると自分は思う。
「恋は双子」の場合どちらの方向から見ても、相手を好きになった理由がまったくわからず共感もできなかった。
見ていて好きになれるキャラクターがひとりもいない。強いて言えば慈衣菜か。
まるで狭い村で生まれ育ち、他に選択肢がなかったからくっついたみたいな交際。なぜ慈衣菜を選ばないのか。

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2024年7月16日 (火)

2024年 夏アニメ注目作品

■お気に入り作品(暫定)
「異世界失格」

■新作ピックアップ
「小市民シリーズ」
「俺は全てを【パリイ】する ~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~」
「疑似ハーレム」
「先輩はおとこのこ」

■続編ピックアップ
「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 SeasonⅡ」

■前期からの継続作品
「僕のヒーローアカデミア」7期2クール(148話~)
「狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF」2クール(14話~)
「転生したらスライムだった件」3期2クール(14話~)
「烏は主を選ばない」2クール(14話~)
「夜桜さんちの大作戦」2クール(14話~)

□話題の新作
「逃げ上手の若君」
「時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん」
「しかのこのこのここしたんたん」
「負けヒロインが多すぎる!」
「推しの子」2期(12話~)

◇その他備考
・前期の「ささやくように恋を唄う」、第11・12話の放送日程がいまだ決まらず。
・「らんま1/2」と「魔法騎士レイアース」のリブートが立て続けに発表される。
・登場人物に懐メロを歌わせるブームが再来しているかもしれない?


 ※あくまでリストアップであり、順番が順位付けになっているわけではありません。


こうも再アニメ化が続くと懐古が過ぎてアレな印象はありますが、ワンシーズンに新作が60本くらいあるとして
そのなかに1~2本、いわゆる高齢オタク向けの作品があるくらいなら「新作が減る」ってほどの印象ではないし
"どの層に向けて作ってるのかわからない新作"が増えるよりはターゲットが明確でよいかもしれません。
今期だと「キン肉マン」や「グレンダイザーU」あたり。反応してるのはやっぱり高齢オタクだと思うので。

異世界系は低調気味な印象ですが、それでもおもしろいもの、完成度の高いものは確実にあります。
「新米オッサン冒険者、最強パーティに死ぬほど鍛えられて無敵になる。」なんかもシンプルなのがむしろ良し。

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2024年6月30日 (日)

2024年 春アニメ総括

■好評価作品
「となりの妖怪さん」
「忘却バッテリー」
「花野井くんと恋の病」
「夜のクラゲは泳げない」

■ピックアップ作品
「怪獣8号」
「じいさんばあさん若返る」
「変人のサラダボウル」
「ただいま、おかえり」

■好評価継続作品
「うる星やつら」第4クール
「時光代理人Ⅱ -LINK CLICK-」2期
「デート・ア・ライブⅤ」
「この素晴らしい世界に祝福を!3」

■6月中に放送終了しなかった作品
「夜桜さんちの大作戦」2クール
「僕のヒーローアカデミア」7期 2クール
「狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF」2クール
「転生したらスライムだった件」3期 2クール
「烏は主を選ばない」2クール
「忘却バッテリー」最終回のみ持ち越し
「ささやくように恋を唄う」第11・12話が持ち越し
「魔王学院の不適合者Ⅱ 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜」第23・24話が持ち越し

◇その他備考
・「ダイナミックコード」の監督として知られる影山楙倫がいくつかの作品に関わっている様子が見られた。


今月は月末まで記事を公開できずに来てしまいました。ちょっと私事でいろいろあったせいもありますが。
その日言いたいと思ったことを複数のSNSで消費するようになり、執筆欲が落ち着いているのも原因のひとつ。
SNSに落としているぶんを全部ブログに向けていればじゅうぶんな記事が揃っていたはずなので。
それと同時に、ブログという旧文明(笑)が役目を終える時期が近付いているのではないかとも思っています。

なんせ自分自身、他人の思っていることをちょっと知りたいと思ったらSNSで検索するようになっていますし。
以前はちょっと信じられなかった「知りたいことはYouTubeで検索」というのも当たり前になってきました。
世の中が変わって自分も変わって、使う道具も変わる。まあ、すぐにブログやめるって話でもないんですけど。


さて…お気に入り作品の該当なしで始まった今期。初期の評価から大きく変わった作品も少なからずあり。

「となりの妖怪さん」はある意味では大きく変わったかな…おもしろい作品とは思っていたけど、これほどとは。
毎週心を揺さぶられる。いい意味でも悪い意味でも、心に深く突き刺さるエピソードがたくさんありました。
この体験をより多くの人に味わってもらいたいので内容についてはあえて書きません。
「話題作の陰でこんなすごいアニメが放送されていたのか!」と、より多くの人に衝撃を味わってほしいので。

ちょっと悪い言い方をしますと、今期のアニメを語るうえで本作を挙げてない人はモグリと思っていいです(笑)
見ていたら絶対に話題にしないはずがない。話題にしていない人は見ていないってことになるので。


「忘却バッテリー」は高校野球が題材ですが、スポーツの経験がない人にも深く届く内容だったと思います。
楽しいこととつらいことは紙一重で、勝者の視点でも敗者の視点でも忘れたいことはあって。
それでも、たとえ記憶喪失になったとしても好きだったものへと引き戻されていく。ある意味では呪縛のように。
ふたたび苦しみに引き戻されるかもしれなくても、楽しい、楽しみたいという気持ちに変わりはなく。

原作未完のアニメなりの締めであり、ひとつの作品としてメッセージをもたせたうまい終わらせ方だと思います。

個人的には藤堂のイップスのエピソードがすごく好きで…いや、好きって言ったらアレかもしれませんが。
彼がイップスを克服するまでの流れが本作の評価を決定したと言ってもいいほど。共感が評価につながってます。
野球という競技のどの瞬間がおもしろいのか、よく理解したうえで巧みに書かれている作品だと思いました。


「花野井くん」は評価が結構割れている印象がありました。最後まで見て、自分は傑作の評価をつけています。
ちょっと異質な始まり方だったし、花野井くんの人当たりの悪さ、怖い振る舞いなどに強く引っ張られてしまい
たくさんの手間をかけて本作が伝えようとしていた部分がうまく届かなかったところもあるのかも。

恋愛とはなんなのか。誰かを好きになること、好きという感情の定義。体験から強く決め付けてしまうこと。
本作を『恋愛もの』という月並みな言葉で表してはいけないのかもしれません。もっと大きな人生観の話


「ヨルクラ」については、"対抗馬"とくらべてどちらが好みか?で選んだところも多分にあります。
扱っているテーマ、題材の新しさ、言葉遣い、エピソードの組み立て。各話を見終えたあとの気持ちよさも。
あと、登場人物たちが直面している問題や悩みにどれだけ共感できるかでも軍配は変わったのかもしれません。
自分は絵をかじっていたひとりとして、まひるにもキウイにも共感できる部分が多かったんですよ。

ネットでつながっていながら孤独を感じる人、メディアが溢れているのに好きがわからないまま溺れてしまう人。
そんなさまよえるクラゲたちを、自分に接続し続けてくれるうちは絶対にひとりぼっちにしない。
新しい時代の人のつながり、そしてそこから生まれるものを描いた、きちんと現代の物語をしていたと思います。

まあ、気になる部分がなかったとは言いません。雪音が意外とイヤな…つまり、悪役に徹しなかったこととか。
おそらくそのへんは作家性が反映されていて、視聴後のスッキリした感じもそれの表れではないかと。


「ヨルクラ」といえば、キウイのネット上の姿・竜ヶ崎ノクスの性別について誤解が生じていたような。
劇中でまひるが『男の子』と表現したせいで、キウイを性別に違和感を抱えている性同一性障害のようなものと
捉えてしまった視聴者が少なからずいたみたいなんですけど、そういう話ではないですよね?
私見ですが、ノクスはあくまで『好きになれる自分の姿』であり、性別は関係ないと解釈しています。
MMORPGの自キャラとか、VR上のアバターに近いものと捉えていますが…ひょっとしたら正解じゃないかも。

あと、花音がまひるに突然キスしたりで本作に恋愛要素を読み取ってる人もわりと見かけました。
カップリングはあっても恋愛はないかな…自分が知っているカテゴリーに振り分けたい気持ちもわかりますが。


"対抗馬"という表現をしたので、もう一方と合わせて今期感じたことをもう少しだけ書いておきます。

バンドにせよアイドルにせよ音楽活動を描いているアニメって、楽曲の『世代感』も評価に大きく影響していて
楽曲提供してる人の『世代感』が同世代の視聴者にはメチャクチャ刺さるけど、世代が少しでもズレてしまうと
「おもしろいとは思うけどそこまでではなくない?」みたいな、温度差を生んでいる気がします。

源流にあるアーティストや世代の影響、好みの違いがどうしても出しまって、作品評価が一致しにくい。
かといって楽曲を完全に切り離して考えるのも難しく。なので、今期の作品の評価は自分には難しかったです。

自分は「ぼっち・ざ・ろっく!」の楽曲でもギリはずれてる感じで。世代の古さを認めざるをえません。


「怪獣8号」はオマージュされている作品の好みが一致したため、個人的には結構楽しめた作品でした。
原作読者たちの評価のわりには、と付け加えるべきですね。原作読者が多い作品だとそういう事態が起きがちで
アニメで初めて見てる人たちは楽しんでるのに「原作でもこのへんまではおもしろいんだよね~」と、水を差す
ようなことを言う人がとにかく多いわけですよ。今期だとほかに「戦隊大失格」もこれに当たります。

アニメはアニメで初めて見る人を楽しませるようできていればそれでいいし、実際見て楽しかったんですよ。
アニメはテレビを通じて不特定多数に向けられた一個の作品であり、原作と切り離して考えるべきです。
「アニメがおもしろくて原作も買って、読んだら原作もおもしろかった!」ってのがベストではありますが。

原作読者による悪い影響が届きにくい海外のほうが「怪獣8号」の評価は高いようです。
逆のパターンもありますけどね。日本の原作読者がベタ褒めしてるのに海外では"冷静に"評価されているアニメ。

テレビアニメはアニメで初めて見る人に理解できるよう、楽しめるようできていなければダメなんです。
原作の一番見てほしいところを見せるために『ダイジェスト化』してしまっているようなアニメもありましたが
それは原作読者に向けたファンアイテムでしかなく、一個の映像作品として考えると不適当だと思います。



[以下追記分]

始まったときから絵に不安のあった「じいさんばあさん若返る」は、絵の不安については最後まで残ったものの
それが気にならなくなるくらい話が巧みで、ときには涙腺を刺激されることもありました。
老夫婦が若返るという、ヘタすれば一発ネタで終わりかねない設定でよくぞここまで広げたものだと。
ある意味では「となりの妖怪さん」に次ぐ、エピソードが進むにつれて評価が上がっていくタイプの作品でした。

岐阜が舞台のアニメはどうしてこうなるんだ…と、最後まで楽しませてくれた「変人のサラダボウル」
ご当地感を出しておきながらどうしてここまでやれんの!?って内容で、見てるほうがハラハラ。
ドラッグ以外のことはだいたいやった。ロックを標榜するアニメよりもロックな内容だったと思います…。


「ただいま、おかえり」はオメガバースなる共通設定が理解を遅らせる要因になっていたのは間違いなく。
最終回直前になっても新たな設定が出てきて、登場人物が苦しんでいた理由をあとから理解できるみたいなのが
たびたびあったもので、共通設定によって描かれる作品のひとつの問題点が浮き彫りになった気がしました。
また、その設定が単に嗜好を満たすものなのか、現実の性別問題の風刺を含んでいるのか判断が難しくて。

本作で描かれているオメガ差別って、どんな被差別対象と置き換えても成立する物語ではあると思います。
この世のあらゆる差別や偏見を次の世代へ継承してはいけない。いや、次の世代がすぐに解決するかもしれない。
若い世代に対するひとつの希望を感じる、あるいは見ている人に希望をもたらす作品でした。

ただ…本作に強いBL要素を求めていた人には物足りない内容だったかもしれません。
男同士で仲が良いと周囲がカップルにしようとする、外圧が働く様子なんかはむしろ警鐘っぽくも見えましたし。


継続作品では「時光代理人Ⅱ」が期待どおり。新たな能力者の登場で、状況の考察が毎週はかどりました。
海外ドラマのようなクリフハンガー的が今期も毎回、そして最終回でも、つまり「Ⅱ」で解決しなかった部分も
あったわけで、続きがあることを喜ぶべきかスッキリ終わらなかったことを不満に思うべきか迷います。
興味がある人はいまからでも1期からまとめて見たほうがいいですよ。いっしょに被害者になってください(笑)

完結してないといえば「デート・ア・ライブ」も今期で完結ではなかったんですよね。まだ続きがあるらしい。
でも今回の5期は本当によかった。これまで作品を支えてきた、続きを待っていたファンを確実に満たす出来。

できれば完結までアニメ化してほしいですね。本作をおもに支える海外のファンにはがんばってもろて。


2クール作品の中間報告をすると、「狼と香辛料」がやっぱりおもしろいですね。
旧アニメ版を見ていない、ようするに特に思い入れがない自分が見てもおもしろいと思える物語であること。
それと、ホロというヒロインに長年固執するファンがいる原因(笑)が見て理解できた気がしました。

あとは「烏は主を選ばない」が1クールの終盤に来て、具体的に言うと12話の終わりから急激におもしろくなり
これまで提示されてきた謎が一気につながっていく怖さと気持ちよさは完全にサスペンスのそれ。


「夜桜さんちの大作戦」が意外といい塩梅のポジションに収まっているのを感じます。
オープニングから楽しく、みんなかわいくカッコよく、過度な深刻さがないようリアリティラインが引かれてて
日曜日の夕方にみんなで楽しむ作品ってこういうのでよかったんじゃない?と気付かされた感じで。
家族のスパイものとして二匹目のドジョウを狙ったのでは?などと当初は思いましたが、比較されることのない
もうひとつのスパイものとして受け入れられているのではないかと。あくまで個人的な感想ですが。

あのオープニング曲ホントにすごいんですよね。タイアップと全然関係ない内容なのにすごくマッチしていて。
主題歌は物語の入口で、あのリズム感や高揚感は間違いなく本編への導入になってます。そしてMVが悪夢。

ほかに主題歌が印象に残ったのは「忘却バッテリー」と「変人のサラダボウル」、「ひみつのアイプリ」あたり。


最後に「ヴァンパイア男子寮」に触れておきたい。なかよし創刊70周年記念作品と銘打たれた今回のアニメ化。
良い意味か悪い意味か判断に悩むところはあるのですが、見た人の記憶に確実に残る作品でした。
意図してこれを書いたのだとしたら相当な天才か、あるいは頭がどうかしてるか(笑)とにかくメチャクチャな
話の展開、登場人物たちの言動にツッコみが絶えず、実況で賑わうタイプのアニメと言えるでしょう。
記念作品がこれで本当によかったのか…でも、おもしろくなかったとは絶対に言えない



アニメの評価や感想をまとめてブログに掲載するのはおそらく今回で最後になると思います。
とうとうやめる決心がついたというか。理由はこれまでにも何度か書いたとおり、アニメの評価や感想を求めて
検索する人はSNSに集中しており、SNSに逐一投下していくのが正しい
と判断したからですね。

問題は当ブログのメインコンテンツのひとつが失われることですが。夏からはなんか別の方法を考えようかと。
どんな作品に注目しているかリストアップしておくだけでもひとつの記事にはなるでしょうし。


近年、高齢者が既存のテレビ番組を離れ、アニメの開拓を始めているなんて話をチラホラ見かけます。
おそらく高齢者たちが『高齢者向けの番組』に飽きつつあることと、テレビ局の番組編成が高齢者たちを裏切り
これまで見ていた番組を探しにくくしていることが背景にあるのではないかと自分は考えています。
それで、家族がたまたま録画しておいたものを見たとかで、新鮮さやわかりやすさにハマっていったのでは。

本当におもしろい作品はどんな世代の人が見てもおもしろく感じるでしょうしね。
ドラマとくらべて選択肢も多いし、一話見るのにかかる時間的な負担も軽いし。隙間に収まりそうな感じが。

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2024年4月15日 (月)

2024年 春アニメ寸感

■お気に入り作品(暫定)
※該当作品なし

■新作ピックアップ
「夜のクラゲは泳げない」
「変人のサラダボウル」
「となりの妖怪さん」
「Lv2からチートだった元勇者候補のまったり異世界ライフ」

■続編ピックアップ
「時光代理人Ⅱ -LINK CLICK-」
「ゆるキャン△ SEASON3」
「魔法科高校の劣等生」3期
「デート・ア・ライブⅤ」

■前期からの継続作品
「月が導く異世界道中 第二幕」2クール後半(13話~)
「うる星やつら」分割4クール後半(36話~)
「ダンジョン飯」2クール後半(14話~)

□話題の新作
「ブルーアーカイブ The Animation」
「ガールズバンドクライ」
「終末トレインどこへいく?」

◇その他備考
・TBSが平日である木曜の深夜に2時間ものアニメ地獄を編成(再放送の「五等分の花嫁∬」含む)。
・「僕のヒーローアカデミア」は7期に突入。最初の4話、つまり1か月分を過去のシリーズの振り返りに費やす。

 ※あくまでリストアップであり、順番が順位付けになっているわけではありません。


今後アニメの感想や評価はできるだけSNSのほうに投降しようと思い、少しずつX(旧Twitter)へと書いてたら
こちらで言いたいことがあんまりなくなってしまって(笑)何を書こうかとだいぶ悩んでおります。

今期の新作からは特にお気に入りが見つかりませんでした。「おもしろいものがない」というわけではなく。
「これが好き!」って確信をもてる作品がいまのところなく、紹介するにいたりませんでした。
続編モノも含めていいなら「時光代理人Ⅱ」。1期のあの衝撃的な結末から2年も待たされたんだよ我々は。
そして待望の2期1話からもう驚きの連続。期待をまったく裏切りません。今期の最重視作品と言えるでしょう。


新作からまず挙げた「夜のクラゲは泳げない」は動画工房の新作。
みずから夢を捨てた少女たちが集まって、覆面アーティストとしてふたたび活動し始める現代的な物語です。

これを言うと他の作品への当てつけになってしまうのですが、バンド形式の音楽活動って現代に即していないと
以前から思っていて。ヒット作品のクローン、あるいはバンド全盛期の古い感性に縛られているというか。
いま若い世代の音楽活動を描くのであればネット配信主体で描くのが適切であろう感じていたのです。
そこにスパッと収まったのが本作で。ハロウィンの夜に始まって口紅を使うところとか、話の組み立ても上手い。

「変人のサラダボウル」は原作・シリーズ構成・脚本を「僕は友達が少ない」の平坂読が兼任。
異世界のポータルから現世へ逃げ込んできた姫様と女騎士のコメディで、浅い時間帯ではできなさそうなネタが
ふんだんに盛り込まれていて、肩の凝る作品の合間に見るにはちょうどいい感じの作品です。

「となりの妖怪さん」はいろんな意味でとにかく異質。深夜枠全体で見ても、テレ朝ANi枠で見ても。
人間と妖怪が当たり前のように共存する田舎町で、それぞれの視点から自分の身体や生活に起きた変化に対して
向き合っていこうとする様子が描かれています。遠いようで視聴者に近いところにあるテーマと言えるかも。
一見ハートフル、だけどふとした瞬間に漂う不穏さ。この違和感を一度味わってほしいです。


「ゼロの使い魔」の同窓会とも言うべき「Lv2からチートだった元勇者候補のまったり異世界ライフ」
J.C.STAFF制作、岩崎良明監督、メインの男女を日野聡と釘宮理恵が演じるってだけでもかなりのものですけど
キャスト一覧を見るとどう考えても意識的にそろえたとしか思えない声優陣がならんでるんですよね…。

懐かしさという意味では「デート・ア・ライブⅤ」の声優陣もだいぶ。でもこちらは意外にも2年ぶりの続編。
2年ぶり程度では"久し振り"と言えないぐらい、今期は長いブランクを挿んだ続編が複数あります。
最長は18年ぶりの再アニメ化となる「バーテンダー 神のグラス」。なぜいまこれなのかはわかりませんが…。
次いで15年ぶりのリブート作品である「狼と香辛料」、テレビシリーズとしては10年ぶりの「黒執事」
「活劇」以来7年ぶりとなる「刀剣乱舞 廻」もあります。困るのは以前の内容を思い出せないことでして。

 ※それぞれ正式タイトルは以下のとおり
  「狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF」
  「黒執事 -寄宿学校編-」
  「刀剣乱舞 廻 -虚伝 燃ゆる本能寺-」

ただ、これらは前後のつながりが薄いほうなのでなんとかなるでしょう。2年ぶりくらいが一番微妙です。

「ゆるキャン△」は2期までのC-Stationから制作がエイトビットに移り、雰囲気がちょっと変わりました。
慣れもありますが、自分は以前のほうが好きだったなぁ…でも大垣は前髪長いほうがかわいいなぁ。


今期一番話題になっているのはおそらく「ブルーアーカイブ」です。やっぱり原作から注目してる人が多いので
それだけ反応も多く見かけるわけです。個人的な感想を言えばまあ…フツーかなぁ?という印象。
原作未プレイだと知ってるキャラが出てくる喜びとかもないので。「借金返済の話なのかぁ」みたいな感想。

「ガールズバンドクライ」は早くもネットミームと化しつつあるのがすごい。ロックな作品ではあります。

水島努監督の新作「終末トレインどこへいく?」はなんか…番宣を見て思い描いていたのと全然違っていたのが
まず驚きだったのですが、世界設定と移動手段の都合で話を作るのが大変そうな気がします。
運送業者のトラックにヴィルベルヴィントらしき砲塔が載っていたのは水島監督の趣味なんですかね…?


今後お気に入りとなる作品が見つかれば追記するつもりですが、今期はいつも以上に本数を減らすつもりなので
大器晩成型の作品の良さを見落とす可能性がありそうです。仕方ないと思いつつも苦しい(悔しい?)ところ。

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2024年4月 1日 (月)

2024年 冬アニメ総括

■好評価作品
「ループ7回目の悪役令嬢は、元敵国で自由気ままな花嫁生活を満喫する」
「百妖譜」
「ゆびさきと恋々」
「休日のわるものさん」

■ピックアップ作品
「悪役令嬢レベル99~私は裏ボスですが魔王ではありません~」
「最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。」

■好評価継続作品
「薬屋のひとりごと」2クール後半
「僕の心のヤバイやつ」2期
「真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 2nd」
「うる星やつら」分割4クール後半

■3月中に放送終了しなかった作品
「月が導く異世界道中 第二幕」2クール
「うる星やつら」後半2クール(全4クール)
「ダンジョン飯」2クール
「戦国妖狐 世直し姉妹編」最終回が持ち越し
「メタリックルージュ」最終回が持ち越し
「ぶっちぎり!?」最終回が持ち越し
「魔女と野獣」最終回が持ち越し

◇その他備考
・16年間も続いたYahoo!の電子番組表サービス「Yahoo!テレビ.Gガイド」が3月末日で終了
・昨年末まで放送されていた「絆のアリル」のVTuber活動『アリルズプロジェクト』が活動を終了


この3か月間はアニメ・マンガ業界にとっては大きな訃報が続いた、ちょっと重い時期だったと言えます。
とりわけ大きな話題となったのが故・芦原妃名子の「セクシー田中さん」に関する一連の事件
映像化するにあたっての原作の扱い、原作者の意向の尊重など、さまざまな意見が交わされました。

ひとつ言えるのは、「原作どおりにするのが正しい」のではなく「原作者の意向に沿うのが正しい」ということ。
原作者自身が改変を望む場合もあるし、『原作と異なる=悪』とは思わないでほしいのです。

アニメにせよ映画にせよ、原作から媒体が変化する都合で、多かれ少なかれ原作どおりにはいかなくなります。
一番影響するのは尺の問題。限られた時間のなかで何をどの順番で紹介するのがベストか。
ただ原作をなぞって、時間切れになったところで終わる。映像化ってそれではダメなんですよ。
原作の映像化であると同時に、一個の映像作品としての完成度の高さを目指すことも大事ですから。

原作を知らなくても楽しめる、それでいて原作の魅力が伝わる。あらためて考えると難しい仕事だと思います。
決められた尺のなかで、原作の魅力を損なわないようにエピソードの入れ替えやセリフの取捨選択をして。
連載中の作品であればどのシーンで、どんなセリフで終わるのが美しいか。検討すべきことは山ほどあるわけで。

原作者の意向を尊重したうえでよりよい映像化を、よりよい改変を模索していく。
なぜそうする必要があるのか、原作者を納得させるだけの理由があれば視聴者も納得できるのでは。


今期、原作から改変された点が話題になっていたのは「悪役令嬢レベル99」あたりでしょうか。
特に結末は大幅な改変が加えられていたそうで、原作のテイストが好きだった人にはガッカリかもしれませんが
この改変には納得という意見が多かったように思います。原作未読の自分は違和感なく見れました。
コミカライズのほうも原作サイドの了承を得て改変してるそうなので、その流れに乗った感じではないかと。

昨今のいわゆる『なろう系』は編集者の目を通さず作者自身がサイトに掲載するため、客観的な意見にあとから
気付くことも多いと思うんですよね。で、文庫化の際に変更や加筆なんてのもよくある話。
粗削りな初期段階のバージョンから洗練されていくことで、トゲトゲしい個性が失われる可能性はあります。

このへん難しいなぁ…どちらが良いとも言い難い。あとはもう「原作者の意向」次第かもしれません。
変わることに納得できているかどうか。その作品で伝えたかったことが残っているかどうか。作者のみぞ知る。


「僕の心のヤバイやつ」はシリーズ構成の希望で、最終回をあのシーンで終わらせたと聞きました。
物語が続く気配を最後に残すのではなく、アニメなりに物語の終着点を設定してそこまでの流れを美しく描く。
そのおかげか見終えたあとの気持ちよさ、余韻は今期随一でした。

逆に、ある脚本家がシリーズ構成を担当する複数の作品で残念な出来に終わる様子も見ました。
とにかく詰め込む。視聴者が理解できる限度を超え、演出に必要なゆとりまで奪ってしまう。終幕のキレも悪い。

いろいろな話を見聞きして、今後は原作付きアニメやその最終回の見方がちょっと変わりそうな気がしました。


さて…今期の好評価作品として挙げたものはどれも、いい話を書いてるなぁと感じたものです。
見ていて胸に響く出来事、あるいはセリフ、メッセージ性を感じるなどが大きな理由となっています。

だいたいは放送開始ごろの期待どおり。「最弱テイマー」は序盤を過ぎてから右肩上がりに評価を伸ばしました。
「わるものさん」は終盤の桜のエピソードで評価が割れそう。いい話ではあるんだけど脱線気味な印象があり。
あとは「ぽんのみち」がね…パロディ部分の印象をくつがえすくらい日常系の魅力を発揮していきまして。
あのパロディにも内輪の盛り上がりっぽさがあって良いと褒める人もいますが、いやぁ…どうかなぁ?

「結婚指輪物語」「魔都精兵のスレイブ」はサービスシーンだけの魅力に留まらず、結構マジメにおもしろく
描かれていて好感をもてました。「魔法少女にあこがれて」も同じ理由で挙げられると思います。

余談ですが、今期は「結婚指輪物語」を初めとして、指輪が象徴的に描かれる作品が妙に集まっていたような。
男性同士がお揃いの指輪をつける結末が描かれる「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」などは代表格。
単なる偶然だとは思いますが、にしても3月中は指輪をよく見たなという印象があります。

今回「うる星やつら」を挙げたのは、何気に結構いいエピソードが多いなぁと感じたので。
特にあたるの善性が見えるエピソードはいいですね。クズなエピソードとの落差は激しいですが…。

あと、見れば見るほど令和最新版の「うる星やつら」は絵のタッチが魅力的だなと思います。



恐ろしいことに今日からもう春アニメが始まってしまうんですよ…なので悠長なこと書いてるヒマないです。
書きたい欲があまり発揮されないまま書いたため、正直イマイチな内容だと思ってますし。


「テレビ番組はテレビ世代に向けたもの」という印象をこれまで抱いていましたが、放送されてるコンテンツは
既にネット世代のほうを向いていて
、特にアニメやドラマは「ネット配信で短期間にまとめて見るもの」として
作られる時代になっているのかもしれません。

つまり『1週間おき』という従来のブランクがなく、間髪おかずに続けて見ることを想定して作られている。
毎回の冒頭に前回のあらすじを挿入したり、それらしい説明ゼリフで思い出させたりする必要がなくなっている。
一気見する人にとってはそれでもよいのですが、テレビで見る人には従来どおり『1週間おき』なわけで。
最近妙に不親切でわかりづらい作品があるのはそのせいなのかな?と思ったりしています。

ただ、今期に関して言えばそれとは逆に、必要以上にあらすじや回想を盛りまくるアニメがあったもので…。
まあ業界全体が一気に変わることはなく、作品ごとに違いが出るのが普通でしょうか。

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